マトリックスともいう。 すなわち,要素の横の並びを行 row,縦の並びを列 columnという。 この行列 A を簡単に a ij i=1,2,…, m; j=1,2,…, n と書く。 線形写像 を,ベクトルでまとめて さらには y= A x と書くのに用い,それに合せて和や積を定義する。 a ij をこの行列の ij 要素という。 特に m= n の場合を n 次の行 という。 2つの行列の和とに関して,およびの法則は成り立つが,交換の法則は和については成り立ち,積については成り立たない。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について の解説 マトリクスとも。 m=nならば(n次の)正方行列という。 特別な場合以外はABはBAに等しくない。 この型の行列の全体をMと記すことにする。 たとえば、すべてのa ijがゼロである行列はMの元であるが、とくに零行列とよばれてOと表される。 AとBとの和A+Bを成分ごとの和 で定義する。 するとMはこの演算で閉じており、加群をなすことが、ごく簡単に示される。 単位元はOである。 次にcを数(スカラー)とし、cとAとの積cAを i, j 成分がcaijなる行列として定義する。 すなわち である。 最後に行列の積を定義するが、簡単のためmとnとが等しい場合、すなわちn次正方行列に限定する。 AとBとの積ABの i, j 成分を とする。 すなわち である。 たとえばnが2のときを例にとると、 となる( )。 A、B、Cをn次正方行列とすると が成り立つ。 なお一般には積に関しては可換法則AB=BAは成り立たないことは注意を要する。 ただEを単位行列 とすると、AE=EA=Aが任意のn次正方行列Aに対して成り立つ。 以上を総合して、代数学の用語を使うならば、n次正方行列の全体は、単位元を有する非可換な環をなすことがわかる。 その方法は正方行列の場合に準ずる。 [足立恒雄] 連立一次方程式行列の例として連立一次方程式を考える。 次の連立一次方程式 は、また と置くとき Ax=b 〔2〕 と表せる。 このように行列を用いると、連立一次方程式の表示がきわめて簡単になる。 さて、ある正方行列Bが存在してBA=Eが成り立つものとすると(Eは単位行列)、〔2〕の両辺に左からBを掛けることによって x=Bb と解xが求められることになる。 このようなBのことをAの逆行列といい、A -1と表す。 逆行列はあるとしてもただ一つで、このときAA -1=A -1A=Eが成り立つ。 逆行列の存在する正方行列を正則であるという。 行列Aが正則である条件は、Aの行列式 A がゼロでないことである。 以上により、Aが正則なときは〔2〕、したがって〔1〕はただ1組の解をもち、それはA -1bと表される。 [足立恒雄] 掃き出し法ここでは数値的に連立方程式を解く方法を述べる( )。 例として をとる。 未知数と等号を略して のように記す。 方程式の順序を入れ換えても解は変わらないから、 の行列の行を入れ換えてもよい。 また一つの方程式に一定の数を掛けて他の方程式に加えても解は変わらないから、一つの行を何倍かして他の行に加えてもよい。 また一つの行にゼロでない数を掛けてもよいことが同様にわかる。 列に関しては、最後の列以外の2列を入れ換えてもよいこと以外は許されない。 これらの操作を繰り返して単純な形へと変形した過程が である。 結果としてx=-1, y=0, z=2という解を得る。 以上の解法が掃き出し法である。 興味深いのは、行に関する三つの基本変形(行の入れ換え、一つの数を掛けて他の行に加える、ゼロでない数を一つの行に掛ける)が、特殊な正則行列を左から掛けることで表現できることである。 いま、行基本変形とともに列基本変形も許すとする。 列基本変形は、行基本変形の行列をAに右から掛けることによって得られる。 Aに行と列の基本変形を何回か行って、主対角線上に1が、他は0がくるようにする。 最後に残った1の数をAの階数(ランク)という。 Aがn次正方行列のとき、Aが正則である条件は、Aの階数がnとなることである。 [足立恒雄] 逆行列の求め方n次正方行列Aが正則のときは、前項で記したように階数はnである。 したがって施した行基本変形を掛け合わせてB、列基本変形を掛け合わせてCとするとBAC=Eとなる。 両辺に左からC、右からC -1を掛けると C BAC C -1=CEC -1=CC -1=E ゆえに CB A=Eを得る。 CBは行基本変形を何回か行う行列であるから、結局、行基本変形だけでAをEに変えることができる。 またこのCBが逆行列である。 いまXA=EとすればXE=Xだから、AをEに変える行変形をEに施せば、逆行列Xが得られることになる。 これが の逆行列を求める原理である。 [足立恒雄] 行列と線形写像V、Wをベクトル空間、TをVからWへの線形写像とする。 Tが上への一対一写像であるとき、Tは同形写像であるといわれる。 同形写像が存在するとき、VとWは同形であるといわれる。 また、V=Wのときは線形写像は線形変換といわれる。 n項縦ベクトルの全体R nは代表的なベクトル空間である。 いま、VがR nで、WがR mである場合を考える。 ところが逆にTをVからWへの線形写像とすれば、〔3〕を満たすような行列Aがとれる。 すなわち、縦ベクトルのなすベクトル空間の間の線形写像とは行列のことである。 AをTに対応する行列という。 R mとR nとはm=nのときに限り同形である。 また正方行列Aが同形写像を与える条件は、Aの行列式 A が0でないことである。 このことは連立一次方程式〔2〕の解の存在の条件からもわかる。 有限次元のベクトル空間は同一次元の縦ベクトルの空間に同形であるので、有限次元のベクトル空間の間の線形写像は、縦ベクトルのなす空間に移してみれば行列で表現される。 これにより有限次元のベクトル空間の理論は行列の理論そのものであることになる。 これが行列の概念を重要なものとする最大の理由である。 [足立恒雄] 一般の連立一次方程式未知数の数と方程式の数とが一致するとは限らない場合を考える。 に行基本変形とn+1列目以外の列の入れ換えとを行って得られる標準形が であるとする(こういう形にかならず変形できる)。 rはAの階数である。 この行列を入れ換えた列の変数を付け換えて連立一次方程式に直してみると となる。 b 1、……、b nがすべて0の場合、自明でない解、すなわちx 1、……、x nがすべては0ではない解を有する条件はn>rである。 [足立恒雄] 『田島一郎著『新しい数学へのアプローチ4 線形代数』(1970・共立出版)』 【紙型】より …一つの活版組版と同じもの を多数作るとき用いる紙製の雌型。 通常,紙型用紙といわれる材料を組版の上にのせて圧力を加えて作る。 湿式紙型 ウェットマットwet mat と乾式紙型 ドライマットdry mat とがあり,前者は乾燥しないように保存された紙型用紙を活版組版の上にのせ剛毛の打ち刷毛(はけ)でたたいて作るので〈たたき〉とも呼ばれる。 現在,乾式紙型が多用される。 乾式紙型は数十層を抄き合わせた特殊なドライマット原紙という厚紙をあらかじめ湿して軟らかくし,プレスで活版組版に押しつけて成形する。 出典| 株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版について.
次の「 行列」のその他の用法については「」をご覧ください。 の周辺分野における 行列(ぎょうれつ、: matrix)は、数や記号や式などを縦と横に矩形状に配列したものである。 横に並んだ一筋を 行、縦に並んだ一筋を 列と呼ぶ。 書き並べられた要素は行列の成分と呼ばれ、行列の第 i 行目、 j 列目の成分を特に行列の i, j 成分と言う。 行列の i, j 成分はふつう a ij のように二つの添字を単に横並びに書くが、誤解を避けるために添字の間にを入れることもある。 また略式的に、行列 A の i, j 成分を指定するのに A ij という記法を用いることもある。 行列の和は、行の数と列の数が同じ行列において、成分ごとの計算によって与えられる。 の計算はもっと複雑で、2つの行列がかけ合わせられるためには、積の左因子の列の数と右因子の行の数が一致していなければならない。 例えば、三次元空間におけるのは一次変換にあたり、 R がで v が空間の点のを表す(1 列しかない行列)であるとき、それらの積 R v は回転後の点の位置を表す列ベクトルを表現している。 また 2つの行列の積は、2つの一次変換のを表現するものとなる。 また、その他の応用としては、の解法が挙げられる。 行列がであるとき、そのいくつかの性質は、を計算することによって知ることができる。 例えば、正方行列において、行列式の値が非零となることは、それがであるためのである。 は一次変換のに対する洞察を与える。 行列の応用は科学的な分野の大半に及ぶ。 特ににおいて行列は、、、、などにおける様々な物理現象の研究に利用される。 では三次元のモデルを処理し、それらを二次元の画面へ投影するのに行列が使われる。 や、において行列はの組を表現するのに用いられ、例えば、これはにおけるので使われている。 は、古典的なにおけるやの概念を高次元へ一般化するものである。 では経済上の関係のシステムを説明するのに行列が用いられる。 行列計算の効率的なアルゴリズムの研究はにおける主要な分野であり、これは何世紀にもわたるもので、今日でも研究領域が広がっている。 は、理論的にも実用的にも計算を簡単化するもので、そのアルゴリズムはやなどといった行列の特定の構造に合わせて仕立てられており、やそのほかの計算を効率的に処理させる。 惑星運動論や原子論では無限次行列が現れる。 無限次行列の簡単な例としては、関数のに対して作用するを表す行列がある。 素朴な定義 [ ] 記法 [ ] 行列は数または数を表わす文字から成る 要素 英: element を矩形状に書き並べて、大きな(あるいは)で括った形に書かれる。 ここで文字送りの方向(横)の並びを 行 英: row といい、行送りの方向(縦)の並びを 列 英: column と呼ぶ。 行列自身は、ふつうはアルファベットの大文字イタリック(しばしば太字 )で表し、その要素は対応する小文字に二つの添字を付けたもので表す(略式的に行列を表す大文字に添字を付けたものを用いることもあるが、その場合の記号と紛らわしい)。 成分 [ ] 詳細は「」を参照 書き並べられた要素は行列の 成分 英: entry, component と呼ばれる。 成分が取り得る値は(さまざまな対象を想定できるが)大抵の場合はあるまたは K の元であり、このとき K 上の行列 英: matrix over K という。 特に、 K が全体の成す体 R であるとき 実行列と呼び、全体の成す体 C のとき 複素行列と呼ぶ。 一つの成分を特定するには、二つの添字が必要である。 行列の第 i 行目、 j 列目の成分を特に行列の i, j 成分と呼ぶ。 例えば上記行列 A の 1, 2 成分は a 12 である。 行列の i, j 成分はふつう a ij のように二つの添字を単に横並びに書くが、誤解を避けるために添字の間にを入れることもある。 例えば 1 行 11 列目の成分を a 1,11 と書いてよい。 また略式的には、行列 A の i, j 成分を指定するのに A ij という記法を用いることがある。 この場合、例えば積(後述) AB の i, j 成分を AB ij と指定したりできるので、これで記述の簡素化を図れる場合もある。 行列を構成する行の数と列の数の対を 型 英: type あるいは サイズという。 したがって m 行 n 列行列のことを m, n 型行列などと呼ぶこともある。 1つの列を持つ行列を 列ベクトル、1つの行をもつ行列を 行ベクトルと呼ぶ。 行と列の数が同じである行列は と呼ばれる。 無限の行または列をもつ行列を 無限次行列と呼ぶ。 において行または列を持たない行列を考えると便利となることがしばしばあるが、このような行列を 空行列と呼ぶ。 ベクトルを表すのに使われることがある。 ベクトルを表すのに使われることがある。 や、のようなのを表すのに使われることがある。 例えば添字の対 1, 2 には写像の値として a 12 が割り当てられる。 値 a ij は行列の i-行 j-列成分であるといい、 m および n はそれぞれ行および列の数を意味する。 写像としての行列の定義と行列が表す線型写像とを混同してはならない。 行の数と列の数が一致するような行列はと呼ばれる。 ただ一つの列を持つ行列は列ベクトル、ただ一つの行を持つ行列は行ベクトルと呼ばれる。 歴史 [ ] の解法における応用に関して、行列は長い歴史を持つ。 紀元前10世紀から紀元前2世紀の間に書かれた中国の書物『』はの解法に行列を用いた最初の例であるといわれ 、それにはの概念が含まれていた。 1545年にイタリアの数学者は『偉大なる術(アルス・マグナ)』を著し、この方法をヨーロッパに持ち込んだ。 日本のは1683年に連立方程式の解法として同様に行列による方法を用いている。 ドイツのは1659年の著書 Elements of Curves において行列の変形について説明している。 1700年から1710年にかけてドイツのは50以上の異なる体系を用いて行列の使い方を発表した。 がを生み出すのは1750年のことである。 行列論の初期においては、行列よりも行列式のほうに非常に重きが置かれており、行列式から離れて現代的な行列の概念と同種のものが浮き彫りにされるのは1858年、の歴史的論文 Memoir on the theory of matrices(「行列論回想」)においてである。 用語 "matrix"(ラテン語で「生み出すもの」の意味の語に由来) はが導入した。 シルベスターは行列を、(今日と呼ばれる)もとの行列から一部の行や列を取り除いて得られる小行列の行列式として、たくさんの行列式を生じるものとして理解していた。 1851年の論文でシルベスターは I have in previous papers defined a "Matrix" as a rectangular array of terms, out of which different systems of determinants may be engendered as from the womb of a common parent. (以前の論文で、項を矩形状に並べた配列として定義した "Matrix" は、そのうちで異なる行列式の体系を生み出す共通の親としての母体である。 ) と説明している。 行列式の研究はいくつかの流れから生じてきたものである。 コーシーは1829年に、対称行列のが全て実数であることも示している。 は、幾何学的変換の局所的あるいは無限小のレベルでの挙動を記述することができる(後にシルベスターが「ヤコビ行列式」と呼んだ)の研究を行った。 前者は、それまでのコーシーの用いた公式のような具体的な手法とは反対に、行列式をに扱ったものである。 これを以って、行列式の概念がきっちりと確立されたと見なされている。 多くの定理は、初めて確立されたときには小さいサイズの行列に限った主張として示された。 また、19世紀の終わりに、(として今日知られるものを特別の場合として含む)を ()が確立し、20世紀の初頭には行列は線型代数学の中心的役割を果たすようになった。 前世紀のの分類にも行列の利用が部分的に貢献した。 、、らによるの創始は、行または列の数が無限であるような行列の研究へ繋がるものであった。 後には、(大体無限次元のにあたる)上のなどの的な概念をさらに推し進めることにより、を提示した。 行列の演算 [ ] 基本演算 [ ] 加法 [ ] 二つの行列は、それが同じ型を持つならば互いに加えることができ、この算法を行列の 加法、演算の結果を 和と言う。 異なる型の行列に対しては和は定義されない。 一般に、これらの三性質を満たす代数系に成分を持つ(同じ型の)行列の全体は、やはりこれらの性質を満たす。 乗法 [ ] 詳細は「」を参照 行列の積を初めて定義したのはである。 正方行列に関して行列の乗法は特別な役割を持つ。 行列がに分解されるとき、そのような行列の積は、それらのブロックが適当なサイズならば、ブロック成分ごとに積を計算することができる。 ここで E 2 は二次の単位行列、右辺の 0 は全ての成分が 0 R(基礎環 R の)であるような適当なサイズの行列である。 これはもとの行列の各列を各行に持つ行列であり、主対角成分 a 11, a 22, … に関して折り返したものになっている。 この内積空間において、全体の成す部分空間と全体の成す部分空間とは互いに直交する。 これと同様の方法で得られる三重線型な(三項積)の一般論は、あるいはの理論とかかわりを持つ。 定義されない演算 [ ] 以下のような計算は定義されないため実行してはならない。 行列とその乗法は、これを 一次変換(つまり 線型写像)と関連付けるとき、その本質的な特徴が浮き彫りになる。 陽に書けば、 A の i, j -成分は、 f e j の第 i-成分である。 このとき、行列 A は線型写像 f を表現すると言い、 A を f の 変換行列または 表現行列と呼ぶ。 この平行四辺形は、単位正方形の頂点を成す四つの(列)ベクトル 0 0 , 1 0 , 1 1 , 0 1 の各々に A を掛けることによって得られる。 最後の等号は行列の積の結合性による。 行列の抽象代数的側面と一般化 [ ] 行列の一般化の方向性はいくつか異なるものが存在する。 抽象代数学では行列の成分をもっと一般の(とは限らない)やとしたものを用いるし、線型代数学は線型写像の概念を機軸に行列の性質を体系化したものである。 また行や列の数を無限に増やした行列というものを考えることもできる。 他の拡張としては、(行列が矩形状あるいは二次元の数の配列と見ることができるのに対して)数の配列を高次化したものと見ることもできるし、ベクトルの双対や数列として実現することもできるものである。 適当な制約条件を満足する行列の集まりは、行列群あるいは線型代数群などと呼ばれるを成す。 より一般の成分を持つ行列 [ ] しばしば実または成分の行列に焦点を当てることもある が、それ以外にももっと一般の種類の成分を持った行列を考えることができる。 一般化の最初の段階として任意の(すなわちが自由にできる、例えば R, C 以外に体 Q や F qなど)を成分として考える。 例えばでは有限体上の行列を利用する。 どの体で考えるとしても、は多項式の根として考えることができて、それは行列の係数体の拡大体の中に存在する。 たとえば、実行列の場合は固有値は複素数である。 ある行列の成分をより大きな体の元と解釈しなおすことはできる(例えば実行列を全ての成分が実数であるような複素行列とみることができる)から、そのような十分大きな体の中で任意の正方行列についてその固有値全てから成る集合を考えることができる。 あるいは最初から、複素数体 C のようなに成分を持つような行列のみを考えるものとすることもできる。 もっと一般に、抽象代数学ではに成分を持つ行列というものが甚だ有用である。 環は除法演算を持たない点において体よりも一般の概念である。 この場合も、行列の加法と乗法はそのまままったく同じ物を使うことができる。 R 上の n-次正方行列全体の成す集合 M n, R はと呼ばれる環であり、左 R- R n のに同型である。 可換環 R 上の正方行列のはライプニッツの公式を用いて定義することができて、可換環 R 上の正方行列が可逆であることの必要十分条件をその行列式が R のであることと述べることができる(これは零元でない任意の元が可逆元であった体の場合の一般化になっている)。 ()上の行列は ()と呼ばれる。 行列の成分が必ずしもすべて同じ環に属するというわけではない(し、すべてが全く別の環に成分を持つというわけでもない)。 一つの特別な、しかしよく用いられる場合として、成分自体が行列となっているような行列と見なすこともできるが挙げられる。 その成分は二次元的な行列である必要はないし、また通常のの元である必要もないが、その大きさに関しては適当な両立条件を満足するものでなければならない。 従ってこのような関係は行列 A の成分から一意的に定まる。 注意すべきは線型写像を表す行列は基底の取り方に依存することである。 基底の取り方を変えれば別な行列が生じるが、それはもとの行列とになる。 既に述べた具体的な概念の多くはこの方法を通して解釈しなおすことができる。 行列群 [ ] 詳細は「」を参照 というのは集合と(つまり、任意の二つの対象を結合して第三の対象を作る操作)からなる数学的構造で、適当な条件を満たすものである。 行列をその元とし、行列の積を群演算とするような群は、行列群または線型代数群と呼ばれる。 群の任意の元は可逆であるから、最も一般の行列群は与えられたサイズの可逆行列全体の成す群 GL n であり、と呼ばれる。 行列の性質のうちで積と反転に関して保たれるものを用いると、さらに別の行列群を定義することもできる。 例えば、与えられたサイズの行列式が 1 であるような行列の全体は、同じサイズの一般線型群に含まれるとなり、 SL n と呼ばれる。 任意のは何らかの行列群である。 なんとなればのを考えればよい。 故に、の意味で、一般の群を比較的よくわかっている行列群を用いて調べることができる。 無限次行列 [ ] 行または列の数を無限にした行列と呼べるようなものも考えることができる が、そのようなものを陽なかたちに書き記すことはできないので、行を添字付ける集合と列を添字付ける集合を用意して(添字集合は必ずしも自然数から成るものでなくてよい)、それらの各元に対して行列の成分が矛盾無く定義されるという方法で扱うことになる。 このとき、和・差、スカラー倍、転置といった基本演算については問題なく定義されるが、行列の乗法に関してはその成分が無限和として与えられることになり、これは(適当な制約条件を抜きにしては)一般には定義されない。 これと対応するものとして、左 R-加群としての M の自己準同型環を考えれば、同様に各行の非零成分の数が有限な 行有限行列の環 RFM I R が得られる。 無限次元行列を線型写像を記述するのに用いるならば、次に述べるような理由から、その各列ベクトルが有限個の例外を除いて全ての成分が 0 となるものとならなければ無用である。 また、 A の各列は V の各基底ベクトルの f による像を W の基底に関して表したものとなっているから、これが意味を持つのはこれらの列ベクトルの非零成分が有限個である場合に限る。 しかし一方で、 A の行に関しては何の制約もない。 事実、 v の非零成分が有限個であるならば、積 Av はその各成分が見かけ上無限和の形で与えられるとしても、実際にはそれは非零の項が有限個しかないから、間違いなく決定することができる。 さらに言えば、これは A の実質的に有限個の列の線型結合を成すことになり、また各列の非零成分は有限個だから結果として得られる和も非零成分が有限個になる。 (通常は、行と列が同じ集合で添字付けられるような)与えられた型の二つの行列の積は矛盾無く定義できて、もとと同じ型を持ち、線型写像の合成に対応することも確認できる。 R がならば、行または列に関する有限性条件を緩めることができる。 すなわち、有限和の代わりに、そのノルムに関するを考えればよい。 例えば、列和が絶対収束列となるような行列の全体は環を成す。 もちろん同様に、行和が絶対収束列となるような行列の全体も環を成す。 この文脈では、収束してな問題を生じ、適当な制約条件を満たすような無限次行列はを記述するものとして利用することができる。 しかし、このようなやり方は行列としての陽な観点は曖昧になりがち であり、むしろその代わりにの抽象的でより強力な手法が利用できる。 空行列 [ ] 空行列は行または列(あるいはその両方)の数が 0 であるような行列をいう。 を含めて写像を考える場合に、空行列は役に立つ。 空行列を表す記号というのは特に定まってはいないが、多くのでは空行列を作成したり空行列に関する計算をしたりすることができる。 これは行列式に関するライプニッツの公式(置換に関する和として表す公式)がとなり、それは通常 1 であることによる。 またこのことは、任意の有限次元空間における恒等変換(に対応する行列)の行列式が 1 であるという事実とも整合する。 応用 [ ] 行列は数学と科学における数多くの場面で応用される。 そのうちのいくつかは単に行列における数字の組を簡潔に表現するために利用させる。 例えば、やにおける利得行列は2人のプレイヤーの利得を符号化する。 これと同じような解釈は一般にやにおいても可能である。 ヒル暗号のような初期のにおいても行列は用いられる。 しかし、行列の線型性によって、このような暗号はかなり簡単に突破されてしまう。 では、物体を表現したり、物体の変換をするのに行列が用いられ、を使えば3次元のモデルを2次元の画面に映すような作業が可能となる。 における行列はを学ぶ際に重要となる。 有限グラフのはにおける基本的な概念である。 これは枝によって繋がれたグラフの頂点を表す。 また、は頂点間の距離に関する情報を含む。 このような概念はによって繋がれたや道路で繋がれた都市といった場面で応用することができる。 このようなことからにおいても行列は用いられることとなる。 これは関数の局所的な状態に関する情報を符号化したものである。 脚注 [ ] [] 注釈 [ ]• 下線や二重下線などを付けることもあるが、これはタイプライター原稿で用いられた太字書体を指示する書式の名残• によれば、数学用語としての "matrix" の最初の用例は J. Sylvester in London, Edinb. Mag. 37 1850 , p. This will not in itself represent a determinant, but is, as it were, a Matrix out of which we may form various systems of determinants by fixing upon a number p, and selecting at will p lines and p columns, the squares corresponding to which may be termed determinants of the pth order. これは与えられた行列の全ての成分が加法逆元を持つ限りにおいて、加法のみから定められることに注意。 特にスカラー乗法が(任意のスカラーと任意の行列に対する演算として)定義されている必要はない。 従って、同じサイズの任意の行列に対する減法を定めるならば、例えば係数域が加法についてであれば十分であるが、通例として行列の係数域は何らかの可換環と仮定するから、それには環の加法群構造を用いればよい• 正方行列でない行列に対して行列式を考える理論も存在する。 これは C. Cullis により導入された。 普通はさらに一般線型群のとなることも要求する。 "Not much of matrix theory carries over to infinite-dimensional spaces, and what does is not so useful, but it sometimes helps. "Empty Matrix: A matrix is empty if either its row or column dimension is zero", "A matrix having at least one dimension equal to zero is called an empty matrix", 出典 [ ]• cited by , p. ; 1959. III. 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次の6 p. トビがあってもよい) を選んだ上で、 それら、第 i 1 行 , 第 i 2 行 , … , 第 i s 行と第 i 1 列 , 第 i 2 列 , … , 第 i s 列 が 交差する成分を並べた s 次 のこと。 n 次 A から、同番号の行と列を取り除いてできた行列といっても、同じことである。 6 p. 316 ] の主小行列 ・第 2 行と第 2 列、第 3 行と第 3 列を選択。 第 1 行と第 1 列を除去して得られた 2 次主小行列 : ・第 1 行と第 1 列、第 3 行と第 3 列を選択。 第 2 行と第 2 列を除去して得られた 2 次主小行列 : ・第 1 行と第 1 列、第 2 行と第 2 列を選択。 第 3 行と第 3 列を除去して得られた 2 次主小行列 : ・第 3 行と第 3 列を選択。 第 1 行と第 1 列、第 2 行と第 2 列を除去して得られた 1 次主小行列 : a 33 ・第 2 行と第 2 列を選択。 第 1 行と第 1 列、第 3 行と第 3 列を除去して得られた 1 次主小行列 : a 22 ・第 1 行と第 1 列を選択。 第 2 行と第 2 列、第 3 行と第 3 列を除去して得られた 1 次主小行列 : a 11 定義 2 「 n 次 A の 主小行列 ・ 首座小行列 principal submatrix 」 とは、 以下の n 個の A 1 , A 2 , … , A n のことをいう。 ・ 3 次主小行列 : A そのものだけ。 [ 文献 ] ・木村『 』 1. 7 p. 29 : 第 i 首座小行列 : 第 I 首座小行列式 : 左上からトビなし。 LU 分解可能な条件との関連で。 156 : 左上の小行列トビなし。 3 p. 156 主小行列式 : 左上の小行列式トビなし。 2 pp. 139-142 : 左上の小行列トビなし。 224 主小行列式 :principal minor トビあり ; b ・木村『 』 1. 7 p. 29 : 第 i 首座小行列 : 第 I 首座小行列式 : 左上からトビなし。 156 : 左上の小行列トビなし。 3 p. 156 主小行列式 : 左上の小行列式トビなし。 2 pp. 139-142 : 左上の小行列トビなし。 主小行列とはよばない ; a ・岩田『 』 12. 6 p. 316 : 主小行列 principal submatrix :トビあり ; 定義 「 n 次 A の 主小行列式 ・ 首座小行列式 principal minor 」 とは n 次 A の の のことをいう。
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