大同 病院。 大同病院・だいどうクリニック

大同病院

大同 病院

昨年、患者・家族との状況共有を進めるため、「カルテコ」を導入した。 カルテコは、患者が自らの受診内容を保存・閲覧できるサービス。 診療情報を患者と共有し、病院の透明性を高めることが信頼される病院の条件であるとの考えに基づく。 ICT を活用して病院の業務を改善し、医療の質向上を目指す同病院の取組みを取材した。 カルテコで診療内容の理解を手助け 大同病院は、1939年に大同製鋼(現大同特殊鋼)の病院部門として開設。 1985年に医療法人宏潤会大同病院になった。 名古屋市南区という製造業が盛んな地域に立地している。 主として高度急性期医療を担う約400床の病院だ。 病院は入院医療や救急医療に特化。 毎日千人の患者が訪れる外来を分離し、サテライトでも複数の診療所が対応する。 宏潤会は、グループとして病院と診療所のほか、老人保健施設、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、特別養護老人ホームを有し、地域包括ケアネットワークの構築に寄与している。 大同病院はICT の活用で有名だ。 早くから電子カルテを導入し、その機能を拡張する形で病院全体のシステム化を進めてきた。 無線LANでモバイル端末をつなぐシステムにより、院内はもとより院外でも患者の医療情報を閲覧できる環境を整えている。 昨年4月には、患者が自分の端末で自分の検査値や処方を確認できる「カルテコ」というサービスを導入した。 カルテコは、病院と患者が診療情報の一部を共有することで、患者が自らの診療情報を保存・閲覧できるようにするWEBサービス(図1参照)。 病院受診後に、スマートフォンなどの端末で、「医療機関情報」「症状リスト」「傷病名」「検査結果」「診療中に使われた薬」「処置・手術」「処方された薬」などをみることができる。 メディカル・データ・ビジョン株式会社が提供するCADA(カーダ)という医療情報統合ICカードに登録することで、利用できる。 加藤彰裕部長 自分の病気であれば、ある程度は把握していても、家族の病名や薬などの受診記録を覚えているのは難しい。 子どもを医療機関に連れて行って医師に過去の受診状況をきかれたときに、カルテコをみれば正確な情報を伝えることができる。 専門用語の多い診療内容を記憶しておくのは容易ではないが、カルテコはそれを助け、病気を理解し、共有するのに役立つ。 カルテコで閲覧できる診療情報は、電子カルテの情報のごく一部であり、どこまで情報共有を図るかは今後の課題でもある。 それでも、患者・家族の利便性は大きいと加藤彰裕事務局部長は考える。 病気の受診でなくても、健診を受ければ、それが時系列で記録される。 「健康管理や生活習慣の改善にも有効だ」(加藤部長)。 カルテコを利用する前提となるCADAの登録者数は今500人ほど。 大同病院では、近く診察券やクレジット機能との統合も計画している。 試行錯誤で進めたICT活用 ICTの活用は、病院の様々な領域に及んでいる。 ICT化の取組みについて、加藤部長にきいた。 「今でも病院は閉鎖的なイメージがあると思います。 しかし時代は変わり、患者は自らの医療情報を知りたいと考えています。 医療情報の共有が求められていて、情報通信技術がそれを可能にしました。 病院の業務を便利にするだけでなく、どうすれば医療の質を向上させ、患者の役に立つことができるかを、病院として追求してきました」と話す。 医療情報を患者と共有しようという考えを打ち出したのは、前理事長の吉川公章氏だ。 前理事長の理念を病院全体で共有したことが、ICT活用を進める原動力になったという。 しかし、これまでの歩みを振り返ると、「試行錯誤の連続でした」と加藤部長は苦笑する。 30年前の1988年に、医事会計システムを導入し、2003年に検査や処方など一部業務を電子化するオーダリングシステムを取り入れた。 電子カルテは外来で2006年、病院で2007年に採用した。 2011年に電子カルテを中心とした全体のシステムを更新した。 その後、周辺機器のネットワークを含む機能を拡張しながら、2017年に新たなバージョンAZ(all zone)に移行。 現在に至る。 当初、システム部門の職員は加藤部長を含め2人だった。 2人で全職員の1,000台のパソコンを管理した。 これだけの数があると故障は頻繁におこる。 すぐに交換する必要があるので、業者と連携してサーバ室に最新の状態で使えるパソコンを数台確保した。 2人で各部署の様々な問い合わせのすべてには応えられないので、部署ごとにICTに詳しい職員を巻き込んで仲間にし、育成した。 次第に、病院全体のICTリテラシーも向上していったという。 ICTリテラシーが向上してもシステム部門が暇になることはない。 最近、患者の食物アレルギーを電子カルテに入力した後、次の食事ですぐ対応できる機能を求める要望があった。 情報共有の時間差から生じる不具合の是正など、さまざまな要望がある。 職員は6人になり、かつてより体制は整ったが、忙しさは相変わらずだ。 システムが法人業務全体をカバーしているので、業務改善はシステム上で対応する必要がある。 VPN接続やFMCサービスを採用 大同病院のICTシステムをみていこう。 まずは、充実したインターネット、イントラネットの環境がある。 例えば、VPN(Virtual Private Network)接続により、高いセキュリティを確保しながら、院内・院外の端末から無線LANで、電子カルテなど患者の診療情報を閲覧できる。 セキュリティを高くすることで、仮想のプライベートネットワークを可能にしている。 院外でも使えるので、施設間の移動や在宅医療でも、診療情報を閲覧することができる。 電子カルテの情報をVPNを介して地域で共有するサービスで、電子カルテシステムを持たない診療所でも閲覧できる。 救急などの場面で、専門医の判断を求める際に有効だ。 宇野雄祐理事長が、現場の臨床医だった頃の経験を語ってくれた。 「私は消化器外科ですが、当直時に頭を強く打った患者が搬送されました。 現在、10施設ほどと情報を共有することで、継続診療に役立てている。 図1 カルテコの画面 院内の携帯電話は、最新のサービスを導入して利便性を高めている。 以前は、PHSと固定電話を併用する仕組みだったが、2016年にスマートフォンと固定電話やPHSを併用するFMCサービスに移行した。 従来の仕組みでは、エレベータや階段でフロアをまたぐ移動の度に、通話が切れる不便があった。 FMCサービスでは、通信圏内であれば、直接の内線通話になるので、混乱が少なくなったという。 なお、病院内は電波に敏感な機械があるため、無線通信機器に関する規制がある。 2015年に、スマートフォンを使用しても問題がないとの判断が示され、規制が緩和された。 これを受け、大同病院はFMCサービスに移行した。 インターネットを通じ、動画通信などを、各自の端末で快適に楽しむことができる。 宇野雄祐理事長 大同病院は業務全般にICTを取り入れている。 書類のペーパーレス化にも取り組み、様々な診療記録は基本的に電子化し、紙では保存しない。 DACS(ダックス)というシステムを導入して統合管理を行っている。 同意書など患者に紙で手渡し、確認してもらう必要のある書類についても、確認後は電子認証を行った上で、電子化し保存している。 ICTを医療安全に役立てる 宇野理事長は、ICTの活用により、利便性が向上し、業務が効率化したと判断している。 しかし、ICTは導入時の負担が大きい一方で、費用対効果の定量的な評価が難しいという。 診療報酬で収入につながるわけでもない。 「費用対効果が明確でないことが、多くの病院がICT活用に躊躇する要因ではないか」と推測する。 その一方で、ICTは業務効率化だけを目的とする時代は過ぎ、医療安全などに役立てる段階に来ていると宇野理事長は指摘する。 「医療の高度化に伴い、関わる人が増え、業務フローも複雑になる。 その結節部にICTをうまくはめ込んで、業務自体を変えていく必要がある」と述べる。 今後はAIやゲノム医療などへの対応も求められる。 技術革新を医療現場に取り込むことが課題となる。 病院の業務全般で、ICT活用に取り組んできた大同病院。 今後は、介護との連携が課題だが、近く医療と介護を統合するシステムも完成する予定だという。 信頼される病院となるには、病院の透明性を高め、患者と診療情報を共有していく必要がある。 こうした大同病院の理念が積極的なICTの取組みを支えてきたと言えそうだ。 全日病ニュース2018年10月1日号 HTML版.

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大同病院・だいどうクリニック

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厚生労働省指定基幹型臨床研修病院 日本医療機能評価機構認定一般病院 臨床研修評価機構認定臨床研修病院 日本内科学会認定医制度教育病院 日本神経学会専門医制度教育施設 日本呼吸器学会認定施設 日本臨床細胞学会認定施設 日本プライマリ・ケア学会認定医研修施設 日本小児科学会認定専門医研修支援施設 日本呼吸器内視鏡学会専門医制度認定施設 日本外科学会外科専門医制度修練施設 日本整形外科学会専門医研修施設 日本泌尿器科学会専門医教育施設 日本眼科学会専門医制度研修施設 日本耳鼻咽喉科学会専門医研修施設 日本消化器病学会認定施設 日本アレルギー学会認定教育施設 日本麻酔科学会認定病院 日本静脈経腸栄養学会認定NST稼働施設 日本栄養療法推進協議会認定NST稼働施設 日本がん治療認定医機構認定研修施設 呼吸器外科専門医合同委員会関連施設(藤田医科大学) 日本気管食道科学会認定気管食道科専門医研修施(咽喉系) 日本消化器内視鏡学会認定指導施設 日本病理学会研修認定施設B 日本皮膚科学会認定専門医研修施設 日本消化器外科学会専門医修練施設 日本胸部外科学会関連施設 日本超音波医学会認定超音波専門医研修施設 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設 日本高血圧学会専門医認定施設 日本胆道学会認定指導施設 下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による実施施設 一般社団法人日本リウマチ学会教育施設 日本内分泌学会認定教育施設 日本糖尿病学会認定教育施設 日本血液学会認定血液研修施設 日本透析医学会認定教育関連施設 日本救急医学会認定救急科専門医指定施設 日本肝臓学会関連施設 日本臨床衛生検査技師会・日本臨床検査標準協議会精度保証認証施設 日本腎臓学会研修施設 日本消化器外科学会専門医修練施設 日本乳癌学会専門医制度関連施設 日本医学放射線学会放射線科専門医修練機関 日本消化管学会暫定処置による胃腸科指導施設 日本膵臓学会認定指導施設 日本臨床腫瘍学会認定研修施設 日本感染症学会連携研修施設 日本インターベンショナルラジオロジー(IVR)学会認定専門医修練施設 日本口腔外科学会研修施設 日本小児口腔外科学会研修施設 日本口腔顔面痛学会研修施設 日本老年歯科医学会認定医研修機関・専門医研修機関 日本障害者歯科学会臨床研修施設 社会医療法人宏潤会大同病院は、急性期医療を通して地域に貢献している名古屋市南部の中核的病院である。 救急センターは24時間365日来院する患者の対応をしており、軽症患者から重症患者、心肺停止患者まで様々な症例を数多く経験することができる。 初期研修医と専門医がともに診療することで症例を通じて学ぶことが可能である。 外来機能はだいどうクリニックに分離しており、外来化学療法を始め各科の専門的外来治療を行っている。 クリニックに併設された健診センター、予防接種センターでは地域の健康管理に貢献している。 さらに社会医療法人宏潤会として訪問看護ステーション、居宅介護支援事務所、老人保健施設を併設しており、多くの高齢者の在宅復帰に貢献している。 診療科名 病床数 医師数 指導医数 平均外来患者数 平均入院患者数 総合内科 -床 3. 0名 2. 0名 72. 3名/日 26. 5名/日 呼吸器内科 -床 7. 0名 3. 0名 77. 8名/日 44. 4名/日 循環器内科 -床 8. 0名 3. 0名 55. 5名/日 15. 3名/日 消化器内科 -床 12. 0名 4. 0名 118. 9名/日 35. 7名/日 血液・化学療法内科 -床 3. 0名 1. 0名 24. 3名/日 15. 5名/日 糖尿病・内分泌内科 -床 4. 0名 2. 0名 51. 8名/日 6. 9名/日 腎臓内科 -床 5. 0名 1. 0名 87. 7名/日 18. 2名/日 脳神経内科 -床 3. 0名 2. 0名 26. 7名/日 19. 4名/日 膠原病・リウマチ内科 -床 4. 0名 1. 0名 25. 1名/日 4. 2名/日 救急部門 -床 1. 0名 1. 0名 82. 3名/日 0. 7名/日 小児科 -床 11. 0名 5. 0名 142. 4名/日 39. 0名/日 産婦人科 -床 4. 0名 1. 0名 62. 3名/日 15. 1名/日 麻酔科 -床 5. 0名 4. 0名 11. 7名/日 0. 0名/日 外科 -床 7. 0名 5. 0名 51. 7名/日 23. 4名/日 整形外科 -床 6. 0名 1. 0名 65. 0名/日 17. 6名/日 脳神経外科 -床 3. 0名 2. 0名 20. 4名/日 14. 8名/日 眼科 -床 3. 0名 1. 0名 44. 8名/日 2. 6名/日 耳鼻咽喉科 -床 2. 0名 1. 0名 39. 5名/日 4. 2名/日 皮膚科 -床 3. 0名 2. 0名 67. 8名/日 2. 7名/日 泌尿器科 -床 5. 0名 2. 0名 34. 1名/日 8. 0名/日 放射線科 -床 3. 0名 3. 0名 14. 8名/日 0. 0名/日 リハビリテーション科 -床 1. 0名 0. 0名 7. 8名/日 0. 0名/日 病理 -床 2. 0名 1. 0名 0. 0名/日 0. 0名/日 臨床検査 -床 1. 0名 1. 0名 0. 0名/日 0. 0名/日.

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「大同病院」(名古屋市南区

大同 病院

昨年、患者・家族との状況共有を進めるため、「カルテコ」を導入した。 カルテコは、患者が自らの受診内容を保存・閲覧できるサービス。 診療情報を患者と共有し、病院の透明性を高めることが信頼される病院の条件であるとの考えに基づく。 ICT を活用して病院の業務を改善し、医療の質向上を目指す同病院の取組みを取材した。 カルテコで診療内容の理解を手助け 大同病院は、1939年に大同製鋼(現大同特殊鋼)の病院部門として開設。 1985年に医療法人宏潤会大同病院になった。 名古屋市南区という製造業が盛んな地域に立地している。 主として高度急性期医療を担う約400床の病院だ。 病院は入院医療や救急医療に特化。 毎日千人の患者が訪れる外来を分離し、サテライトでも複数の診療所が対応する。 宏潤会は、グループとして病院と診療所のほか、老人保健施設、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、特別養護老人ホームを有し、地域包括ケアネットワークの構築に寄与している。 大同病院はICT の活用で有名だ。 早くから電子カルテを導入し、その機能を拡張する形で病院全体のシステム化を進めてきた。 無線LANでモバイル端末をつなぐシステムにより、院内はもとより院外でも患者の医療情報を閲覧できる環境を整えている。 昨年4月には、患者が自分の端末で自分の検査値や処方を確認できる「カルテコ」というサービスを導入した。 カルテコは、病院と患者が診療情報の一部を共有することで、患者が自らの診療情報を保存・閲覧できるようにするWEBサービス(図1参照)。 病院受診後に、スマートフォンなどの端末で、「医療機関情報」「症状リスト」「傷病名」「検査結果」「診療中に使われた薬」「処置・手術」「処方された薬」などをみることができる。 メディカル・データ・ビジョン株式会社が提供するCADA(カーダ)という医療情報統合ICカードに登録することで、利用できる。 加藤彰裕部長 自分の病気であれば、ある程度は把握していても、家族の病名や薬などの受診記録を覚えているのは難しい。 子どもを医療機関に連れて行って医師に過去の受診状況をきかれたときに、カルテコをみれば正確な情報を伝えることができる。 専門用語の多い診療内容を記憶しておくのは容易ではないが、カルテコはそれを助け、病気を理解し、共有するのに役立つ。 カルテコで閲覧できる診療情報は、電子カルテの情報のごく一部であり、どこまで情報共有を図るかは今後の課題でもある。 それでも、患者・家族の利便性は大きいと加藤彰裕事務局部長は考える。 病気の受診でなくても、健診を受ければ、それが時系列で記録される。 「健康管理や生活習慣の改善にも有効だ」(加藤部長)。 カルテコを利用する前提となるCADAの登録者数は今500人ほど。 大同病院では、近く診察券やクレジット機能との統合も計画している。 試行錯誤で進めたICT活用 ICTの活用は、病院の様々な領域に及んでいる。 ICT化の取組みについて、加藤部長にきいた。 「今でも病院は閉鎖的なイメージがあると思います。 しかし時代は変わり、患者は自らの医療情報を知りたいと考えています。 医療情報の共有が求められていて、情報通信技術がそれを可能にしました。 病院の業務を便利にするだけでなく、どうすれば医療の質を向上させ、患者の役に立つことができるかを、病院として追求してきました」と話す。 医療情報を患者と共有しようという考えを打ち出したのは、前理事長の吉川公章氏だ。 前理事長の理念を病院全体で共有したことが、ICT活用を進める原動力になったという。 しかし、これまでの歩みを振り返ると、「試行錯誤の連続でした」と加藤部長は苦笑する。 30年前の1988年に、医事会計システムを導入し、2003年に検査や処方など一部業務を電子化するオーダリングシステムを取り入れた。 電子カルテは外来で2006年、病院で2007年に採用した。 2011年に電子カルテを中心とした全体のシステムを更新した。 その後、周辺機器のネットワークを含む機能を拡張しながら、2017年に新たなバージョンAZ(all zone)に移行。 現在に至る。 当初、システム部門の職員は加藤部長を含め2人だった。 2人で全職員の1,000台のパソコンを管理した。 これだけの数があると故障は頻繁におこる。 すぐに交換する必要があるので、業者と連携してサーバ室に最新の状態で使えるパソコンを数台確保した。 2人で各部署の様々な問い合わせのすべてには応えられないので、部署ごとにICTに詳しい職員を巻き込んで仲間にし、育成した。 次第に、病院全体のICTリテラシーも向上していったという。 ICTリテラシーが向上してもシステム部門が暇になることはない。 最近、患者の食物アレルギーを電子カルテに入力した後、次の食事ですぐ対応できる機能を求める要望があった。 情報共有の時間差から生じる不具合の是正など、さまざまな要望がある。 職員は6人になり、かつてより体制は整ったが、忙しさは相変わらずだ。 システムが法人業務全体をカバーしているので、業務改善はシステム上で対応する必要がある。 VPN接続やFMCサービスを採用 大同病院のICTシステムをみていこう。 まずは、充実したインターネット、イントラネットの環境がある。 例えば、VPN(Virtual Private Network)接続により、高いセキュリティを確保しながら、院内・院外の端末から無線LANで、電子カルテなど患者の診療情報を閲覧できる。 セキュリティを高くすることで、仮想のプライベートネットワークを可能にしている。 院外でも使えるので、施設間の移動や在宅医療でも、診療情報を閲覧することができる。 電子カルテの情報をVPNを介して地域で共有するサービスで、電子カルテシステムを持たない診療所でも閲覧できる。 救急などの場面で、専門医の判断を求める際に有効だ。 宇野雄祐理事長が、現場の臨床医だった頃の経験を語ってくれた。 「私は消化器外科ですが、当直時に頭を強く打った患者が搬送されました。 現在、10施設ほどと情報を共有することで、継続診療に役立てている。 図1 カルテコの画面 院内の携帯電話は、最新のサービスを導入して利便性を高めている。 以前は、PHSと固定電話を併用する仕組みだったが、2016年にスマートフォンと固定電話やPHSを併用するFMCサービスに移行した。 従来の仕組みでは、エレベータや階段でフロアをまたぐ移動の度に、通話が切れる不便があった。 FMCサービスでは、通信圏内であれば、直接の内線通話になるので、混乱が少なくなったという。 なお、病院内は電波に敏感な機械があるため、無線通信機器に関する規制がある。 2015年に、スマートフォンを使用しても問題がないとの判断が示され、規制が緩和された。 これを受け、大同病院はFMCサービスに移行した。 インターネットを通じ、動画通信などを、各自の端末で快適に楽しむことができる。 宇野雄祐理事長 大同病院は業務全般にICTを取り入れている。 書類のペーパーレス化にも取り組み、様々な診療記録は基本的に電子化し、紙では保存しない。 DACS(ダックス)というシステムを導入して統合管理を行っている。 同意書など患者に紙で手渡し、確認してもらう必要のある書類についても、確認後は電子認証を行った上で、電子化し保存している。 ICTを医療安全に役立てる 宇野理事長は、ICTの活用により、利便性が向上し、業務が効率化したと判断している。 しかし、ICTは導入時の負担が大きい一方で、費用対効果の定量的な評価が難しいという。 診療報酬で収入につながるわけでもない。 「費用対効果が明確でないことが、多くの病院がICT活用に躊躇する要因ではないか」と推測する。 その一方で、ICTは業務効率化だけを目的とする時代は過ぎ、医療安全などに役立てる段階に来ていると宇野理事長は指摘する。 「医療の高度化に伴い、関わる人が増え、業務フローも複雑になる。 その結節部にICTをうまくはめ込んで、業務自体を変えていく必要がある」と述べる。 今後はAIやゲノム医療などへの対応も求められる。 技術革新を医療現場に取り込むことが課題となる。 病院の業務全般で、ICT活用に取り組んできた大同病院。 今後は、介護との連携が課題だが、近く医療と介護を統合するシステムも完成する予定だという。 信頼される病院となるには、病院の透明性を高め、患者と診療情報を共有していく必要がある。 こうした大同病院の理念が積極的なICTの取組みを支えてきたと言えそうだ。 全日病ニュース2018年10月1日号 HTML版.

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