解説 大学の応援団を舞台に喧嘩にはめっぽう強いが女にはまるっきりだらしがない親衛隊隊長を主人公にしたナンセンス喜劇。 原作はどおくまんプロの同名劇画。 脚本は「「妻たちの午後は」より 官能の檻」の田中陽造、監督は「淫絶未亡人」の曽根中生、撮影は「あるコールガールの証言 露出」の山崎善弘がそれぞれ担当。 1976年製作/99分/日本 配給:日活 ストーリー 南河内大学応援団親衛隊に新たに加わった富山と北口の二人は、事もあろうに応援団の命とも言うべき大団旗をタバコの火で焦がして穴を開けてしまった。 そのため隊長の青田赤道は、責任をとって腹を切らなくてはならなくなったが、責任回避の一計を案じた。 現在紛争中の浪華大応援団を相手に大乱闘を引き起こし、その乱闘で破れたことにしたのだった。 いつも弱い南河大野球部が珍らしく決勝まで勝ち進んだために、応援団としては本職の応援をしなければならなくなった。 だが、試合中の旗手を勤める青田がやくざとの喧嘩で停学中のため、富山が大団旗を持つことになった。 試合がたとえ何時間にも及ぼうともだ。 毎年、南河大陸上部が出場する駅伝は、各中継地点で大団旗を掲揚して、自校のランナーを応援するために、応援団はトラックに大団旗を運んでランナーより先行するのだが、幹部連中は青田を困らせようとトラックを使えなくしてしまった。 そこで、青田以下親衛隊は、大団旗と太鼓をかかえて、走り出すのだった……。 ネタバレ! クリックして本文を読む 単行本まで持っていたのに、高校のとき没収されてしまった。 特異なキャラである青田赤道なんて最高だったのに・・・公開当時劇場にて・・・ チョンワチャンワ、チャンチャコリン、ねんのねん・・・・なぜだか今でも使ってしまう青田の口癖。 映画ではイメージとは違うちょっと弱々しい感じで残念だったけど、1回生の富山と北口が漫画とそっくりな雰囲気でよかった。 4回生の先輩たちもなかなかいいキャスティング。 ストーリーは浪花大応援団とのケンカと団旗の処理。 野球部の応援において富山の旗持ち、2回生小林の悲惨な姿。 終盤になると、富山とハツエ(水原ゆう紀)との恋、そして青田の父親の妾であった新子(宮下順子)との恋が描かれている。 この終盤だけがオリジナル脚本ぽいけど、ほとんどが漫画のエピソードそのままを盛り込んだだけ。 これだけ詰め込んだのなら、もうちょっとまとまりのある脚本が欲しいところだ。
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どおくまん作品を紹介するシリーズ、第2回は「嗚呼!! 花の応援団」。 南河内大学の応援団を舞台に、団員たちがあれやこれやを繰り広げる、1話完結のギャグマンガです。 リアルタイムでどおくまんに触れてきた読者にとっては、これこそがどおくまんの大ヒット作であり、代表作であり、「ザッツ・どおくまん」というべき作品だろうと思います。 1970年代に連載されていたマンガなので、大ヒットしたといってもピンとこない人も多いと思いますが、マンガのヒットを受けて映画化された……といえば、ヒット感が少しは伝わるでしょうか。 映画は『嗚呼!! 花の応援団』(1976年8月公開)、『嗚呼!! 花の応援団 役者やのォー』(1976年12月公開)『嗚呼!! 花の応援団 男涙の親衛隊』(1977年3月公開)の三部作が制作されたのですが、なんと8カ月の間に立て続けに公開され、第1作はその年の邦画配給収入ランキングの第8位になったというから、そのヒットぶりたるや相当のものだったのだろうと。 もっと後の年代でいうと「ビーバップハイスクール」みたいな? もっともっと後の年代でいうと「クローズ」みたいな? とはいえ自分は前回の「暴力大将」、つまり「ストーリーマンガのどおくまん」から入ったクチなので、「どおくまんといえば花の応援団」という風潮に抵抗を感じていました。 そもそもストーリーマンガに比べてギャグマンガって風化が早そうなイメージがあって、そこへいくと「花の応援団」なんて40年以上前のギャグマンガだから、いま読んでも全然通じないんじゃないかと。 でもね。 読んでみると、やっぱり「どおくまん」なんですよ。 ぶっちゃけ、いま読むとしんどい表現も多い。 Wikipediaに「暴力、下ネタ、スカトロネタなども極めて多いお下劣ギャグ漫画」と書かれていますが、まさにその通りで、ゴリゴリの男性優位目線だし、現代のマンガの掲載基準だとアウトな部分も多い。 それは確かにそう。 それでもなお、「花の応援団」はすごいマンガだと推薦したい。 今から丁寧にその理由を説明していきますね。 かなり派手な下ネタ、お下劣表現も出てきますので、そのへん苦手な方はくれぐれもご注意を。 最初にガツンと言っておきたい。 この作品でどおくまんは、いろいろなマンガ表現の「発明」をしています。 「BSマンガ夜話」で「花の応援団」を取り上げた回を見たら、「(表現技法について)どおくまんは自分の価値観を読者に押し付ける」なんて言ってたけど、いやいやそれは違うだろと。 マンガの歴史って、「表現文法の開発の歴史」でもあって、先達たちがいろんな表現技法を開発し、それが受け継がれ洗練されてきたからこそ、今日のマンガの繁栄があると思うんですよ。 で、そういう視点で見ると、どおくまん作品、特にこの「花の応援団」は目を見張る表現がめちゃくちゃ多い。 たとえば、この「バキバキ バキンチョ」という擬音。 言葉で説明しにくいんだけど、「バキバキバキ」じゃなくて「バキバキ バキンチョ」のほうが、「擬音に余韻がある」というか、「破壊音なのにギャグ感がある」という気がしませんか? どおくまんは、既存の擬音表現に依存せず、自分の生理感覚をなるべく忠実に擬音で表現しようとしているように思うんですよね。 ちなみにこの怪物みたいな男が、「花の応援団」の中心キャラクターである青田赤道(あおた・あかみち)です。 麺の食感を表すほうじゃなくて、チンポをしごく表現としての「しこしこ」は、個人的に使っていた人はいるかもしれませんが、メディアとして大々的に使用したのは、どおくまんが最初だと思われます(先行事例があったら教えてほしい)。 さらに。 びっくりしたときの擬音「がびーん」を発明したのもどおくまん。 これは本人が明言しています。 どおくまんの「がびーん」は、だいたいこの「とぐろを巻く目と舌」とセットで使われるわけですが。 それと、マンガというよりもこれは文章における慣用句ですが、「目が点になる」という表現がありますよね。 このルーツもどおくまんのマンガである可能性が高い(辞書をひくと、マンガ表現から来た表現であると書かれている)。 こういうやつ。 どおくまんのマンガ、特にこの「花の応援団」には、どおくまんが発明したであろう表現が次々に登場します。 まあ普通にギャグマンガとしてたのしめばよいのですが、マンガ史的にも重要な意味がある作品だよ、というのは言っておきたかった。 なぜどおくまん作品には、オリジナル表現が多いのか。 「才能」という言葉で説明することもできるのですが、おそらくそれはどおくまんが誰のアシスタントにもつかず、独学でゼロからマンガを描いていったことが大きく関係しているように思います。 擬音についてもう一つ触れておきたいのは、その字体のこと。 どおくまんの擬音って、ちょっと土着的な感じのする字体で書かれているじゃないですか。 それが表現として功を奏している箇所がけっこうあるんですよ。 この「あらえっさっさー」。 言葉そのものはすでにあるものですけど、この字体で書かれることで、ものすごく「あらえっさっさー感」が出ている。 「あらえっさっさーのグルーヴを感じる」といってもいい。 僕は「あらえっさっさー」のメロディをすでに知っているからそう言えるだけかもしれませんが、「あらえっさっさー」を実際に音として聞いたことない人がこの表現を見たら、脳内でどう再生されるんだろう。 すごく気になる。 土着的な字体が効果的に使われている場面を、もう一つ紹介したいと思います。 先に場面説明を。 真面目に練習に取り組むタイプだった応援団一回生の中島が、先輩の顔に泥を塗るようなことをしでかしたまま、行方をくらまします。 しばらく経ってから、中島はトラックに乗って大学に現れ、退部届を提出。 彼に恨みのある四回生は、その場で中島をリンチします。 ところが同じ一回生の仲間から、中島が行方をくらましたのは「実家の運送業がピンチになり、それを助けるためだった」と明かされます。 理由を聞いてもなおリンチしようとする四回生を、青田赤道が逆にボコボコにし、彼を送り出してあげる場面。 なぜだか、このシーンを見て泣いてしまうんですよ。 ドラマとしてもいいんですけど、やっぱりこの「フレーー フレーー なかじまーー」の字体に、「一回生たちの祈り」みたいなのがこもってる気がするんですよね。 きれいな字体だったら、はたしてここまでの感動はあっただろうか。 思い出しましたが、「ナニワ金融道」で借金まみれになった三宮損得教頭が、小学生たちと最後に「ギンギンギラギラ夕陽が沈む」と歌うシーンがあるじゃないですか。 あのシーンも妙に心に刺さっているのですが、これもまた土着的な字体が余韻を出している例の一つだと思います。 まだまだいきますよ! 「花の応援団」が先駆的だったなと思うのは、関西弁の言い回しをバンバン出してるところ。 連載がスタートしたのは1975年10月。 今でこそ、テレビで関西弁を聞くのは当たり前になってますけど、当時ってテレビで関西弁が出て来ることはまだ非常に珍しかったと思うんですよ。 基本、標準語で、しかもいまテレビで使われているものよりも、もっと丁寧な標準語。 その時代に、関西弁、しかも「おめこ」とかの生々しい表現を使ったのって、たぶん「花の応援団」が最初なんじゃないか。 ここまで書いて、「あ、『じゃりン子チエ』があった」と思ったのですが、こちらの連載開始は1978年10月。 「花の応援団」のほうが3年早い。 ちなみに掲載されていたのは同じ「漫画アクション」でした。 漫画アクションすげーな。。 この「いね」という言葉なんて、関西弁が全国発信されるようになった現在でも、関西以外ではほとんど使わないのに、40年前から堂々と使っているのがすごい。 ところで。 どおくまんのマンガ、特に「花の応援団」については「絵がヘタクソ」と言われがちです。 でもそれはちょっと違うように感じています。 確かにキャラクターは荒々しいタッチで描かれている。 でも、これは推測なのですが、どおくまんのキャラクターは、写実的であることよりも「キャラの迫力」「躍動感」「線が走っている感じ」を優先させて描いている結果、そういうことになっていると思うんですよね。 その一つの証拠として、キャラ以外の部分はむしろ他のマンガよりも丁寧に描かれている。 前回の「暴力大将」でも似たようなことを言いましたが、「花の応援団」でもびっしり細かく描き込んでいるのは同様で、 1秒も見られないであろうコマなのに、アミカケでしっかり店名の看板を描いているし、 青田赤道が悪夢を見たときの場面もこんな感じですよ。 絵の圧が強すぎて、リアルに怖い。 「伝えたいことをどう表現するか」についても妥協しないし、「1ページにかける手間暇」についても妥協しない。 それがどおくまん作品のクオリティを下支えしているのだと思います。 なんか表現がどうのこうのみたいな話をしすぎたかもしれない。 なんやかや言っても、「花の応援団」はギャグマンガ。 ナンセンスの強度が高い表現も、たくさん出てきます。 むしろそれがメインなんですけど。 その代表格が、体力も性欲も野獣並みの青田赤道が放つ謎のフレーズ「ちょんわちょんわ」。 「ちょんわちょんわ」についてはインパクトが強すぎる場面がありすぎるのですが、とりあえずこれを。 最後の見開き、Tシャツにしたいインパクト。 これは好きな「ちょんわちょんわ」の一つではありますが、こういうのが頻繁に、本当に頻繁に出てきます。 ほかにも、 「あまりにも強烈すぎて紹介するのがためらわれるキャラ【みすず】は、『ダウンタウンのごっつええ感じ』のコント『みすずちゃん』の元ネタなのでは?」 とか、 「スクリーントーンを使わない作風だけでなく、作中に出てくる飲食店の名前がことごとく下品なことは、『ナニワ金融道』の青木雄二に多大な影響を与えた?」 とか、 いろいろ言いたいことはあるのですが、いろいろ言いすぎるとマンガを読む楽しみが削がれるかもしれないので、あとは実際にコミックスを読んでいただきたい。 と言いつつ、最後にこれだけ。 ギャグマンガの「花の応援団」には、たびたびギャグとは関係ない、哀愁ただよう話や人情話が登場します。 さっき出てきた「フレーー フレーー なかじまーー」の回もそうなのですが、その路線の中でも特に名作なのが、10巻に収録されている「一人ぼっちの応援団」。 南河内大学応援団ではなく、まったく別の大学の、一人しかいない応援団員にスポットをあてた物語です。 通常、1話20ページちょっとなのに、この「一人ぼっちの応援団」は1話分で87ページもある大作。 当時どのような形態で雑誌に掲載されたのか、いまとなっては知る由もありませんが、作者としても相当力を込めて描いた作品なのではないでしょうか。 クライマックスの見開き大ゴマが本当に素晴らしい。 「花の応援団」に興味を持った人はもちろん、下品なギャグについていけないという人もぜひ読んでほしい回です。
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解説 空前のブームとなった『嗚呼!!花の応援団』ブーム。 何を勉強しに来ているのかと思えば、「男を磨くため」という悲壮美に憧れた新入団員。 そして威張るだけが能の幹部連中と役者が全員そろっての笑いと涙の抱腹絶倒、応援団哀歌。 主役は全国2016人の応募者の中から選ばれた、会社員の今井均。 原作に負けない青田赤道役を演じる。 応援団では俗に一回生はゴミ、二回生は奴隷、三回生は人間そして四回生は神様と言われ、たった一学年違うだけで雲泥の差がある。 そんな南河内大学応援団の親衛隊に新たに加わった富山と北口。 応援団の命である大団旗を虫干ししている最中にタバコで焦がして穴を開けてしまった。 そのため、隊長である青田赤道は腹を切って詫びを入れるはめになったが、到底死にきれる訳がない。 そこで、一計を案じ、紛争中の浪華大応援団を相方に、大団旗をおっ立てての大乱闘の末、青田の凄まじい活躍で勝利を収め、その落とし前として、その乱闘で破れたことにして、大団旗を新調させる・・・。
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