山﨑賢人 髭。 「劇場」行定勲監督インタビュー:山﨑賢人と松岡茉優が対極の演技で魅せる男女のリアリティ

「劇場」映画のロケ地・撮影場所はどこ?都内の目撃情報!

山﨑賢人 髭

明らかにそうですね。 --山﨑さんのキャスティングは監督ですか? 山﨑の名前を出したのは古賀さんですけど、最初は僕も古賀さんも誰も浮かばなかったんです。 山﨑が演じた永田に、例えばインディーズ映画で活躍している演技派の俳優をキャスティングしたら、予算はこんなにかけられなかった。 それは、古賀さんから最初にはっきり言われました。 それに、映画自体も違うものになっていたかもしれない。 演技派の俳優がキャスティングされていたらこんなにむき出しな愚かさを表現できていただろうかと思います。 永田のピュアさや実直さ、何も分かっていない無防備さを演じるのは難しい。 山﨑の芝居は技巧じゃないから凄い。 マグマの奥の方を見ている感じ。 マグマの中に思わず手を突っ込んじゃったみたいなところがあるんです。 いや、俺も初めて会ったときに、ピュアなんだけど、ピュア過ぎない?ってちょっと思いましたね。 最初の顔合わせの前に写真を見て「やっぱり綺麗な顔だね~」って言いながら、山﨑の顔に髭を描いてみて、あっ、髭を生やしたらいいねってなって。 本人に会うとやっぱりよく分からない。 集中すると、何をしでかすか分からなくなる俳優っているじゃないですか。 目をすごく見開いてくる山﨑には、「ここはガラスの壁だから当たっちゃダメだよ」って言ったのに、ガラスにバーンって突っ込んでいきそうなその危険な匂いをちょっと感じるんです。 でも、顔合わせが終わったときには、その危険な感じは永田という役に活かせるような気がして。 古賀さんとも「いいですね~」って確認し合ったし、なぜこれまで誰も彼に永田みたいな役をやらせなかったんだろうと思ったぐらい、これは行ける!って思うようになりました。 ないですね。 彼はすごくいいですよ。 素直だし、考え方がすごく真面目。 自分のこの業界での立ち位置とか見え方とか気にしてなくて、与えられたひとつひとつの役とちゃんと向き合っている。 昔、『ピンクとグレー』のときに菅田将暉に「同年代の俳優で誰がいちばん気になる?」って聞いたら、「山﨑賢人ですね。 友だちなんですけど、アイツは、1本1本の映画との向き合い方がスゴいんです」って言ったことがあるんですけど、その通りだなと思って。 ずっと、そうしてきたんだろうし、今回の永田も真正面からちゃんと向き合って演じてくれました。 それで自分から「やってみたい。 なぜか分からないけれど、これは絶対にやりたい!」と思ったらしいけれど、そう言うだけあって、なかなか色気がある。 だから、僕たちは忙しい彼の身体が空くのを待って、そこにヒロインの沙希を演じた松岡のスケジュールも合わせてもらったんです。 それこそ、彼は目が澄んでるから、濁らせるところから始めて、最初に「髭を生やせよ」って言いました。 そしたら、彼はそこでもやっぱり真面目でね。 撮影に入る半年ぐらい前の10日間ぐらい身体が空いたときに、髭を生やして、俺に見せにきたんですよ。 それで「どうですかね~」「いや、まだポヤポヤだね」っていうやりとりがあって、「どうしたら濃くなりますかね」って聞くので「T字のカミソリで剃ると濃くなるもんだよ」って答えたら、それからずっとT字のカミソリで剃ったり、毛生え薬をつけていたみたいで。 そこからスタートして、もともと痩せているけれど、少しこけた頬にして、髪もクシャクシャにしてもらいました。 芝居を削ぎ落すこともできるし、ある種のあざとさもちゃんと持ち合わせている。 その両方ができるのは巧みだからだし、それはやっぱり優れた女優のひとつの資質だと思います。 振り幅がすごいですよね。 でも、その役と向き合った彼女は自分の度量を分かっているし、撮り終わった後に「まだまだだな~」って言っていたけれど、自分の限界も見えているかもしれない。 だから、僕は今回の沙希役にすごくいいと思ったんです。 本当に役に合っていたし、完成した映画の中では山﨑がちゃんと立っていた。 現場で見ていると、松岡の芝居の方が明らかに強い。 彼女の方が最初からガツンと来るから確かに強いんですよ。 でも、松岡は耐久力があるから、山﨑の芝居を待つことができる。 そこが、このふたりでよかった理由です。 そうなんです。 松岡は最初のテイクからとんでもないことをやらかしたりするし、山﨑はテイクを重ねれば重ねるほどよくなっていく。 感性はふたりとも素晴らしいけれど、真逆のタイプなので、どこをOKラインにしたらいいのか最初のうちは悩みましたよね(笑)。 ただ、ふたりとも覚悟ができていて、お互いの感性をぶつけ合っていたから、又吉さんの私小説風の原作ではあるけれど、それとも違う風合も出て。 僕自身、彼らにしかない感性でこれを映画にしようという方針を固めてやっていたような気がします。 うん、天才だと思う。 去年の『蜜蜂と遠雷』で主演女優賞を総ナメにすると思いきや、全然獲れなかったという状況があったけれど、あのときに票を入れなかった批評家さんや世の中の一般の人も『劇場』を観れば、彼女の力量が少しは分かるんじゃないかな。 でしょ。 いや、僕もそう思いますよ。 芝居の本質ではなくキャラクター強い役を演じている女優に票が集まる。 だから、ああいう結果になるんです。 それに対して、松岡は芝居はすごく巧みだけど、強さを前面に出さないし、雰囲気も含めて普遍的な存在。 ちゃんと見ている人は松岡の憂いの表情にハッとしたり、並々ならぬ努力に気づいているはず。 『劇場』には雷が鳴っているときに部屋で沙希がパッと顔を上げるシーンがありますが、あの松岡の顔を見て欲しい。 あの場面は彼女の演技に息を飲みました。 泣き腫らした、腫れぼったい顔を晒し、その表情に鳥肌が立ちました。 女優がひとつの映画の中で見せることはあまりないですよ。 あれはたぶん、控室で何度か泣いてきたんでしょうね。 間違いないです。 部屋のセットがあるステージに入ってきた瞬間、すぐにそこにあった毛布をかぶりましたからね。 見せたくなかったんですよ。 見せたら、山﨑の芝居が予定調和になってしまいますからね。 それを僕も察知したので、段取りを1回だけやって、ブレイクを挟んでから、いきなり本番に入った。 それはやっぱり山﨑の芝居にも反映されましたよね。

次の

「劇場」映画のロケ地・撮影場所はどこ?都内の目撃情報!

山﨑賢人 髭

ーー小説を読んで、どの部分をポイントに映画にしていこうと思ったのでしょうか? ラストシーンです。 小説を読んで、まずラストシーンが明確に浮かびました。 「劇場」というタイトルは、 この二人の生活が演劇や芝居と一緒で、二人がやってきたこと、ここで展開されてきた想いが、又吉さんの書く表現や行間からすごく感じられるラストだったんです。 ーーあのラストシーンは、小説を読んで浮かんだ表現だったのですね。 この小説はとても巧みな小説なので、他の監督でも素晴らしい作品になると思うんです。 僕は監督なので選ばれる側だから、他の人が撮ったとしたら「悔しいな」と思うくらいで、観に行けばいいと思うんですけど、 この最後の発想がパンと浮かんだ瞬間に、これは誰にもやらせたくないという気持ちになりました。 ーー今作の山﨑さんは、今まで観たことがないような表情や風貌が、とても魅力的で印象に残りました。 永田という役について山﨑さんとはどのようなやり取りをされたのでしょうか? 僕はこうしろ、ああしろというのはほぼ言っていないんです。 ただ、 永田が抱えているような部分を山﨑くんの中から抽出しないと、たぶん空々しいものになってしまうなと思っていました。 そして、髭は自分のものじゃないと意味が無いなと思って、撮影までの間、何度か山﨑くんに髭を伸ばしてもらうということがあったんですけど、なかなか生えないんですよ(笑)。 「これくらいになりました」「もうちょっとだね」というやり取りを何度か重ねました。 でも、そうやって彼が髭を伸ばしている時間に、少しずつ少しずつ永田の心情に近付いていっているような感じがしたんです。 本当はピュアなんだけど、それだと表現者として物足りなさがあるから、風貌も含めて、偽悪的に世の中を見ているような感じで。 きっと彼の中には、風貌からインスパイアされる部分もあったと思います。 ーー行定監督はいつも本人の中から役の要素を見つけ出す、というような演出なのでしょうか? 自分の中から出していただきたいので、あまり細かくは言わないです。 あと、その人が持つ色気や可愛らしさのようなものって、本人は無自覚なんですよね。 それは声のトーンかもしれないし、佇まいかもしれないんですけど、人それぞれ色気のようなものはあると思っているので。 それに気付く瞬間を、僕は撮り逃がさないようにしたいと思っています。 彼女は、僕が想像する以上に沙希のことをわかっていたと思います。 自分が想像していた沙希は、もう少し抑えめというか控えめで消極的だったのですが、彼女が打ち出してくる沙希が、とても心地よかったんです。 彼女の持つその器用さ、ある種人間としてのあざとさかもしれないのですが、彼女は沙希として、ギリギリのところでそのあざとさを加えてくるんですよ。 僕はそのあざとさを、このシーンあたりから、引き算すればうまくいくと思っていたんですけど、彼女は僕が言うまでもなく、もともと引き算するためにやっていたんです。 沙希は自分を見失いそうになっていたけど、壊れたことによってしっかり自分を持っていたことに気付けたんです。 その時、やっぱり松岡さんってすごく脚本が読めて、本当に素晴らしい女優だと改めて思いましたし、彼女の良い部分をとにかく捉えていこうと思いました。 二人はすごく呼応していたし、 演技としてぶつかり合って、共鳴していました。 山﨑くんと松岡さんは ぶつかり合うことによって、お互いの魅力が出てきていましたし、どんどん人間味が見えてきて、とてもリアリティがありました。 ーー映画の中では描かれていない時間まで見えてくるような、お二人の関係性が素晴らしかったです…。 僕らは、二人のその行間というか余白を感じさせるように撮らなければと思っていました。 あと、 歴史の流れを明確にはしたくなかったんです。 沙希の「私、27歳になったんだよ」っていうセリフがものすごく好きなんですけど、突然言われることによって、観客も「え、20代前半だったのに、そんなに時間が経っていたの?」ってあのシーンで知るんですよね。 でも、 二人にとってはあっと言う間の7年間だったと思うので、それを感じさせない演出がしたかったんです。 スタッフィングはキャスティングの次に重要です。 僕には常に2~3人くらいのカメラマンが頭の中に居て、役者のトーンや街のトーンなどにあわせて依頼をしています。 今回の撮影の槇(憲治)さんは、彼がアシスタントの頃から知っていて、一緒に組んだのは『リバーズエッジ』(18)に続いて2本目でした。 ーーそうだったんですね。 何でもない住宅街のはずなのに、シーンとして記憶に残るカットがたくさんありました。 彼はあまり言葉にはしないんですけど、すごく感じ取る人なんです。 勢いがあって、サクサクと現場を仕切っていくカメラマンが良い場合もあるんですけど、今回はそうではなく、距離感などを静かに感じながら、フレームを決めて、捉えようとする人がいいなって思っていたので。 ムードメーカー的な現場の空気を作るのは、僕が助監督時代からずっとご一緒している大ベテランの照明の中村(裕樹)さんでした。 中村さんが、光や世界観を確立していきながら、二人の間にある空気みたいなものを槇さんが静かにおさえていくという現場でしたね。 ーー部屋の中の撮り方もいろんなカットがありましたよね。 二人と一緒に居るような気分にしたかったんです。 あと、槇さんは小柄なので、壁を外したり、窓の外から撮ったりせずに、部屋の隅に入っていけるんですよ。 二人の視点の近くから撮影できるので、部屋の窮屈さや居心地の良さを捉えられたのだと思います。 あと、夕方の光が部屋に差し込んでいたり、玄関や台所は青い蛍光灯でちょっと侘しさがあるけど、奥の沙希がいる場所はちょっとあたたかく感じたりするとか。 部屋のシーンでは、そういう何気ない光から自分の記憶を呼び戻し、追体験するような感覚で撮りたいという意識がありました。 でもそれは、「そういうのあるよね」という「あるある」ものではなく、 永田と沙希、二人のデティールや空気感から生み出されるものを撮りたかったんです。 ーーでは最後に、行定監督が映画作りで大切にしていることを教えてください。 関わる人たちが、この映画にどういう思想や考えを持ち込むかということですね。 ただ、言われた通りにやるのではなく、それぞれが自分の実体験や人生を重ね合わせながら、匂いや体温などを持ち込むとか、脚本に書かれていない部分の歴史を考えてくることとか。 関わる人たちそれぞれの個人的なものを大切にしていたいです。 あとこの作品は、夕方にこだわって撮っているんです。 恋人にとって夕方の光が一番重要だっていうのは僕の持論なんですけど(笑)、そういうことを言ってると、スタッフは夕方の光を狙ってくれるんです。 光のトーンはこういう方がいいとか、街灯はどれくらい明るいかとか。 そういうところですね。 行定 勲 1968年生まれ・熊本県出身。 2000年長編映画発案特作品『ひまわり』で釜山国際映画祭国際批評家連盟賞受賞、演出力のある新鋭として期待を集め、2001年『GO』で第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ数々の賞に輝き、一躍脚光を浴びる。 2004年『世界の中心で、愛をさけぶ』を公開、興行収入85億円の大ヒットを記録し社会現象となった。 2018年『リバーズ・エッジ』が第68回ベルリン国際映画祭パノラマ部門オープニング作品として公開され、同映画祭にて国際批評家連盟賞を受賞。 また映画だけでなく、舞台「趣味の部屋」(13、15)、「ブエノスアイレス午前零時」(14)、「タンゴ・冬の終わりに」 15 などの舞台演出も手掛け、その功績が認められ2016年毎日芸術賞 演劇部門寄託賞の第18回千田是也賞を受賞。 映画づくりに関わる人たちに、作品のこと、仕事への想い、記憶に残るエピソードなど、さまざまなお話を聞いていきます。 時々、「つくる」ひとたち対談も。 edit&text:矢部紗耶香(Yabe Sayaka) 1986年生まれ、山梨県出身。 雑貨屋、WEB広告、音楽会社、映画会社を経て、現在は編集・取材・企画・宣伝など。 様々な映画祭、イベント、上映会などの宣伝・パブリシティなども行っている。 また、映画を生かし続ける仕組みづくりの「Sustainable Cinema」というコミュニティや、「観る音楽、聴く映画」という音楽好きと映画好きが同じ空間で楽しめるイベントも主催している。 photo:岡信奈津子(Okanobu Natsuko) 宮城県出身。 大学で映画を学ぶ中で写真と出会う。 取材、作品制作を中心に活動中。

次の

cinefil連載【「つくる」ひとたち】インタビュー vol.15 「この二人の空気感から生み出されるものを撮りたかった」 映画『劇場』行定勲監督インタビュー

山﨑賢人 髭

4月7日放送の『華丸大吉&千鳥のテッパンいただきます!』(フジテレビ系)で、が役作りの努力を明かした。 映画『劇場』で共演する松岡茉優が、VTRで山崎についてタレコミ。 行定勲監督から「ひげを生やして欲しい」とリクエストされた山崎は、ひげが生えにくい体質だったため「育毛剤をひげに塗った」という。 松岡は山崎のストイックな役作りを「努力の賜物のひげなんですよ」と讃えた。 山崎は「育毛剤も塗りましたし、電動カミソリよりT字カミソリの方が生えるって言われて、毎日血が出るくらい剃りました」と語る。 続けて、松岡は山崎の人柄について、「とにかくまっすぐで前向きな人なんですね」とコメント。 その一方、天然な面もあり、梅雨の蒸し暑い時期にコートを着て撮影しているとき、松岡が「今まで一番暑かった仕事って何?」と質問すると、山崎は「ハートが?」と尋ねてきたという。 その言葉に千鳥・大悟は「めちゃくちゃかっこええ返し」と絶賛していた。 2019年4月13日放送の『王様のブランチ』(TBS系)では、映画『キングダム』で戦災孤児の少年・信を演じるにあたり、「ご飯もちゃんと食べられていないと思うし、なるべく細い体にしたいなと思って。 でも、修業はずっとやっているので、筋肉はあるはずだから食事制限を……。 炭水化物を抜いて。 ササミとかブロッコリーみたいなものをずっと食べてて」と役作りに励んだことを明かしていた。 役のためにさまざまなアプローチをおこなう山崎。 主演作が続くのも納得だ。 外部サイト.

次の