建設工事の請負契約は、本来、その契約の当事者の合意によって成立するものですが、合意内容に不明確、不正確な点がある場合、その解釈規範としての民法の請負契約の規定も不十分であるため、後日の紛争の原因ともなりかねません。 また、建設工事の請負契約を締結する当事者間の力関係が一方的であることにより、契約条件が一方にだけ有利に定められてしまいやすいという、いわゆる請負契約の片務性の問題が生じ、建設業の健全な発展と建設工事の施工の適正化を妨げるおそれもあります。 このため、建設業法は、法律自体に請負契約の適正化のための規定(法第3章)をおくとともに、それに加えて、中央建設業審議会(中建審)が当事者間の具体的な権利義務の内容を定める標準請負契約約款を作成し、その実施を当事者に勧告する(法第34条第2項)こととしています。 中建審は、昭和24年発足以来、標準約款に関しては、公共工事用として公共工事標準請負契約約款、民間工事用として民間建設工事標準請負契約約款(甲)及び(乙)並びに下請工事用として建設工事標準下請契約約款を作成し、実施を勧告しています。 この中で、公共工事標準請負契約約款は、国の機関、地方公共団体等のいわゆる公共発注者のみならず、電力、ガス、鉄道、電気通信等の、常時建設工事を発注する民間企業の工事についても用いることができるように作成されたものです。 実際に、公共工事標準請負契約約款は、各省庁等の国の全ての機関、都道府県、政令指定都市、公共法人等に加え、電力会社、ガス会社、JR各社、NTT等の民間企業に対しても、中建審から勧告が行われています。 また、地方公社、市町村等には、都道府県を通じて勧告されています。 上記からダウンロードできるものは訂正版です。 訂正箇所はをご確認ください。 これを踏まえ、中央建設業審議会が作成し、その実施を勧告する建設工事標準請負契約約款についても上記のとおり改正を行いました。 この改正建設工事標準請負契約約款については、改正民法同様令和2年4月1日より施行いたします。
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建設工事請負契約とは 【意味・定義】建設工事とは? 建設工事請負契約は、特に建設業法では定義がありませんが、一般的には、 注文者(委託者)と請負人(受託者)との間で締結される、建設工事の施工に関する請負契約です。 ここでいう「建設工事」は、建設業法に明確に定義づけられていて、29種類あります。 建設業法第2条(定義) 1 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。 (以下省略) 引用元: そして、「別表第一の上欄」とは、次の表の左の列のことです。 建設工事 建設業 土木一式工事 土木工事業 建築一式工事 建築工事業 大工工事 大工工事業 左官工事 左官工事業 とび・土工・コンクリート工事 とび・土工工事業 石工事 石工事業 屋根工事 屋根工事業 電気工事 電気工事業 管工事 管工事業 タイル・れんが・ブロツク工事 タイル・れんが・ブロツク工事業 鋼構造物工事 鋼構造物工事業 鉄筋工事 鉄筋工事業 舗装工事 舗装工事業 しゆんせつ工事 しゆんせつ工事業 板金工事 板金工事業 ガラス工事 ガラス工事業 塗装工事 塗装工事業 防水工事 防水工事業 内装仕上工事 内装仕上工事業 機械器具設置工事 機械器具設置工事業 熱絶縁工事 熱絶縁工事業 電気通信工事 電気通信工事業 造園工事 造園工事業 さく井工事 さく井工事業 建具工事 建具工事業 水道施設工事 水道施設工事業 消防施設工事 消防施設工事業 清掃施設工事 清掃施設工事業 解体工事 解体工事業 引用元: このように、 およそ「工事」と名前がつくものは、建設業法では建設工事に該当します。 これらの詳細につきましては、国土交通省が定める「」をご覧ください。 【意味・定義】建設工事請負契約とは? 請負契約は、民法では、以下のように規定されています。 民法第632条(請負) 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 引用元: 従って、建設工事請負契約の定義は、次のとおりです。 建設業法に規定されている必須記載事項は? 建設業法第19条で書面作成義務が課されている 建設工事の請負契約を結ぶ場合、次のとおり、書面の交付が義務づけられています。 建設業法第19条(建設工事の請負契約の内容) 1 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。 (1)工事内容 (2)請負代金の額 (3)工事着手の時期及び工事完成の時期 (4)請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法 (5)当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め (6)天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め (7)価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。 )の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更 (8)工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め (9)注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め (10)注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期 (11)工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法 (12)工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容 (13)各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金 (14)契約に関する紛争の解決方法 2(以下省略) 引用元: このように、 建設業法では、書面の作成義務に加えて、作成するべき書面の詳細な事項まで規定されています。 建設業法第19条の書面=建設工事請負契約書とする しかも、 単に契約内容を記載した書面を交付すればいいだけではなく、「署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない」となっています。 このため、通常は、この建設業法第19条の「書面」として建設工事請負契約書を作成し、同第1項各号に規定された事項をすべてを契約書に記載します。 ちなみに、この規定では、「建設工事の請負契約の当事者は」となっていますので、注文者(委託者)・請負人(受託者)の双方に義務が課されています。 このため、 建設工事請負契約書を作成しないと、注文者(委託者)・請負人(受託者)の双方が建設業法違反となります。 建設工事のイメージ• 【間違ったイメージ】建設工事はゼネコンが施工しているような大規模な建築工事や土木工事• 【正しいイメージ】建設工事は建設業法第2条第1項・別表第一に規定する29種類の建設工事 建設業法で規定されている29種類に該当する工事は、どんなに小規模であっても、建設業法上は建設工事として扱われます。 【誤解2】「ウチは建設業の許可は取っていない」 建設業の許可がない=小規模な工事=契約書の作成義務はない? 同じく、建設業者のお客さまに建設工事請負契約書の作成義務について話すと、次のような言葉も返ってきます。 「ウチは建設業の許可が必要な工事はやってないんですよ」 これはどういうことかというと、建設工事の中には、建設業の許可が不要なもの(=軽微な工事)もあります。 具体的には、以下のものです。 建設業の許可が不要な軽微な工事• 建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事• 建設業法第19条第1項の主語=建設工事の請負契約の当事者 これもありがちな誤解で、建設業法第19条第1項の主語は、次のとおりです。 建設業法第19条(建設工事の請負契約の内容) 1 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。 (1)(以下省略) 引用元: この点について、建設業の許可を受けて建設業を営む者は建設業法では、「建設業者」とされています()。 建設業法第19条第1項の主語が、「建設業者」となっておらず、「建設工事の請負契約の当事者」となっているということは、建設業の許可の取得の有無に関係なく、建設工事請負契約書の作成義務がある、ということです。 つまり、建設業の許可を取得していなくても、建設工事請負契約書の作成義務はあります。 建設工事請負契約の重要な契約条項• 工事内容• 契約形態• 工事着手の時期および工事完成の時期• 前金払いまたは出来高払いの支払時期・支払方法• 設計変更・工事着手の延期・工事の中止の場合の取扱い• 不可抗力• 物価の変動・変更による請負代金(報酬・料金・委託料)・工事内容の変更• 第三者の損害賠償金の負担• 資材の提供• 機械等の貸与• 検査の時期・方法• 引渡しの時期• 所有権の移転• 請負代金(報酬・料金・委託料)の金額または計算方法• 請負代金(報酬・料金・委託料)の支払の時期• 金銭の支払方法• 瑕疵担保責任• 損害保険• 遅延利息・違約金・その他の損害金• 知的財産権• 再委託・下請負• 秘密保持義務• 契約解除・施工の中止• 紛争解決方法(合意管轄・仲裁) こうしたにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。 (準)委任契約書には収入印紙が必要なのでしょうか?また、必要な場合は、その金額はいくらでしょうか? (準)委任契約書は、原則として、収入印紙を貼る必要... 275,960pv こんにちは。 契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。 このページでは、業務委託契約と民法上の請負契約との関係について解説しています。 241,640pv こんにちは。 契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。 このページでは、請負契約と(準)委任契約の違いについて、わかりやすく解説しています... 234,693pv こんにちは。 契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。 このページでは、業務委託契約書に貼る収入印紙と印紙税について、よくある誤解を紹介し... 231,301pv 契約書の収入印紙や印紙税は、契約当事者のどちらが負担するべきなのでしょうか?また、負担の割合はどうなっているのでしょうか? 原則として、収入印紙・印紙...
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この記事を書いた弁護士 西川 暢春(にしかわ のぶはる)咲くやこの花法律事務所 代表弁護士• 出身地:奈良県。 出身大学:東京大学法学部。 主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。 事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。 ・ 工事がトラブルになったときに自社に有利に解決できるかどうかの鍵を握るのが 「工事請負契約書」です。 様々な標準約款やひな形が公表されていますが、必ずしも工事業者の利益に重点をおいて作成されているわけではありません。 そのため、 よく確認せずに標準約款やひな形を使うと以下のような思わぬ損害をこうむることがあり、危険です。 例1: 工事遅延について高額の違約金が発生してしまう。 例2: 「地中障害物発生の際の除去費用の請求」や、「追加工事発生の際の追加工事代金」の請求が困難になる。 例3: 近隣からのクレームなどにより工事ができずに工期に遅れた場合でも違約金が発生してしまう。 今回は、 工事請負契約書の作成のポイントと標準約款の問題点についてわかりやすく解説します。 また、自社で工事請負契約書の作成が難しい場合に弁護士に依頼して作成してもらう場合の費用等についてもご紹介しています。 それでは見ていきましょう。 また顧問弁護士をお探しの方は、以下を参考にご覧下さい。 この記事を読めばわかること 最初にこの記事を読めばわかることを一覧でご紹介しておきます。 気になる項目は記事内の詳しい解説をご覧下さい。 1,オリジナルの工事請負契約書の作成すべき2つの理由 まず、 結論からいうと、工事請負契約書は、標準約款やひな形に頼るのではなく、自社オリジナルのものを作成することが必要です。 標準約款やひな形は、自社オリジナルの工事請負契約書を作成する際の参考程度と考えていただくのがよいです。 その理由は以下の2点です。 理由1: 標準約款やひな形は個別の工事にぴったり当てはまらない まず、 一般に公開されている標準約款やひな形が必ずしも個別の工事にぴったりくるものではありません。 工事請負契約書といっても、施主と工事業者との契約書もあれば、元請と下請との契約もあるのであり、それぞれ作るべき契約書の内容や注意点が異なります。 また、新築工事なのかリフォーム工事なのかによっても作成すべき契約書の内容が異なります。 実際、標準約款やひな形を読んでみて、自社の工事の内容と合わないのではないかと感じるケースは多いのではないでしょうか? 契約書がトラブル予防の役割を果たすためには、自社の工事内容にぴったり当てはまる契約書を作る必要があります。 理由2: 標準約款は工事業者に有利ではない 自社オリジナルの工事契約書を作成するべきもう1つの理由は、 一般に公開されている標準約款やひな形が必ずしも工事業者側の利益に配慮して作成されているわけではないからです。 例えば、比較的よく使用されている「国土交通省作成の民間建設工事標準請負約款(乙)を見ても、どちらかというと施主側に有利にできていて、工事業者がそのままこれを利用することはおすすめできません。 自社の利益に配慮したオリジナルの契約書を作成しておくことは必須なのです。 2,工事請負契約書の記載事項 一般的な 工事請負契約書の記載事項は次の通りです。 第1条(目的) 契約の目的を記載します。 どちらが発注者でどちらが受注者かが必ずわかるように記載しましょう。 例えば、「乙は、甲に対し、下記の工事を請け負い、これを完成することを約束し、甲は請負代金を支払うことを約束する。 」などと記載します。 第2条(工事の表示) 工事名、工事内容、工事場所、工期、代金額、支払方法、引渡時期について記載します。 例えば以下のように記載します。 第4条(工期の変更) 工事の遅延により工期を変更できる場合について記載します。 工期に遅れた場合工事業者が発注者に対して賠償責任を負うことになりかねないため、工期が遅れるような事情が発生した場合に工期を変更できるようにしておくことは重要です。 第5条(一般の損害) 工事の途中で建物や工事の材料、建設機械などに損害が生じた場合に、発注者、受注者でどのように損害を負担するかについて記載します。 第6条(第三者への損害) 近隣への迷惑、通行人のけがなど、工事によって第三者に損害を与えたときの損害賠償責任を発注者、受注者でどのように分担するかについて記載します。 第7条(近隣への対応) 工事にあたって必要になる近隣への説明や近隣からのクレームの対応について、発注者、受注者でどのように役割分担するかについて記載します。 第8条(検査、引き渡し) 工事完了後の検査、引き渡しの方法について定めます。 第9条(請負代金の支払い) 請負代金支払いの手続きについて定めます。 第10条(違約金) 「工事が遅延した場合に受注者が発注者に支払う違約金」や、「工事代金の支払いが遅れた場合に発注者が受注者に支払う違約金」について定めます。 第11条(瑕疵担保責任) 工事完了、引き渡し後に発見された不具合について、受注者が責任を負う期間や責任の範囲を定めます。 第12条(発注者による契約の解除) 発注者側から契約を解除できる場合について定めます。 解除の場合に契約解除までにした工事の工事代金の支払いをどうするかについても必ず定めておきましょう。 第13条(受注者による契約の解除) 受注者側から契約を解除できる場合について定めます。 第14条(権利義務の譲渡の禁止) 受注者、発注者とも、契約に基づく権利義務を第三者に譲渡することはできないことを定めます。 第15条(協議) 契約書に定めのないことについては協議により解決することを定めます。 第16条(合意管轄) 工事についてトラブルが発生した場合にどこの裁判所で審理するかを定めます。 合意管轄条項については以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご確認ください。 3,工事請負契約書の作成のポイント それでは、 工事請負契約書の作成のポイントについてみていきましょう。 以下のポイントをおさえておいてください。 ポイント1: 工事遅延の場合の違約金は適切に定める。 ポイント2: 工期の延長について適切な規定を設ける。 ポイント3: 追加工事代金を請求しやすい内容にする。 ポイント4: 近隣からのクレームについての対応を定める。 ポイント5: 地中障害物の発見などの場面の対応を定める。 以下ではこの5つのポイントについて詳しくご説明し、あわせて、よく使用されている標準約款の問題点についてもご紹介していきたいと思います。 なお、以下では、民間建設工事標準請負約款(乙)を「標準約款」と呼んでご説明していきます。 (1)注意!標準約款は工事遅延の違約金が高すぎる この点、 標準約款は工事遅延の場合の違約金が高すぎるという問題があります。 標準約款第23条は、工事業者の責任により、完成・引き渡しが遅れたときは、代金全額に対して年14. 6%の違約金を請求できる内容になっています。 つまり、代金1億円の工事が3ヶ月遅れた場合、365万円もの違約金を支払うことになります。 しかし、 法律上は、通常、遅延に対してのペナルティーは年5%または6%で計算することとされており、14. 6%としている標準約款は法律よりも高い違約金を工事業者に課す内容になっています。 標準約款通り、年14. 6%もの違約金を支払うと、工事が遅れれば利益が一気に吹き飛び、場合によっては赤字になる危険がありますので注意が必要です。 (2)違約金は年5%程度が適切 自社でオリジナルの工事請負契約書を作成し、その中で、完成・引き渡しが遅れたときの違約金については法律どおり年5%で計算することを定めておきましょう。 年5%とした場合、代金1億円の工事が3ヶ月遅れた場合の違約金は125万円になり、標準約款の違約金の3分の1程度で済みます。 なお、工事遅延の場合の違約金を定めないという選択肢も一応ありますが、あまりおすすめはできません。 工事が何らかの事情で遅延してしまった場合に、発注者によっては法外な賠償を請求してくるケースもあります。 そのような 賠償トラブルに対応するためにも、あらかじめ契約書で工事遅延の場合の違約金を定めておき、トラブルになったときもあらかじめ決めた違約金の額で解決できるようにしておくことをおすすめします。 5,ポイント2: 工期の延長について適切な規定を設ける ポイントの2つ目として、工事請負契約書を作成する際は、 工期の延長が必要なケースについて適切な規定を設けることが重要です。 具体的には、「天候不順」や「施主側の仕様決定の遅れ」によって、工事が遅延した場合に、工期を遅延したとして違約金を課されることを避けるためにも、工期を延長できる規定を設けておく必要があります。 (1)注意!標準約款では工期の延長が難しい この点、標準約款第21条では、工事業者は「不可抗力によるとき又は正当な理由があるとき」は工期の延長を求めることができるとあります。 そして、その場合の延長日数は「発注者と協議して定める」ことになっています。 しかし、このような約款は、以下の2つの問題があります。 問題点1: まず、 「天候不順」や「施主側の仕様決定の遅れ」などのケースが「不可抗力や正当な理由があるとき」に該当するとして工期の延長が認められるのかどうか、不明であるという問題があります。 場合によってはそれは工事業者のせいだということを言われて、工期延期が認められず、工期に遅れた場合に多額の違約金が発生するということになりかねません。 問題点2: 次に、 標準約款では延長日数について「発注者と協議して定める」ことになっているため、発注者側が延長を承諾しない限り、工期を延長できないという問題もあります。 (2)発注者の承諾がなくても工期を延長できるようにしておく 工事請負契約書を作成する際は、例えば「天候不順により工事ができなかった場合」については、発注者が同意しなくても、工事業者からの通知により自動的に工期が延長される旨を定めておくことをおすすめします。 「受注者は、発注者に通知することにより天候不順により工事ができなかった日数分工期を延長することができる」などと契約条項を定めておけば、発注者が同意しなくても工期の延長が可能です。 同様に、 「施主側の仕様決定の遅れ」により工事が遅れるケースについても対策が必要です。 例えば、「工事業者からの仕様の問い合わせに対して施主が1週間以内に仕様を決定しなかった場合」には、発注者が同意しなくても、工事業者からの通知により自動的に工期が延長される旨を定めておくとよいでしょう。 「受注者は、発注者に通知することにより、仕様を決定するために要した日数のうち1週間を超える日数分について工期を延長することができる」などと契約条項をを定めておけば、発注者が同意しなくても工期の延長が可能になります。 このように、工期を延長できるケースを明確にし、また、発注者の同意がなくても工期を延長できるようにしておくことがポイントです。 6,ポイント3: 追加工事代金を請求しやすい内容にする ポイントの3つ目として、工事請負契約書を作成する際は、 追加工事が発生した場合に追加工事代金を請求しやすい契約書にしておくことが重要です。 (1)注意!標準約款では追加請求できない場合がある この点、標準約款第20条2項では、工事の追加や変更により工事代金を変更する必要があるときは、「発注者と受注者とが協議して定める」となっています。 これでは、協議の結果、受注者が追加代金の請求を承諾しなかった場合は、追加工事代金を請求できないことになりかねません。 (2)発注者の承諾がなくても追加請求できる内容にしておくべき 自社のオリジナルの工事請負契約書を作成する際は、発注者の承諾がなくても追加工事代金を請求できる内容にしておくべきです。 そのためには、以下の点を定めておきましょう。 1,追加工事代金の支払義務についての記載 まず、 工事の追加や変更の場合は、発注者は当然、追加や変更について追加工事代金を支払う義務があることを明記しておきましょう。 2,追加工事代金の決め方についての記載 次に、追加工事代金額の決め方についての契約条項を入れておきましょう。 追加工事代金額については別途追加工事契約書で決めることを原則とするべきですが、実際には発注者側が追加工事契約書の作成に応じない場合もあるでしょう。 そのため、 追加工事契約書が作成されない場合も、追加工事代金が請求できるようにしておくことが必要です。 例えば、「工事業者から追加代金について見積書を送付し、それに対して1週間以内に発注者が異議を述べないときは発注者はその追加代金の支払いを承諾したものとみなす」内容の契約条項を入れておくなどの対応が考えられます。 7,ポイント4: 近隣からのクレームについての対応を定める ポイントの4つ目として、工事請負契約書には、 近隣からのクレームが出て工事を中断しなければならないようなケースの対応を定めておくことが重要です。 (1)注意!標準約款では近隣クレームがあっても工期を延長できない この点、 標準約款では近隣からのクレームによる工事中止の場合も工期は延長できない内容になっています。 標準約款第12条で、施工のために第三者と紛争が生じたときは、受注者がその処理解決をしなければならず、これによって工期は延長されないことを定めているからです。 これでは、施工に対して近隣からクレームが入り工事を中止せざるを得ないようなケースであっても、工期が遅れたことについて、工事業者が違約金を支払うことになりかねません。 (2)近隣クレームの場合は工期を延長できることを明記すべき 自社のオリジナルの工事請負契約書を作成し、以下の点を定めておきましょう。 1,近隣からのクレームへの対応の責任 まず、工事業者に責任のない近隣からのクレームについては、発注者の費用と責任で解決しなければならないことを定めておきましょう。 2,工事中止の場合の工期延長 次に、工事業者に責任のない近隣からのクレームによって工事を中止せざるを得ない場合は、その中止期間の日数分、工期が延長されることを定めておきましょう。 このように、工期の延長について定めて、自社に責任のない近隣からのクレームが原因で工事を中止することになっても工期遅れによる違約金等が発生しないことを明確にしておくことが必要です。 8,ポイント5: 地中障害物の発見などの場面の対応を定める 工事請負契約書作成のポイントの5つ目として、 土壌汚染、地中障害物の発見、埋蔵文化財の発見などによって、当初予定していなかった費用がかかる場合は、その費用を確実に請求できるようにしておきましょう。 (1)注意!標準約款では地中障害物などがあっても追加請求が難しい この点、 標準約款の内容では地中障害物などがあって思わぬ費用がかさんでも追加請求が難しいことが実情です。 つまり、標準約款第9条4項では、土壌汚染、地中障害物の発見、埋蔵文化財の発見などによって請負代金を変更する必要がある場合は、発注者と受注者が協議して定めることになっています(9条4項)。 そのため、発注者が追加費用の請求を承諾しなければ、追加費用を請求できないことにもなりかねません。 (2)承諾がなくても費用が請求できるようにしておくことが重要 工事請負契約書を作成し、土壌汚染、地中障害物の発見、埋蔵文化財の発見などによって、当初予定していなかった費用がかかる場合は、発注者の承諾がなくても費用を請求できるようにしておくことをおすすめします。 具体的には以下の点を盛り込みましょう。 1,追加費用の支払義務についての記載 まず、土壌汚染、地中障害物の発見、埋蔵文化財の発見などによって、当初予定していなかった費用がかかる場合は、その対応に要した費用を支払う義務があることを明記しておきましょう。 2,追加費用の決め方についての記載 次に、 追加費用の額の決め方についての契約条項も設けておきましょう。 追加費用の額については別途追加工事契約書を作成することを原則とするべきですが、発注者が契約書の作成に応じない場合もあるでしょう。 そのため、追加工事契約書が作成されない場合も、追加費用が請求できるようにしておくことが必要です。 例えば、受注者から追加費用について見積書を送付し、それに対して1週間以内に発注者が異議を述べないときは発注者はその追加費用の支払いを承諾したものとみなす内容の契約条項を入れておくなどの対応が考えられます。 9,咲くやこの花法律事務所なら工事請負契約書についてこんなサポートができます。 最後に 咲くやこの花法律事務所における工事請負契約書についてのサポート内容をご説明したいと思います。 咲くやこの花法律事務所におけるサポート内容は以下の通りです。 (1)工事請負契約書の作成のご相談 この記事でもご説明したとおり、 標準約款やひな形を安易に使用した場合、自社の利益を十分に守ることができず、思わぬトラブルに見舞われるおそれがあります。 工事を請け負うときあるいは下請に工事を発注するときは、トラブルを防止できるよう、自社オリジナルの契約書を使用するべきです。 もちろん、自社オリジナルの契約書であればどんなものでも良いというわけではありません。 会社の状況や工事内容などを踏まえて法的なリスクに的確に対処したものであることが重要です。 特に工事請負契約書は、事業の基盤となる重要な契約書ですので、工事請負契約書の作成に精通した弁護士への依頼をおすすめします。 咲くやこの花法律事務所には建設業の顧問先が多数あり、これまでも建築代金の未回収問題や工事現場のトラブル、あるいは瑕疵についてのクレームの事件を多数解決してきました。 その経験から弁護士は建設業界の事情に精通しており、独自のノウハウを集積しています。 ご相談、ご依頼いただければ、会社の状況や工事の内容、性質などを丁寧に伺ったうえで、契約書作成の経験豊富な弁護士が業界の実情も踏まえた最適なオリジナル契約書を作成します。 ぜひご相談ください。 発注者から工事請負契約書が提示された場合に、工事業者が何のリーガルチェックもなく、工事請負契約書を交わしていると、自社に不利益な内容の契約書にサインしてしまい、後日、大きな損害につながる危険があります。 咲くやこの花法律事務所には建設業の顧問先が多数あり、これまでも工事請負契約書のリーガルチェックを数多くご依頼いただいてきました。 咲くやこの花法律事務所にご相談、ご依頼いただければ、会社の状況や工事の内容、性質などを丁寧に伺ったうえで、契約書に不利な点、付け加えるべき点がないか十分なリーガルチェックを行います。 また、今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。 11,工事請負契約書についてお役立ち情報も配信中!無料メルマガ登録について 12,工事請負契約書に関連するその他のお役立ち情報 今回の記事では、「工事請負契約書の作成ポイントを解説し、その中で標準約款や雛形の安易な利用は危険であること」についてご説明しました。 また以下では、工事請負契約書に関連するようなお役立ち情報をまとめておきますので、合わせてご覧下さい。 さらに、この記事でご説明した工事請負契約書のほかにも、下請業者との契約書、自社で雇用する従業員との雇用契約書、就業規則を常に整備し、万が一のトラブルにあたり、万全の対応ができるようにしておくことも非常に重要です。 日ごろの小さなトラブルのご相談や、万が一に備えて日ごろから進めるべき契約書の整備については、いつでも気軽に相談できる咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスのご利用が便利です。 顧問弁護士サービスについては以下も参考にご覧下さい。
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