湊 かなえ カケラ。 『カケラ』(湊かなえ)の感想(48レビュー)

カケラ / 湊 かなえ【著】

湊 かなえ カケラ

カケラ=美容クリニックに勤める医師の橘久乃は「痩せたい」とやってきた幼馴染みから故郷の同級生・横網八重子の娘が自ら命を絶った事をきかされます。 高校二年から徐々に学校に行かなくなり卒業後、大量のドーナツに囲まれた状態で部屋で亡くなっていたらしい。 母親が作るドーナツが大好物であり性格の明るい運動神経もよかった人気者の少女に何があったのか。 「これは呪いだよ」と志保は言います。 子供の頃、志保は「トリガラ」とあだ名を付けられるほど食べても痩せない体質だったが八重子は学年で一番太っていました。 馬鹿にされていたせいか八重子が給食を残すようになると先生は「全員が食べ終わるまで遊びに出てはいけない」と決めました。 当然、両親は激怒して学校に抗議しにやってきました。 先生が一番悪いのに「悪口はやめよう」と生徒に伝えました。 それから八重子は体重何キロなんだと噂が立ち体重測定の時に志保の倍64キロだと分かりました。 志保はこの時に64キロ=デブとインプットされ、更にボケたお婆ちゃんのお見舞いに行くと「自慢の孫は痩せていた、このブタが」と言われ帰りの飛行機の中で読んだ雑誌に久乃のクリニックが出ていたので助けてとやってきたのです。 久乃がよく人を「ブタ」扱いしていたのも志保は思い出していました。 娘を亡くした八重子が自分を貶めてきた人を恨んでいるはず、だから「呪いだ」と。 ドーナツに囲まれて 女優・如月アミが鼻を整形したいとクリニックに来店。 アミは自分は久乃と同じ中学出身で親同士は今でも仲良しだと言います。 国民的女優の仲間入りを果たそうとしている沙良が鼻の形を褒められているときに帝王切開で生まれたからと答えいたと言う。 どうやら同じ鼻をしているらしく「帝王切開ですか」と聞かれた久乃は沙良を整形していたので自分は無痛分娩であり大事なのは無事に産むことだと告げます。 鼻がとにかく気になってしまったアミは中学の同級生が亡くなってから「生きているのは当たり前じゃない。 やるなら今しかない」と思ったのです。 久乃は「もしかして名前は横網さん?」と聞くと母親の旧姓がそうだと知ります。 母親は背が低くて太っていたけど娘の吉良有羽は縦横ともにデカかったらしい。 だけどとても明るくて自分がデブである事をイジられても笑うような子でありスポーツが出来たので注目されていたようです。 大好きだった母親が作ったドーナツが100個以上ばらまかれた部屋で睡眠薬を大量に飲んで亡くなっていたらしい。 遺書がなかった事でドーナツは母親が犯人だというダイイングメッセージだと勝手に噂が流れているようでした。 同級生の話 久乃は小学生の時に「チビ」と呼んでいた同級生の堀口の息子がアミと同級生なので連絡して帰省します。 今では久乃と同じ身長の掘口は「お前は東京に出て行ったから横網八重子はデブのままだろ」と言います。 「根暗、被害者意識が高い、ひがみっぽい」というイメージしか持っていないが成人式の時に横網が標準体型だったのでどよめきが起こったらしい。 堀口は息子が小中高と有羽と同じだった事もあり頻繁に会っていました。 結婚して苗字が吉良になったが娘の有羽とは血縁関係はなく夫が海外赴任なので二人暮らしだったと言います。 明るくて子供の面倒を見ていた八重子を見ていたので虐待して追い詰めたとマスコミがやってくるようになり怒っていました。 堀口の息子の星夜からも話を聞くが「同級生でアイドルやってるアミって子がいるんですけど絶対鼻整形してますよ」と言われ内心ばれてると思います。 中学生の時に二人三脚で転んでしまい有羽に抱えられてから、いいとこ見せたいとウエイトリフティング部に入りました。 今では好きだったのだと分かるが当時はそんな事は言えないので「ドーナツでいいよ」を伝えると母親が作ったドーナツをくれました。 いつか抱っこしてやると意気込むが高校の時には彼女の体重が100キロになり中高とやっていたダンス部も辞めてしまいました。 わけを聞くと膝を痛めたからだと答え、その時にお姫様抱っこして「重くないじゃん」と伝えたが走っていなくなってしまいました。 そのあとすぐに彼女は退学したので自分のせいかと悩んだが父親が帰国して東京に戻った噂を聞いて安堵しました。 東京の大学に行ったときに人気のドーナツ店で有羽を見掛け声をかけました。 何も言ってくれなかったわけを聞いたが彼女は「なんで辞めたのか」と受け止めたらしく「先生が・・・・膝の手術があったから」と言いまた走っていなくなってしまいました。 彼女が自殺してしまったので何かしてやれば良かったと後悔しているが「先生が・・・」の意味が分からないでいました。 先生の話 有羽の中学の担任は同級生の妹であり話を聞くと太っていたけどスポーツ万能でかっこよく文化祭のミスコンで「イケメン女子」という変な項目で1位になったと記憶していました。 星夜が東京で出会った時に有羽が「先生」と聞いたことを伝えると高校の担任・柴山登紀子じゃないかなと言われ紹介してもらいます。 柴山先生は有羽に痩せるよう指導し母親には栄養管理をするよう願い出たことで「わたしは有羽を不登校に追い込んだ張本人ということになっています」と言いました。 失恋して子供を堕ろした時に痩せ細っていったが友人の支えがあり徐々に食べれるようになりました。 反動から太ったときと有羽の太り方が似ていたので「このままいけば死にたいと思うようになる。 何かある」と気付きました。 先生方に相談したが「スポーツ万能だから気にしない、考えすぎだ」と受け入れられませんでした。 有羽が「お母さんが作るドーナツがおいしくて」と誤魔化しているのが分かり家の人に聞くと告げると彼女は「痩せるから止めて」と言いました。 それから部活も辞めてしまい太っていったので家庭訪問するが八重子に「自分は管理栄養士だ」と怒られました。 心の声ではなく体の声に耳を傾けてと言いたかったが彼女は退学してしまいました。 東京に行って痩せたと耳にしたときは安心しましたが美容整形で痩せたと聞いたのはもっとあとになってからです。 横網八重子の話 八重子が栄養士になろうと思ったのは祖母に好きなものを食べさせたかったからです。 祖母から「かわいい」と言われていたのでずっとそう思っていたが幼稚園ぐらいから「デブ、ブタ」と言われるように。 そんな自分に祖母は「神様はそれぞれ違う目を与えているんだ」と言いました。 みんなが同じ目なら奪い合いになってしまう。 祖母はドーナツが食べたいと願いながら肺炎で亡くなってしまった息子をよく思い出していました。 「悲しくはないの、ドーナツをのぞくと向こうの世界で息子が幸せに過ごしているのが見えるから」 八重子はドーナツをのぞいてみると祖母の微笑む顔が見えてドーナツの穴は自分の見たいものを映してくれるのだと思いました。 お気に入りのドーナツの店が閉店すると祖母が病気になり八重子は祖母のために自分で作るようになったのです。 栄養士を学ぶ学校で声をかけてくれたメグと仲良くなりました。 メグの姉である千佳は新人デザイナーコレクションのモデルとして参加予定であり怪我で出れなくなった人の代わりに出てくれる人を探していました。 お願いされた八重子は「デブでも似合う服ってことね」と伝えるが「この体型だから似合う服」と言われます。 試着してみると確かに体型が良い千佳よりも自分の方が似合っており、しかも服のせいか姿勢もよくなり自信までもてるようになりました。 それから吉良千佳は憧れの人になり、「千佳の服の魅力を引き出してくれる人だ」と褒めてくれた恵一を千佳のパートナーとして好意を持ちました。 体重が減っていったのもこの時からです。 またメグにも手伝ってもらいドーナツを完成させると祖母はお気に入りのドーナツと同じ味だと喜んでくれました。 そのあと祖母が亡くなり悲しむが千佳が妊娠して出産のために里帰りする嬉しいニュースもありました。 八重子は自分が作ったドーナツでお腹の子が大きくなっていくことが嬉しく感じるようになりました。 そして誕生したのが有羽。 しかし千佳は癌を患いどんどん痩せ細っていき食欲もなくしていきました。 そんな時、千佳からドーナツをリクエストされ八重子はとても嬉しい気分になりました。 千佳はドーナツをのぞき有羽が見えると涙します。 有羽は母親がどんどん痩せ細っていくのを見て元気がなくなり食欲がなくなりました。 そんな有羽も八重子が作ったドーナツだけは食べるようになりました。 千佳が亡くなったあとも有羽は自分が作った料理を好み「家政婦として通って欲しい」と恵一に頼まれます。 憧れた千佳の忘れ形見の有羽をお世話できるのは嬉しく千佳がドーナツの穴から見て思い浮かべた有羽の姿を見せてあげたいと引き受けました。 その2年後にプロポーズされ結婚することになったがメグからは裏切り者と絶交されてしまいました。 結末 久乃は有羽が相談でやってきたときの録音を八重子に聞かせます。 有羽のこの時の体重は138キロ。 運動不足で太ったわけじゃないし食べて寝てるだけの生活でもない。 太ってて何が悪いの?? 父親は自分を見て「こんな酷い姿にして」と八重子に怒り、高校の担任はおせっかいで勘違い。 八重子の料理を残したことはないしドーナツだけを食べていただけではない。 高校の時に9年間一回も帰国しなかった父親が海外から帰国して「あの女に託したのは失敗だった」と言われた事がストレスになった。 八重子はただのお世話係だったのだろうか。 有羽は八重子と親子でいるためにドーナツを食べる量が増えてしまったがダイエットしたいなんて思ったことはないしむしろ八重子と同じ体型に近い事が嬉しかった。 ただ、おせっかいな勘違いした高校の担任が家に来たせいで悩み学校に行かれなくなりました。 このままでは八重子が虐待親として扱われてしまう。 祖母の体調が悪くなり向かうが自分を見てママの妹メグは「こんな酷い姿にして」と父親同様言いました。 この時、八重子の悪口を散々言われたがすべてが繋がりました。 ママが病室にいるとき恵一は浮気をしていました。 だけどその相手は八重子ではないのを有羽は知っています。 ママが亡くなったあと「ドーナツなら食べれる」と告げたのは父親が連れて来た女性と住みたくないのはもちろん病室のベッドで「八重子なら有羽の新しいママにふさわしいと思う。 大切に育ててくれると思うしドーナツも食べれる」とママに言われていたからです。 もしかしたらママが考えた浮気した夫への復讐のために八重子を利用したのかもしれないがそれでも有羽は八重子で母親になって幸せでした。 しかし自分が正しいと思い込む勘違いした高校の担任が「虐待されている」と父親に報告、アメリカで愛人を作っていた父親は少ない慰謝料で円満離婚するために「これは利用できる」と証拠を固めていき有羽と八重子を引き離した。 このままでは幸せな人生まで邪魔されてしまうと考えた有羽、八重子を守れるのは痩せるしかないのだと気付き「脂肪を吸い取ってください」とクリニックに相談しに来たのです。 久乃が話を聞き回っていたのは「自分が手術をしたせいなのか」と悩んだからです。 八重子は違うと答えます。 浮気はしていなかったが好きになっていた気持ちはありました。 自分が千佳の魂を吸い取っているような気分になっていたがドーナツを持参してお見舞いに行くときはいつ誘われても言いように服装には気を付けていました。 千佳が亡くなった時には罪悪を抱えていたが結婚するときは許してくれるはずだと自分に言い聞かせました。 幸せだったのに高校の担任が来て責められてから嫌われていた頃の自分に戻り殻に閉じこもってしまいました。 解放されたくて恵一に勧められるまま有羽だけを東京に返しました。 ところが有羽のいない生活はどんどん苦しくなり誰も食べてくれる人はいないのに、のぞいても何も見えないのにドーナツを作り続けました。 ある日、玄関に千佳が立っていた。 悲鳴を上げて「来るな」と叫びながら物を投げ付けていたが、よく見ると額から出血し涙を流す有羽の姿が目に飛び込んできました。 「ごめんなさい」と逃げるように八重子は家を出て行きました。 それが有羽を見た最後になってしまいました。 感想 せっかく痩せて八重子のもとに行ったのに有羽がかわいそうでならない。 悪いのは自分が正しいと思い込む間違った正義感の教師と妻が癌を患い入院しているときに浮気する最低な恵一でしょう。 聞いた言葉、目にした言葉を頭に入れて勝手に成長したと思い込み、それを人にドヤ顔でアドバイスする大人たちははっきり言って多いですよね。 口にする人は大抵が説得力がなく自分が見えていない。 私は身にしみて分かっていますが高校の担任は一応自分の経験からの思い込みなんですよね。 大人は口にする前に「自分が言って説得力あるか」と自分と向き合わなければならない。 人生の先輩なのは年齢だけですからね。 それにしても久乃の人物像も徐々に浮き彫りになっていくが性格悪いと思ってしまいますね。 だけど小学生なんてむしろ性格悪い方がほとんどですよね。 大人になるにつれて自分と向き合って成長するものですから。 これを読んで本当に「勝手な決め付け」はよくないと反省します。 デブで運動神経よい人は確かに存在するのに「あの体型で」と思ってしまいますもんね。 そして褒め言葉でも外見を見てでの意見は控えようと思う。 さて、個人的な意見ですが、正直、読むのを途中で止めようかと思ったほど読んでいて映像化できなかった。 一人が一方的に語っている描き方で話がとにかく回りくどくてちょっとイライラしながら読んだのが正直なところ。 せめて最初から誰なのか説明して欲しかったし久乃が自分が手術した人が亡くなったので「まさか自分のせいなのか」と思って調査に出るみたいな書き方にしてほしかったかな。

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カケラ / 湊 かなえ【著】

湊 かなえ カケラ

【内容情報】(出版社より) 美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。 カウンセリングをしていると、小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。 幼なじみいわく、八重子には娘がいて、その娘は、高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。 母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。 もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのかーー? 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる自意識や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリ長編。 【著者略歴】 湊かなえ みなと かなえ 1973年広島県生まれ。 2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞、受賞作を収録した『告白』でデビュー。 同作で09年本屋大賞を受賞。 12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門、16年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞。 18年『贖罪』がエドガー賞候補となる。 その他の著書に『夜行観覧車』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『山女日記』『リバース』『未来』『落日』など多数。 【内容情報】(「BOOK」データベースより) 美容クリニックに勤める医師の久乃は、ある日、故郷の同級生・八重子の娘が亡くなったことを知る。 母の作るドーナツが大好物で、性格の明るい人気者だったという少女に何が起きたのかー。 2007年「聖職者」で小説推理新人賞を受賞、受賞作を収録した『告白』でデビュー。 同作で09年、本屋大賞を受賞。 12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門、16年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞。 18年『贖罪』がエドガー賞候補となる。 著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです).

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【新連載】湊かなえ「カケラ」

湊 かなえ カケラ

<あらすじ> 美しくなった少女は、なぜ死を選んだのか? 美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。 カウンセリングをしていると、小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。 幼なじみいわく、八重子には娘がいて、その娘は、高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。 母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる自意識や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリ長編。 こちらが単行本の最新刊になります。 前作『落日』から8ヶ月ぶりの新刊。 美容整形をテーマに、美醜や自意識のあり方を問いかけ、心の暗部に迫るという湊かなえさんの本領がいかんなく発揮された作品です。 2020年5月30日には「王様のブランチ」に湊かなえさんがリモート出演しました。 その際のインタビューでは以下のような発言も。 <あらすじ> 町田圭祐は中学時代、陸上部に所属し、駅伝で全国大会を目指していたが、3年生の最後の県大会、わずかの差で出場を逃してしまう。 その後、陸上の強豪校、青海学院高校に入学した圭祐だったが、ある理由から陸上部に入ることを諦め、同じ中学出身の正也から誘われてなんとなく放送部に入部することに。 陸上への未練を感じつつも、正也や同級生の咲楽、先輩女子たちの熱意に触れながら、その面白さに目覚めていく。 目標はラジオドラマ部門で全国高校放送コンテストに参加することだったが、制作の方向性を巡って部内で対立が勃発してしまう。 単行本は以上です。 続いて文庫の新刊を見ていきましょう! 湊かなえの文庫本新刊情報 1. 文庫は2019年、2018年のものが最新です。 今後、文庫の方も期待ですね。 引き続き新刊情報を追っていきますので、こちらの記事を気に入っていただけたら、ぜひブックマーク、シェア等をしてもらえると嬉しいです。 それでは、良い読書体験を! 関連記事• Kindle Unlimitedで限界を超えた読書体験を! Kindle Unlimitedは月額980円で12万冊以上が読み放題となるAmazonの電子書籍サービスです。 専用端末は必要なく、無料アプリでPC、スマホ、タブレットで手軽に読めちゃいます。 専用端末なしで読めるというのは良いですね。 これが大きなメリットです。 1~2冊読めば元が取れますので、ついつい書籍代が高くなってしまうという方だけでなく、ふだんそこまで本を読まない人にもオススメできるサービスです。 最初の1ヶ月は無料体験できますので、合わなければ退会しても問題ありません。 Kindle Unlimitedで新たな読書体験を!.

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