7月27日付日経新聞より とうとう持ち株会社の経営トップ辞任、金融庁からの業務改善命令も間近に迫る事態にまで発展した、野村證券による一連の増資インサイダー事件。 この事件は、世に明るみに出た当初から、野村ホールディングス(HD)、同HDの基幹会社である野村證券(以下、野村)の企業風土に、大きな問題があると見る向きは多かった。 そこで今回、野村社員の証言をもとに、同社の実態に迫ってみよう。 「野村なら、これくらいやるだろう……というのは野村関係者をはじめ、証券業界ではみな衆目の一致するところ。 体育会系の縦社会的な社風なだけあって、野村では体育会出身者が数多く入社するという。 今ではよく知られているが、入社式で新入社員は大声で社歌を愛唱するところから、野村マンとしてのスタートを切る。 「入社式の2日前から研修という名目で合宿があり、ここで社歌を覚えさせられる。 昔は入社前の合宿時から、新入社員は指導役の社員から『声が小さい!』と怒鳴られていたというが、私の時は『もうちょっと大きい声で歌おうよ!』くらいだった。 そもそも野村に入ってくる社員の多くは、体育会出身かそういうノリなので、この時点で社に嫌気が差す人は少ない」(A氏) A・B・C、隠された階級別採用 A氏によると、野村社員は、かつて総合職と呼ばれた「全域型社員」、同じく一般職と呼ばれた「地域型社員」のいずれかとして採用されるが、新入社員の頃から、いくつかの区分分けが行われている節があるという。 「人や時代によって、多少言い方は異なるが、全域型社員、つまり総合職でも、A採用・B採用・C採用に分かれており、研修後の人事配属でも露骨にこれが反映される。 もっとも社員本人は、自分が、どの区分なのかはわからないが、日々嫌でも自覚させられていく」(A氏) この社員の区分けのうち、A採用のはAは「Alternative」の頭文字で、「誰でも代わりが務まる人材」という意味。 陰では「兵隊要員」とも呼ばれる。 このA採用が社員の多くを占めることはいうまでもない。 次にB採用。 学歴では、東大、京大、早稲田、慶応などの卒業生が多くを占める。
次の詐欺話は野村證券元社員が作り上げたもので、複数の現役社員が関与していた。 問題の船橋支店営業マンは複数の担当顧客に詐欺話を勧めていたことも分かった。 しかし昨年10月26日朝、男性顧客の元に突然、船橋支店の担当者であるS(イニシャル)が現れる。 Sは顧客の担当となった18年4月に電話でやり取りして以降、この日まで自宅に招いたことはなく、実質的な初対面であった。 中村は慶應大学法学部卒業で、元野村證券社員とのことで、男性顧客に口頭で投資を持ち掛けた。 長年の取引関係から野村證券というブランドを信じ、その場で3500万円の投資を承諾してしまう。 この日、妻と旅行に出かける予定であった男性顧客は、言われるがままに投資を承諾し、旅の道中でSに指定された口座に送金を実行してしまう。 12月末までに野村の口座で運用していた資産のほぼすべて、約7000万円を投資させた後、1月初めにSは「転勤」を理由として、この取引から離脱する。 それから1カ月後の2月初め、中村は自殺を装って逃亡を企てるも、間一髪で別の詐欺被害者に確保され、詐欺が露見した。 〈元本保証〉と投資を謳いながら、契約書は金銭消費貸借契約なのは、露見したときに刑事責任の追及を逃れるためだろう。 詐取した金は、個人的な負債の穴埋めや、六本木の高級クラブの遊興費に費消された模様だ。 一説によると、中村は六本木界隈で「シャンパン王子」と呼ばれるほど豪遊を重ねていたという。 中村は5月頃に弁護士を立て、現在は債務整理に入っている。 すると確認の電話が入ったその日、Sが男性顧客の自宅を訪れ、不在であるにも関わらず周囲を徘徊するという事態が発生したという。 口封じを図りたかったのだろう。 案の定、Sは男性顧客に「自分は何も紹介していませんし、関係ありません」と述べている。 Tは「土地転がしとFXと金の運用で、1000万円から2000万円の投資に対して毎月5~10万円の配当を出す」と述べていた。 Tも中村の投資被害に知人を巻き込んでおり、弁済する必要に追われていたという。 そこでSから、この男性顧客は騙されやすい性格であることを聞きつけて、二匹目のどじょうを狙いに行ったと思われる。 詐欺師の発想そのものだ。 Tと中村は同時期に近畿地方の支店に配属されていた。 八千代市の男性顧客以外の被害者は千葉県と近畿の一部地域に集中 しているようである。 中村が、野村證券の営業支店網を利用して、多数の投資家に詐欺を仕掛けたものと思われる。 船橋支店の男性顧客の場合は、形式的には詐取金は中村の関係口座に振り込まれているが、実際の勧誘は野村證券社員により担われている。 信頼している営業マンが詐欺師を紹介するのだからたまったものではない。 野村證券船橋支店は事案の詳細を確認中である。 野村ホールディングスは当サイトの取材に対して「警察に相談しておりますので、コメントを控えさせていただきます」と回答した。 この事案には野村證券社員同士の複雑なネットワークが背景にあり、追って報じていきたい。 野村證券の営業マンを巡っては、当サイトが報じたや事案など、詐欺そのものか、詐欺まがいの行為が相次いでいる(つづく)。 (文中敬称略) 投稿ナビゲーション.
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会見で「忸怩(じくじ)たる思い」と語った野村ホールディングスの永井浩二CEO 「法人関係情報の取り扱いは厳しくしていたが、それに該当しない市場に影響を及ぼす重要情報については、必ずしも明確な規定がなく、個人の良識、行動規範に依存していた。 極めてゆゆしき問題だ」。 同日午後、都内で記者会見した野村HDの永井浩二・最高経営責任者(CEO)はこう陳謝した。 前回インサイダー問題では当時のCEOが責任を取って辞任し、永井氏がトップに就任。 改革の「旗手」として情報管理徹底を進めていただけに、今回の不祥事に落胆の色を隠せなかった。 経営責任があるとして役職員7人は減給処分とし、永井CEOは月例報酬の3割(3カ月)を返上する。 情報漏洩は3月に発覚。 東証が第1部など現在4つある市場区分を見直すため、有識者懇談会で新市場の時価総額など上場基準を議論していた。 会のメンバーだった大崎貞和・野村総合研究所フェローが、非公開となっていた内容を野村証券のストラテジストに伝え、社員が機関投資家にその内容を漏らした。 もともと、この問題に関しては「あれはやばい。 社内の情報共有だけでなく、外部の投資家に漏れている点でアウトだ」(金融関係者)との声もあり、処分は避けられない状況だった。 野村HD側が早い段階から「この事態は重くとらえている」との認識を示してきたことも事態の大きさを裏付けていた。 情報漏洩が起きた東証の市場再編の問題は、関係者の関心が高かった。 昨年来、市場関係者の間で新しい東証1部の最低上場基準の一つとなる時価総額がどこに線引きされるのか、様々な臆測を呼んだ。 例えば、経営悪化が危ぶまれている上場地方銀行。 「市場区分の見直し議論は、地銀再編を促したい金融庁の意向があったのでは」などの噂も飛び交ったほどだ。 そうした中で情報漏洩が起きた。 情報流出そのものが許されないのはもちろんだが、改善に取り組んでいたはずの野村の企業風土が全く変わっていなかったことが明らかになっただけに衝撃は大きい。 永井氏は「インサイダー問題後、社員の職業倫理教育などを徹底していた。 しかし、組織がこんなことをしたら、市場にどう影響を与えるかという認識に至っていなかった。 忸怩(じくじ)たる思いがある」と弁明。 情報管理の面で、インサイダー問題以降も組織の根っこは変わっていないことが浮き彫りになった。 野村は19年3月期に1000億円を超える最終赤字を計上し、首都圏を中心に全体の2割の店舗を統廃合するリストラ策を進めると公表したばかり。 凋落(ちょうらく)が著しい証券業界のガリバーは経営を立て直すことができるのだろうか。
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