月並みですが、まずこの漫画の魅力にとして、物語の面白さが挙げられます。 主に少年少女が絡む事件を扱う本作は、意外な展開の連続で、読者を決して飽きさせません。 原作者の安童夕馬は『金田一少年の事件簿』や『探偵学園Q』などの原作者でもあり、ミステリー物の構成がとても巧み。 ミスリードや細かな伏線をうまく使い、最後には意外な真実を暴き出します。 こう書くとミステリーが苦手な人は敬遠してしまうかもしれませんが、そんな心配もいりません。 なぜなら本作で物語の中心になるのは、トリックや犯罪の動機ではなく、少年たちの心だからです。 彼らがどうして事件を起こしてしまったのか、あるいは巻き込まれてしまったのか。 そのきっかけはさまざまです。 そして大抵がほんのちょっとの気の迷いや環境の影響といった、誰にでも起こりうるものなのでした。 中学生ともなれば、大人顔負けの能力を持つこともあります。 それを悪い方ではなくよい方へと導くことが大事だというのが、おそらく本作のテーマでしょう。 もし犯罪に手を染めてしまってもそこから救い上げる方法はあり、それは周りの人間との関わり合いで得られるものだと作品では語られています。 そこで生きてくるのが、童顔でお人好しの主人公・柴田竹虎のキャラクターです。 彼は上から説教したり強制したりするのではなく、同じ目線でまっすぐ少年たちに向き合い、本当の気持ちを引き出すことで彼らが人生をやり直す手助けをします。 そして、そんな彼に引き寄せられた仲間たちが集まることで、お互いによい影響を与え合っていくのです。 実際に彼のやり方を実践するのは、難しいでしょう。 しかし人との出会いで変われるというのは、普通にあることです。 少年漫画なので意外性やスピード感を重視されている作品ではありますが、テーマはむしろ大人の方が共感できるのではないでしょうか。 漫画『シバトラ』のポイント:鬼神事件(高円寺第八中学校潜入捜査) ストーリーだけでなく作画担当の朝基まさしの絵も、本作の大きな魅力の1つです。 一見してわかると思いますが絵はかなり上手く、この絵が少年事件をリアルに描き出していることは間違いありません。 しかし、朝基の持ち味を語るのに忘れてはいけないのが、彼の描き出すキャラクターの独特の魅力です。 彼がこれまで描いてきた作品の主人公たちは、少なくとも優等生ではありませんでした。 腕っぷしには自信があるけれど勉強はできず、街でダベるような少年たちが多く描かれています。 しかし、彼らは闇雲に暴れて迷惑をかけるわけではなく、むしろ卑怯な奴らや犯罪を許せず、弱い立場の人間を守る側に立ちます。 自分の強さを誇示せず、使う時に使うというカッコよさ。 それをまったく嘘くささなく自然に描くのが、彼は非常にうまいです。 そんな彼だからこそ、若くして犯罪に手を染めつつも更生に転じる少年たちをリアルに描けたといっていいでしょう。 竹虎は彼がこれまで描いてきた主人公とは異なったタイプですが、小柄で迫力に欠ける見た目でありながら、内に秘めた強さがあります。 そういったキャラ付けは、やはり彼の手腕あってのもの。 そして、もちろん竹虎を取り巻く仲間たちもみんな魅力的です! 柴田竹虎(しばた たけとら) 22歳とは思えない童顔で、かつ小柄。 高円寺署の交番勤務の警察官でしたが、念願の少年係に配属されます。 少年たちとまっすぐ向き合い、親友にも呆れられるほどのお人好しですが、物事の真実や人間の本心には敏い面も。 優しいだけでなく剣道の有段者でもあります。 藤木小次郎(ふじき こじろう) ストリートギャング"ヘルター・スケルター"の元リーダーで、現在は足を洗って古着屋の店長。 丸くなってはいますが、生意気な子供にはついキレがち。 竹虎とは長い付き合いの親友で、考え方や性格の違いから的確なアドバイスをすることも多いです。 宝生美月(ほうしょう みづき) 家庭の事情で学校に通いづらくなり、街を徘徊するようになった少女。 命を救われたことから竹虎になつき、押しかけ女房状態で一緒に住んでいます。 年の割に世慣れしていて、鋭い意見を出すことも。 たまに口が悪くなるのもチャームポイント。 楠木裕二(くすのき ゆうじ) 有名進学校の元首席で非常に頭の切れるエリート一家の息子。 万引きで補導されたのをきっかけに高校を退学し、家族との軋轢などもあって街で1人でイタズラ感覚で悪事をはたらくように。 人付き合いは下手ですが、友達想いで恩を大事にします。 武良広海(むら ひろみ) 問題児ぞろいの高円寺第八中学校3年B組の生徒で、有無を言わせずクラスメイトを従えるリーダー的存在でした。 穏やかに見えてイジメなどの悪には徹底した厳しさを見せ、腕も立ち頭も切れるために底知れぬものを感じさせる少年。 町田リカ(まちだ りか) 高円寺第八中学校3年B組の生徒。 転校生としてやってきた竹虎には好意的ですが、歯が溶けていたりキレると狂暴だったりと異常性を垣間見せます。 しかし料理上手で成績もそこそこのしっかりした少女。 彼女の過去はけなげで泣けます! 漫画『シバトラ』のポイント:キャラクターの魅力満載の「過去編」 個人的な感想を言うならば、連載の最終回は残念で仕方なかったですが、読み返すとやはり 「面白い!」。 物語そのものにスピード感があって、読み始めると止まらなくなります。 そして、毎回同じところで感動してしまうのです。 少年事件という時事ネタを扱っていながら、まったく古びないのが素晴らしいところでしょう。 また単行本では加筆がされていて、連載の最終回よりは救いのあるラストになっています。 さらに竹虎の過去編も収録されているので、連載しか読んでいない方はぜひ単行本を読んでみることをおすすめします。 少年漫画ですが、むしろ大人にこそ読んでほしい作品『シバトラ』。 子供への接し方に考えさせられるし、竹虎のようにとはいかなくても、何らかのヒントは得られるのではないでしょうか。 また、ただ感動したい!ハラハラしたい!という方にもおすすめです。
次のシバトラのあらすじ・作品解説 シバトラは週刊少年マガジンに掲載された漫画で、原作は安童夕馬、作画は朝基まさしによる作品である。 主人公の柴田竹虎は高円寺署に務める刑事で、生活安全課少年係に所属している。 中学生に間違われるほどの童顔でありながら剣道の達人で、人一倍強い正義感を持つ青年である。 ストーリーは、竹虎が犯罪を犯してしまったり、巻き込まれてしまった少年少女達を救うべく奮闘するという、少年犯罪をテーマにしたものである。 また、竹虎には警察関係者の他にも、ストリートギャングの元リーダーである藤木小次郎や、虐待されながらも父親を慕う美月、有名進学校のトップにいながらも犯罪を犯して退学になった楠木裕二など個性的な仲間がおり、竹虎に力を貸してくれる。 同作品はドラマ化もされ、2007年7月から9月まで全11回にわたってフジテレビにて放送された。 主演の柴田竹虎は小池撤平が演じた。 竹虎の過去が漫画の設定とは違うところがある等、一部内容がドラマオリジナルとなっている。 シバトラの評価 総合評価 4. 50 4. 50 1件 社会に対するメッセージ性あり 自分はこういうタイプの漫画はあまり好みではありません。 事件というか警察がメインの漫画でここまでのめりこめたのはシバトラだけです。 主人公が中学生にしか見えない童顔の刑事柴田竹虎は周りの人を惹きつける魅力があるのでしょうか。 過激な犯罪シーンや暴力的なシーンは怖くなる部分もありましたが、スラスラと読める作品だと思います。 加害者の少年たちがメインに扱われているので、もう少し被害者の人たちのことも描いてほしかったです。 今の日本で竹虎のように真剣に少年犯罪に向き合って解決しようと奮闘している刑事さんはいるのでしょうか。 漫画のことなのに、ついつい現実と照らし合わせて考えてしまいます。 いろいろな人に読んで欲しいです。
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