白鵬の完勝に場内は大きく沸いていた。 しかしながら取組を視察していた横綱審議委員会の面々はきっと腸が煮えくり返っていただろう。 先場所後、横審の面々は白鵬のかち上げや張り差しに苦言を呈していたからだ。 それでも白鵬はこの日、まったくためらう様子もなく立ち合いから強烈な張り差しを大栄翔に見舞って厳しい相撲を貫いた。 支度部屋に戻った白鵬は報道陣に張り差しの狙いについて問われると「 張り差しから 左四つで組み止めようとね」。 そして「 大栄翔に リベンジできた。 2020年の初白星で気分がいいね」とも胸を張った。 先場所、結果として辛酸を舐めさせられた際、不発に終わったかち上げは立ち合いで使わなかった。 それならばと選択したのが張り差しだった。 どちらにしても物議を醸している取り口だが、別に文句を言われる筋合などないだろう。 反則技でもないのだから、堂々と駆使すればいい。 だからこそ白鵬は横審の目など気にすることもなく、いつも通りの厳しい攻めを見せ、先場所の借りをきっちりお返ししただけのことである。 いや、もしかしたらワーワーとイチャモンばかりつける反白鵬派の人たちにあえて見せつけるためにかち上げと同様、どうせ「汚い」などと文句をつけるであろう張り差しを使ったのかもしれない。 案の定、ネット上でも初日白星スタートの白鵬に対し〝平常運転〟のごとく毎度のバッシングが沸き起こっている。 その中には「相手も白鵬と同じようにかち上げや張り差しをお見舞いしてやればいい」というような内容の書き込みもあった。 ただ無作為に白鵬を叩くための主張としては賛同できないが、その提言自体には同意できる。 白鵬と対戦する相手の多くは飲み込まれてしまい、自分の相撲を取れないまま負けてしまう。 それならばかち上げや張り差しを逆に食らわせるぐらいの強い気持ちで、無双横綱に自分が必ず土をつけてやるという気概を持ってほしい。 心底、そのように思う。 ちなみに恒例行事のように繰り返されている白鵬バッシングに筆者は正直、辟易している。 こう言うと反白鵬の人たちから批判が沸き起こるだろうが、一向に構わない。 裏で起こっている事実には触れず、万人受けを狙って白鵬叩きに奔走することのほうがよっぽど危険だからだ。 先場所、横審が荒々しい取り口に「品がない」「見苦しい」などと苦言を呈していたのも茶番である。 そもそも以前から明確なルールもないグレーゾーンを日本相撲協会の諮問機関がわざわざ掘り起こして「何も分かっていない白鵬は悪い」と決めつけ、世間に印象付けてしまうようなことこそ「品がなく見苦しい」と考える。 そんなに文句があるならば諮問機関の権力を行使し、かち上げや張り差しを明確にルールで禁止するように協会へもっと積極的に働きかけ、行動を起こしていくべきだ。 それでも実際のところルールを犯していないから現状では白鵬を止められない。 それが証拠に外野からメディアを使い、四の五の文句をつけるだけだ。 おそらく横審の本音としては長らく頂点に君臨し続けている無双横綱の足を引っ張り、モンゴル出身力士ではなく何とか日本人横綱の時代を築き上げたいのであろう。 ただ、これは一応功を奏している格好と言えるだろう。 近年、白鵬が右ひじに巻いているサポーターについても「相手に見舞う〝エルボー〟の威力を倍増させるため、こすらせるなどして負傷させるためである」「実は〝凶器〟が入っている」などと、とんでもないフェイクニュースがネット上や一部メディアによって広まり、まことしやかに浸透しつつあるのもその一例だ。 力士たちと接している〝本物〟の大相撲関係者や、まともに現場で取材しているメディアならば大半が白鵬のサポーターに関して「古傷となっている右ひじのケガを予防するためのもので、加齢も伴って装着するようになった」という正しい認識を持っている。 いまさら、くどくどとそんな当たり前のことをここで説明するのも実にバカバカしい限りだ。
次の13日目にも優勝が決まる展開になってしまったことに加え、白鵬の荒っぽい取り口。 場内には微妙な空気が漂った。 立ち合いに左で張っておいて右でかち上げ。 「まず(相手を)起こしてから攻めようと思いました」。 白鵬はそう説明したが、右肘を大きく前へ突き出し、二の腕が遠藤の顔から首筋にかけて命中した。 相手を起こすにしては、狙う位置が高く、「肘打ち」に近い。 遠藤の上体は起きなかった。 むしろ右脇が開き、上半身が起きかけたのは白鵬だった。 遠藤がそこへ付け入ろうと出て来たが、いなしておいて今度は右、左と強烈な張り手。 ぐらりと来た相手を上から押さえ付けるように土俵へはわせた。 鼻血を出して花道を下がる遠藤。 相手を起こせたわけではなかった立ち合いを、「狙い通りにはならなかったが」と聞かれて、「最終的にはたき込みになりましたから」。 硬い表情で答えた白鵬。 優勝争いについても「1番1番」と答えて口を結んだ。 その前に、朝乃山が御嶽海に会心の相撲を取られて3敗目。 貴景勝も竜電に立ち合いの引き技で落とされて4敗となった。 13日目、3敗の朝乃山と平幕の正代がともに敗れ、白鵬が阿炎に勝てば、白鵬の43度目の優勝が決まる。 日本相撲協会の幹部は「白鵬は何か注意されると、その時は謝るが、少したつとまたやる。 本当に反省しているのか」と苦い顔をするが、また物議を醸しそうだ。 張り手やかち上げについては、過去にもそれらを武器にした横綱がいて、賛否はある。 この日の一番のように、使う方も脇が開くなどのリスクを伴い、そこを遠藤が攻め切れなかった。 白鵬の場合、全盛期はそんな相撲ではなかったが、ここ数年、相手や調子によってそうしなければ勝てない相撲が増えている。 令和になってからも、日本国籍を取得してからもまだ優勝がない。 今場所は、との思いも強い。 ただ、親方衆や好角家に賛否はあっても、ファン層が大きく入れ替わった今では、その反応も無視はできない。 最近は、横綱がやるならいいと思っているのか、他の力士が土俵の真ん中で相手のこめかみを狙って張る場面もしばしば見受けられる。 そうした空気の中で現役に固執する白鵬と、あと一歩のところで新旧交代を果たせない新鋭たち。 構図が変わらないまま、1年納めの場所が終わろうとしている。 (時事ドットコム編集部).
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大半はかち上げですが、肘打ちの様になっている物もありますね。 肘打ちに限らず、大相撲においてはルールの明確化、厳格化が必要な様に考えます。 かち上げでは、肘打ちか否かと言う見解が別れるので、もっと分かり易い張り差しを例にとると、張り差しは、明確にルール上、何も問題無い技です。 しかし、品格が等と言う基準の無い事で文句が出る。 しかも、白鵬関がやれば批判されるが、稀勢の里関がやれば黙認される。 実際にこういう事があった訳で、これでは身贔屓、国籍差別と言われても仕方ありません。 それ程問題があるならば、アマチュアと同じく禁止にすれば良いと思っていました。 逆の立場で考えてみれば良いと思います。 例えば、WBCにおいて、バント、盗塁を多用する日本の野球は品格が無い。 盗人の野球だ。 けしからん。 等と言われたらどう思うかと言う事ですね。 ルールに則ってやっている。 文句は無いハズだと思わんかと言う事です。 その上、日本相撲協会は世界に相撲を普及すべく運動しています。 他人様に、「一緒にやりませんか?」と声をかけておきながら、いざ強くなったら、「日本人にしか品格がわからない」等と言うのは、甚だ無礼な事です。 品格、品格と言いながら、何故、その程度の礼儀すらわからんのか、私は理解に苦しみます。 ですから、問題があれば、きちんと成文化する。 ルールにして、皆が分かり易い形にする。 その上で、世界からあまねく人材を募ると言うのが良いと思います。 かち上げは全く反則ではないし、横綱の品格云々に絡めても何の問題もないと思います。 それが肘打ちかどうかに関しては、プロレスでいうエルボーっぽいのはたまにありますが一場所に1回か2回くらいでしょうか。 それも故意にエルボーを打ちに行っているのではなく、肘を出したら相手の角度などの関係でそう見えてしまった、という感じのものですが。 肘打ちは禁じ手には入ってませんよね。 ただまあグレーゾーンというか、横綱かどうかに関係なく、禁じ手に入っていなくてもやらないほうがいい技はあり、たとえ上記のような結果論であっても、エルボーに見えるようなものはしないほうがいいと考えます。 言い方を変えると、結果としてエルボーが入ってしまったら、禁じ手ではないけど批判されても仕方ないと覚悟しておく必要はある、と思います。
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