グレタ・トゥーンベリ(写真:AP/アフロ) 米ニューヨークの国連本部で9月、 地球温暖化対策を強化するため気候行動サミットが開かれた。 日本の小泉進次郎環境相は記者会見での「セクシー」発言が話題になったが、演説の機会はなし。 なんといっても注目を集めたのは、若者世代の代表として招かれた、スウェーデンの高校生で環境活動家の グレタ・トゥーンベリさんである。 16歳のグレタさんは各国の代表を前に、主要国が十分な温暖化対策を取っていないと怒りに満ちた声で非難。 温暖化対策に本気で取り組まなければ、「あなたたちを許さない」と大人たちを叱責した。 彼女の訴えに対し、大手メディアは「若者たちの怒りを重く受け止めねばならない」(朝日新聞)、「大人には、若者の申し立てに応える責任がある」(毎日新聞)などと好意的に取り上げた。 けれども、グレタさんの言い分には、大きく2つの問題点がある。 いや、これはグレタさんに限らず、国連や各国政府を含め、温暖化は危機だと警告する論者のほぼすべてに当てはまる。 気候変動について冷静に考えるには、これらの問題点を無視できない。 最初の問題点は、温暖化そのものについてである。 国連などの公式見解は「地球温暖化が起きている。 このままだと地球の生態系は破壊され、災害が増大して人間生活は大きな悪影響を受ける。 温暖化の原因は、化石燃料を燃やすことで発生する二酸化炭素(CO2)であり、これを大幅に削減することが必要」というものだ。 これは本当に正しいのか。 温暖化は起きてはいるものの、この100年の温度上昇のペースは、せいぜい1. 5度程度。 これは過去に自然変動で起きたものと大差なく、生態系や人間生活に大きな悪影響を及ぼすとは考えにくい。 実際、過去100年に起きた温暖化ではなんの被害もなく、人類は空前の繁栄を享受している。 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹で、エネルギー・地球温暖化問題を専門とする杉山大志氏のコラムによれば、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候のシミュレーションは「一連の過去の変化を全然再現できておらず、地球の気候の複雑さを表現できていない」。 IPCC自身、科学的不確実性は大きいと認めている。 したがって将来の予言も不確かだという。
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小泉進次郎環境相は20日の会見で、環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(16)の活動に触れ、日本の若者は「大人を糾弾するのではなくて、全世代を巻き込むようなアプローチを取るべきだ」などと異論を述べた。 グレタさんは大人たちの無策で地球温暖化が進み、自分たちの未来が奪われるとして、その怒りを「気候正義」として訴え、世界の若者の共感を呼んでいる。 小泉氏は今月、スペインで開かれた第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に参加した際、日本の若者と懇談した。 会見でそのことに触れ、グレタさんの影響は大きいとしつつ「後を追うのではなくて、別のアプローチもあるということを日本から発信したらどうか」と提案したと、明らかにした。 また、グレタさんは欧州と北米を温室効果ガス排出が少ないヨットで往復したが、小泉氏は「正直言って日本でみんな飛行機乗らないのは無理」とも述べた。 ただ、グレタさんは今月、ヨットで欧州に到着した際、「同じようにして欲しくてこういう旅をしているのではない。 今日、持続可能に生きることが不可能で、変化が必要だというメッセージを送るためだ」と報道陣に答えている。 小泉氏は9月、米ニューヨークの国連で開かれた気候行動サミットで、グレタさんの「若者はあなたたちの裏切りに気づき始めている。 もし私たちを見捨てる道を選ぶなら、絶対に許さない」という演説を日本政府代表の席で聞いた。 (松尾一郎).
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2019年9月23日、ニューヨークで開催された国連気候行動サミットで、世界中から注目された16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんのスピーチ。 感動や共感の声だけでなく、「大人に操られている」「子供らしくない」といった批判、中傷などさまざまな声も持ち上がった。 ノーベル平和賞の候補として、マララ・ユフザイさんを抜き史上最年少で受賞するのではないかと注目も集まった。 実際、スウェーデン現地では、グレタさんはどう捉えられているのか。 また、環境問題は現在どう捉えられているのか。 現在、スウェーデンの大学院に通い、本誌で緊急避妊薬の問題などを訴え続ける福田和子さんが、グレタさんがひとりで始めたことをきっかけに広がった現地の環境問題ストライキに参加。 現地の声を拾いながら、そこで感じた想いをレポートしてくれた。 グレタさんから始まった 現地のストライキに参加してみた 広場を埋める、人、人、人。 土砂降りの雨の中、まだベビーカーに乗る赤ちゃんから、杖をつくお年寄りまで、数え切れないほどの人が集まってくる。 9月27日金曜日、私はスウェーデンで2番目に大きい都市、ヨーテボリ市のグローバル・クライメート・ストライキに参加した。 このストライキは、もはや知らない人はいないであろうスウェーデン出身のグレタ・トゥンベリさんが昨年8月、たったひとりではじめた 「気候のための金曜学校ストライキ」にはじまっている。 彼女は毎週金曜日、地球温暖化への対策を求めスウェーデンの国会議事堂前に座り込んだ。 およそ1年後、彼女の活動は 「#FridaysforFuture」として世界中に知れ渡ることになった。 そして今年3月には、125カ国で10万人以上が参加する本格的な世界規模の「未来のための世界気候ストライキ」にまで拡大した。 さらに、9月23日に国連で行われた温暖化対策サミットでの鬼気迫るスピーチは、賛否を含め世界中で注目されたのだ。 スウェーデン出身・16歳のグレタ・トゥーンベリさん。 このとき行われた彼女の国連でのスピーチは必見だ Photo by Getty Images 私の住むヨーテボリ市で行われたストライキは、グレタさんのスピーチから4日後の金曜日に開催された。 グレタさんの出身国であるスウェーデンでは、一体どんなストライキが行われているのだろう。 私は即座に参加を決めた。 土砂降りの中、1万人もの老若男女が集結! その日は朝から土砂降りで、こんな天気で人は集まるのだろうかと思うほどだった。 デモ行進が始まる午後3時に集合場所に着いてみれば、心配をよそに、雨にも負けず広場に溢れるほど多くの人が自作のプラカードを掲げながら集まっていた。 主催者の発表によればその日の参加者は1万人、当初の予想を遥かに超えた人数だったという。 会場にて。 土砂降りの雨にも関わらず参加者は1万人に達した 撮影/福田和子 会場には老若男女問わず多くの人が参加していた。 まだ幼稚園生くらいの小さな子供まで、自分なりにプラカードを作って、自分の言葉で声を挙げる姿もあった。 中でも、私の目に焼き付いたのは、数々の 「気候ではなくシステムを変える」というプラカードだ。 これはグレタさんも掲げる「Climate Justice:クライメート・ジャスティス 気候正義、気候の公平性 」の考えに基づいたもので、 環境問題を単なる気候の問題とのみ捉えるのではなく、社会的、倫理的、政治的な課題として問題提起する考え方だ。 地球環境問題は、先進国に暮らす少数の「強者」が地球に大きな負担を掛けてきたことで生じているにも関わらず、 自然災害などの影響で最も苦しむのは多数の「弱者」だ。 さらに、このままでは世代間でも大きな不公平が生じる。 そこにおける公平さや構造そのものに疑問を投げかけているのが、クライメート・ジャスティスの考え方だ。 そういったことから、人々はシステムから変える必要性を訴えている。
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