物体の表面で感染力を維持 米国立衛生研究所(NIH)、プリンストン大学、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)の研究チームが3月半ばに発表した査読前論文によると、新型コロナウイルスは数時間あるいは数日間にもわたって、物体の表面で生存する可能性があるという。 研究室でさまざまな素材に新型コロナウイルスを付着させて実験した結果、このウイルスは物体の表面でかなり長い間、感染力を維持することがわかったのだ。 新型コロナウイルスは、段ボールの表面では最長24時間、プラスティックやステンレスの表面では最長2〜3日ほど生存していた。 また、空気中に漂う小さな粒子に付着したエアロゾルの状態でも、最長3時間は生存していた。 これらの結果は、いずれも2000年代初めにSARS(重症急性呼吸器症候群)のアウトブレイク(集団感染)を引き起こしたコロナウイルスの生存期間とおおむね一致すると、研究者たちは指摘している。 また研究者たちは、新型コロナウイルスが空気中に漂うエアロゾルの状態で、どのくらい長く生存できるか実験したものの、感染者の周辺に漂う空気を実際に採取して調べたわけではなかった。 研究者たちは新型コロナウイルスを液体噴霧器に注入したのち、回転ドラムの中に噴霧し、ウイルスを含むエアロゾルが空気中に漂っている状態を維持した。 それからドラム内の空気中でウイルスが生存できる時間を調べたのである。 このような条件下で新型コロナウイルスが3時間生存したという事実は、このウイルスが「空気中に漂っていた」ことを意味するものではない。 つまり、「新型コロナウイルスは空気中に長時間漂っているので、感染者と空間を共有するだけでウイルスに感染してしまう」ということにはならない。 「この実験結果は新型コロナウイルスがエアロゾル感染するという根拠にはなりません」と、NIHの研究者で今回の論文の共著者でもあるネールチェ・ファン・ドレマレンは、Twitterで注意を呼びかけている。 感染経路は明確に区分すべきでない また、細かい粒子で空気中をしばらく漂っているエアロゾルと、それよりも大きい粒子でエアロゾルよりすぐに落下しやすい「飛沫」とでは、違いがある。 新型コロナウイルスの感染者がせきやくしゃみをすると、たいていは液体の飛沫を介してウイルスが拡散する。 研究結果では、ウイルスが空気中で感染力を維持していることが示されているが、これまでのところウイルスの感染者が飛沫よりエアロゾルを大量に拡散している証拠はない。 ハーヴァード大学公衆衛生大学院教授のジョセフ・アレンは今回の論文のデータについて、新鮮な空気の流れを確保し、換気をよくするといった空気感染を防ぐために効果的な予防措置をとるべきという説を裏付けると言う。 アレンは今回の論文には携わっていない。 アレンは新型コロナウイルスの感染経路について、明確に区分せず連続した状態として捉えるべきであり、飛沫とエアロゾルの違いはあまり明確ではないと指摘する。 「わたしたちは感染経路の厳格な違いの解明を待たずに行動すべきです。 包括的なアプローチをとるべきなのです」と、アレンは語る。 「媒介物」による感染が実際どのくらい発生しているのか明確に説明することも、いまだ困難だ。 ここでいう媒介物とは、病原菌が付着したのち他者の手に渡る物体を示す用語である。 安全策を継続すべき根拠になる だが、こうした点は、感染予防のための安全策を継続すべきであるという見解を補強する根拠になる。 米疾病管理予防センター(CDC)の職員は、新型コロナウイルスのヒトからヒトへの感染においては、このウイルスに汚染されている物体の表面は飛沫ほど重要な媒介物ではないと説明している。 一方で、CDCは依然として徹底した消毒作業を勧めている。 多くの人々にウイルスを拡散してしまう感染者「スーパー・スプレッダー」の感染と院内感染において、SARSの場合は媒介物とエアロゾルがともに感染拡大の役割を果たしたと考えられることも、研究者たちは指摘している。 関連記事: プリンストン大学の研究者で今回の論文の共著者でもあるディラン・モリスによると、SARSやMERS(中東呼吸器症候群)を引き起こすウイルスより速く伝播する新型コロナウイルスの急速な感染拡大は、従来にない力学の働きを意味するという。 数々の論文が示唆するのは、感染初期における大量のウイルス排出である。 そのあいだ人々は、自宅待機を警告されるほど重篤な症状が現れるまで、通常通りの生活を過ごしがちだ。 水洗トイレの水からウイルスが拡散? 今回の論文に携わった研究者たちは、今度は気温や湿度といった環境条件がウイルスの生存能力にどう影響するのか調べる計画を立てている。 現実の世界におけるウイルスの伝播についてよりよく理解すると同時に、新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスのように、暑い夏の間はまん延の速度が遅くなるのかを突き止めたいとも考えている。 その他の研究者も、この種の問題に取り組もうとしている。 中国の武漢を拠点とする研究者たちは、武漢市内の病院と周辺地域から収集したエアロゾルを調べたデータについて、もうひとつの査読前論文として3月半ばに発表した。 このデータによると、調査した場所の大部分で、空気は新型コロナウイルスに汚染されていなかった。 研究者たちが調査した病院の集中治療室(ICU)のような場所では、新型コロナウイルスはほぼ検出されなかった。 しかし、医師や看護師が頻繁に防護服を脱いでいた職員用エリアや患者用の移動式トイレといった複数の場所では、新型コロナウイルスが密集した状態で検出された。 研究者たちは、シンガポールの国立感染症センター(NCID)の研究者グループがシンガポール国内の病院に入院中の「COVID-19」の複数の患者を対象に実施した小規模な調査の所見にも言及している。 この調査では、患者たちの大便の検体に新型コロナウイルスの排出が大量に確認された。 ただ、空気中には新型コロナウイルスが確認されなかった。 このため武漢の研究者たちは、調査対象としていた中国の病院では、水洗トイレの水が新型コロナウイルスを含んだ粒子を空気中に拡散した可能性があると考えるのが妥当だと主張している。
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コロナウイルスの感染経路は主に、「飛沫感染」、「接触感染」と言われていますが、厚労省は、集団感染の共通点の一つに「換気が悪い」ことを挙げています。 新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために 集団感染の共通点は、特に、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」です。 換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることを避けてください。 「飛沫感染」と「換気」の関係性が理解できずにモヤモヤしていたのですが、下記の情報発信がありました。 この情報を起点に、換気の必要性や飛沫感染の仕組みについて整理してみます。 Photo by on 空気感染しないのになぜ換気が必要か? 上記の記事から引用すると、こうです。 集団感染が起こっているライブハウスやスポーツジムなどの換気の悪い閉鎖空間では、飛沫が短時間、空気中に漂うことがある。 「飛沫がふわふわと舞っている状況では、マスクと顔の隙間からウイルスが侵入するなど、せきやくしゃみで飛んだしぶきよりも多くの人が感染しやすい」という。 飛沫って、ふわふわ舞うんですね... 飛沫は空気中を舞うのか?漂うのか? ここではまず、「飛沫」と「飛沫核」の違いを知る必要があります。 飛沫とは? droplet• 咳、くしゃみ、会話によって飛散する唾液• 移動距離 1〜2m以下• 飛沫が乾燥して小さくなったり、もともと小さい粒子• 長く浮遊(2m以上、場合のよっては10m以上)• 飛沫核感染(空気感染)する主な病原体: はしか、水痘、結核 参考情報 スポンサーリンク 一般的な情報から得られる結論は、「飛沫は1〜2m飛ぶが、空気中を舞わない、漂わない」、「飛沫核は空気中を舞う、漂う」。 お気づきでしょうか... Photo by on コロナウイルスが空気感染しない理由 行ったり来たりしてしまうのですが、コロナウイルスは空気感染しないと言われています。 仮に空気感染していたら、現状よりも爆発的に感染が拡大していると考えられます。 とりあえず飛沫が乾燥して、飛沫核になると、感染力が無くなるか、極めて弱くなるとの仮説を置きます。 エアロゾル感染 ここで、登場させたくは無かった「エアロゾル感染」に触れます。 日本エアロゾル学会(そんなのあるんかい)は、「エアロゾル」を以下のように定義しているそうです。 「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子をエアロゾル(aerosol)といいます。 エアロゾルは,その生成過程の違いから粉じん(dust)とかフューム(fume)、ミスト(mist)、ばいじん(smokedust)などと呼ばれ、また気象学的には、視程や色の違いなどから、霧(fog )、もや(mist )、煙霧(haze )、スモッグ(smog )などと呼ばれることもあります。 エアロゾル粒子の性状は、粒径や化学組成、形状、光学的・電気的特性など多くの因子によって表され、きわめて複雑です。 (中略)例えば粒径についていえば、分子やイオンとほぼ等しい0. うーん。 飛沫も飛沫核も範囲内にいます。 エアロゾル感染、エアロゾルの情報はあまり参考になりません。 スポンサーリンク 飛沫による空気感染? まず、「飛沫核」の定義を、大きさでなく、その成り立ちの観点で考えて、飛沫が乾燥したものと定義します。 飛沫が乾燥した「飛沫核」は、感染力を持っていないと考えます。 今度は飛沫核を大きさの観点から確認すると、「飛沫核」は(小さいので)空気中を舞います(漂います)。 ここで、空気中を舞うか、舞わないかは、その大きさ(重さ)によって決まると考えます。 先ほど挙げた、"飛沫と飛沫核のハーフ"は舞うことができそうです。 そう考えると、空気中を舞っている(漂っている)小さな飛沫、または"ハーフ"が存在している可能性があり、それはやはり飛沫なので、一定の感染力を持っている可能性があります。 即ち、小さな飛沫は、いわゆる空気感染のような状況を引き起こすことが推測されます。 但し、空気感染が(多く)発生していない現状を鑑みると、小さな飛沫の感染力は弱いか、小さな飛沫(舞うことができる飛沫)自体が多くなさそうです。 ちなみに、インフルエンザにおける空気感染のリスクを説明する記事を発見しましたので参考までに紹介します。 呼吸(呼気)から感染するという、ちょっと怖い内容です。 換気が悪い環境でコロナウイルスに感染する理由 元の話に戻ります。 先ほどの結論から、小さな飛沫は、空気中を舞う(漂う)ことが想定されます。 その場合、換気の悪い環境においては、空気中を漂っている飛沫が空間に留まることになるので、感染のリスクが高まります。 よって、コロナウイルスの感染を防ぐためには、部屋の換気が必要であるという結論に至ります。 今ようやく、厚労省の発信に意味があることに自分なりに納得しました。 「ちゃんと理由を説明してよ!」 最後に、 いわゆる空気感染と思われる状況は発生していないので、「空気中にコロナウィルスが舞っている」と恐れることは極めて過剰な反応で、仮に舞っていたとしても、その感染力は弱いと推察します。 スポンサーリンク.
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(最終更新日:2020年5月18日) 新型コロナウイルスの全貌はまだ明らかになっていませんが、新型コロナウイルスが空気感染するという話を聞いたことはありませんか。 しかし、日々膨大な量の情報が発表されているため、 新型コロナウイルスによる空気感染が本当かどうか分からず不安な方もいるでしょう。 今回はそんな方のために新型コロナウイルスの空気感染に関する研究と研究結果が誤認された背景、換気が推奨されている理由などを解説していきます。 この記事を読むことで 現時点で立証されている感染経路の理解が深まるので、ぜひ参考にしてください。 今後の研究結果やデータによって内容が変わるおそれがありますので、ご注意ください。 現時点では新型コロナウイルスによる空気感染は確認されてない NIH(アメリカ国立衛生研究所)などの研究グループが2020年3月17日に「」で新型コロナウイルスがエアロゾルで最大3時間生存することが判明したと発表。 実際に新型コロナウイルス感染者周辺の空気を調査した実験ではありませんでしたが、これらがもとになって新型コロナウイルスが空気感染するという誤った認識が主にSNSなどで拡散されたのです。 日本エアロゾル学会が発表する「」によれば、エアロゾルは以下のように定義されています。 【 エアロゾル】 気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体(0. 論文などによっては新型コロナウイルスのエアロゾルを吸引・感染した状態をエアロゾル感染と呼称している可能性はありますが、日本呼吸器学会が発表する「」によれば、 そもそもエアロゾル感染に関しては世界的に定義が統一されていないのが現状です。 また現時点では新型コロナウイルスによるエアロゾル感染・空気感染は確認されておらず、前述したNIH(アメリカ国立衛生研究所)が2020年3月24日に発表した「」によれば、 あくまでも新型コロナウイルスによる空気感染の可能性を示唆しているのみであり、空気感染がどの程度、起こる可能性があるのかは研究が進んでいないとしています。 新型コロナウイルスの2種類の感染経路 次に現時点(本記事公開時点)で立証されている新型コロナウイルスの感染経路を解説していきます。 対策をとる上でどれも重要な内容となるため、ぜひ読み進めてください。 飛沫感染 飛沫感染とは、新型コロナウイルス感染者による咳やくしゃみによって周囲に飛び散った飛沫(ウイルスを含んだ粒子)を口や鼻から吸い込んで感染することです。 現時点では、飛沫の最大飛距離は約2メートルであり、それ以上離れていれば感染しないと考えられています。 接触感染 接触感染とは、新型コロナウイルス感染者の飛沫に手で接触した状態で目・鼻・口などの粘膜に触れると感染することです。 ドアノブやエレベーターの押しボタン、電車のつり革など不特定多数の方が触れる場所には十分に注意し、粘膜に触れる前に手洗いなどをすることが有効と考えられています。 定期的な換気が推奨される理由 厚生労働省が発表する「」によれば、以下3つの条件を満たす場所で集団感染が確認されているようです。 換気が悪い空間(密閉空間)• 人が密集している(密集場所)• 近距離で会話や発生が行われる(密接場所) 政府はこの3つの条件を合わせて「3つの密」と呼んでおり、この条件の場所を避けるように推奨しています。 その一環として定期的に換気するように呼びかけていますが、厚生労働省が発表する『』で言及されているとおり、 現時点では換気だけで感染を確実に予防できると明らかになっているわけではありません。 そのため、定期的な換気を行いつつ、手洗いなどその他の新型コロナウイルス対策も徹底しましょう。 現時点で有効とされる新型コロナウイルス対策3選 次に現時点で有効だと考えられている新型コロナウイルス対策を紹介していきます。 ぜひ参考にしてください。 手洗い・アルコール消毒 日本ウイルス学会が発表する「」によれば、 今回の新型コロナウイルスはアルコールや手洗いなどに弱いエンベロープウイルスに該当するとされています。 そのため、新型コロナウイルスの接触感染を防ぐために手洗いやアルコール消毒を徹底的に行いましょう。 厚生労働省の「」によると、 ハンドソープを使って10秒または30秒のもみ洗いをして、15秒すすいだ場合、手洗いなし(残存ウイルス数:約1,000,000個)と比較してウイルスを数百個まで減少できることが判明しています。 より詳しく新型コロナウイルスに関する消毒方法を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 マスクの着用 新型コロナウイルスに感染しても人によっては症状を自覚できない無症状になる場合があります。 そのため、少しでも体調が悪ければ新型コロナウイルスに感染しているおそれもあるので、万が一に備えてマスクを着用した上で休みましょう。 新型コロナウイルス感染者がマスクを着用することによって周囲への飛沫感染・接触感染のリスクを減少できると考えられています。 またCDC(アメリカ疫病予防管理センター)の「」によれば、 人が密集している場所ではマスクの着用を推奨しています。 ただ、WHO(世界保健機関)の「」でも語られているとおり、健康な方が着用するマスクの予防効果は限定的だと考えられているのが現状です。 マスクの着用だけでなく、手洗いなどその他の対策も怠らないようにしましょう。 ここでは簡易的な説明となりましたが、さらに詳しく新型コロナウイルス対策としてのマスクの予備知識を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 テレワークなどで周囲と距離をとる 新型コロナウイルスによる飛沫感染・接触感染を防ぐために以下4つの対策を行いましょう。 テレワークで在宅勤務する• フレックスで満員電車などによる通勤を控える• オンラインで会議や面談を行う• イベントや外出の自粛 もちろん、運輸など企業によっては業務上テレワークなどを実施できないケースもあります。 その場合は、手洗いやアルコール消毒などその他の対策を徹底すると良いでしょう。 より詳しくテレワークや新型コロナウイルス対策を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 まとめ 今回は新型コロナウイルスの空気感染に関する現状と換気が推奨されている理由などを説明しました。 最後にもう一度おさらいすると本記事の重要なポイントには、次の2点があげられます。 現時点では新型コロナウイルスの空気感染は立証されていない• 現時点で立証されているのは飛沫感染と接触感染の2種類 この記事を参考にして適切な新型コロナウイルス対策を導入しましょう。 NewsDigestのご紹介 現在「」では、「新型コロナウイルス 日本国内の最新感染状況マップ・感染者数」特設ページを公開しています。 全国の感染者数状況をグラフ化して、どのメディアよりも最速でお届けいたします。 さらに 国や自治体、企業からの発表について、公益の観点から 「感染事例が報告された場所の情報」を集約・整理して、地図で確認できるようにしています。 (画像は一部加工しています).
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