「」とは異なります。 囚人のジレンマ(しゅうじんのジレンマ、: prisoners' dilemma)とは、におけるゲームの1つ。 お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というである。 各個人が合理的に選択した結果()が社会全体にとって望ましい結果()にならないので、とも呼ばれる。 に数学者のが考案した。 の ()と ()の行った実験をもとに、タッカーがゲームの状況をのやにたとえたため、この名がついている。 囚人のジレンマではゲームを無期限に繰り返すことで協力の可能性が生まれる()。 囚人のジレンマは、自己の利益を追求する個人の間でいかに協力が可能となるかというの基本問題であり、、、、、、などの幅広い分野で研究されているほか、であるにおいても生物の協力行動を説明するモデルとして活発に研究されている。 ゲームの基本 [ ] と思われる2人のA・Bを自白させるため、検事はその2人の囚人A・Bに次のようなをもちかけた。 本来ならお前たちは5年なんだが、もし2人ともしたら、証拠不十分として減刑し、2人とも懲役2年だ。 もし片方だけがしたら、そいつはその場でしてやろう(つまり懲役0年)。 この場合黙秘してた方は懲役10年だ。 ただし、2人とも自白したら、判決どおり2人とも懲役5年だ。 このとき、「2人の囚人A・Bはそれぞれ黙秘すべきかそれとも自白すべきか」というのが問題である。 なお2人の囚人A・Bは別室に隔離されており、相談することはできない状況に置かれているものとする。 2人の囚人A・Bの行動と懲役の関係を表( 利得表と呼ばれる)にまとめると以下のようになる。 たとえば表の右上の欄 10年,0年 とは,「Aが黙秘・Bが自白」を選択した場合、Aの懲役は10年、Bの懲役は0年であることを意味する。 囚人B 黙秘 囚人B 自白 囚人A 黙秘 2年, 2年 10年, 0年 囚人A 自白 0年, 10年 5年, 5年 2人の囚人A・Bにとって、「互いに自白」して互いに5年の刑を受けるよりは「互いに黙秘」して互いに2年の刑を受ける方が得である。 しかし、2人の囚人A・Bが それぞれ自分の利益のみを追求している限り、「互いに黙秘」という結果ではなく「互いに自白」という結果となってしまう。 これがジレンマと言われる所以である。 このようなジレンマが起こるのは以下の理由による。 まず囚人Aの立場で考えると、囚人Aは次のように考えるだろう。 だから「自白」を選んで0年の懲役になる方が得だ。 だからやはり「自白」を選んで5年の懲役になる方が得だ。 したがって、囚人Aにとっては, 囚人Bがどのように行動するかにかかわらず自白することが最適な選択ということになる。 これは囚人Bにとっても同じであるため、囚人Bも囚人Aと同じ考えによって自白することが最適な選択である。 このような理由で2人の囚人A・Bは結果的に「互いに自白」という行動をとることとなる。 重要なのは、「囚人Bが自白してしまうのではないか」という懸念や恐怖から囚人Aは自白するわけではなく、囚人Bが黙秘しようが自白しようが囚人Aは合理的に自白する、という点である。 2人の囚人A・Bにとって「互いに黙秘」することがであるにもかかわらず,2人の囚人A・Bがそれぞれ合理的に自白するという「互いに自白」という結果はではあってもではない。 2人の囚人A・Bが「互いに黙秘」することを「 協調」と言い換え,「どちらかが黙秘しているとして自分だけが自白して釈放してもらおう」とすることを「 裏切り」と言い換えたとき,結果的に両者は「裏切り」を選択することとなる。 有限繰り返しゲーム [ ] 囚人のジレンマのゲームを一回しか行わない場合は上で説明したように両者が「裏切り」を選択するが、それに対しゲームを複数回行った場合()における2人の囚人の行動は、彼らがゲームの繰り返し回数を知っているか否かで異なる。 2人の囚人がゲームの繰り返し回数を知っている場合は 有限繰り返しゲームと呼ばれ、この場合には2人の囚人が全てのゲームで「裏切り」を選択することが知られている。 証明は、最終回のゲームから逆順に以下のを行うことで示せる( )。 以下ゲームの繰り返し回数を n とする。 n 回目のゲームは最終回のゲームであるので、 n 回目のゲームの結果がそれ以前に行った n-1 回のゲームの戦略に影響することはない。 よって n 回目のゲームの戦略はゲームを一回しかやらない場合の戦略と同様であり、囚人はともに「裏切り」を選択する。 n 回目のゲームでは双方とも必ず「裏切り」を選択するのだから、 n-1 回目のゲームで自分が「協調」を選択しようが「裏切り」を選択しようが n 回目のゲームには影響しない。 よって n-1 回目のゲームにもやはり駆け引き的要素は存在せず、このゲームでも2人の囚人はともに「裏切り」を選択する。 以下同様に考えることで、全てのゲームで2人の囚人がともに「裏切り」を選択することが分かる。 無期限繰り返しゲーム [ ] 2人の囚人がゲームの繰り返し回数を知らない場合は 無期限繰り返しゲームと呼ばれる。 有限繰り返しゲームにおいては、最終回のゲームから順に後退帰納法を適用することで全てのゲームで裏切りを選択するのが均衡となることを導いた。 しかし,無期限繰り返しゲームではゲームが終了する確定的な期限がないので後退帰納法を適用できず、協調の可能性が生まれる。 このことを説明するため、以下の利得表で表される囚人のジレンマゲームを考える。 なお以下では,数学的な説明のために「囚人」を「プレーヤー」という言葉で置き換える。 なお、「利得」とは得られる利益を意味し、多い方がよい。 はじめは協調を選択し、相手が一度でも裏切ったらそれ以降は裏切りをとりつづけ、そうでなければ協調する。 お互いにトリガー戦略をとっているときに自分がこの戦略から逸脱するがなければ、トリガー戦略がになることが示される。 最も簡単なケースは、プレーヤーが将来を割り引かず、常に明日のことを今日と同じぐらい大事に思う場合である。 ゲームを無限に何度も繰り返すものとして、各プレイヤーが無限回の利得を平均した 平均利得を最大化すると想定しよう。 互いにトリガー戦略をとると互いに協調しつづけることになるので毎回の利得は2であり平均利得も2である。 一方、自分がトリガー戦略から逸脱して裏切った場合、裏切った回は3の利得を手に入れるがその後は相手も裏切るので自分の利得はせいぜい1にしかならない。 1回だけ利得3でその後ずっと毎回利得1なので平均利得は1になるが、これはトリガー戦略の平均利得2を下回る。 つまりプレイヤーはトリガー戦略から逸脱すると長い目でみて損をする。 したがって互いにトリガー戦略から逸脱せず協調しつづけるのがナッシュ均衡になる。 これにより協調が生まれる可能性が示される。 ナッシュ均衡を生み出す戦略はトリガー戦略のみに限らない。 たとえば最初は協調し以降は前回相手の出した手をそのまま出す も、逸脱するインセンティブがないので均衡となる。 このほか協調を実現する均衡は無数に存在する。 また、互いに裏切り続けるのも均衡として残る。 このように無数の均衡が存在することはで示される。 将来を割り引くケース [ ] 上記の平均利得を最大化するという設定は、プレイヤーが無限に忍耐強くて将来を割り引かないことを意味しており、現実的とはいえない。 プレイヤーが将来を割り引く場合については、次の通りである。 すなわち割引因子が十分に高い場合に協調が生まれる可能性がある。 ゲームが終るかもしれないケース [ ] ここまではゲームを永久につづける 無限(infinitely) 繰り返しゲームを考えたが、これは現実的とはいえないので、その代わりに 無期限(indefinitely) 繰り返しゲームを考える。 無期限繰り返しゲームとは、ゲームが確定的に終わる期限はないが、ゲームが確率的に終わる可能性を想定する。 ゲームの終わる確率が十分に小さければトリガー戦略がナッシュ均衡になり、協調の可能性が示される。 不完全観測のケース [ ] ここまでは相手の行動を完全に観測できると想定した。 現実には「相手に協調してもらったのに裏切られたと誤解する」「裏切られたのに気付かない」というように、他人の行動を不完全にしか観測できないことが多い。 このような 不完全観測のもとでの無期限繰り返し囚人のジレンマの理論は近年大きく発展している。 不完全観測のケースでは、相手の他のプレイヤーの行動を不完全ながら表す シグナルを観察できるものとし、誰もが観察できるシグナルがある場合を 公的不完全観測、各人自分しか見られないシグナルを観察する場合を 私的不完全観測という。 公的不完全観測のケースは比較的分析が容易である。 完全観測下のトリガー戦略に似た戦略で協調が生まれる。 フォーク定理は1994年にきわめて緩い条件のもとで証明された。 一方、 私的不完全観測のケースは分析が困難で、いまだ研究途上にある。 私的不完全観測では協調を生み出す戦略を見つけること自体が難問で、長い間ゲーム理論の未解決問題として有名であった。 この難問に初めて答えが出たのは1997年のことで、きわめて高い精度で人の行動を私的観測できる場合の囚人のジレンマで協調を生み出す戦略が見つかった。 また、各期の終わりに集まってコミュニケーションをとれる場合に限っていえば、1998年に一定の緩い条件のもとでフォーク定理が証明された。 コミュニケーションを取れない場合については、相手が今までみてきたことを全く気にする必要のないような特殊な均衡をつくる 信念不問アプローチが多くの成果を挙げている。 2002年には信念不問アプローチにより囚人のジレンマの均衡を簡単につくる方法が発見され、本格研究が進展し始めた。 そして2012年、ついに私的不完全観測下のフォーク定理がかなり緩い条件のもとで証明された。 現実における囚人のジレンマ [ ] 企業の値下げ競争、の供給、、の管理、やのための国際協力など、現実社会における事象にも囚人のジレンマを使って説明できるものは多くある。 それどころか、囚人のジレンマはあらゆる商談についてまわる。 商品交換の機会は典型的な1回限りの囚人のジレンマの状況を含む。 取引によって互いに利益を得ることができるが、取引相手を騙すことで自分の利益を増やすことができるからである。 具体的には、買い手が期日までに代金を支払わない、売り手が商品を引き渡さない、を売りつける、といった裏切りである。 取引が実現するには裏切りをコントロールする仕組みが必要だが、その仕組みは取引の繰り返しによっても確保される。 取引相手が裏切ったら将来の取引をやめるという脅しをかけあうことで裏切りを阻止するのである。 アクセルロッドに対する批判 [ ] のは、無期限繰り返し囚人のジレンマの競技会を企画し、各分野の社会科学者からコンピュータ・プログラムを募って対戦させた。 その結果、しっぺ返し戦略が優勝した。 さらにアクセルロッドが参加プログラムについて進化シミュレーションを走らせたところ、生き残った戦略のなかでしっぺ返し戦略の数が最大であった。 アクセルロッドはこれらの結果にもとづいて、しっぺ返し戦略は善良・報復・寛容・明快を兼ね備えており人間の協力全般にとって適切なパラダイムである、と主張した。 この主張を鵜呑みにする社会科学者は少なくない。 アクセルロッドの研究は大きな反響を呼び、これ以降、、社会学、政治学、などにおいて、さまざまな戦略を戦わせて、どの戦略が生き残るかをみるコンピュータ・シミュレーションが行われるようになった。 このようなアクセルロッド流シミュレーション研究は、均衡の存在を数学で証明する本来のゲーム理論とほとんど関係がない。 アクセルロッドの研究はゲーム理論研究者の間で評判がよくなかった。 らゲーム理論研究者はアクセルロッドを次のように批判する。 アクセルロッドの研究のせいで、かなりトンデモない(astonishing)主張が広まってしまった。 しっぺ返しはあらゆるシミュレーション環境で最適なのだとか、ひどいのになると、しっぺ返しは人類の複雑な社会関係における協力の基礎であり生物の社会的協力の進化を全て説明できるのだとかいう主張である。 アクセルロッドは、トーナメントの結果から長期的人間関係について一般的な教訓を導いているが、そのような一般化が可能であるという理論的根拠を示していない。 根拠のない一般化は危険である。 アクセルロッドはうっかり有限繰り返し型の囚人のジレンマの進化シミュレーションを走らせてしまった。 有限繰り返し囚人のジレンマは必ず裏切りあいの結果になるので、シミュレーションを走らせる必要はない。 勝つ戦略は決して協力しない。 アクセルロッドの得た結果はそのシミュレーション環境に依存している。 戦略の初期数を変えると、生き残るしっぺ返し戦略の数は最大にならない。 アクセルロッドがしっぺ返し戦略に見出したという善良・報復・寛容・明快の利点なるものは、一つ一つ検討してみると、どれも妥当なものではない。 無期限囚人のジレンマで協力の可能性がありうることは、アクセルロッドの研究の何十年もまえにフォーク定理で証明されている。 ゲーム理論を全く知らなかったアクセルロッドはフォーク定理の一部を 再発見したにすぎない。 アクセルロッドはゲーム理論からの批判を意図的に無視し続けているという。 なお、ゲーム理論においてアクセルロッドの業績が全否定されているわけではない。 ビンモアによると、アクセルロッドの貢献はただ一点。 フォーク定理が存在を証明する無数の均衡の中から特定の均衡を選ぶことが重要であると気づかせてくれた点にある。 による均衡選択は今やゲーム理論ので標準的なアプローチになっている。 アクセルロッドはその先駆者である、という。 代表的な戦略 [ ] 以下にアクセルロッドの競技会に参加した戦略の例を記す。 Tit For Tat 初回は協調を選択し、2回目以降は前回に相手が出した手と同じ手を出す。 アクセルロッドが呼びかけて開催された戦略をリーグ戦方式で対戦させる選手権では2回優勝しているが、2004年の選手権ではに敗れている。 逆しっぺ返し戦略 Reverse Tit For Tat 初回は裏切りを選択し、2回目以降は前回に相手が出した手と同じ手を出す。 堪忍袋戦略 Tit-For-Two-Tats 初回は協調を選択し、相手が2回連続で裏切りを選んだとき、次回に裏切りを出す。 フリードマン戦略 Friedman 初回は協調を選択し、相手が1回でも裏切りを選んだら、以後は最後まで裏切りを出す。 ヨッス戦略 Joss 初回は協調を選択し、2回目以降は相手が前回に裏切りを選んでいたら裏切りを出す。 テュロック戦略 Tullock 最初の10回は協調を選択する。 デービス戦略 Davis 最初の10回は協調を選択する。 その間、相手が1回でも裏切りを出していれば、以降は裏切りを出す。 でたらめ戦略 Random 毎回、協調を出すか裏切りを出すかに決める。 悪人戦略 All-D 常に裏切りを出す。 善人戦略 All-C 常に協調を出す。 関連する概念 [ ] 一方向の囚人のジレンマ [ ] 囚人のジレンマの標準的なゲームでは二人のプレイヤーが同時に行動する。 これに対して、プレイヤーの間で行動のタイミングがずれるゲームは一般に信頼ゲームと呼ばれるが、 一方向の囚人のジレンマとも呼ばれる。 一方向の囚人のジレンマは、同時行動の囚人のジレンマと同じように、一回限りでは協力が成立しないが、無期限に繰り返すと協力が成立し得る。 社会的ジレンマ [ ] 社会学では囚人のジレンマを3人以上の集団に拡大したものを社会的ジレンマと呼ぶことがある。 この意味での社会的ジレンマは、社会において 1 各人が協力か非協力かを選ぶ、 2 各人にとっては協力よりも非協力を選ぶほうが望ましい結果を得る、 3 全員が非協力を選ぶと全員が協力を選んだ場合より誰にとっても望ましくない結果におちいる、と定義される。 社会学では、社会的ジレンマを多人数囚人のジレンマに限るのは社会的ジレンマの定義として狭すぎるという意見がある。 社会的ジレンマの定義を拡張し、社会的ジレンマを全てのナッシュ均衡がパレート非効率であるゲームと定義する とか、さらにはナッシュ均衡がパレート効率である多人数を社会的ジレンマに含める といったことがある。 直接互恵 [ ] 直接互恵は、が提唱したの概念であり、個体間の協力が進化するメカニズムの一つである。 直接互恵では、2つの個体が繰り返し出会い、出会うたびに協力か裏切りを選ぶ。 自分が今回協力すれば相手も次回協力してくれるかもしれないので協力は有利かもしれない。 この直接互恵は、ゲーム理論の繰り返し囚人のジレンマに相当する。 囚人のジレンマのコンピュータ・トーナメントでは単純なしっぺ返し戦略が優勝したが、しっぺ返し戦略の弱点はすぐに見つかった。 「震える手」や「曖昧な心」による誤作動があると、しっぺ返し戦略の成績は悪化する。 単純なしっぺ返し戦略では間違えて裏切ると報復合戦に陥って間違いを修復できないからである。 そこで、しっぺ返し戦略に代わって「寛容なしっぺ返し」戦略が台頭する。 これは相手が協力するときは常に協力するが相手が裏切っても時々協力する戦略である。 次いで、さらに単純な「勝てばそのまま負ければかえる」戦略が台頭する。 これは、うまくやっている時は手を替えないが、さもなければ替えるという戦略である。 「勝てばそのまま負ければかえる」戦略は、成績の計測次第で「しっぺ返し」や「寛容なしっぺ返し」より強い。 しっぺ返し戦略は裏切者の多い社会において協力を促進するが、一旦協力が確立されると「勝てばそのまま負ければかえる」戦略のほうがもっと協力を維持できる。 協力を促す戦略は無数にあるが、その一般法則は次の通りである。 脚注 [ ] []• , pp. 25—27。 87、pp. 102—103。 , p. , p. , p. 102。 , pp. 87—88。 量刑などの細かい設定は異なる。 , pp. 296—301。 利得表の数値は, p. 98 図7による。 , p. , pp. 121—123。 または、7. Folk theorem。 , pp. 144—147。 , pp. 147—151。 124。 またはの"What can go wrong? "の節。 , pp. 135—146。 , p. , p. , p. , p. , pp. 78—79• , p. 384。 , pp. 以下この段落はこれによる。 この段落は, p. アクセルロッド本人の著書は(原著1984年)である。 で引用される J. Martinez-Coll and J. Hirshleifer 1991 "The limits of reciprocity" Rationality and Society 3, p35-64。 , pp. 30—31。 著名なゲーム理論研究者「M教授」の意見を神取が解釈したもの。 で紹介される J. Nachbar 1992 "Evolution in the finitely repeated Prisoners' Dilemma," Journal of Economic Behavior and Organization 19, p307-326。 ケン・ビンモア. ELSE, Economics Department, University College London. 1998, JASSS vol 1, no 1. 光辻克馬 2016年9月16日. 2017年5月23日閲覧。 , pp. 354—361• , pp. 48—49。 , pp. 17—18。 で紹介される Raub,W. , 1988 "problematic Social Situation and the Large Number of Dilemma: A Game-theoretical Analysis," Journal of Mathematical Sociology 13 4 , pp311-357や、永田えりこ(1988)「自由と効率」『方法と理論』3 1 ,pp43-56。 で紹介される Taylor,M. 1987 Possibility of Cooperation, Cambridge University Pressや、木村邦博(2002)『大集団のジレンマ』ミネルヴァ書房。 の Direct Reciprocity。 以下この節はこれによる。 参考文献 [ ]• ラパポート, A. 『』滝沢弘和・谷口和弘訳、NTT出版、2003年10月、新装版。 原書 October 1984. The Evolution of Cooperation. Basic Books. 『比較歴史制度分析』岡崎哲二・神取道宏 監訳、NTT出版〈叢書 制度を考える〉、2009年12月。 『正義のゲーム理論的基礎』栗林寛幸訳、NTT出版〈叢書《制度を考える》〉、2015年5月。 原書 2005. Oxford University Press. 武藤正義 2005年. 『秩序問題への進化ゲーム理論的アプローチ』(科学研究費補助金研究成果報告書). 75—97. 渡辺隆裕『ゼミナール ゲーム理論入門』日本経済新聞出版社、2008年4月。 1998. Journal of Artificial Societies and Social Simulation 1 1. 2004. Politics, Philosophy and Economics SAGE Publications Ltd 3 1 : 5—35. Nowak, M. 2006. Science www. sciencemag. org 314: 1560-1563. Osborne, M. ; Rubinstein, A. 1994. MIT Press. 関連項目 [ ]• 外部リンク [ ]• (英語) - 「囚人のジレンマ」の項目。
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世の中の悩みの大半は人間関係にまつわることではないでしょうか。 例えば友人との関係、恋人との関係、同僚との関係、クライアントとの関係、近隣の同業者との関係など生きている限り悩みは尽きません。 協力すべきなのか裏切るべきなのか人間関係で悩む度に考えなければならないのは大変です。 そんな時には一貫したルールを設けておくと日々、人間関係に悩んでも自分がどう対応するべきかをシンプルに決められるようになります。 有名な処世術の一つに経済学のゲーム理論から生まれた「しっぺ返し戦略」があります。 「しっぺ返し戦略」はどんな場面でも必ずしも有効な手立てではありません。 しかし「しっぺ返し戦略」の事例を通して分かることは長期的な人間関係を築く時は、結局のところ信頼を築いていくために誠実であることの大切さです。 しっぺ返し戦略を通して長い目で見たら人間は誠実であることが結局はうまくいきます。 しっぺ返し戦略とは しっぺ返し戦略はいたってシンプルです。 最初は協力する• それ以降は相手が協力してくれたら協力し裏切られたら裏切り返す• 相手が協調的な態度をとった場合は寛容な態度で協調する という戦略です。 人間関係で相手がいるときに協力的に接するべきか報復するべきか悩むことがあります。 相手に攻撃され続けても延々と相手のいいなりになる続ける対応もあれば、先に攻撃的な態度をとる、気まぐれにランダムな対応をする、攻撃的な態度をとられたら倍返しにするなど様々な対応方法が考えられます。 政治学者のロバート・アクセルロッドは「しっぺ返し戦略」が長期的に見ると人間関係の駆け引きにおいて有効な戦略だと言います。 協調と裏切りのゲーム「囚人のジレンマ」 しっぺ返し戦略のようなシンプルな戦略が本当に効果があるのでしょうか。 しっぺ返し戦略が有効かどうかを確かめるための根拠になっているのが「囚人のジレンマ」というゲーム理論です。 例えば、あなたと友人が銀行強盗をして捕まったとします。 そして警察に2人別々の部屋で尋問を受けました。 そして警察から尋問を受けた際に取引を持ちかけられます。 友人が首謀者で、あなたに不利な証言をしなければ友人は5年の刑であなたは釈放される• あなたが友人に不利な証言をせず、友人があなたに不利な証言をすれば、あなたは5年の刑で 友人は釈放される• 双方が互いに不利な証言をすれば、二人とも3年の刑になる• 双方が証言を拒否すれば二人とも1年の刑になる このケースでは友人があなたに不利な証言をせずに自分だけが友人を裏切ることが仮にできれば釈放されます。 しかし友人も同じ取引を持ちかけられていることを忘れてはいけません。 この時にあなたも友人もすぐに釈放されたいがために相手が首謀者だと言い合えば二人とも3年の刑になってしまいます。 そして自分だけが友人を信頼し証言を拒否したのに友人が、あなたに不利な証言をした場合は、あなただけが5年服役しなければなりません。 あなたならどうするでしょうか。 私だったら次のように考えます。 友人に不利な証言をせずに友人も自分に不利な証言をしなければ1年の刑期で済む。 しかし万一、向こうに裏切られたら5年も服役しなければならない。 本当に友人は信用できるのだろうか。 むしろ友人は自分を警察に売って自分だけが5年の刑に服役する可能性がある。 それなら友人に不利な証言をしておいて友人が首謀者であると認めてくれる可能性にかけるか、最悪5年の刑期を避けるために相手に不利な証言をしておこう・・・。 しかし友人もリスクを回避するために同じことを考えるでしょう。 結局、お互いがリスクを回避しようとすると二人とも不利な証言をして3年の刑になります。 実はこれが1回限りのゲームだった場合はお互いが信用できないならばリスク回避のために相手を「売る」のは間違った選択肢ではありません。 しかし、このゲームが20回、30回と継続する場合は話が変わってくるのです。 「囚人のジレンマ」で最も得点をあげたしっぺ返し戦略 結論から言うと継続的な「囚人のジレンマ」のゲームを繰り返すとシンプルな「しっぺ返し戦略」が最も「得」をするという結論に達しました。 一方的に相手を信頼し続ける戦略をとった場合は一方的に自分が不利な「ババ」を引き続けることもあり得点は伸びませんでした。 しかし相手を裏切り続ける戦略を取り続けた場合は最初は「得」をするのですが回数を重ねるごとに点数をあげられなくなっていくのです。 様々なパターンで、この囚人のジレンマの総当たり戦をリーグ形式でしたところ「しっぺ返し戦略」が総合得点でトップとなりました。 しっぺ返し戦略にみる社会現象 しっぺ返し戦略の事例は世の中の多くの場面で多く見られます。 国際関係からアメリカの銃社会、家電量販店の価格競争にまでしっぺ返し戦略で均衡を保っている事例は珍しくありません。 集団的自衛権としっぺ返し戦略 実は日本の集団的自衛権はゲーム理論的に見ると「しっぺ返し戦略」に基づいています。 日本の国防の基本スタンスが実は「しっぺ返し戦略」だと聞くとピンとこない方もいるかもしれません。 平和主義である=協調戦略• 武力攻撃を受けた場合は集団的自衛権を行使し徹底反撃する=やられたら報復するしっぺ返し• 相手が撤退したら、それ以上の攻撃を止め平和条約を締結する=協調戦略 基本的には協調戦略をとるがやられたら報復する、その代わり協調姿勢を見せてきたら協調するというスタンスは実はゲーム理論の「しっぺ返し戦略」に当てはまっています。 もしも自衛隊が軍備を完全に放棄した場合はゲーム理論的にみれば報復手段を失い一方的な協調戦略のみしか取れなくなります。 銃社会アメリカで何故、銃がなくならないのか アメリカでは度々、銃社会であるが故の誤発砲などの事件がニュースになっています。 社会に銃が存在しなければ銃による誤発砲などの事件は起きません。 しかしアメリカでは既に銃が社会的に浸透しています。 アメリカの大地は広大で開拓時代のアメリカでは保安官による治安維持が行き届いていませんでした。 そのため自分の財産や家族は自分自身で守らなければならないという事情が歴史的背景としてありました。 日本が豊臣秀吉の時代に刀狩を行い庶民が刀を持てなくしたことで武器を持つ文化が衰退したのとは対照的です。 アメリカ人も日本の自衛隊と同じように銃を持つのが一般的な社会である以上、ゲーム理論的には使うことを望む望まないに関わらず「しっぺ返し戦略」をする場合は銃による自衛ができなければ一方的に協調することしかできなくなります。 アメリカ人も自分だけが銃を持っていないとなると自分の財産や家族を守れなくなるのではないかと感じてしまう人もでてきます。 家電量販店の値引き争い 家電量販店の値引き合戦でも「しっぺ返し戦略」が見られます。 よく家電量販店に行くと次のような文言を見かけることが多いのではないでしょうか。 「他社より1年でも高い場合はお値引きします」 消費者から見ると、この量販店は最安値を保証してくれて親切だなと思うかもしれません。 しかし家電量販店の価格調査部隊からみると「しっぺ返し戦略」をとられているように見えるのです。 「もしも値引きしたら、こちらも値引きで対抗する」 「値引きしなければ、こちらも値引きしない」 家電量販店の価格調査部隊からみると、値引きで出し抜こうとしたら報復されてしまうと解釈するのではないでしょうか。 一方で協調すればライバル店同士、泥沼の値下げ合戦をせずにすみます。 実はこんな身近なところにも「しっぺ返し戦略」が活用されているのです。 短期的には利己主義が有利 「しっぺ返し戦略」を日常生活に応用する場合に注意する点は短期的には利己主義が有利である点です。 言い換えると短期的には嫌なやつがうまくいくことが多いのです。 例えば会社の中で実務に力を入れている人と上司へのゴマすりに力を入れている人では後者の方が高い勤務評価を受けることがスタンフォード大学のビジネススクールのジェフリー・フェファーによると実証されています。 また海外旅行では一期一会の安宿やドミトリーでは荷物の管理や貴重品が無くなります。 治安の悪い国では外国人は窃盗の被害にもあいやすい。 外国人のスリやひったくりにとって一時的な滞在の観光客は格好のカモです。 帰国せざるを得ない観光客は今後スリやひったくり犯にとって関わることのない人なので同国人や近所の人を狙うよりターゲットにしやすいのです。 隙あらば盗もうと考える不届き者がいても不思議ではありません。 そのためスリやひったくりが多いとされる観光地では旅行者は注意が必要です。 長期で関係が続くなら信頼関係を築く方が良い 利己主義が短期的に得をすることが多いなら、みんな利己主義者になれば良いのでしょうか。 そうなると我も我もと利己主義が幅をきかせるようになります。 例えば会社で実務を疎かににして上司にゴマばかりをする人が増えてしまった場合、長期的にみると多数の人が実務を放って上司の機嫌とりにエネルギーを費やすようになります。 すると社内やチーム全体の生産性が落ちていき集団そのものの利益をあげる力がなくなります。 またお互いが協力できない環境が醸成されていき社内・チームそのものが腐敗していくことになります。 安宿のドミトリーの従業員や経営者が一期一会の客から物品を盗むようなことを継続的にすれば短期的には得をするかもしれません。 しかし長期的にみるとドミトリーで盗みが相次いでいることがドミトリーそのものの評価を下げる原因になり客がこなくなり最後には潰れます。 特にオンライン旅行サイトで最近は評判が外の世界に可視化されやすい時代です。 東南アジアではやっている配車アプリのGrabTaxiでも評判が可視化される仕組みがとられています。 短期的にインチキをしてなれない観光客からぼったくり料金をとって得していたとしても長期的には悪い評価がつけられていき警戒されるようになりボッタクリドライバーは儲けられなくなります。 そこでGrabTaxiの仕組みをとらずに個人経営をボッタクリのドライバーがしようとしますが、多くの観光客はボッタクリを警戒しGrabTaxiを利用するのが一般的になります。 GrabTaxiは東南アジアのタクシー業界の信頼の可視化を実現したのが画期的です。 長期でみると利己主義者は損をする時代になってきています。 特に評判が可視化されやすいSNSの時代では短期的な利己主義は長い目でみて損をしやすくなっているのではないでしょうか。 囚人のジレンマから学ぶ人間関係のコツ 囚人のジレンマでは短期的に見ると不誠実な利己主義者が得をするのですが長期的に見ると信頼関係を築き、万一、利己主義に攻撃を受けたり裏切られてたりする際は同程度の報復をすることが有効ということになります。 しっぺ返し戦略の有効性を証明したアクセル・ロッドは人間関係のコツを4つにまとめています。 相手を妬まない しっぺ返し戦略では、一つ一つのケースでは相手に勝つ訳ではありません。 むしろゼロサムゲームでは相手を負かすことがほとんどできません。 しかし、続けていくことで得点の総和が伸びていくのが特徴です。 一回一回の取引や対応で相手を妬まずに自分が利己的でないかどうかだけを気にしていれば良いことになります。 自分から先に裏切らない 他者から好意を受けるためには受身の姿勢ではなく主体的に自分から行動することも大切です。 ネット上ではよくGiveすることからはじめるべきだという話を聞くようになりましたが先に、Giveすることでより良い関係を築きやすくなります。 長期的な利益を犠牲にして目先の利益を手に入れようとする態度は長期的には信頼関係を築けずに損をするようになります。 特に現代社会はSNSなどで繋がっていることも多いため利己的なテイカーは損をしやすい時代ではないでしょうか。 そっくり相手に返す 一方的に従い続けると搾取されるだけ、利用されるだけになってしまいます。 そのため、もしも攻撃を受けたらその分、しっかりと報復することでバランスがとれます。 言われっぱなし、やられっぱなしでは自分を守ることはできません。 策を弄さない ずる賢い立ち回りは相手に不信感を与えます。 そのためシンプルに行動することで信頼関係を得やすくなります。 将棋やチェスのようなゼロサムゲームでは意図を読み取らせないことも重要ですが現実世界では策を弄することで、信頼関係を得にくくなります。 まとめ しっぺ返し戦略と囚人のジレンマの事例は実際の人間関係を考えるうえで大いに参考になります。 人の悩みのほとんどは人間関係から発生する者です。 だからこそシンプルで明快な、しっぺ返し戦略は人間関係で迷った時の指針としやすいのではないでしょうか。 特にSNSなどで評判が可視化されやすい時代では短期的な利己主義は長期的な損に繋がりやすくなります。 しっかりと守るべきところを守りつつ信頼関係を築くのが長い目でみると良さそうです。
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世の中の悩みの大半は人間関係にまつわることではないでしょうか。 例えば友人との関係、恋人との関係、同僚との関係、クライアントとの関係、近隣の同業者との関係など生きている限り悩みは尽きません。 協力すべきなのか裏切るべきなのか人間関係で悩む度に考えなければならないのは大変です。 そんな時には一貫したルールを設けておくと日々、人間関係に悩んでも自分がどう対応するべきかをシンプルに決められるようになります。 有名な処世術の一つに経済学のゲーム理論から生まれた「しっぺ返し戦略」があります。 「しっぺ返し戦略」はどんな場面でも必ずしも有効な手立てではありません。 しかし「しっぺ返し戦略」の事例を通して分かることは長期的な人間関係を築く時は、結局のところ信頼を築いていくために誠実であることの大切さです。 しっぺ返し戦略を通して長い目で見たら人間は誠実であることが結局はうまくいきます。 しっぺ返し戦略とは しっぺ返し戦略はいたってシンプルです。 最初は協力する• それ以降は相手が協力してくれたら協力し裏切られたら裏切り返す• 相手が協調的な態度をとった場合は寛容な態度で協調する という戦略です。 人間関係で相手がいるときに協力的に接するべきか報復するべきか悩むことがあります。 相手に攻撃され続けても延々と相手のいいなりになる続ける対応もあれば、先に攻撃的な態度をとる、気まぐれにランダムな対応をする、攻撃的な態度をとられたら倍返しにするなど様々な対応方法が考えられます。 政治学者のロバート・アクセルロッドは「しっぺ返し戦略」が長期的に見ると人間関係の駆け引きにおいて有効な戦略だと言います。 協調と裏切りのゲーム「囚人のジレンマ」 しっぺ返し戦略のようなシンプルな戦略が本当に効果があるのでしょうか。 しっぺ返し戦略が有効かどうかを確かめるための根拠になっているのが「囚人のジレンマ」というゲーム理論です。 例えば、あなたと友人が銀行強盗をして捕まったとします。 そして警察に2人別々の部屋で尋問を受けました。 そして警察から尋問を受けた際に取引を持ちかけられます。 友人が首謀者で、あなたに不利な証言をしなければ友人は5年の刑であなたは釈放される• あなたが友人に不利な証言をせず、友人があなたに不利な証言をすれば、あなたは5年の刑で 友人は釈放される• 双方が互いに不利な証言をすれば、二人とも3年の刑になる• 双方が証言を拒否すれば二人とも1年の刑になる このケースでは友人があなたに不利な証言をせずに自分だけが友人を裏切ることが仮にできれば釈放されます。 しかし友人も同じ取引を持ちかけられていることを忘れてはいけません。 この時にあなたも友人もすぐに釈放されたいがために相手が首謀者だと言い合えば二人とも3年の刑になってしまいます。 そして自分だけが友人を信頼し証言を拒否したのに友人が、あなたに不利な証言をした場合は、あなただけが5年服役しなければなりません。 あなたならどうするでしょうか。 私だったら次のように考えます。 友人に不利な証言をせずに友人も自分に不利な証言をしなければ1年の刑期で済む。 しかし万一、向こうに裏切られたら5年も服役しなければならない。 本当に友人は信用できるのだろうか。 むしろ友人は自分を警察に売って自分だけが5年の刑に服役する可能性がある。 それなら友人に不利な証言をしておいて友人が首謀者であると認めてくれる可能性にかけるか、最悪5年の刑期を避けるために相手に不利な証言をしておこう・・・。 しかし友人もリスクを回避するために同じことを考えるでしょう。 結局、お互いがリスクを回避しようとすると二人とも不利な証言をして3年の刑になります。 実はこれが1回限りのゲームだった場合はお互いが信用できないならばリスク回避のために相手を「売る」のは間違った選択肢ではありません。 しかし、このゲームが20回、30回と継続する場合は話が変わってくるのです。 「囚人のジレンマ」で最も得点をあげたしっぺ返し戦略 結論から言うと継続的な「囚人のジレンマ」のゲームを繰り返すとシンプルな「しっぺ返し戦略」が最も「得」をするという結論に達しました。 一方的に相手を信頼し続ける戦略をとった場合は一方的に自分が不利な「ババ」を引き続けることもあり得点は伸びませんでした。 しかし相手を裏切り続ける戦略を取り続けた場合は最初は「得」をするのですが回数を重ねるごとに点数をあげられなくなっていくのです。 様々なパターンで、この囚人のジレンマの総当たり戦をリーグ形式でしたところ「しっぺ返し戦略」が総合得点でトップとなりました。 しっぺ返し戦略にみる社会現象 しっぺ返し戦略の事例は世の中の多くの場面で多く見られます。 国際関係からアメリカの銃社会、家電量販店の価格競争にまでしっぺ返し戦略で均衡を保っている事例は珍しくありません。 集団的自衛権としっぺ返し戦略 実は日本の集団的自衛権はゲーム理論的に見ると「しっぺ返し戦略」に基づいています。 日本の国防の基本スタンスが実は「しっぺ返し戦略」だと聞くとピンとこない方もいるかもしれません。 平和主義である=協調戦略• 武力攻撃を受けた場合は集団的自衛権を行使し徹底反撃する=やられたら報復するしっぺ返し• 相手が撤退したら、それ以上の攻撃を止め平和条約を締結する=協調戦略 基本的には協調戦略をとるがやられたら報復する、その代わり協調姿勢を見せてきたら協調するというスタンスは実はゲーム理論の「しっぺ返し戦略」に当てはまっています。 もしも自衛隊が軍備を完全に放棄した場合はゲーム理論的にみれば報復手段を失い一方的な協調戦略のみしか取れなくなります。 銃社会アメリカで何故、銃がなくならないのか アメリカでは度々、銃社会であるが故の誤発砲などの事件がニュースになっています。 社会に銃が存在しなければ銃による誤発砲などの事件は起きません。 しかしアメリカでは既に銃が社会的に浸透しています。 アメリカの大地は広大で開拓時代のアメリカでは保安官による治安維持が行き届いていませんでした。 そのため自分の財産や家族は自分自身で守らなければならないという事情が歴史的背景としてありました。 日本が豊臣秀吉の時代に刀狩を行い庶民が刀を持てなくしたことで武器を持つ文化が衰退したのとは対照的です。 アメリカ人も日本の自衛隊と同じように銃を持つのが一般的な社会である以上、ゲーム理論的には使うことを望む望まないに関わらず「しっぺ返し戦略」をする場合は銃による自衛ができなければ一方的に協調することしかできなくなります。 アメリカ人も自分だけが銃を持っていないとなると自分の財産や家族を守れなくなるのではないかと感じてしまう人もでてきます。 家電量販店の値引き争い 家電量販店の値引き合戦でも「しっぺ返し戦略」が見られます。 よく家電量販店に行くと次のような文言を見かけることが多いのではないでしょうか。 「他社より1年でも高い場合はお値引きします」 消費者から見ると、この量販店は最安値を保証してくれて親切だなと思うかもしれません。 しかし家電量販店の価格調査部隊からみると「しっぺ返し戦略」をとられているように見えるのです。 「もしも値引きしたら、こちらも値引きで対抗する」 「値引きしなければ、こちらも値引きしない」 家電量販店の価格調査部隊からみると、値引きで出し抜こうとしたら報復されてしまうと解釈するのではないでしょうか。 一方で協調すればライバル店同士、泥沼の値下げ合戦をせずにすみます。 実はこんな身近なところにも「しっぺ返し戦略」が活用されているのです。 短期的には利己主義が有利 「しっぺ返し戦略」を日常生活に応用する場合に注意する点は短期的には利己主義が有利である点です。 言い換えると短期的には嫌なやつがうまくいくことが多いのです。 例えば会社の中で実務に力を入れている人と上司へのゴマすりに力を入れている人では後者の方が高い勤務評価を受けることがスタンフォード大学のビジネススクールのジェフリー・フェファーによると実証されています。 また海外旅行では一期一会の安宿やドミトリーでは荷物の管理や貴重品が無くなります。 治安の悪い国では外国人は窃盗の被害にもあいやすい。 外国人のスリやひったくりにとって一時的な滞在の観光客は格好のカモです。 帰国せざるを得ない観光客は今後スリやひったくり犯にとって関わることのない人なので同国人や近所の人を狙うよりターゲットにしやすいのです。 隙あらば盗もうと考える不届き者がいても不思議ではありません。 そのためスリやひったくりが多いとされる観光地では旅行者は注意が必要です。 長期で関係が続くなら信頼関係を築く方が良い 利己主義が短期的に得をすることが多いなら、みんな利己主義者になれば良いのでしょうか。 そうなると我も我もと利己主義が幅をきかせるようになります。 例えば会社で実務を疎かににして上司にゴマばかりをする人が増えてしまった場合、長期的にみると多数の人が実務を放って上司の機嫌とりにエネルギーを費やすようになります。 すると社内やチーム全体の生産性が落ちていき集団そのものの利益をあげる力がなくなります。 またお互いが協力できない環境が醸成されていき社内・チームそのものが腐敗していくことになります。 安宿のドミトリーの従業員や経営者が一期一会の客から物品を盗むようなことを継続的にすれば短期的には得をするかもしれません。 しかし長期的にみるとドミトリーで盗みが相次いでいることがドミトリーそのものの評価を下げる原因になり客がこなくなり最後には潰れます。 特にオンライン旅行サイトで最近は評判が外の世界に可視化されやすい時代です。 東南アジアではやっている配車アプリのGrabTaxiでも評判が可視化される仕組みがとられています。 短期的にインチキをしてなれない観光客からぼったくり料金をとって得していたとしても長期的には悪い評価がつけられていき警戒されるようになりボッタクリドライバーは儲けられなくなります。 そこでGrabTaxiの仕組みをとらずに個人経営をボッタクリのドライバーがしようとしますが、多くの観光客はボッタクリを警戒しGrabTaxiを利用するのが一般的になります。 GrabTaxiは東南アジアのタクシー業界の信頼の可視化を実現したのが画期的です。 長期でみると利己主義者は損をする時代になってきています。 特に評判が可視化されやすいSNSの時代では短期的な利己主義は長い目でみて損をしやすくなっているのではないでしょうか。 囚人のジレンマから学ぶ人間関係のコツ 囚人のジレンマでは短期的に見ると不誠実な利己主義者が得をするのですが長期的に見ると信頼関係を築き、万一、利己主義に攻撃を受けたり裏切られてたりする際は同程度の報復をすることが有効ということになります。 しっぺ返し戦略の有効性を証明したアクセル・ロッドは人間関係のコツを4つにまとめています。 相手を妬まない しっぺ返し戦略では、一つ一つのケースでは相手に勝つ訳ではありません。 むしろゼロサムゲームでは相手を負かすことがほとんどできません。 しかし、続けていくことで得点の総和が伸びていくのが特徴です。 一回一回の取引や対応で相手を妬まずに自分が利己的でないかどうかだけを気にしていれば良いことになります。 自分から先に裏切らない 他者から好意を受けるためには受身の姿勢ではなく主体的に自分から行動することも大切です。 ネット上ではよくGiveすることからはじめるべきだという話を聞くようになりましたが先に、Giveすることでより良い関係を築きやすくなります。 長期的な利益を犠牲にして目先の利益を手に入れようとする態度は長期的には信頼関係を築けずに損をするようになります。 特に現代社会はSNSなどで繋がっていることも多いため利己的なテイカーは損をしやすい時代ではないでしょうか。 そっくり相手に返す 一方的に従い続けると搾取されるだけ、利用されるだけになってしまいます。 そのため、もしも攻撃を受けたらその分、しっかりと報復することでバランスがとれます。 言われっぱなし、やられっぱなしでは自分を守ることはできません。 策を弄さない ずる賢い立ち回りは相手に不信感を与えます。 そのためシンプルに行動することで信頼関係を得やすくなります。 将棋やチェスのようなゼロサムゲームでは意図を読み取らせないことも重要ですが現実世界では策を弄することで、信頼関係を得にくくなります。 まとめ しっぺ返し戦略と囚人のジレンマの事例は実際の人間関係を考えるうえで大いに参考になります。 人の悩みのほとんどは人間関係から発生する者です。 だからこそシンプルで明快な、しっぺ返し戦略は人間関係で迷った時の指針としやすいのではないでしょうか。 特にSNSなどで評判が可視化されやすい時代では短期的な利己主義は長期的な損に繋がりやすくなります。 しっかりと守るべきところを守りつつ信頼関係を築くのが長い目でみると良さそうです。
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