デンソーは20日、愛三工業と、パワートレーン事業の統合と、同社に対する出資比率の引き上げについて検討を始めることで基本合意したと発表した。 デンソーが手がける燃料ポンプモジュールなど一部事業の愛三工業への譲渡のほか、トヨタ自動車が保有する愛三工業の全株式の取得を視野に入れる。 今秋の正式契約を目指す。 燃料ポンプモジュールなど一部製品の開発、生産、販売の一連の事業を愛三工業に譲渡することを検討する。 対象品目や規模などは、今後詰める。 加えて現在はトヨタが愛三工業に28・8%を出資しているが、この全株式をデンソーが取得する方向で調整する。 全株を取得する場合、デンソーの出資比率は現状の8・7%から37・5%に高まる。 電気自動車(EV)など電動車シフトが加速する中、重複事業の統合で競争力強化を狙う。 さらに両社の連携を加速し、開発や経営の効率向上につなげる。 トヨタは経営の効率化や競争力強化に向け、グループ内で「ホーム&アウェー」と呼ぶ事業再編を加速している。 トヨタが6月に、パワーコントロールユニット(PCU)など広瀬工場(愛知県豊田市)で担う主要な電子部品事業をデンソーに集約する検討を始めたと発表したのを皮切りに、グループ内で事業集約や連携の動きが進む。 トヨタが掲げる「ホーム&アウェー」戦略の一環で、同社の「モビリティーカンパニー」への変容を前にした布石だ。 トヨタは6月にアフリカ市場での営業関連業務の豊田通商への全面移管を決め、11月にはトヨタ車体へのバン事業の移管を発表。 選択と集中の姿勢を明確に打ち出した。 一方、各グループでは連携の動きが盛んだ。 デンソー、アイシン精機、ジェイテクト、アドヴィックス(愛知県刈谷市)の4社が自動運転技術、デンソーとアイシンが電動化技術の合弁会社を、19年3月にそれぞれ設立することを決めた。 アイシン・エィ・ダブリュとアイシン・エーアイ(愛知県西尾市)は同年4月に経営統合し変速機事業を再構築する。 各社の強みを合わせて提案力を高める。 トヨタの再編の動きに対し、ある自動車業界アナリストは「トヨタは『モビリティーカンパニー』として、プロデューサーになろうとしているのではないか」と指摘する。 事業集約でグループの役割が大きくなれば、部品各社の競争力がトヨタの競争力に直結する。 一方で一部の部品メーカーや取引先などからは「トヨタから横串を通した生産技術や、モノづくりの力がそがれるのではないか」と懸念する声も漏れる。 自動運転や電気自動車(EV)などを軸とする次世代競争で勝ち抜くには、さらなる経営の効率化が欠かせない。 19年以降もトヨタによる選択と集中は続くだろう。 (文=名古屋・政年佐貴恵) 日刊工業新聞2018年12月18日.
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品質(リコール対策)費用は2220億円で、新型コロナウイルスを原因とする操業度差損430億円の5倍以上の損失規模となった。 (出所:デンソー) デンソー副社長の山中康司氏は会見で、リコール対策費用の対象となる部品として「トヨタ向けの燃料ポンプ」と明かした。 燃料ポンプの成型条件が不適切なため変形することがあり、走行中にエンジンが停止する恐れがある。 トヨタは、同部品を搭載する車両のリコールを実施。 トヨタの広報担当者によれば、2020年4月末時点でリコール対象車は「全世界で322万台」という。 規模が最も大きいのが北米市場で、トヨタは約183万台をリコール対象車とした。 デンソーは、トヨタ以外の自動車メーカーにも燃料ポンプを納めている。 他の自動車メーカーの動向について山中氏は「リコールの決定は自動車メーカーの判断。 現時点では分からない」とした。 この記事は有料会員限定です。 次ページでログインまたはお申し込みください。
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[画像のクリックで拡大表示] 「創業の原点に立ち返り、経営の生命線である品質向上に努める」。 デンソー社長の有馬浩二氏が2020年3月期の決算会見で、品質問題について謝罪した。 欠陥燃料ポンプを自動車メーカーに供給し、340万台を超える「メガリコール」の原因となってしまったのだ。 トヨタ自動車は、デンソー製の燃料ポンプに不具合があるとして、これまでに世界で322万台のリコールを発表している。 規模が最も大きいのが北米市場で、トヨタは約183万台をリコール対象車とした。 燃料ポンプの成型条件が不適切なため変形することがあり、走行中にエンジンが停止する恐れがある。 デンソーは、トヨタ向けのリコール対策費用として2220億円を計上。 新型コロナウイルスの影響とした430億円の5倍以上の損失規模となった。 リコール台数はさらに増える可能性がある。 燃料ポンプは汎用的な製品で、トヨタ以外の自動車メーカーも使っているからだ。 例えばSUBARU(スバル)は、米国向けの車両に同部品を搭載しており、約20万台のリコールを決めた。 デンソー副社長の山中康司氏は会見で、「リコールの決定は自動車メーカーの判断。 現時点では分からない」と述べた。 自動車業界の勝ち組は2~3社 [画像のクリックで拡大表示] 「自動車業界の勝ち組と負け組がハッキリする」。 日本電産で会長兼CEO(最高経営責任者)を務める永守重信氏は、2020年4月末に開いた同年3月期の決算会見でこう強調した。 新型コロナウイルスの感染拡大による市場縮小で競争が激化すると分析する。 「アフターコロナ」に向けて日本電産が取り組んでいるのが、電気自動車(EV)モーターを供給する自動車メーカーの見極めだ。 永守氏は「2~3社の勝ち組に本当に良い製品を供給していく」戦略を描く。 コスト競争力を高めるため、「生産設備の価格が半値ほどまで下がっている今の段階で投資に踏み切る」(同氏)考えも示した。 トヨタ、国内300万台生産を死守 [画像のクリックで拡大表示] 「日本にはものづくりが必要だ。 人はコストではなく、改善の源。 雇用や国内のものづくりを犠牲にしたV字回復は許されない」。 トヨタ自動車社長の豊田章男氏が、2020年3月期連結決算の席で熱弁を振るった。 トヨタは経営環境が厳しい中でも「国内生産300万台体制を死守する」(同氏)という。 理由は、「日本はマザー工場で、国内生産体制がグローバルトヨタの基盤」(同氏)と位置付けるからだ。 300万台を維持することで、日本の自動車産業の要素技術と技能を持った人材を守っていく。 だからこそ、いわゆる「クビ切り」で業績をV字回復する手法を批判した。 この記事は有料会員限定です 「日経Automotive」定期購読者もログインしてお読みいただけます。
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