scene 01 千年以上前の物語 今から千年以上前の平安時代、とある貴族(きぞく)の女性(じょせい)が、今も語りつがれる物語を書きました。 その人の名は、清少納言(せいしょうなごん)。 自分のすきなことやきらいなこと、職場(しょくば)で体験(たいけん)したことなどを、こっそりつづっていたのが『枕草子(まくらのそうし)』です。 scene 02 春はあけぼの 『枕草子』で最初(さいしょ)に出てくる、四季(しき)についての文章を読んでみます。 よく聞くと、なんとなく意味がわかるかもしれません。 春…「春はあけぼの。 やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫(むらさき)だちたる雲の細くたなびきたる」。 scene 03 夏は夜 夏…「夏は夜。 月のころはさらなり。 やみもなほ、蛍(ほたる)の多く飛(と)びちがひたる。 ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。 雨など降(ふ)るもをかし」。 scene 04 秋は夕暮れ 秋…「秋は夕暮(ぐ)れ。 夕日のさして山の端(は)いと近うなりたるに、烏(からす)の寝(ね)どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛(と)び急ぐさへあはれなり。 まいて、雁(かり)などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。 日入りはてて、風の音、虫の音(ね)など、はたいふべきにあらず」。 scene 05 冬はつとめて 冬…「冬はつとめて。 雪の降(ふ)りたるはいふべきにもあらず。 霜(しも)のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡(わた)るも、いとつきづきし。 昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶(おけ)の火も、白き灰(はい)がちになりてわろし」。 scene 06 「をかし」とは? 千年前に書かれた『枕草子』。 今とはちがう言葉で、ちょっとむずかしかったかもしれません。 たとえば、こんな言葉が出てきました。 「をかし」、「いとをかし」…。 食べる「おかし」ではなくて、「趣(おもむき)がある、風情(ふぜい)がある」という意味です。 きれいなものや、味わいのあるものを見て、「すてきだなぁ」と感じる気持ちです。 清少納言が四季折々(しきおりおり)に「をかし」と思ったことは、今のわたしたちとけっこう同じです。 『枕草子』を今どきの女の子が書いたら、こんなふうになります…。 scene 07 「春って曙よ!」 春…「春って曙(あけぼの)よ! だんだん白くなっていく山の上の空が少し明るくなって、紫(むらさき)っぽい雲が細くたなびいてんの!」。 夏…「夏は夜よね。 月の頃(ころ)はモチロン! 闇夜(やみよ)もねェ…蛍(ほたる)が一杯(いっぱい)飛(と)びかってるの。 あと、ホントに一つか二つなんかが、ぼんやりポーッと光ってくのも素敵(すてき)。 雨なんか降(ふ)るのも素敵ね」。 〔『桃尻語訳 枕草子』橋本治 より〕 scene 08 「もう…たまんないわねッ!」 秋…「秋は夕暮(ぐれ)ね。 夕日がさして、山の端(はし)にすごーく近くなったとこにさ、烏(からす)が寝(ね)るとこに帰るんで、三つ四つ、二つ三つなんか、飛(と)び急いでいくのさえいいのよ。 ま・し・て・よね。 雁(かり)なんかのつながったのがすっごく小さく見えるのは、すっごく素敵(すてき)! 日が沈(しず)みきっちゃって、風の音や虫の声なんか、もう…たまんないわねッ! scene 09 「白い灰ばっかりになって、ダサいのッ!」 冬…「冬は早朝(つとめて)よ。 雪が降(ふ)ったのなんか、たまんないわ! 霜(しも)がすんごく白いのも。 昼になってさ、あったかくダレてけばさ、火鉢(ひばち)の火だって白い灰(はい)ばっかりになって、ダサいのッ! scene 10 身近にあった季節感 清少納言がくらしていた「寝殿(しんでん)造(づく)り」という、当時の住まいは、なんと、かべがほとんどなかったのだそうです。 だから、春の夜明けや冬の寒さを今よりもっと身近に感じる生活でした。 当時の人は、季節(きせつ)のうつろいを敏感(びんかん)に楽しんでいたのでしょう。 もう一度、朗読(ろうどく)だけを聞いてみましょう。 清少納言が千年前に感じたことが、みんなの心にもとどくはずです…。
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【原文】 春はあけぼの。 やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。 夏は夜。 月のころは さらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。 また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くもをかし。 雨など降るも をかし。 秋は夕暮れ。 夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへ あはれなり。 まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。 日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。 冬はつとめて。 雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いと つきづきし。 昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて わろし。 【現代語訳】 春は明け方がいい。 だんだんと白くなってゆく山際の方の曽良が、少し明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいているのがいい。 夏は夜がいい。 月が輝いている時間帯は言うまでもなく、闇(月が登っていない)のときでも、蛍が多く飛んでいるのがいい。 また、たくさん飛び交ってはいなくても、蛍が一匹二匹とほのかに光って飛んでいるのも趣がある。 雨が降っているときも趣がある。 秋は夕暮れがいい。 夕日が落ちてきて山の端が近く感じるようになってきたころに、烏が巣に帰ろうと、三羽四羽、二羽三羽と飛び急いでいる様子にさえ心がひかれる。 ましてや雁などが列をつくって飛んでいる様子が小さく見えるのはとても趣があってよい。 日が沈んでしまってから聞こえてくる風の音や虫の音なども、言うまでもなくよい。 冬は早朝がいい。 雪が降っているときは言うまでもない。 霜がおりて白くなっているのも、またとても寒い時に、火を急いで起こそうと炭をもってくるのも冬の朝に大変似つかわしい。 しかし、昼になってだんだんと暖かくなったときに、火桶の火も白い灰になってしまっているのは似つかわしくない。
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やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる。 夏は 夜。 月の頃はさらなり。 闇もなほ。 螢の多く飛び違ひたる..... はじめまして。 チヒロと申します。 富山県出身、住まいは東京。 看護師をしています。 年齢は「ちびまるこちゃん」だと幼いので「ちひまるこさん」といった感じのお年です。 わかりにくい… noteには自分の好きなこと、自分が思ったこと、感じたことをつらつらとつらねてみようと思います。 それはいろんなことで、人、モノ、場所、歌、音楽、写真、沢山です。 私は考えることが好きみたいで、いつも休まず考え事をしています。 趣味なのかも。 私の脳内ファンタジスタワールドを記録できたらなと思います。 自分の記録というか。 そんな感じで。 ----------------------------------------------- 冒頭の枕草子。 好きなんです。 とてもくだらない理由で。 「紫ががった」という意味なんだけど 「だちたる」…高校の時からこの言い回しが好きだなぁ。 「だちだち」してる。 しかも、「だちたる」のが「紫」だから、なんだかたまんない。 意味は「たなびいている」そのままなのだけれど。 文の繋がりとして「紫 だちたる 雲の 細く たなびきたる」。 これこそ、タルonタルで「追いタル」。 あらアバウト。 ということで、次回は自己紹介でもしてみよう。 トップの素敵なお写真はarinkosanさんからお借りしました。 写真も勉強していきたい。
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