ここで覚えていてほしいのは、温度条件を見るのは2つの目的があるということです。 一つは、加熱条件が正しくはんだ付けが行われる範囲に温度と時間があったか、もう一つは部品の耐熱保障温度を超えていないかです。 したがって、温度測定は最低2か所は必要となります。 一つは電極、もう一つはパッケージ表面です。 電極ははんだ付け、パッケージは耐熱温度を見るためです。 理想的にはパッケージは温度上昇を避けたい、電極は適切に加熱したいという背反条件になります。 特にリフローでは基板丸ごと炉の中に入るわけですから、片一方だけ冷やしたいとか、片一方だけ加熱したいなんてことはできません。 一般的な部品であれば、パッケージと電極の温度差はそんなに極端には出ません。 つまり両方の条件を満たす温度と時間になっているか?をチェックすることになります。 耐熱温度は部品のの仕様書に、理想的なはんだ付け温度プロファイルは、はんだの仕様書に書いてあります。 これを参照して上がってきた温度プロファイルを判断してください。 そして最も大事なことは、その温度プロファイルで接合されたはんだ付け状態の観察です。 はんだ付けが良好な状態かどうか、必ず判断する必要があります。 温度プロファイルの測定を指示したくても、どこをどう測れば良いのか、特に開発や設計が試作を依頼する場合など、困ることがあると思います。 残念ながら、基板内の温度測定箇所に決まりはありません。 ただいくつかのポイントはあります。 まず、耐熱温度の低い部品が挙げられます。 過剰な過熱を避けなければいけないデバイス等、最高温度とその時間を指定します。 そんなの分からないという方は、キーとなるデバイス、CPUやASIC、DSP等をとりあえず測りましょう。 次に、意図しなくても過昇温になりやすい部品を指定します。 主にアルミ電解コンデンサがこれに当たります。 アルミ電解コンデンサは電極よりボディの温度のほうが上がりやすい傾向があります。 またその構造上高温に弱く、鉛フリー対応の部品でもサイズによっては、ピーク温度が230度以下で5秒以内、200度以上が30秒以内と厳しい基準となっています。 またリフロー回数も1回の場合もありますので、仕様書はよく読みましょう。 逆に温度の上がりにくい部品もあります。 大型のコイルなどは比熱容量が大きく、なかなかはんだの接合温度まで加熱するには時間がかかります。 これらの部品が混載された基板では、温度プロファイルは十分注意して読み取る必要があります。 実装を請け負うほうとしては、実はリフロー条件をあまりにも細かく設定されてしまうと温度条件を満たすことができなくて困ってしまうことがあります。 まず一つ目は、欲張って測定ポイントを多く設定されてしまうことです。 一般的な温度測定装置(プロファイルチェッカー)は 6か所までしか同時に測ることができません。 それ以上のポイントを指定されてしまうと、複数回測定しなければならず非常に効率が悪くなります。 次に、比熱容量の極端に大きな部品と小さな部品が混載されている場合です。 現在多く採用されている熱風(ホットエアー)式のリフローでは過昇温は避けられますが、径が10mm以上や部品高さが5mmを超える大型のコイルやトランスなどは要注意です。
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第1回目は、鉛フリー化の背景、鉛フリーと鉛入りはんだの組成や温度の違いなどを見ていきます。 鉛フリー化の背景 鉛入りのはんだから鉛フリーはんだに切り替わった契機、それは欧州連合(EU)の特定有害物質禁止指令(RoHS指令:Restriction on Hazardous Substances)です。 RoHS指令は、6つの有害物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニルPBB、ポリ臭化ジフェニルエーテルPBDE)の電気・電子機器への使用を禁じています。 2006年7月1日に施行されました。 欧州に流通する製品も対象となるため、日本でも多くの会社が鉛入りはんだの使用を止め、鉛フリーはんだの採用に迫られました。 図1に、鉛Pbの人体への影響を示します。 廃棄された電気・電子機器へ、酸性雨が降りかかると、鉛の成分が雨に溶け出し、地下水へ染み込んでいきます。 地下水は、長い時間をかけて川や海に流れ込みます。 鉛に汚染された飲料水を人間が摂取すれば、成長の阻害、中枢神経が侵される、ヘモグロビン生成の阻害など、人体へ大きな影響が発生します。 このような理由で、鉛フリーはんだの使用が求められているのです。 しかし、短所もあります。 表1の鉛入りと鉛フリーはんだの組成や融点の違いを参照しながら、確認してください。 ・ぬれ性が劣る:鉛フリーはんだの組成のほとんどが、スズSnです。 鉛Pbに比べ、酸化膜が還元されにくく、表面張力が大きくなり、ぬれ性が劣ります。 ・電子部品や基板へのダメージが大きい:スズSn-鉛Pbはんだの融点は183度、スズSn-銀Ag-銅Cuは221度です。 約40度も高いので、実装時の加熱量が増加します。 ・界面劣化やはんだ食われが起きやすい:母材金属の拡散や溶解は、非常に早く起こります。 加熱時間が増えると、接合界面の金属化合物層が成長し、界面ぜい弱化や銅コイル線食われ、パターン食われなどが発生しやすくなります。 ・応力が集中する:鉛フリーはんだは、材料自体が強固なため、被接合材の物性や形状によって、接合部に応力集中が発生します。 例えば、表面実装のチップ、3216抵抗は長期の耐熱疲労性を、BGA(Ball Grid Array)は対落下衝撃性に弱くなります。 鉛フリーと鉛入りはんだの表面 組成が違う鉛フリーはんだと鉛入りはんだ。 見た目、特にはんだ付け後の表面の光沢が違います。 鉛入りはんだの表面は光沢があり、富士山のように滑らかな裾広がりの形(フィレット)をしています。 一方、鉛フリーはんだの表面は、 図3のように白くざらざらしています。 もし、これが鉛入りはんだ付けであれば、オーバーヒートを起こした不良と判断されるでしょう。 詳細は第2回でも解説します。 ここでは、外観上の違いがあることを理解してください。 図5:はんだ量と表面の状態 4. 鉛フリーと鉛入りはんだの外観検査のポイント 基本的に、鉛フリーと鉛入りはんだ付けの検査ポイントは同じです。 はんだ付けのミスは発見しづらいので、作業者が、検査や良し悪しを判断できることが重要です。 検査のポイントは、大きく5つあります。 正しい位置かどうか、正しい形かどうか、はんだのぬれ性はよいか、はんだは適量か、はんだの表面が適切かどうかです。 鉛フリーはんだは、表面に白いざらざらした部分があっても、NG判定とはなりません。 いかがでしたか? 今回は、鉛フリー化の背景や、鉛フリーと鉛入りはんだの組成、温度などを見てきました。 次回は、鉛フリーはんだ特有の現象を解説します。 お楽しみに! 第2回:はんだ表面で発生する問題とメカニズム 前回は、鉛入りと鉛フリーの違いを紹介しました。 今回は、鉛はんだ表面で発生する問題とメカニズムについて解説します。 はんだ表面の引け巣と白色化 鉛フリーはんだ(スズSn-銀Ag-銅Cuのはんだ)特有の現象として、引け巣と白色化があります。 引け巣は、白色化した部分にひび割れや亀裂(クラック)が発生することです。 白色化は、スズSnが結晶化し、表面に細かいしわができることです。 どちらもはんだが冷却して固まる際に発生します。 オーバーヒートにならないようにも、コテ先の温度の最適設定、対象に合ったコテ先の選定、そして素早く効率よく熱を伝えるスキルを身に付けることが大切です。 図1は、実際の引け巣の様子です。 図4:表面の白色化 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 ボイド・ブローホールの発生 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第3回:銅食われとコテ先食われ 前回は、はんだ表面で発生する問題とメカニズムについて紹介しました。 今回は、鉛フリーはんだ付け作業の大きな問題、銅食われとコテ先食われについて解説します。 鉛フリーはんだが、従来のスズSn-鉛Pbと比較して食われが大きいのは、スズが、銅および鉄めっきの鉄と合金を作るためです。 銅食われ現象 銅食われとは? 代表的な食われによる欠陥例を 図1に示します。 銅食われとは、はんだ付けの際に銅がはんだ中に溶け出し、銅線が細くなる現象です。 鉛フリーはんだによる銅食われは、スズSnの含有率が高いほど多く、はんだ付温度が高いほど多く、はんだ付け時間が長いほど食われ量が多くなります。 つまり、従来に比べ、スズの含有が多い鉛フリーはんだでは、銅食われの確率は大きくなります。 図1:食われによる欠陥 銅食われ現象による欠陥 1つ目の事例として、浸せき作業時に銅線が細くなったり、消失した例を挙げます。 鉛フリーはんだになり、巻き線などの製品で、銅食われによる断線不具合が発生しています。 溶解したはんだに製品を浸せきしてはんだ付けを行うディップ方式のはんだ付けでは、はんだに銅を浸せきすることではんだ中に銅が溶け込んでしまうためです。 図2の左側は巻き線のはんだ付け例です。 はんだバス(はんだ槽)の中は、スズSn-銀Ag3. 0-銅Cu0. 5です。 銅食われが起きているものと、全く銅食われの無いものの差がはっきり分かります。 図2の右側の写真は、顕著に現れた銅食われ現象の例です。 銅食われの対策は、はんだの中にあらかじめ銅を多く入れ、銅線の銅の混入を少なくすることです。 図2:コイル線のはんだ付け実験例 2つ目の事例は、フローソルダリング工程で発生した、両面基板のスルーホール部の不具合です。 製品が作動不良を起こしたため、X線写真で確認したところ、大きなボイドが見えました。 そして断面写真を観察し、原因を調査しました。 断面写真 図3の1は、スルーホール内の銅めっきが食われて消失し、基板から水分やガスが発生してボイドとなった状態です。 2、3、4は正常な状態です。 スルーホール部のめっき厚の管理は重要です。 なぜなら、この厚さ以下であると銅食われを起こさない場合でも、基板中の水分およびガスがめっき部から出て、ボイドの原因になるためです。 定期的に断面図をチェックすることで、不具合を未然に防ぐことができます。 図3:両面基板のスルーホール部における不具合例 3つ目は、基板の銅パットの不具合です。 BGA(Ball Grid Array:集積回路のパッケージの一種)の修理時に、銅パットの消失が発生しました。 図4のようにリフロー後に不ぬれが生じたため、BGAを取り外し、基板のランド(部品の取り付けおよび接続に用いる導体パターン)をクリーニングし、再度はんだ付けを行いました。 1回の手直しでは、1のように銅パットに問題はありません。 しかし、2回以上手直しをした2の状態だと、パットはほとんど消失しています。 このように鉛フリーはんだを使用した場合には、手直しは1回のみで終わらせることが重要です。 鉛フリーはんだは、銅食われを起こしやすくなっています。 このことを十分に理解して、製品設計を行い、はんだ付けの作業を適温で、手早く行う必要があります。 図4: 基板の銅パットの不具合 銅食われの対策 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 コテ先食われ現象 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第4回:BGA不ぬれ 前回は、銅食われとコテ先食われを紹介しました。 今回は、BGA(Ball Grid Array:はんだボールを格子状に並べた電極形状のパッケージ基板)の実装時に起こる不具合について解説します。 BGA不ぬれ BGA不ぬれとは、BGAパッケージにあらかじめ接合されたソルダバンプ(フリップチップ部品と基板間の相互接続に用いるはんだの丸いボール)と、基板に印刷されたソルダペースト(微細なはんだ粉末をフラックスで混練したもの)がリフロー時に融合しない現象です。 図1は典型的な外観左と断面右写真で、上側がバンプ、下側がペーストです。 バンプが押しつぶされ、ペースト粉末の溶け残りが見られないことから分かるように、バンプ、ペースト共に溶融、部品が基板側へ十分沈み込んでいるにもかかわらず、バンプが凝固したペーストに乗る状態で未融合となります。 図1:BGA不ぬれ部の外観、断面(フラックス残さ洗浄済み) 未融合の形態はこれだけではありません。 図2は完全な不ぬれでなく、バンプとペーストの融合が不十分な例です。 小型・薄型化が急速に進んでいる多くの民生機器では、BGAの実装は一般的です。 BGA不ぬれは、以下の理由で、最もやっかいな工程内不良の一つです。 ・外観検査できず、インラインX線検査での発見が難しい ・インサーキット、ファンクション検査によって発見できる。 しかし、バンプとペーストが完全に溶け合わず、接触している場合も検査を通過してしまう。 搬送時の振動や製品稼働後の導通不良で、初めて発見される場合がある ・修正が難しく、時間とコストがかかる 図2:バンプ-ペースト融合が不十分な例 BGA不ぬれの要因と対策 BGA不ぬれの主要因は、3つあります。 これらの要因が単体もしくは複合して発生します。 ・パッケージ、基板の反り ・ソルダペーストの活性力低下 ・ソルダバンプの表面酸化 リフロー温度のプロファイルとパッケージ反り・未融合の関係を 図3に示します。 デバイスや基板は加熱時に反りが発生します。 リフローのプリヒート段階で、パッケージは樹脂材料のガラス転移温度T gに到達するまで上反りし、バンプとペーストが離れます。 熱風にさらされたバンプ表面の酸化膜は、温度上昇とともに急速に厚く成長します。 加えてバンプ側に付着したフラックスとペーストのフラックスも劣化します。 ガラス転移温度T gを超えるとパッケージは下反りに転じ、はんだ溶融温度域でバンプとペーストは再度接触します。 フラックスは、本来は酸化膜を除去し、加熱時の再酸化を防ぎ、ぬれを促進します。 このフラックスが劣化し、バンプ表面に炭化物として残り、融合を妨げます。 溶融温度域内でバンプとペーストの接触時間(溶融時間)が短くなることも大きな要因です。 ほとんどの場合、パッケージ外周部付近に多く発生します。 図3:リフロー温度プロファイルとパッケージ反り、未融合の関係 実際には、主因が反りのケースがほとんどです。 この場合、部品側での対策としては、ガラス転移温度T gを低いパッケージに替えることです。 すると、プリヒート時の部品上反りを抑えて、溶融時間が確保できるため、バンプ表面の再酸化を抑えることができ、大きな効果が得られます。 また、基板の反りは設計によっても変化するため、BGAの配置にも考慮する必要があります。 反りが解消されれば、この不具合は大幅に減少するでしょう。 ICの小型・薄型化と接合部の微細化に伴い、高機能化(電流密度の増加すなわち発熱量の増加)も加速する中、こうした観点からもパッケージ樹脂や基材の開発動向が注目されています。 もう一つの要因として、元々のソルダバンプ自体の表面酸化があります。 不具合がこれのみに起因する場合、不ぬれ箇所はパッケージ内で発生位置を特定できず、ランダムになります。 バンプの表面酸化は、パック開封後の長時間放置など保管状態の影響、部品製造工程での異常(バンプ分球時の酸化や、パッケージとの接合時に発生した汚れであるフラックス残さの洗浄不足など)が要因として考えられます。 この場合、一時的な対策としては、バンプ表面を布の上で軽く拭くことです。 さらに、ペーストの種類や印刷量でも発生率は大きく異なります。 ソルダペーストのフラックスは、温度の上昇とともに劣化が加速され浮き上がり、表面酸化が促進されたバンプと融合できるだけの活性力が失われています。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 BGAで発生するブリッジ 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 第5回:鉛フリーはんだ付けの不具合事例 前回は、最もやっかいな工程内不良の一つ、BGA不ぬれについて解説しました。 最終回の今回は、鉛フリーはんだ付けの不具合事例と今後の課題を、説明します。 鉛フリーはんだ付けの不具合と事例 従来のスズSn-鉛Pbはんだで起こる不具合は、時間の経過によるクラックや断線の事故でした。 鉛フリーはんだでは、製造工程の初期的不具合をいかに無くすかが、大きな課題です。 初期的不具合とは、検査や工程管理などで市場への流出や、発生を防止するべき不具合のことです。 具体的には、ブリッジやはんだボール、ピンポール、ブローホールなどがあります。 初期的不具合の原因は、スズSn-鉛Pbはんだと比較して温度が高く、広がりが悪いことです。 図1に、はんだ付け製品の一般的な不具合をバスタブ曲線(故障率曲線)で示します。 図1:はんだ付け不具合とバスタブ曲線 鉛フリーはんだ化で不具合を無くす上で、重要なことは何でしょうか。 5Sを実践することです。 一般的に5Sは整理、整頓、清潔、清掃、しつけとされています。 そのうち、整理、整頓、清潔、清掃は、自分の意思で行います。 しつけは、自らの意思はありません。 そのため、「しつけ」を自らの意思で行う「姿勢」に代えて考えることをおすすめします。 鉛フリーはんだ付けにおいて、5Sは特に推進してほしい取り組みです。 なぜなら、鉛フリー化にともない、はんだの広がりが悪くなり、部品、基板の汚れではんだ付け不良を起こすからです。 さらに、表面実装では高密度化になり、小さなホコリやゴミが、はんだ付け不良の原因となります。 これらを防止するためにも、5Sを理解し実践してください。 初期的不具合の例 鉛フリーはんだの特徴は、スズSn-鉛Pbはんだに比べ、溶ける温度が高い点です。 そのため、鉛フリーはんだでは、さまざまな不具合が発生します。 図2は、 図1の初期的不具合で発生するブリッジ、はんだボール、ピンホール、ブローホール、トンネルです。 ブリッジ:発生原因は、はんだ量が多い、位置ずれが起こる、作業方法が正確でない、コテ先温度が低い、または高い、部品からのガスの影響などがあります。 はんだボール:発生原因は、はんだ中の水分の影響やコテの引き方、ラウンドの設計によるはんだ量の影響、部品や基板の水分含有などがあります。 ピンホール、ブローホール、トンネル:発生原因は、はんだ付け時の温度不足、部品・基板の酸化などの汚染およびガスの発生があります。 図3:はんだ付けの初期的不具合例 1.はんだの表面が陥没する不具合例です。 原因としては、リードに対しての熱不足です。 2.はんだ量が少ない不具合例です。 原因としては、加熱不足、リードの汚染および作業者の未熟などです。 3.リード線の不具合で、うまくはんだ付けができなった例です。 写真は、リード線をはんだ付けしたものです。 右の写真は、断面図です。 リード線ははんだに覆われているだけでぬれていません。 原因は、リード線の汚染、リード線への加熱不足および作業方法です。 4、5.表面実装での不具合例です。 共通の原因は、部品のはんだ付け面の酸化、汚染です。 鉛フリー化にともない、リードと電極には従来の鉛を使用できず、スズSnめっきに変更したため、表面酸化によるぬれ不足が大きな問題になっています。 6.鉛フリー化になって多く発生するBGAの不具合です。 原因は、パッケージの反り変形です。 はんだのフラックスが活性不足を起こし、融合しません。 まれに、ボールの酸化が原因の不ぬれもあります。 この場合は、不ぬれ箇所がランダムに発生します。 7.表面実装で起きる不具合のマンハッタン現象(チップ立ちが多く発生している状態)です。 原因は、左図ははんだ量の違い、右図はランドの大きさの違いです。 熱の伝達が早い方に部品が引っ張られ、発生します。 解決方法は、はんだ付けを同じ時間になるように溶融することです。 図4に、クラック、はんだくず・異物、はんだ付け忘れ、ランド剥離、ツノ・ツララの例を示します。 図4 :初期的不具合の例(クラック、はんだくず・異物、はんだ付け忘れ、ランド剥離、ツノ・ツララ) クラック:発生の原因は、はんだが固まる前に動かすためです。 解決策としては、はんだ付け後は固まるまで動かさない、はんだ付けの時は正しい冶工具を使用することです。 はんだくず・異物:作業者、作業管理、5Sの徹底以外に解決策はありません。 続きは、保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。 鉛フリーはんだ付けの今後の技術開発課題と展望 保管用PDFに掲載中。 ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。
次の何故、付くのか。 確かに見かけ上のはんだ付けは簡単です。 しかしながら、電子機器に求められる信頼性を満たすためのはんだ付けには、それなりの理論に裏付けられた技量が求められます。 初めに、接着剤などでモノを付けるのとはんだ付けとでは仕組みが異なることを理解しておきましょう。 例えば、銅のはんだ付けでは、はんだに含まれる錫 すず:Sn が銅 Cu の内部に拡散されて境界面に、銅とすずの合金層が形成されます。 <図1> はんだ付けではこの「合金層の形成」が必須要件になります。 言い換えると、合金層が形成されない物質にははんだ付けできません。 はんだ付けでは、はんだが対象物に馴染んで拡がることを「ぬれ(濡れ)」と呼びますが、濡れの良い状態では、はんだが美しく裾を引き、合金層が広く均一に形成されていることを意味します。 <図2> はんだは温度が高い部分に向かって流れることも覚えてください。 はんだ付けはプリントパターンと部品リードなど、二つ以上のものを接続します。 このときに一方だけへの加熱や、こてではんだを溶かすだけでは低温部となる相手方にはんだが拡がらずに濡れも生じません。 はんだが溶ける以前に接続する対象(二つであれば双方)が高い温度にあることが重要です。 実験や試作をしたり、自動機では実装できない部品を取り付けたりする際にははんだごてを使うマニュアルはんだ付け、いわゆる「手はんだ」をします。 手はんだはエレクトロニクスの基本技ですから、エンジニアであれば必ずマスターしておかなければなりません。 はんだ付け上達のポイントは、ずばり「温度」です。 具体的には、はんだの融点、はんだ付け部、こて先の三つの温度関係を知ることです。 まずは、はんだ自身の融点。 マニュアルはんだ付けでは、はんだの融点の他に「はんだ付けする部分の温度」とはんだごての「こて先温度」との関係を把握しましょう。 これより低くても高くても上手くありません。 当然ながら、こて先の温度は最適温度よりもさらに高くなります。 何事にも「適切なツール」は必要ですが「道具は使いよう」であることも忘れないでください。 <図3-A>は、こて先の設定温度を同じにした3種類のはんだごてについて [はんだ付け時の温度パターン] を描いたものです。 同図に赤線で示したものは比較的熱容量の大きなはんだごてを使った場合を示していますが、はんだ付け部の温度が最適温度を超えてしまっています。 反対に緑色の線は熱容量が小さいためにこて先の温度が下がってはんだ付け部の温度が上がりきらず、最適温度に達していません。 <図3-A>は、はんだ付けの対象に適したはんだごてとこて先の選択を示唆していますが、<図3-B>はこて先の温度設定を上手く調節すれば、何れのはんだごてでもはんだ付け部を最適温度にすることができることを示しています。 つまり、適切なはんだごてとこて先の選定と同様に、はんだ付け部の状態に合わせたこて先温度設定をするのがポイントです。 この際、自らの目で良否を見極めるスキルも求められることになります。 <図4>にはんだ不良の例を掲げました。 <図2>に示した適切なはんだ付け例と比べると違いがよく分かると思います。 ちなみに、対象物の表面が酸化していると、合金層が形成できないので正しくはんだ付けされません。 ワックス処理されたクルマやサトイモの葉などに雨滴が落ちたときの様にはんだが玉状になる「イモはんだ」になってしまいます。 はんだに含まれるフラックスは酸化皮膜を除去し濡れを良くするためのものですが、はんだ付の対象物は表面が清浄で酸化していないことも大切なことです。 道具も専用じゃないとまずいですか。 鉛フリーのはんだは、共晶はんだと比べて融点が高いため、はんだ付けの最適温度が上がります。 濡れ性も劣り、はんだ付けは少し難しくなりますが、基本的にはこれまでと同様にはんだ付けできます。 作業上のコツは熱を対象物に効率よく伝えることです。 素早く効率よく熱を伝えるのは鉛フリーに限ったことではないのですが、鉛フリーはんだでは高い温度が必要となるためいっそうの心がけが必要です。 具体的にはこて先の温度の最適設定、対象に合致したこて先形状の選定、そして素早く効率よく熱を伝えるスキルを身につけることです。 濡れ性を良くするためには適切なフラックスを使用することも重要です。 図5:ダメージを受けたこて先 なお、融点に合わせてこて先温度も高く設定する必要があるわけですが、高温度のこて先は劣化が早まります<図5>。 したがって、むやみに高温にはできず、その意味では温度設定が出来ないタイプのはんだごては鉛フリーには適しません。 こて先の酸化は、はんだから鉛が無くなることでも早まります。 鉛は他と結合しにくいため酸化を防ぐ作用があったのに対して、鉛フリーはんだでは活性の高い錫が主体だからです。 酸化を防いで作業性をより高めるために、はんだ付け時に窒素ガスを吹き付けるといったことも行われています。 なお、はんだに含有されているフラックスは、はんだ付け対象などの銅に生成した酸化膜を除去しますが、鉄メッキされたこて先の酸化膜や付着した酸化物を除去する能力はありません。 このため、はんだ付けに際してはこて先を常にクリーニングする必要があります。 最近では、より酸化しにくいようにワイアタイプのクリーニングツール<図6>等も用意されています。
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