同一 労働 同一 賃金 退職 金。 有期契約社員への退職金不支給は違法?メトロコマース事件東京高裁判決の解説と裁判所が考える「同一労働同一賃金」の現在

同一労働同一賃金でパートの退職金はいつからどうなる?をわかりやすく解説します。

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20代の転職なら 20代・第二新卒・既卒の転職なら専門エージェントの がおすすめです。 検討中の方はまずは紹介無料のを! 2020年4月1日に派遣法が改正されることに伴い、派遣社員として働く人の待遇が変わります。 「同一労働同一賃金」を目指す今回の法改正では、特に賃金や退職金、交通費といったお金への影響が大きいのが特徴です。 では、今回の法改正で、派遣社員の待遇はどのように変わるのでしょうか。 派遣社員が知っておきたい法改正のポイントと、法改正によるメリット・デメリットを紹介します。 2020年から派遣社員の待遇はどう変わる?派遣社員が知っておきたい派遣法改正のポイント 派遣社員として働いている人の中には、「派遣法が改正されるなんて知らなかった」、「改正自体は知っているけれど、詳しい内容は知らない」という人もいるかもしれません。 確かに、法律には難解な部分も多くありますが、 派遣社員の待遇に関する情報は、派遣で働く人であれば知っておいて損はありません。 ここでは、派遣社員として働く人が知っておきたい派遣法改正のポイントを、詳しく紹介します。 「派遣労働者の同一労働同一賃金」を目指す 今回の法改正では、「派遣労働者の同一労働同一賃金」が大きな目的となっています。 同一労働同一賃金という言葉は、ニュースなどで耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。 これは、 雇用形態にかかわらず、同じ仕事をしていれば賃金などの待遇も同じにするというもので、今回の法改正の柱となる考え方です。 現状では、正社員に比べて派遣社員の賃金は低い傾向にあり、雇用形態の違いによって待遇に格差が生じている職場がほとんどです。 今回の法改正で同一労働同一賃金が導入されれば、 正社員と同等の待遇を受けられるようになり、働きに応じた賃金が得られることが期待されます。 正社員との待遇差が是正される これまでの派遣社員の待遇は、派遣元である派遣会社が決定していたうえに、待遇差を是正するための強制力が強くありませんでした。 そのため、派遣先の正社員と待遇に差があることが多く、不公平感を抱きながら派遣社員として働いていた人も多いのではないでしょうか。 今回の法改正では、 正社員と派遣社員の待遇差を是正するために、企業にさまざまな義務を課しているため、派遣社員の待遇改善が期待できます。 そのうえで、正社員と派遣社員の待遇に差がある場合には、その差が適切であるという合理的な説明が必要になります。 法改正後は、もし待遇差に不公平感を抱いても、待遇差の内容や理由についての説明を事業主に求められるようになるので安心です。 では、具体的に待遇はどう変わるのでしょうか。 派遣社員の待遇が変わる点を紹介します。 賃金・ボーナス 派遣社員の賃金は、「同一労働同一賃金」を基本原則として、同じ仕事をしている正社員の賃金を元に決定されるようになります。 これまで、正社員と同じ仕事をしていながら正社員よりも安い賃金で働いていた派遣社員は、法改正によって賃金が正社員と同水準まで引き上げられることが期待できます。 また、これまで派遣社員にボーナスが支給されることはほとんどありませんでしたが、 法改正後は、派遣社員にもボーナスが支給されるようになります。 ただし、ボーナスは正社員と同等の額にしなくても法的には問題がないため、正社員と同額が貰える可能性は低いかもいしれません。 とはいえ、これまで受け取れなかったボーナスが受け取れるようになるのは、大きな待遇改善だと言えるでしょう。 交通費・各種手当 特別の理由なしに正社員にのみ交通費が支給され、派遣社員などの非正規労働者には支給されない場合、派遣社員にも交通費を支給するよう見直すことが求められます。 また、住居手当や役職手当などの各種手当も、正社員と派遣社員の不合理な差を解消することが求められているため、 派遣社員も各種手当を受け取れる可能性があります。 退職金 これまで、派遣社員は退職金を貰えないケースがほとんどでしたが、 法改正後は派遣社員も退職金を貰えるようになります。 正社員と同様、勤務年数に応じて退職金が増えるので、働けば働くほど退職金の金額は増えていきます。 しかし、 退職金を受け取る方法は正社員とは異なり、以下の3つの方法からどれか1つを選択することになります。 中小企業退職金共済制度に加入する方法 「中小企業退職金共済制度」(中退共)という言葉は聞きなれない人もいるかもしれませんが、中小企業のために国が行っている共済制度のことです。 事業主が毎月掛金を納付すると、社員が退職するときに退職金を支払ってくれる仕組みで、金額は納付した掛金の月額と納付した月数によって決まります。 この方法の場合、勤務年数から計算する方法と同様、退職時に退職金を受け取ることができます。 福利厚生 待遇差の改善は、賃金などのお金だけでなく、福利厚生にも及びます。 福利厚生施設は正社員と同様に使用できるようにすることが義務付けられ、保養施設などの福利厚生も同様に使用できるように配慮することが義務になりました。 福利厚生施設とは 食堂や休憩室、更衣室といった、業務を円滑に行うために設置されている施設が「福利厚生施設」です。 法改正後は、派遣社員も正社員と同様にこれらの施設を利用できるようになります。 福利厚生の面でも、正社員との待遇差が縮まることが期待されます。 派遣社員の賃金の決め方が変わる 派遣社員の同一労働同一賃金を実現させるには、他の非正規労働者と比較して少し複雑なステップを踏む必要があります。 なぜなら、 派遣社員の賃金を決めるのは派遣会社でありながら、賃金の水準は派遣先の社員に合わせなくてはならない からです。 そのため、 法改正後は新たに2通りの賃金の決め方が定められ、派遣会社がいずれかの決め方を選択することになりました。 それぞれの決め方を紹介します。 あわせて読みたい 同一労働同一賃金で派遣社員が受けるメリット 今回の法改正では、同一労働同一賃金によって派遣社員の待遇が改善されることが期待できます。 では、派遣社員には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。 同一労働同一賃金によって派遣社員が受けられるメリットを紹介します。 給料が上がる 同一労働同一賃金で派遣社員が得られる大きなメリットは、給料の増加が見込まれることです。 賃金だけでなく、交通費や各種手当、退職金が新たに貰えるようになるため、手取り額が増えることが期待できます。 自分の働きに応じた給料が貰えるようになるため、仕事へのモチベーションが上がります。 福利厚生や研修が充実する 法改正後は、賃金だけでなく福利厚生や研修制度などの待遇も正社員と同等になります。 福利厚生 食堂や休憩室、更衣室などの福利厚生施設は、正社員と派遣社員の間で扱いを変えることが禁止されているので、これからは正社員と同様に利用できるようになります。 売店や病院、保養施設などの福利厚生は、派遣社員も正社員と同様に利用できるように配慮する義務が新たに課せられたため、より利用しやすくなることが想定されます。 研修・教育訓練 派遣社員を雇用しているのは派遣会社なので、本来であれば派遣会社が研修を行うべき立場にあります。 しかし、それぞれの職場によって求められる研修の内容は異なるため、派遣先が仕事の内容に研修を行うようにしていましたが、強制力が低かったことから十分な研修が行われないことが多いのが現状でした。 そのため、 派遣会社はキャリアアップを目的とした総合的な研修を行い、派遣先の企業は正社員と同等の研修を行うよう義務付けました。 普遍的なスキルと個別のスキルを同時に学ぶことができるので、キャリアアップが期待できます。 待遇に関する説明を求められる これまでは、正社員と派遣社員の待遇に差があったとしても、待遇差の説明は義務ではなかったため、派遣社員が不満を抱きながら働くケースも少なくありませんでした。 しかし、 法改正後は、派遣社員に対する待遇についての説明が義務化されるため、これまで不明確だった情報を派遣社員が知れるようになります。 これまでも、賃金や福利厚生、教育訓練といった待遇に関する情報は説明の義務があったため、雇用時に説明されていました。 法改正後は、「待遇差の内容・理由の説明」が新たに義務として追加されます。 待遇差の内容・理由の説明の義務 事業者は、非正規労働者から求められた場合、正社員との待遇差の内容や理由について説明することが義務となります。 一方で、派遣労働者は説明を求める権利があるので、待遇差に疑問が生じた際には説明を依頼することができます。 とはいえ、「説明を求めたりなんてしたら、迷惑な派遣社員だと思われて今後の仕事に悪影響が出そう」と心配している人もいるのではないでしょうか。 法律では、 説明を求めたことを理由に不利益な取り扱いをすることは禁止されているため、減給や契約更新の拒否といった不利益を受ける心配はないので安心してください。 同一労働同一賃金で派遣社員が受けるデメリット 同一労働同一賃金を目指す法改正では、派遣社員に賃金面や福利厚生で大きなメリットがある一方で、 メリットを受けられない派遣社員がいることも想定されます。 それだけではなく、 法改正によって派遣社員がデメリットを受ける可能性もあります。 「法改正後は賃金も上がるし待遇も良くなるから安心」と考えていると、思わぬ見落としがあるかもしれません。 同一労働同一賃金で派遣社員が受ける可能性のあるデメリットについて、詳しく紹介します。 待遇がほとんど改善されない可能性がある 派遣社員の待遇改善を目的とした法改正ですが、同一労働同一賃金が導入されても、派遣社員の待遇がほとんど改善されない可能性もあります。 なぜなら、 法改正に備えて、企業側が「派遣社員と正社員の仕事の違いの明確化」に取り組む可能性が高いからです。 同一労働同一賃金のカラクリ 同一労働同一賃金では、正社員と派遣社員の仕事の内容に明確な違いがあり、その合理的な理由が説明できれば、待遇差があっても問題はないとされます。 そこで、「派遣社員の仕事内容に加えて、正社員は帳簿の作成や経費の精算を行っている」ということにすれば、 派遣社員と正社員の勤務内容に差が生まれ、同一労働にあたらないため、待遇に差があっても問題ないと判断されるのです。 このように、あえて正社員と派遣社員の仕事の内容に差をつけ、派遣社員の待遇を改善しないケースが出てくることが予想されます。 正社員と派遣社員の仕事の違いを明確にする企業が増えると、その分法改正の恩恵を受けられる派遣社員も減ってしまうことが懸念されます。 手当が増えた分賃金が下げる事業者が出る可能性がある 法改正後は、派遣社員の待遇改善に伴い人件費が増加するため、企業の経営が圧迫される可能性も出てきます。 そのため、人件費を少しでも削減し、経営を改善するために、法律に触れない範囲で派遣社員の賃金を安くしようと考える企業も出てくると想定されます。 その結果、派遣社員に手当が支給されるようになっても給与全体が変わらないように 手当の増額分だけ時給が減る可能性も考えられるでしょう。 具体的な金額で見ていきましょう。 この仕事の時給が1,500円だった場合、法改正後には「時給1,400円+交通費」に変更される可能性があります。 この場合、表面上は交通費が支給されていますが、実際に貰える金額は全く変わりません。 それどころか、 残業をした場合にも時給1,400円で計算されるため、残業が発生するほど損になります。 これに対して厚生労働省は 「通勤手当等を支給する一方で、基本給を引き下げ、派遣労働者の賃金の総額を実質的に引き下げることは、改正労働者派遣法の目的に照らして問題である」としています。 ( ) よって、このような実質賃金引き下げがあった場合は、派遣元などに相談することをオススメします。 既に勤務している派遣先の時給が下がるケースはあまり起こらないと考えられていますが、特に新たな派遣先を選ぶ際には注意しましょう。 仕事内容が限定される可能性がある 前述のとおり、同一労働同一賃金が導入されると、派遣社員と正社員の仕事内容の違いを明確にする企業が増えると予想されます。 その場合、 難易度の高い業務は正社員に限定し派遣社員には単純な作業しかさせないなど、仕事内容が限定される可能性があります。 レベルの高い仕事を担当させてもらえなくなると、仕事の内容は簡単にはなるものの、 スキルを身に着けることができず、長期的な目線では大きなマイナス要素になります。 特に、派遣社員から正社員を目指している人の場合には、同一労働同一賃金によって正社員への道がより険しくなる可能性があるため、注意が必要です。 派遣社員が削減される可能性がある これまで、正社員と同等の業務をこなしていた派遣社員は、企業にとってはいわば「正社員より安く雇えるお得な人材」でした。 しかし、 同一労働同一賃金が導入されると、派遣社員にもその働きに見合った賃金や待遇を保証しなければならなくなり、人件費が上がります。 その結果、 派遣社員を雇うメリットがなくなり、派遣社員を削減する企業が出てくる可能性があります。 派遣社員を守るために改正された法律が、むしろ派遣社員の仕事を奪う可能性もあるため、法改正後は社会の流れを注視する必要があると言えるでしょう。 制度を理解して法改正に備えよう 派遣社員の待遇改善を目的とした法改正ですが、実際に待遇改善に繋がるか疑問視されている部分も多くあり、派遣社員が手放しで喜べるものではありません。 キャリアプランを考え、損をしない選択をするためには、今後も法改正とそれに対する企業の対応を注視していく必要があります。 今後導入される制度の内容を正しく理解し、法改正に備えましょう。 2020年からの派遣労働者法改正については以下の記事も参考にしてください。

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派遣労働者の同一労働同一賃金④ 労使協定方式の進め方(前編)

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岩出 亮(ロア・ユナイテッド法律事務所) 2019年11月掲載 当社では、正社員には退職金制度が設けられていますが、パート社員については退職金制度を設けていません。 このような場合、2020年4月施行のパート・有期法に違反してしまうでしょうか。 パート社員についても法施行に合わせて退職金制度を設けることが必要でしょうか。 現状では、ガイドラインへの明記や最高裁での判決がないため、退職金制度が無いことが、直ちにパート・有期法8条の不合理な待遇の禁止(いわゆる同一労働同一賃金の制度)に違反するとまでは言えません。 まずは、会社における退職金の趣旨・制度設計を整理し、パート社員の中での長期雇用者への対応や一定額での退職慰労金の導入から検討を始めるべきでしょう。 【 解説 】 1 パート・有期法の施行 現在パートタイム労働者の雇用に関して定めている「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の対象者に、短時間労働者だけでなく、フルタイム有期雇用労働者も法の対象に含まれることになりました。 法律の名称も、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆる「パート・有期法」)に変わります。 同法は2020年4月1日より施行されます(中小企業における適用は、2021年4月1日からとなります)。 同法では、同一企業内における正社員(無期雇用フルタイム労働者)とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間の不合理な待遇の差をなくすことが求められています(いわゆる「同一労働同一賃金」)。 また、これに先立ち、厚生労働省より同一労働同一賃金の制度に関して、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」が示されました(いわゆる「同一労働同一賃金ガイドライン」、以下「ガイドライン」といいます)。 ガイドラインにおいては、基本給や諸手当等の各項目において待遇の差が不合理となる場合、不合理とはならない場合などの具体例が記載されています。 このような中で、企業においては、基本給や諸手当等の各項目において同一労働同一賃金の制度への対応が求められることになります。 本記事では、その中で「退職金」について記述していきます。 2 「退職金」に関するガイドラインと裁判例 (1)ガイドライン 退職金については、ガイドラインにおいて、特に具体例が示されておりません。 しかし、だからといって、退職金が同一労働同一賃金制度の対象範囲に含まれないということではありません。 ガイドラインでも、「第2 基本的な考え方」で、「なお、この指針に原則となる考え方が示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる」とされており、退職金も同制度の対象範囲に含まれることになります。 したがって、退職金について、正社員とパート・有期社員との違いについて同一労働同一賃金の均衡・均等に違反しないか検討する必要があります。 (2)裁判例 退職金における同一労働同一賃金の均衡・均等に関して、現時点では、最高裁判決はありませんが、高裁判決である【東京メトロコマース事件(控訴審)東京高判平31・2・20労判1198号5頁】では、均衡違反が認定されました。 同事件は、正社員については、退職金制度が設けられ、勤続年数に応じて退職金が支払われていたのに対し、契約社員には、退職金制度が設けられていませんでした。 この点について、同事件の原審である東京地裁での判決においては、均衡違反が否定されましたが、 東京高裁での判決では、 「少なくとも長年の勤務に対する功労報償の性格を有する部分に係る退職金(退職金の上記のような複合的な性格を考慮しても、正社員と同一の基準に基づいて算定した額の少なくとも4分の1はこれに相当すると認められる。 )すら一切支給しないことについては不合理といわざるを得ない」 とし、均衡違反を肯定しました。 3 今後の対応 以上述べてきた通り、退職金については、ガイドラインで具体的な例も示されておらず、これに関する最高裁判決も現時点では出ておりません。 そのため、直ちに同一労働同一賃金への対策として、退職金制度を全面的に改定するというのはやや早計な感は否めません。 他方、上記メトロコマース事件の高裁判決で同一労働同一賃金の均衡違反が認定されている点や、派遣労働者における同一労働同一賃金について、労使協定方式を採用した場合には退職金制度を踏まえた賃金支給が求められている点も踏まえますと、今後の最高裁判決の判断を注視しつつ、一定の対応を検討することは必要になってくると考えます。 (1)退職金制度の趣旨・制度設計を整理 退職金制度が賃金の後払い的性格を有するものである場合には、単なる賃金の上乗せであるとして、パート・有期労働者に対しても支給しなければならないという判断がなされやすいと考えます。 他方で、ポイント制のように、会社に対する貢献度を換算して支給されているような場合には、仕事の内容や責任等を元に制度の違いが生まれているとして不合理とはならないという判断がなされやすいと考えられます。 そのため、まずは、会社における退職金制度の趣旨や制度設計を確認し、整理することが重要です。 (2)長期雇用者への対応 次に、長期雇用している有期労働者については、一定の退職金制度は必要になってくると考えます。 長年に渡って雇用されている社員は、実質的に正社員と同視できると判産されるようなケースもあり、そのような場合には、上記メトロコマース事件のように退職金を一切支給しないとすることは不合理とされる可能性があります。 退職金でなく「年末年始勤務手当」、「祝日給」のうち年始期間の扱い、「夏期冬期休暇」、「病気休暇」についての相違についての判断ですが、「契約期間を通算した期間がすでに5年(労契法18条参照)を超えている場合には不合理」とした【日本郵便(非正規格差)事件・大阪高判平31・1・24労判1197号5頁】も、同様の配慮による裁判例の動向を示す事例として参考とすべきでしょう。 (3)退職慰労金の支給 最後に、退職金制度まではいかないまでも、勤続年数に応じた一定額の退職慰労金を支給することが考えられます。 同一労働同一賃金における裁判例で、特に「賞与」に関する均衡違反の判断においては、一定額の寸志を支払っている事情が考慮され、不合理ではない判断されているケースがあります。 完全に不支給となっている場合には、待遇差に応じた支給がなされていないと裁判所としても認定がしやすいため、一定額の退職慰労金を支給することが対応策として考えられます。 4 まとめ 以上述べてきた通り、退職金については、ガイドラインで具体的な例も示されておらず、これに関する最高裁判決も現時点(2019年11月13日)では出ておりません。 企業の対応としては、退職金制度を全面的に改定するのではなく、まずは、会社における退職金の趣旨・制度設計を整理し、長期雇用者への対応や退職慰労金の導入から検討を始めるべきです。 そのうえで、今後の最高裁判決の判断を注視しつつ、原資を確保したうえで、どのような制度を導入していくべきか検討してくことが必要になると考えます。 なお、パート・有期法の施行は2020年4月ですが、既に施行されている労働契約法20条においても、不合理な労働条件の差別は禁止されています。 上記メトロコマース事件など、近年出ている各裁判例も同条違反に関するものです。 そのため、同一労働同一賃金制度への対応が必要なものについては、パート・有期法の施行を待たずに今すぐに対応することが求められています。

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誤解していませんか?派遣の労使協定方式の退職金の取り扱いについて|働き方改革専門家 ハーネス 沼田博子|note

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同じ労働をしている人には同じくらいの賃金を支払いましょうというのが「同一労働同一賃金」という考え方です。 政府が推進している「働き方改革」において、大切な柱として紹介されています。 同一労働同一賃金とは 先にも述べたように同じ労働に対して、雇用形態にかかわらず同等の賃金を払いましょうという考え方です。 日本においては正社員と呼ばれる正規雇用の社員と、契約社員やパート・アルバイトなどの非正規社員と呼ばれる社員の2種類に分かれています。 現在、正規社員のほうが時給・福利厚生の待遇などが格段に良いことで、同じ仕事をしている非正規の社員にとっては不公平な状態が続いています。 この状態を改善する方法として「同一労働同一賃金」という考え方が生まれてきました。 同一労働同一賃金の場合の退職金 同一労働同一賃金という場合、時給や福利厚生面だけでなく、退職金の有無についてもポイントとなっています。 2019年2月に東京メトロの子会社「メトロコマース」で非正規社員として働いていた女性社員4名が起こした裁判について、同一労働同一賃金を理由として退職金を求めたことに判決が出されました。 様々な点で非正規社員との間に不公平な状況が生まれていましたが、退職金については一部(4分の1程度)を支給するという内容です。 同一労働同一賃金という考えに立てば、退職金についても正社員とほぼ同程度の金額が出されなけでばならないのかもしれません。 完全に同一の金額は出なかったものの、この2019年2月の判決によって「非正規でも退職金を出す必要がある」という認識が広がりました。 これまで正社員と非正規社員の間に合った様々な格差ですが、これらは「時給」「福利厚生」「労働賃金」という3つの点において明確になっています。 この不平等な状態を、働き方改革によって2020年4月からしっかり法律によって規制していこうという流れになっています。 働き方改革の同一労働同一賃金の考え方 働き方改革における同一労働同一賃金では、基本給、賞与、各種手当において、不合理な差があってはならないという考え方が基本です。 同じだけの能力を持つ正規社員と非正規社員が行う同一業務であれば、同程度の賃金を支払わなければならないとされています。 しかし、正社員のほうが能力が高い、あるいは特別な講習を受けているなどの正当な理由があるならば、賃金に差があっても仕方がないとなっています。 働き方改革での退職金の考え方 働き方改革において、2018年12月改訂部分において退職金に関する考え方が追加され、退職金についても不合理な待遇差は禁止するという方向性が打ち出されています。 しかし、どのようなケースで「不合理だ」と判断されるかについては、明確に記載されていません。 今後不合理だと思われるケースで裁判になった時、司法がどう判断するかにゆだねられるところが大きいです。 現在の同一労働同一賃金及び退職金支給の有無に関する判断については、基本的概念と現在の企業の状況が異なっている場合があります。 これについて、基本給・職務内容という2つのポイントから紹介します。 同一労働同一賃金の基本給の問題 実際の業務と、業務可能な範囲が異なる場合はどうなのでしょうか。 就業契約でA・B及びCという業務範囲で契約しているが実際にはA・Bの業務しかやっていない人と、A・Bという業務範囲で契約してA・Bの業務をこなしている人では「業務範囲が異なるので基本給の差があっても仕方ない」と判断が下りかねない、というポイントです。 同一労働同一賃金であるはずなのに、実際の業務に違いはなくとも、「やるかもしれない業務」の違いがあるだけで給与に差が出てしまう可能性があります。 同一労働同一賃金での職務内容の問題 どのような業務を担当するかという職務内容については、企業や上司の裁量にゆだねられるところが多いポイントです。 どんなに「正社員と変わらない業務をやっていきたい」と思っていても、「女性は結婚して辞めるから男性社員と同じ業務範囲を任せない」という方針を恥じることなく実行している企業もいます。 「結婚するかもしれない」「やめるかもしれない」といった、今後起こるかもしれないがまだ起こっていないことを理由に、「女性だけ」の職務範囲が限定されやすい可能性があります。 2018年12月28日に公布された「同一労働同一賃金ガイドライン」(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)ですが、退職金部分の不透明さについて、既に問題視され始めています。 ガイドラインの退職金部分の不透明さ 「事業主が原則となる考え方等に反した場合、当該待遇の相違が不合理と認められる等の可能性がある。 」と記載されたガイドラインですが、退職金についてはこの指針に原則となる考え方が示されていません。 実際の施行は大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月からの施行ですが、ガイドラインが出された時点から、ビジネス法務を専門とする法律事務所などから問題視されています。 ガイドラインの不合理の考え方と退職金 同一労働同一賃金ガイドラインの中には「不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる」と記載されていますが、不合理か合理的かという線引きについての明確な記載がありません。 このように法律で線引きがあいまいなケースでは、今後退職金支給の有無を争って裁判が起こった際の判決が判例となり、線引きされることになります。 退職金の支給については具体的な「不合理」の考え方が示されていないため、この判例が待たれることになります。

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