寒い日が続くなか、気になるのがカゼのこと。 予防の鉄則は「手洗い」と「うがい」です。 うがいに関していえば、せっかくだから「うがい薬」を使ったほうが効果的なような気がしますよね。 独特の色と香りを持つ、ヨウ素入りのうがい薬。 ある商品の効能欄には「真菌・細菌からウイルスまで殺菌・消毒」と書かれていました。 カゼの症状であるノドの痛みの原因は細菌やウイルスですから、それを殺菌・消毒してくれるなら効果がありそう。 やはり、うがい薬を使ったほうが予防できるのでしょうか? うがい薬を「使わない」ほうがカゼを防げる 国内で過去、その疑問を検証した研究が行われました。 京都大学などの研究グループが、2005年に発表したものです。 うがいによるカゼの予防効果を「ランダム化比較試験」という方法で調べたところ、 うがい薬を「使わない」ほうがカゼが予防できるという結果が明らかになったのだそうです。 そんなのウソ!と思ってしまいそうな意外な結論ですが、どのようにして導き出されたのでしょうか? 「ランダム化比較試験」とは そもそも、ある薬や治療法に「効果がある」ことを示すには、どうすれば良いのでしょうか? すぐに思いつくのは『その治療法を、対象になる病気の患者さん100人に利用してもらい、後日、治ったかどうかを調べる』というようなやり方です。 とてもわかりやすい方法ですが、十分ではありません。 私たちは、たとえそれが単なる小麦粉だとしても「これは効く薬ですよ」と言われて飲んだ場合に、本当に治ってしまう場合があるからです。 症状の感じ方(例えば「ノドが痛い」など)は、そのときの精神状態によって左右されます。 また「効くと信じる」ことで気持ちが軽くなり、食欲が戻って栄養状態が改善すれば体調も良くなりそうな気がしますよね。 ですので 「治った(もしくは、病気が減った)」結果だけを見ても、治療自体の効果かどうかは分からないのだそうです。 (また、この調べ方では「薬のおかげで治った」のか「人間が持つ治癒力によって勝手に治った」のかを区別することもできません) そこで、薬の効果を調べる際などに一般的に行われているのが 「比較試験」という方法です。 研究の参加者をいくつかのグループに分け、それぞれのグループに別の治療法を行い、効果を比べます。 こうすることで、思い込みや自然治癒の影響を減らそうというのです。 このとき大切なのは、比較するグループごとに年齢や性別などの「偏り」がないようにすることです。 そこで用いられるのが 「ランダム化」という方法で、要は、どのグループに振り分けるかをくじ引きなどで決めることで、偏りをなくそうとする方法です。 このような手続きを踏んだ「ランダム化比較試験」は、とても 正確性の高い研究方法とされているのですが、手間がかかり、簡単にできることではありません。 グループごとに年齢や性別の偏りが生まれないようにするためには、少なくとも何百人単位の被験者に協力をお願いしなければならなそうです。 それだけ多くの人を集め、決められた治療法を守ってもらい、最終的に効果を分析する…。 と考えていくと、すごい労力がかかりそうですよね。 ランダム化比較試験で「うがい」を調べた結果は しかし前述の京都大学の研究では、その手間がかかる「ランダム化比較試験」でうがいの効果を確かめようとしました。 ボランティア 387 名をくじ引きで「水でうがいする」「うがい薬(ヨード液)でうがいする」「特にうがいをしない」という 3 つのグループに分け、2 ヶ月間の間にカゼが発症するかどうかを調べました。 なお、うがいするグループは、それぞれ決められた方法で、少なくとも1日3回うがいをしました。 カゼの発症率は、「うがいをしない」グループが 1 ヶ月あたり 100 人中26 人程度だったのに対し、「水でうがいをする」グループは 17 人にとどまり、4割ほど減ることが分かりました。 一方でうがい薬(ヨード液)でうがいをしたグループは100人中24人ほどがカゼになり、うがいをしない場合と比べて意味があると言えるほどの予防効果は認められませんでした。 結果をまとめると、 「うがいにはカゼの予防効果がある。 しかし、うがい薬は使わない方が良い」ということになります。 なぜ「水でうがい」のほうが効果が高かったのか? なぜ、水でうがいをするとカゼが減ったのか?京都大学の川村孝教授は、この研究を紹介したプレゼンテーション(上の動画)のなかで次のように述べています。 ウィルスの感染を助けるプロテアーゼ、一種の酵素ですけれども、これは口の中にたまたま入ってきたある種の細菌がつくったり、あるいは空気中の埃の中にもあったりしますが、このプロテアーゼ、これでしたらタンパク質ですから、うがいによって比較的容易に除去することが出来ます。 ウィルスの感染を助ける物質を洗い流したんじゃないか? という風に我々は考えています。 出典: 実はカゼの原因となるウイルスは、ノドの細胞に取り付くと比較的すぐに中に入り込んでしまうのだそうです。 ですので、うがいによってウイルスが洗い流されるとは考えにくいのですが、 ウイルスの感染を助ける物質を洗い流す効果はあるのでは?ということです。 ではなぜ、うがい薬を使うと効果がなくなってしまったのか?同じプレゼンテーションの中で、川村教授は次のように述べています。 ヨード液は非常に強力な消毒薬です。 確かに、風邪の原因となるウィルスをやっつけることが出来ますが、口の中に住みついていて微生物世界の秩序を保っている細菌たち、これを「常在細菌叢」って言いますけれども、この正常な細菌叢、これもヨード液によって根こそぎやっつけてしまいます。 そのため、口の中は丸裸の状態になってしまって、かえって感染に弱くなったのかも知れません。 もっとも、我々の研究は「実際にやってみたらこうだった!」ということを証明する研究であるので、メカニズムのことまでは説明できません。 よって、そちらのほうは他の研究者にお任せすることにします。 出典: うがい薬により、ノドの正常な細菌も殺菌されてしまったので、かえってカゼが感染しやすくなったのでは?ということです。 (ご自分で述べられているように、あくまで推測ですが) うがいのような、当たり前のようにしていることでも、調べてみると意外な発見があるものです。 研究者が、大きな手間をかけて導き出した知見。 せっかくだから日々の生活に活かしたいものですよね。 わたし自身も今日から「水を使って、1日3回うがい」を心がけようと思います。 執筆:市川衛 やってます。 良かったらフォローくださいませ.
次の
Contents• 気になる「鼻うがい」の全てを調べてみよう 花粉の時期になるとよく取り上げられる 「鼻うがい」。 知らない人が聞くと「痛そう」。 知っている人からすると「花粉症には効果あるのか?」というような疑問が出てくる鼻うがいですが、今回はそんな鼻うがいについて調べてみました。 鼻うがいとは? 喉をうがいするとき、水を喉に溜めて「ガラガラ」とすすぎ、喉に張り付いたウイルスや花粉、ハウスダストなどを洗浄しますよね。 その洗浄行為の鼻バージョンが「鼻うがい」。 花粉症予防や蓄膿症の改善、風邪をひかないための健康維持などでも役立つと言われいますが、一方でやり過ぎたり、やり方を間違えてしまうと鼻粘膜を傷つけてしまい逆効果になるとも言われています。 ですが、喉のうがいでは届かない 「上咽頭」を洗浄することができ、病院で推奨されることも多いです。 鼻うがいに期待できる効果 【花粉症やハウスダストなどのアレルギー予防】 鼻の奥に付いた花粉やハウスダストなどのアレルゲンを洗い流すことによって、アレルギー症状を起きにくくします。 【風邪予防】 花粉と同じく、風邪菌などのウイルスの付着を予防します。 【蓄膿症の症状緩和】 ネバネバとした鼻の奥についた鼻水を洗い流すことによって、炎症を緩和させたり、症状を落ち着かせる効果が期待できます。 ただし、副鼻腔まで洗浄できるわけではないので、蓄膿症独特の膿を洗い流すことができません。 鼻うがいのやり方• 生理用食塩水を作ります。 人間の体液と同じ濃度でないと、プールの水が鼻に入ったときと同じように(若しくは海水が鼻に入ったときと同じように)、鼻の奥がツーンとして、とても痛いです。 それを防ぐために、 36~38度くらいのぬるま湯1リットルに、9グラムの食塩水を入れて、生理用食塩水を作りましょう。 流し込んだ生理用食塩水を反対側の鼻から出します。 出したい方の鼻の方に少し顔を傾けると流れやすいのですが、馴れてきたら口から出しても良いです。 これを左右どちらの鼻からもやります。 もし、ノズルの付いたプラスティック容器が見当たらない場合は、 コップに生理用食塩水を入れて、ストローで鼻から吸い込む方法や、鼻が浸る位の大きさの 器に生理用食塩水を入れて、片方の鼻の穴を抑えつつ、もう片方の鼻の穴で吸うという方法もあります。 プラスティック容器は100均でも売っているかと思いますが、手に入れられない場合は、この方法で試してみてください。 市販の鼻うがい製品「ハナノア」 小林製薬から出ている「 ハナノア」は、ドラッグストアでも買える市販の「鼻うがいキット」。 洗浄器具を押して、シャワー状の生理用食塩水を入れるだけで、鼻がツーンとすることもなく、すっきりすると評判です。 自分で作る場合、濃度の関係でリットル単位で作らないとわかりにくいため、このように簡単かつ、衛生的に使える市販の物があるのはとても便利でしょう。 重曹を使うやり方も!? 鼻うがいの効果を高める方法として 「重曹を使う」という方法もあります。 通常の生理用食塩水に重曹を加えるだけで、ドロドロとした鼻水や膿まで簡単に出るようになるというのです。 分量的には『 水500ミリリットル:塩5グラム:重曹2. 5グラム』という比率。 重曹とは炭酸水素ナトリウムのことで、人間の体内に存在する物質です。 ベーキングパウダーなどで日常的にも使われている他、内服薬にも含まれている事もある安全な素材ですが、鼻うがいで使うものは、 スーパーなどで販売している食用の重曹を使うようにしましょう。 鼻うがいの注意点• 上を向くと、溶液が耳側に流れ中耳炎になることもあります。 吸いにくいかもしれませんが、前屈みの状態で吸い込むようにしましょう。 生理用食塩水の作り置きはしない。 防腐剤なども入っておらず、雑菌が入りやすいので 生理用食塩水は毎回新しい物を作るようにしましょう。 子どもには難しいこともあるので、耳鼻科で鼻うがいをしてもらうようにしましょう。 鼻を洗い終わった後に、強く鼻をかまないようにする。 強く鼻をかむと鼻粘膜を痛める他、中耳炎になる可能性もあります。 やり過ぎないこと。 鼻うがいのやり過ぎは逆効果。 1日1~2回までにしましょう。 鼻うがいで違和感を覚えたら耳鼻科へ。 自己流で鼻うがいをした場合、逆に炎症を起こしてしまうこともあります。 また、耳鼻科によっては素人の鼻うがいに反対している医師もいるため、少しでも違和感を感じたら病院へ行くようにしましょう。
次の
概説 [ ] うがいは、の予防には有効とされている。 調査によって、や水でうがいをするのは効果がある、ということが明らかになっている(後述)。 (緑茶でうがいすると、水よりもさらに効果が上がる、とされる。 だが、反対にいわゆる「うがい薬」を混ぜたものでうがいを行うと、かえって効果がほとんどなくなる、との研究結果がある。 から(塩)水を吸い込んで鼻腔内を洗浄する行為は 鼻うがいと呼ばれる。 英語圏では、風邪でが痛い時など、コップのぬるま湯にをスプーン半分ほど入れてうがいをすると、痛みをやわらげるとして、薦められることがある。 欧米の民間療法では、風邪の際には、をくわえた水でうがいをするという方法が伝わっているといい 、コップ2杯分のお湯に、の葉を1(あるいはレモンジュースを同量)加え、そこに蜂蜜1さじを加えて、それを冷ましてからうがいするという [ ]。 うがいの種類 [ ] 口中の洗浄 ブクブクうがいとも呼ばれる。 水を含んで口を閉じ、を膨らませたり元に戻したりを交互に素早く行ってすすぐ。 喉の洗浄 ガラガラうがいとも呼ばれる。 水を含んで口を開け、頭部を後ろに傾け(=上を向いて)息を吐く。 語源・歴史 [ ] 「うがい」という語の語源は、であり表現である。 に魚を飲み込ませ、その後吐き出させる様子が似ていることから、「うがい」と呼ばれるようになった。 (元年)に成立した国語辞典『』には「鵜飼嗽也」とある。 うがいは、では古くはから行われてきたとされている。 効果 [ ] 風邪予防 教授のグループが、被験者を「うがいをしない群」「水うがい群」「うがい群」に割り付けて、うがいの予防効果を検証した。 その結果は、1か月あたり100人中の発症率は、うがいをしない群26. 4人、水うがい群17. 0人、ヨード液うがい群23. 6人であった。 この結果について川村教授は、うがいをすることにより、水の乱流によってや、埃の中にありウイルスにかかりやすくするという物質が洗い流されること、水道水に含まれるが何らかの効果を発揮したことなどが考えられ、またヨード液でそれほど効果が出なかったことについては、ヨード液がのどに常在する細菌叢を壊して風邪ウイルスの侵入を許したり、のどの正常細胞を傷害したりする可能性があるとみている。 発熱予防 の(公衆衛生学)らは、研究者から疑問視されているにもかかわらず、日本国内でうがいが推奨され続けていることを不思議に思い、調査を実施した。 調査は、(18年)1〜2月の20日間、の保育所145か所で、2〜6歳の子ども1万9595人を対象に行った。 保育所で1日1回以上、水道水や緑茶などでうがいを行ったグループと、行っていないグループに分け、37. 5度以上の発熱をした子どもの割合に差があるかどうかを調べた。 その結果、うがいをする子どもが発熱する割合は0. また、緑茶でうがいをした子どもが最も発熱しにくく、食塩水、水道水の順に発熱者の割合が増えた。 インフルエンザに関して の教授は、「(うがいは)に関しては、 意味がないと思います」と 効果を否定した。 でも「インフルエンザを予防する効果については 科学的に証明されていません」と掲載しており、では有効なの予防法にも掲載されていない。 うがい薬 [ ] いわゆる「うがい薬(含嗽薬)」には、大別して殺菌消毒用と鎮痛消炎用の2種類がある。 殺菌消毒用の薬は、「風邪の予防」や「の治療」などが謳われている。 主成分は、、、など。 のどや口腔内に付着したを殺菌する効果があり、口臭除去にも有効である、とされる。 鎮痛・消炎用のうがい薬は、、、などが主成分で、「細菌の付着などで損傷を受けたのどや口腔内ののを鎮める作用がある」などと謳われている。 処方箋医薬品 [ ] 処方箋医薬品としてはや、などが知られている。 咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防、口腔内の消毒に対して用いられる。 遊離ヨウ素の酸化作用によって蛋白質を変性させて微生物を殺す。 ヨード過敏症では使用できない。 また長期使用で甲状腺機能低下症となった例も存在する。 褐色の液体であるが、(通称ではハイポエタノール)で脱色することができる。 ベンゼトニウム は陽イオン界面活性剤である。 口腔内の消毒や抜歯創の感染予防に対して用いる。 ポビドンヨードとの違いは、ヨードアレルギーの患者に使用可能であること、洗口後に清涼感があること、口腔粘膜に対する刺激が少なく毒性が低いことが知られている。 フラジオマイシン はである。 フラジオマイシン以外にネオマイシンあるいはソフラマイシンという別名もある。 マナー [ ] うがいの、に関して言うと、欧米では人前や食事の時間帯にうがいをすることは下品だと見なされており、うがいをするのはあくまで、独りでやにいる時である。 脚注 [ ]• 第五版 p. 223「うがい」• Kazunari Satomura; Tetsuhisa Kitamura, Takashi Kawamura, et al. November 2005. American Journal of Preventive Medicine 29 4 : pp. 302-307. 『』「File090 新型インフルエンザの真実」 放送• 首相官邸「」2013年1月31日閲覧 関連項目 [ ] に関連の辞書項目があります。
次の