他の方の回答と重複するかもしれませんが、 僭越ながら回答させて頂きます. 細々と音楽制作に携わっています. また、以前作曲やDTMの講師をしておりました. >ラヴェル編曲の展覧会の絵から「古城」 >「卵の殻をつけたひなどりのバレエ」「キエフの大きな門」の >3つの特徴を書いてくるというのが出ました。 >中学生でも分かるように教えてくださるとありがたいです。 まず、あくまで「宿題」ですので… 自分が感じた率直なイメージを言葉にすべきだと思いますが… 基礎知識としては、曲名の通り、 ムソルグスキーの友人の画家が描いた絵のイメージが もとになっています. ただ、「プロムナード」は絵のイメージではなく、 絵から絵に移動する時の様子・心情等を表した曲です. それぞれの曲の特徴ですが… 「古城」 ソロ楽器としてアルトサックスが使われてます. 通常、オケではサックスは編成に入らないので、 特徴的と言えると思います. 「卵の殻をつけたひなどりのバレエ」 タイトル通り、ヒナの描写的な曲ですね. シンバルが軽めに「カシュッ」と鳴らされてるのは、 ヒナがズッコケている様子を表す音でしょう. 「音」というのは、同じメロディでも高音域と低音域でイメージが変わります. 高音域は「軽い」「小さい」「薄い」「若い」「早い」みたいなイメージがあります. フルートやヴァイオリンなど高音域の楽器がメインですね. 「キエフの大きな門」 締めくくりの曲なので、荘厳ですね. 迫力を出すために金管をメインに、打楽器も多用して、 フルオーケストラの演奏になってます. 一方、「静と動」のような構成になっていて、 大音量かと思えば、ピタッと静かになり、 宗教的な厳格さ思わせる部分もあり、 大音量の部分との対比が明確ですね. 後半は、プロムナードの主題も登場します. 何か少しでもお役に立てれば幸いです. 『展覧会の絵』は、ムソルグスキーの親友だった建築家・画家ガルトマンの遺作展から生まれています。 元の絵がわかっていないものもありますが、「古城」、「殻をつけたひなどりのバレエ」、「キエフの大門」はそれぞれ判明しているので、元ネタの絵を見るのも一つの手でしょう。 「古城」では吟遊詩人の影が描かれています。 ここでいう吟遊詩人とは中世ロシアの「スコモローフ」(複数形:スコモローヒ)という芸能者です。 詳しくはウィキペディアを。 この曲は冨田勲がシンセサイザー編曲したアルバムがあって、「ひなどりのバレエ」では、ピヨピヨ鳴きながら動き回るヒヨコを猫が追いかけて、最後ドンガラガッシャーンとなるユーモラスなラストが印象的でした。 「キエフの大門」のキエフとはいまのウクライナの首都ですが、上述のスコモローフたちが歌い継いだといわれる叙事詩「ブィリーナ」では、太陽公ウラジーミルを中心にイリヤ・ムーロメツをはじめとした英雄たちが集った都で、各地で収録された「ブィリーナ」には、彼らのさまざまな武勇譚が語られています。 これもウィキペディアで。 このあたりは周辺知識として読んでおくといいと思います。 もちろん、肝心の音楽は聴いておいてくださいよ。 こちらにあります。 「古城」 「展覧会の絵」の中にプロムナードは5回あります。 それぞれ似ていますが、すべて違います。 この2番目のプロムナードは、終わったばかりの「こびと」で若干興奮した気持ちを押さえるように穏やかに進行します。 実際、このプロムナードが終わるころには気持ちも落ち着いて次の「古い城」をむかえることができます。 最後の方で一旦途切れる以外は、ずっと続きます。 あたかもこのお城が、ずっとこのまま未来まで姿を変えずに存在し続けるかのようです。 右手のパートは、このお城で過去におこったであろういろいろな物語を回顧するかのごとく叙述的に展開します。 実際、もとになったといわれている、民話をもとにしたオペラ「ルスランとユドミーラ」のためのデッサンには、古い城にたたずむ吟遊詩人が詠っている影が描かれています。 今でもどこかでこのお城はひっそりと静かにたたずんでいる。 そんな様子が目に浮かびます。 「卵の殻をつけたひなどりのバレエ」 プロムナードの終わりに、ちょちょっと顔を出したかと思うと、ひなが元気よく走り回ります。 タイトルの、「卵のからをつけたひなの踊り」とは、当時流行したバレエの舞台衣裳のデッサンがモチーフとなりました。 タイトルが、「ひな」ではなく、「踊り」となっていることはまさに踊りの動きそのものを描写したものだと言えるでしょう。 日本においてムソルグスキーはこの「展覧会の絵」や「禿山の一夜」で有名ですが、他の多くの作品に見られるようにオペラやバレエのような舞台の音楽をやりたかったのではないでしょうか。 そんなムソルグスキーらしさがうかがえるこの曲にあわせて舞台で踊る姿を想像するのはそんなに難しくなさそうです。 バレエ版展覧会の絵があったら見てみたいです。 「キエフの大きな門」 「キエフの大きな門」または「キエフの門」とよばれるこの曲は、キエフ市に再建される予定だった門のデッサンに基づいています。 まさに、建築家ガルトマンの代表作になるはずだった門です。 しかし彼はその完成はおろか着工の瞬間も見ずに死んでしまいました。 親友だったムソルグスキーにとってもこんなに残念なことはなかったはずです。 2人は共に芸術の大きな夢を見ながら、それでいてなかなか認められないという共通点があったそうです。 親友がかなえられなかった大きな夢をムソルグスキーが曲の中で作り上げた、そんな感じのする超大作です。 ガルトマンの絵に表現されている通り、大きくて重量感があり、美しく、しかも人々が集うような華やかさもそなえているりっぱな門です。 力強い大きな音と落ち着いたハーモニーが連続交互に現れ、ダイナミックな展開です。 後半には3連符の和音が連続し、アルペジオでプロムナードのメロディーがでてくるなど、まさにこの大作のエンディングにふさわしいつくりになっています。 暗い世の中にあって、明日を信じて生きた2人の信念と友情が見事に形となった、そんな「キエフの大きな門」です。 同じ音が低音で続く上に,平坦な旋律が出てきます。 ラヴェル版ではファゴットが演奏します。 続いて,単純だけれどもとても甘美なメロディが出てきます。 ラヴェル版でアルト・サクソフォーンが演奏します。 この楽器の選択もピタリとはまっています。 オーケストラ曲の中でサクソフォーンが出てくるもので有名なのはこの曲とビゼーの「アルルの女」辺りです。 そのせいか,フランス風の雰囲気も感じられます。 「卵の殻をつけたひなどりのバレエ」 小鳥を描いた音楽は沢山ありますが,その中でも特によくできた曲です。 大規模な曲が多い中で,室内楽的な雰囲気のある曲となっています。 とこの曲については,手塚治虫のアニメーション版での,ダンスのシーンが大変印象的です。 曲全体に渡り,ひよこの鳴き声とチョコチョコ動く様子を音の動きで見事に描写しています。 中間部では,高音域でのトリラーが特徴的です。 ラヴェル版では,まずフルートが主旋律を演奏します。 中間部は第1ヴァイオリンが中心になります。 「キエフの大きな門」 キエフに造られることになった大きな門の設計図から霊感を得て作られた曲です。 その名のとおり,威厳のある雰囲気で始まり,大きく盛り上がっていきます。 ラヴェル版ではここでもトランペットで始まります。 続いて全楽器で演奏されます。 続いて静かなコラール風の主題が出てきます。 ラヴェル版ではクラリネットとファゴットで演奏されます。 その後,冒頭の堂々とした主題が再現します。 次にコラールの主題が出てきます。 オリジナル版ではフォルテシモで出てきますが,ラヴェル版では弱音で演奏されます。 その後は,非常に華やかな盛り上がりになります。 冒頭の主題が壮大に扱われ,圧倒的なエネルギーを持ったコーダで締めくくられます。 ラヴェル版では,寺院の鐘をイメージさせる打楽器が華やかに活躍し,トランペットがプロムナードの主題を高らかに演奏します。 最後はフル・オーケストラのパワー全開となります。
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「展覧会の絵」と言えば、冒頭のトランペットのメロディがあまりにも有名! もしもトランペットが吹けたなら、一度は吹いてみたい曲の一つではないでしょうか。 というわけで今回の「名曲のツボ」は、東京交響楽団首席トランペット奏者の佐藤友紀さんにこの曲の聴きどころを伺いました。 トランペット奏者冥利に尽きる曲……かと思いきや、実はいろいろ苦労しています 東京交響楽団 首席トランペット奏者 佐藤友紀 「展覧会の絵」は、ムソルグスキーのピアノ曲をラヴェルが色彩感あふれるオーケストラ曲に編曲した作品です。 展覧会に展示してある絵が曲になっていて、さらに、絵から絵へと歩く場面も「プロムナード」という曲で描かれます。 これはすごくおもしろいアイデアですよね。 展覧会で本当に絵を見ているようなイメージができる作品だと思います。 最初の曲の 「プロムナード」は、トランペット1本で始まります。 展覧会に入場して「さあ、絵を見よう!」という第一歩の音楽が僕ひとりの音から始まるのですからプレッシャーを感じますが、気持ちよさも格別です。 一番おもしろい曲だと思うのは 「サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」です。 お金持ちと貧乏人を描いた絵で、弦楽器と木管楽器がお金持ちのテーマを堂々と演奏し、トランペットは貧乏人の悲鳴のように吹きます。 この極端に対照的なキャラクターがいいですよね。 ただ、トランペットのリズムは、実は難しいのです。 また、この曲だけピッコロ・トランペットを使うので、楽器の持ち替えでの苦労もあり、さらに、ほぼ休みがないので唇への負担の面でも辛い。 以上、三重苦の曲ですが、聴かせどころでもあります。 一番好きな曲は 「カタコンブ」です。 僕は哀愁漂う音色が大好きなんです。 最後の2曲は体力勝負です。 「キエフの大門」の金管楽器は長い音が多いんですよね。 しかもそれが旋律で、音量も要求されます。 最後は、唇が疲労困憊でも、いかに派手に吹くか、プレイヤーの質が問われるところだと思います。 「キエフの大門」の冒頭は、楽譜ではフォルテ(強く)ですが、最初から大音量で吹かせる指揮者もいれば、コラールのような音を求める指揮者もいます。 指揮者によって大分イメージが変わる曲でもあるんです。 「展覧会の絵」でトランペットに求められるテクニックや音色感は、とても幅が広いです。 トランペット奏者にとっては、数あるオーケストラ曲のなかでも、かなり気持ちが引き締まる曲のひとつですね。 「スパイラル Vol. 18」(2008年7月1日号)より転載/取材 榊原律子 ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第124回 アジアを代表する女流指揮者&若手オルガン奏者による共演.
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あの「春の祭典」を上回るボルテージの高さと極上の音響効果! お待たせしました。 ロトと手兵レ・シエクルで最もリクエストの多かった「展覧会の絵」がついに実現しました! もちろんラヴェルによるオーケストラ版です。 近代フランスの名作を初演時の響きと奏法で再現することを目指す彼ら、「展覧会の絵」とは言ってもムソルグスキーの時代ではなく、1922年10月19日にクーセヴィツキーがパリ・オペラ座で披露した頃に立ち戻ろうとしています。 しかしわずか100年前のことながらいくつかの楽器が入手できないため、長く実現できずにいました。 今回「古城」用として1950年セルマー製スーパーアクションのアルト・サクソフォン、「ビドロ」用の1913年ケノン製モノポールC管6バルブのフレンチ・チューバを見つけたため満を持しての実現となりました。 どちらもホルンを思わすような柔らかい音色に驚かされます。 それだけでなくオーケストラの鳴りの良さ、響きの透明さは絶品。 冒頭の「プロムナード」から異常なまでの充実感で、微妙な音色の移ろいがモダン楽器よりもはっきり感じられるのと、重奏した際の麗妙な音のパレットにラヴェルの意図と天才性をあらためて認識させられることばかり。 ことに「キエフの大門」の鐘の場などストコフスキー以上の効果に興奮させられます。 楽器のみならずロトはラヴェルのオリジナル・スコアや初版楽譜へ立ち返り、クーセヴィツキーがロシア人としての感覚からラヴェルに訂正させた箇所、たとえば「バーバ・ヤガー」のファゴットのソロがもとはアルト・サクソフォンだったとか、「キエフの大門」後半でテーマが再現する際の弦の下降音型がもとはゆっくりしていたなど、一聴して分る違いに感心の連続。 名盤「春の祭典」以上の検証が反映されています。 カップリングは「ラ・ヴァルス」。 2018年の来日での巨大な演奏が記憶に新しいですが、ここでも聴き手を一瞬も離さないロトの魔術全開。 「ラ・ヴァルス」と「展覧会の絵」はほぼ同時期の作品で、打楽器を除けば楽器編成など共通点の多さを示唆しているのも流石です。 ロトはますます音楽の大きさを増し、ただただ圧倒されます。 また「殻をつけたひなの踊り」や「リモージュの市場」でのリズムの冴えとスピード感もロトならでは。 数ある「展覧会の絵」録音のベスト盤と断言してしまいたくなる一枚。 絶対お聴き逃しなく!
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