ここから本文です 精密工学科の窪田講師がSTEM教育向け知育玩具の開発に協力しました 2020年06月23日 工学部精密工学科の窪田紘明講師が開発に協力した、STEM教育向け知育玩具「からくりのタネ」が5月29日に銀鳥産業株式会社から発売されました。 STEM教育は、AI時代を生き抜く理系人材を育てる新しい教育プログラムとして世界各地で取り入れられているものです。 科学・技術・工学・数学について遊びを交えて総合的に学び、自ら新しい価値を生み出す力を培うことが主な目的で、日本でも今年度から小学校でプログラミングの授業が必修となり、各地でロボット教室が開講されるなど、注目を集めています。 「からくりのタネ」は、小さな子どもが工学に触れ、楽しさや驚きを体験できるキットとして企画されました。 窪田講師は、金属材料の加工技術を扱う「塑性加工学」や加工時に材料にかかる力をあつかう「弾塑性力学」が専門で、本学科ではロボットや工作機械・エンジンなどの動作をつかさどるさまざまな機構の理論やメカニズムを学ぶ「精密メカニズム」の授業を担当しています。 今回の商品では、子ども向けの知育商材や文具を取り扱っている銀鳥産業株式会社が企画・設計・販売を担当。 窪田講師は、授業で教えている内容をもとに学術助言を行い、商品で取り上げられた「カム機構」と「クランク機構」の動作の解説や社会で使われている事例の紹介などを担当しました。 いずれも厚紙でできており、子どもたちがパーツを組み立てて動かすことで、各機構の基本構造や動作を学べるようになっているほか、複数の種類を組み合わせて遊ぶこともできるようになっています。 窪田講師は、「『精密メカニズム』の授業で学生に教授している内容を何らかの形で社会に還元できないかと以前から思っていたので、こうした機会に恵まれてうれしく思います。 幼少期にこうした玩具で遊んだ経験をしているだけでも、大学などで専門的に工学を学ぶ際にも理解しやすくなることが分かっており、将来の工学を担う人材の育成に貢献できればうれしい。 また、最新のIT技術を活用して新しい商品を開発する際にも、背景にある現象を実体験として理解しておけば、より幅広く応用できるようにもなると考えています。 ものづくりの教育・基礎研究は、実際のものづくりにつながっていくことも重要です。 今後も産業界とのつながりを大切にしながら,その面白さを未来の産業界を担う人たちに伝え、盛り上げて行きたい」と話しています。 gincho.
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「ものつくり」産業を支える機械加工技術の高度化を目指して 機械加工は、現代の「ものつくり」の産業を支える基本技術のひとつです。 本研究室では、「ものつくり」の現場をささえる生産加工技術の高度化を目指して、そのための必須技術であるNC工作機械を核とした各種システムの自動化・知能化をすすめる方法について主に研究開発をおこなっています。 特に、NC工作機械の知能化による熟練技術者の技能・経験のシステム化、金型加工の知能化など、機械加工の自律化・知能化は重要なテーマのひとつです。 また、制御・計測・設計の観点からの高精度位置決め技術へのアプローチ、リニアモータ駆動・パラレル機構など新しい機構を持った工作機械の研究開発。 など様々な観点から工作機械の高度化について研究しています。 kyoto-u. jp を補ってください。 松原 厚 Atsushi MATSUBARA 教授(工学研究科) 研究テーマ 微細加工技術とそれに必要な高精度位置決め技術、高精度・高生産性を達成するための加工技術を、加工機・計測・設計・制御の観点から研究しています。 連絡先 桂キャンパス Cクラスター C3棟 c1S07室 TEL: 075-383-3675 E-mail: matsubara prec Daisuke KONO 准教授(工学研究科) 研究テーマ 高速・高精度な工作機械の実現を目的とした機械構造と機械要素の研究を行っています。 具体的には、機械の剛性と振動特性の評価法、据付設置におけるマウント配置法や振動抑制ダンパの開発、先進材料を用いた機械開発、送り系の高精度化、これらの研究において重要な接触面の剛性・減衰性に関する研究に取り組んでいます。 連絡先 桂キャンパス Cクラスター C3棟 c1S08室 TEL: 075-383-3676 E-mail: kono prec 研究テーマ・開発の紹介 知能化NC工作機械の開発 マシニングセンタに代表されるフレキシブルなNC コンピュータにより数値制御される 工作機械においても、より高い生産性を実現するために、高速化が近年急速に進みました。 しかし、機械加工は熟練技術者の知識と経験が必要不可欠な分野です。 高速マシニングセンタを用いて、実際に高能率で、かつ精度を落とさずに加工をおこなうためには、熟練技術者にとっても操作や加工条件の設定は極めて難しくなります。 その結果、高速マシニングセンタが本当にその能力を発揮しているのは、一部の特殊な工程に限定されているのが現状です。 本研究室では、本来熟練者が行っていたオペレーションを、コンピュータが知能的におこなうことができる自律的加工システムの開発を、重要な研究テーマの1つとしてきました。 このプロジェクトでは、工作機械自身が自律的に高能率加工をおこなうため、以下のような機能を持った、知能化NC工作機械を開発することを目的として、必要な技術の研究をおこなっています。 最適な加工条件と制御パラメータを自動設定するためのデータベース• 加工状態のモニタリングとオンライン適応制御システム• 固定サイクルを基本単位としたフィーチャベースの工程設計 図-1 知能化NC工作機械の全体構成 送り駆動系のサーボ制御 近年の技術進歩から、NC工作機械の高速・高加減速化は急速に進みました。 それに伴い、高精度位置決め装置においてサーボ制御の重要性はますます高まっています。 例えば、高速で駆動される大型のNC工作機械や、リニアモータによる駆動系では、駆動力による構造振動が問題となります。 このような高精度位置決め技術に必要とされる技術を、制御・計測などの面から研究しています。 図-2 送り駆動系のテストスタンド 図-3 実験室のマシニングセンタ(安田工業株式会社製) 金型加工の高能率化 日本の金型加工技術の優秀さは世界的に知られていますが、金型加工はいぜん熟練工の技術に依存する部分が多い技術です。 熟練工が減少している現状の中で、非熟練者をコンピュータ応用技術が支援し、また熟練者の技術をシステム化する試みは、様々な観点から現在多くの研究機関・民間企業が取り組んでいます。 切削抵抗の制御を基本とした加工条件の最適化、工具への負荷を押さえ高硬度材の高速加工を可能とする工具パス生成、固定サイクルを基本とした工程設計法、加工条件データベースの構築、などを研究しています。 図-4 ラジアスエンドミルを使ったアイロン金型の加工例 図-5 実際の加工後 パラレル機構工作機械の動作制御 90年代以降、全く新しい機構を持った工作機械が幾つか提案されてきました。 互いに直交する送り駆動軸を基本としている従来の工作機械の機構と完全に異なり、回転ジョイントとリンクにより機械を駆動されるパラレル機構工作機械もそのひとつです。 パラレル機構工作機械は、6本のストラット 脚 を独立に制御することにより、容易に6自由度の加工がおこなえることが最大の特長ですが、運動精度・剛性などにおいて解決すべき課題も多い機械です。 例えば、パラレル機構はその構造から重力による変形の影響を受けやすく、それが運動精度を悪化させる場合が少なくありません。 また、主軸をストラットで支える構造になっていることから、従来の機構と比較して切削力などの外乱に対する剛性が課題であることは否めません。 本研究室では、このような課題を解決するため、主に動作制御の観点からパラレル機構工作機械の高精度化について研究をおこなっています。 図-6 パラレル機構工作機械 オークマ株式会社製 DBB測定によりキャリブレーションをおこなっている 図-7 3次元CADを用いたパラレル機構工作機械の運動精度解析.
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工学部精密工学科の槌谷和義教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)らの研究グループが展開する研究プロジェクト「Design and Development of Self Powered Selective Collection of Rare earth Elements from Sea Water(海水からの希土類元素選択分離ポンプの設計と開発)」がこのほど、日本学術振興会の「二国間交流事業 共同研究・セミナー」に採択されました(採択期間=2年間)。 同事業は、日本の大学等に所属する優れた研究者が相手国の研究者と協力して行う共同研究・セミナーの実施に要する費用が支援されるものです。 今回のプロジェクトでは、インド・サストラ大学とインド情報技術大学(IIIDTM)の研究者と連携。 本学からは、槌谷教授のほか、海洋学部航海工学科航海学専攻の高嶋恭子准教授、マイクロ・ナノ研究開発センターのガネシュ・マニ特定研究員が参加しています。 日本は世界第9位の排他的経済水域を有する海洋大国であることから、域内の海底からレアアースなどの資源を採取する技術の研究が古くから行われていますが、商用化には至っていません。 一方、近年の研究で海水中にも多くのレアアースが溶け込んでいることが明らかになっています。 本研究プロジェクトでは海水からレアアースを取り出す新技術を開発するとともに、さまざまな場所や深さの海水中の資源濃度をマッピングすることで、より効率的に資源を採取する手法の開発を目指します。 研究では、槌谷教授が出願した特許技術とサストラ大の金属錯体技術を活用。 毛細管現象を利用して海水を自動的に吸い上げ、バナジウムやチタン、リチウム、コバルトなどのレアアースを選択的に抽出できるポンプを開発し、潮力発電所などに設置されているブイに取りつけて実際に採取する実験を行います。 IIIDTMは細い流路での流体の流れ方を調べるシミュレーション技術を使ってポンプの高効率化に向けた実験を担当。 高嶋准教授は、本学の海洋調査研修船「望星丸」を使って駿河湾内で採取したサンプルをもとに、さまざまな地点や深さごとのレアアース濃度の違いなどを分析します。 槌谷教授は、「レアアースは工業製品には欠かせない資源になっていますが、採取できる量が少なく、高価なことから国際間紛争の原因となっている一面もあります。 そうした中で、海水から安価に取り出す技術を確立できれば、政治情勢などに関係なく、だれもが利用できる資源となり、平和や安定にも貢献できると期待しています。 この研究の核となる吸い上げ技術は元々、血液を補助エネルギなしに吸い出す方法の開発を目指して取り組んだもので、発想の転換によって生まれたこのような研究に携わることで、将来を担う日本とインドの若手研究者が成長できるプロジェクトにもしていきたいと考えています。 今後も研究を通して、精密工学の幅広さや可能性を切り拓き、社会に役立つ技術を世に送り出していきます」と話しています。
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