コンテンツ• 糖尿病は生活習慣によって引き起こされる 糖尿病という病名はよく耳にすることも多いと思います。 血糖値は血液中のブドウ糖の量を表している 私たちが食事から得た炭水化物などはグルコースになり、血液に乗って全身の細胞に取り込まれて、 エネルギー源となります。 このグルコースは、 身体の生命を維持するためには大切な要素なのです。 そして、血液中のブドウ糖を 「 血糖」と言い、血糖値は、 血液中にどれくらいブドウ糖が存在しているかを表しています。 健康な人の血糖値の変動は、 食事すると血糖値が上昇し、運動などによってブドウ糖がエネルギーとして消費されると血糖値は下がります。 健康な人の体内では、血糖値が上昇したらインスリンが働き、正常な値に下がるようコントロールされているのです。 糖尿病になると血糖値がコントロールできない 血糖値を下げる作用のあるインスリンの分泌が少なくなってしまったり、 働きが悪くなってしまうと 糖尿病になってしまいます。 糖尿病になると、血糖コントロールがうまくできず、 血糖値が高いままの状態になってしまうのです。 では、なぜ 高血糖状態が手術をハイリスクにしてしまうのでしょうか? 糖尿病は感染のリスクが大きい よく学生時代の実習などで、糖尿病の患者さんの看護問題をあげる際に 「 易感染」のリスクをあげていた人もいると思います。 勉強をした人も多いと思いますが、 糖尿病と易感染のメカニズムについて見ていきましょう。 高血糖状態は細菌が増える原因になる 糖尿病になると、 身体のエネルギー源である糖分をコントロールできなくなってしまいます。 普通であれば、インスリンが反応して血糖値を下げるよう働きますが、 糖尿病では 血糖値を下げる働きが鈍くなってしまいます。 すると血液中は血糖値が高い状態である、 高血糖状態になっています。 高血糖状態になってしまうと、免疫システムである白血球の動きが弱くなってしまい、 細菌などと戦う力が弱くなってしまうのです。 さらに、糖分が多い高血糖状態の血液は、細菌にとっては最高の環境であり、 糖分を栄養としてさらに活動し増えてしまうのです。 そして、糖尿病による血行障害などになってくると、血流が悪くなり細胞に酵素や栄養素が行き渡らず機能が低下してしまい、 治癒遅延を引き起こしてしまいます。 手術侵襲によって高血糖状態に 糖尿病の患者さんは高血糖になりやすい状態ですが、 手術によってさらに高血糖状態となってしまうため、ハイリスクなのです。 手術侵襲によって身体がストレスを感じてしまい、この ストレスに対抗するためにインスリンに拮抗ホルモンである カテコールアミンやコルチゾール、グルカゴンなどが大量に分泌され、 血液中は高血糖状態になるのです。 術前のHbA1cの結果• 出棟時のBS測定の値• 硬膜外カテーテル挿入時は創部感染に注意 これらが糖尿病の患者さんの手術時に気をつけておきたいポイントです。 術前のHbA1cの結果 術前の血液検査はチェックすると思いますが、 HbA1cの値は確認しておきましょう。 手術を受ける際は HbA1c<6. 5とされており、十分な血糖コントロールを行なった後に手術に望むべきとされています。 出棟時のBS測定の値 手術当日は 絶飲食であるため、血糖管理が重要になります。 絶飲食などにより 低血糖症状がおきていないかどうかも観察ポイントです。 硬膜外カテーテル挿入時は創部感染に注意 糖尿病の患者さんは易感染であるため、 硬膜外カテーテルからの感染に注意する必要があります。 手術中も定期的にBS測定を行い血糖管理• 自己注射を行なっている患者さんに対しては、インスリンのセットを手術室に持参してもらう• 最終血糖も申し送りの時に報告 職場によっても看護ケアの方法は違いがありますが、糖尿病の患者さんに対しては、このような 看護ケアをおこなっている病院もあります。 特に手術時間が長時間にわたるオペの時は、 術中の血糖コントロールも重要になってきます。 糖尿病によるリスクを理解するために 糖尿病の既往を持っている患者さんは増えています。 手術を受ける場合は、 糖尿病であることがハイリスクになってしまうため、注意することが大切です。 術前に血糖コントロールをしてから手術に臨みますが、 術中も十分な血糖管理が必要になります。
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頸椎間板ヘルニアの手術の侵襲によるストレスが原因のうつを発症、2か月の休養することを発表したネプチューンの名倉潤(撮影/平野哲郎) * * 手術後の「抑うつ」は、だれにでも起こり得る 整形外科的な治療に限らず、手術後にうつ病などの精神疾患を発症することは決して珍しくありません。 手術は成功したものの、術後の痛みやしびれが続く、あるいは体の動きが制限されるなどの理由で不安になるのは、多くの人が経験することです。 ただ、術後しばらくすれば、傷が癒えるとともに、心の不安も解消され、それまでの暮らしに戻れるのがふつうです。 ところが、不安が強く、「ずっとこのまま痛みが残ったらどうしよう」「今まで通り、仕事ができるだろうか」と思い悩み過ぎてしまうと、不眠や食欲不振といった症状が現れ「抑うつ状態」に陥ってしまいます。 こうした傾向は、仕事や家族に対してまじめな人ほど陥りやすいと考えられています。 「物事を完璧にこなさなければ」とか、「周囲に迷惑をかけないようにしなくては」と、自分に厳しく考え過ぎてしまう人ほど危険です。 こうした人たちの中には、退院し自宅療養の段階になっても不安がぬぐい切れず、本格的なうつ病へと移行してしまう人が少なからずいます。 手術後の抑うつは誰にでも起こり得るという。 写真はイメージ(写真/アフロ) 「朝起きられない」「食欲不振」が見られたら要注意 そして、本来なら会社へ行かれる時期になっても「朝、起きられない」「会社に行こうとすると発熱する」「食欲がわかず、体力が激減してしまう」といった症状を訴え、一日中ゴロゴロと家で過ごすようになっていきます。 家族からすれば、「手術で体が良くなったのだから、早く仕事に行って!」と文句を言いたくなるところですが、精神的に追い込まれるとうつ病はさらに進行してしまいます。 そばにいるご家族は、手術前と明らかに異なる様子が見られたときには、できるだけ早く精神科を受診するように、優しく話してあげて欲しいと思います。 そのときには「大丈夫。 元のあなたに戻れるよ」と、安心させるような言葉かけが大切です。 認知症と間違えられる「術後せん妄」に要注意! 手術を受けた人が高齢者の場合には、術後の「せん妄」という症状を起こすことがしばしばあります。 手術をきっかけとして起こる精神障害のひとつで、術後数日経過したころに、幻覚や幻聴、錯乱といった症状を起こすものです。 家族の顔や名前、自分自身ことがわからなくなったり、朝夕の区別がつかなくなったりしてしまう人もいます。 放っておくと、生命維持に必要な点滴等のチューブを抜くとか、ベッドから落ちてけがをする、暴れ回って人を傷つけてしまうなど事故を引き起こす可能性もあります。 ですから、高齢者の術後はICU(集中治療室)などで、丁寧にケアをしてもらう必要があるのです。 認知症と間違えてショックを受けるご家族もいらっしゃるのですが、術後せん妄は1週間ほどでたいていは落ち着きます。 ご家族は慌てずに医師に診断やケアを任せてください。 まれではありますが、高齢者でなくてもせん妄の症状が現れることがあります。 予防のためには、術前に手術の内容や、術後の予後を丁寧に説明して、患者さんの不安をできるだけ取り除いておくことが大切です。 2か月では足りない。 最低半年は仕事から離れて休養を さて、今回の名倉さんのケースでは、「手術の侵襲というストレスでうつ病を発症」と発表されました。 これには少し違和感を覚えます。 「手術の侵襲」という場合は、一般的には、手術が体に与えたダメージが原因と考えます。 手術から数週間経過しても痛みがなかなかひかないとか、傷がなかなか癒えないために不安が高じてうつ病を発症するというのは、実際によくある話です。 しかし、名倉さんの場合は、術後、すでに1年が経過しています。 ここへきて「うつ病」を発表したという事実を考えると、手術が直接的な原因というよりは、リハビリテーション中の心に不安が生じたと考えるほうが理屈としては合点がいきます。 たとえば、術後のリハビリを続ける中で、再び痛みが激化してきたとか、別の場所に体の不具合が起きたようなケースです。 ご本人と主治医にしかわからない部分ではあり、詮索するべきではありませんが、もしかするとまったく別の悩みなどが影響していることも考えられます。 いずれにしても、とにかく休養が必要でしょう。 今回の発表では2か月間の休養と言うことでしたが、うつ病の治療にはもう少しゆっくり時間をかけるのが理想です。 少なくとも半年はゆっくり休み、治療に専念して欲しいと専門家としては考えるところです。 教えてくれたのは… 茅野分さん/銀座泰明クリニック理事長。 群馬大学医学部卒業後、同大学付属病院、前橋赤十字病院、佐久総合病院にて精神医療・身体医療、救急医療・地域医療等に従事。 慶応大学病院精神神経科を経て、平成18年銀座泰明クリニックを開院。 現在、医療法人社団泰明理事長。 ビジネスパーソンのメンタルヘルスに精通し、とくにうつ病、依存症、発達障害については多方面より取材を受けている。 テレビ出演、日本テレビ「ZIP」、TBSテレビ「Nスタ」など多数。 近著「本当に怖いキラーストレス~頑張らない、あきらめる、空気を読まない」(PHP新書)がある。 取材・文/鹿住真弓.
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近年、生活習慣の変化などにともない、とくに 糖尿病をお持ちの方 高血圧をお持ちの方が増えておられます. これらにあげた以外の病気をお持ちの方についても、もちろん、麻酔を受けるにあたってさまざまな注意点が必要です。 安全に麻酔を受けていただくために,いくつかの点についてご一緒に考えてみたいと思います。 また、従来より話題となっている 麻酔と喫煙(たばこ)の関係についても私たちの考えを簡単に述べてみたいと思います。 糖尿病がある場合に、手術に際して気を付ける点はいくつかあります。 そのうち、糖尿病では「全身の動脈硬化が進んでいる」ことに注意しなければなりません。 動脈硬化がみられると、身体のなかの臓器やあちこちの血液のめぐりが悪くなること(血行障害)が想像できます。 血行障害によって困る身体の場所は、実にさまざまです。 たとえば脳においては、脳血管に動脈硬化が起こり血液が行き届かなくなるとその場所の細胞が死滅 してしまいます。 この結果起こるのが「脳梗塞(のうこうそく)」です。 また、心臓においては心臓に血液を送る冠動脈に動脈硬化が起こることにより、心臓の働きが落ちる(=「心不全」)、あるいは血液が行き届かなくなった先の心筋が死んでしまうことによる「心筋梗塞(しんきんこうそく)」が起こる可能性があります。 ほかにも、腎臓の血管に血行障害が起こることによる,手術後の腎機能障害なども考えられます。 糖尿病はもともと腎臓のほかにも神経や眼 などにも傷害を起こすほか、免疫が低下し感染に対する抵抗力も落ちることが知られていますが、特に感染の危険は手術や麻酔に際して身体へ挿入すること が必要なカテーテルや手術の創(きず)そのものの感染のリスクも増加させます。 ふだん病院にかからない方が珍しく病院においでになったり、手術を受けることが決まって緊張したり…このようなことだけでも、血圧がいつもより上がってしまうことはよくあることです。 血圧の値は、正常範囲であるのが望ましいことはここで今さらあげるまでもありません。 しかし、高血圧のある方が必ずしも、手術を受けるべき時期 に、適正な血圧値にコントロールできているとは限りません。 少しばかり血圧が高いからといって麻酔をお断りすることはありませんが、異常に高い場合は手術の内容によっては降圧治療を十分行ってから麻酔を受けることをお勧めしております。 血圧が高いにもかかわらず、手術を受けることが予定された方には、手術中および手術後に予想される危険について、説明を受け、納得していただく必要があります。 たとえば、ふだんの血圧が140mmHgくらいの方がおられたとします。 この方が、手術中に麻酔や手術中の出血などの影響で血圧が100mmHgに下がったとするとその差は40mmHgです。 これに対して、普段の血圧が190mmHgくらいの方は、おなじ手術中の状況で血圧が100mmHgに下がれば、その差は90mmHgと実に大きな下げ幅となります。 どの麻酔法も一般に血管拡張作用を持つため、血圧が下がる機会が多くなります。 つまり高血圧の方は血圧が高ければ高いほど、血圧の下げ幅が大きく、血圧 の変動が激しいことは、身体の中の臓器などすみずみへ血液が行き渡らなくなる危険が増えることになります。 血液が行き渡らなくなる結果、予想される合併症は糖尿病のところでも述べた「脳梗塞」「心筋梗塞」ほかの臓器傷害です。 手術が終わり麻酔が切れると、今度は逆に麻酔による血圧低下作用がなくなるため、血圧が上がる危険が増えることになります。 動脈硬化が少なく血管に弾力性が保たれている方では、このときの血圧の上がりかたは緩やかであることが多い一方、高血圧の方のように動脈硬化が予想される場合では、血圧の急激な上昇にさらされる危険があります。 異常高血圧で起こる可能性のある合併症としては、頭では「頭蓋内出血(脳出血、くも膜下出血など)」、心臓では血圧の上昇に耐えられなくなった場合に起こる「心不全」など…実に様々です。 たばこを吸っている方が手術を受けるにあたって、不利益をうける可能性がある点は、いくつか言われていますが、代表的なものだけでもあげてみますと、• 呼吸器系の合併症の発生の危険• 循環器系の合併症の発生の危険• 創(きず)の感染の危険• 創(きず)の治りが悪くなる危険 などがあります。 これらのイベントが起これば、追加の手術やほかの様々な治療が必要となる、ということもありえることです。 その場合は当然、入院期間が延び、支払う医療費が増え、何よりもご自身の身体的苦痛が増えることになりかねません。 当院でも、手術の種類によっては、禁煙をお約束いただけない場合には手術をお引き受けできない場合がございます。 また禁煙をしていただいていたはずが達 成できていなかった場合に、手術の日取りがキャンセルになる場合もあります。 この点についてはそれぞれの診療科の主治医にご確認の上、ご注意願います。 麻酔科の立場から、手術に際して禁煙をお願いするときに考えることは、主に2つの点です。 1点目は、手術の前に禁煙をすると、発生の危険が減る合併症があることです。 適切な禁煙を行うことによって、上に挙げた危険(呼吸器系、循環器系、手術創関連合併症)の発生が減ることが分かってきました。 2点目は、喫煙を続けている方が、手術後早期に、苦しそうになさっている姿を目の当たりにすることです。 手術という体験は非日常的なもののひとつで あり、手術という身体に対するストレス(侵襲)に加え、全身麻酔では、麻酔中の人工呼吸(換気)により(程度の差はありますが)避けられない気管上皮へ の傷害、麻酔ガスによる痰の増加などが起こります。 手術の後は創(きず)の痛みを和らげる処置を講じますが、たばこによって痛められた気道と手術の後 に増える痰は、痛みを引き起こす多くの原因となります。 特に手術後早期の管理に携わっていると、たばこを吸わずにいればこのようなことには…と感じずにはいられません。 禁煙を守った期間と、それに応じた効果の関係については、もちろん禁煙をすればするほど有利といえます。 肺には呼吸によって身体に入ってきた外敵から守 る機構が備わっていますが、たばこによってこの仕組みが傷害されると、禁煙して元に戻るまでには半年かかるといわれています。 手術を受けると決まれ ば、4週間は禁煙しましょう。 たばこのけむりという化学物質には、気道は過敏になっていますが、この過敏性をとる(安定化させる)には少なくとも1週間程 度必要です。 逆にいえば1週間以内の喫煙は大きな危険を背負いながら手術に臨むことになるのです。 そして1週間やめられたら…2週間、3週間は、すぐ目 前です。 ほら、もう4週間の扉があなたを待っていますよ。 手術という大きなイベントは、また、人生の中で禁煙を実行できるきっかけとなる方も多いようです。 このページを最後まで読んで下さったあなた、ぜひ考えてみてください。
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