C 2019 松竹株式会社 シリーズ累計50作。 長編映画のシリーズものとしては最多で、ギネス認定されているほどの長寿映画。 私はリアルタイムで寅さんを鑑賞していないし、あまり過去作も見ている方ではない。 ただ、日本のコメディ映画としては外せない作品であり、コメディ好きとしては見ずにはいられなかった。 過去の寅さんの映画を流しながらも、満男と泉の恋物語を進展させ、きちんと物語を前に進めた手腕は素晴らしい。 最後に登場するマドンナ総出演には舌をまき、いかに国民的映画だったのか、一目でわかる作りになっている。 古い映画だから?知らない俳優だから? 全然話を知らない? という人も全く問題ない。 他人の話を聞いても面白いように、他人の葬式に行っても泣いてしまうように、全く知らない人でも楽しめる作品。 数多くの映画あれど、寅さんのような「身勝手」で「横柄」で「意地悪」で「人間味」のある人はいない。 こんな人が主役の映画は、そうそうない。 しかし、等身大の男をあえて演じることで多くの観客を取り込み、共感させたのだと感じる。 鑑賞後には、まるで親戚のおじさんのような親近感が湧いた。 是非とも寅さんに笑って泣いて、楽しんで頂きたい。 Tジョイプリンス品川にて「男はつらいよ おかえり寅さん」鑑賞 昭和の日本映画を語る上で外せない作品。 昔の寅さんの映像を使い過去を振り返りながらも、物語を前に進める手腕はお見事。 劇場で響く観客のしゃがれた笑い声にも思わず涙し、素晴らしい映画体験でした。 1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、97年の「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」以来、22年ぶりに製作された。 倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らに加え、シリーズの看板俳優であり、96年に亡くなった渥美清も出演。 さらに、歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子と「男はつらいよ」でおなじみのキャストが顔をそろえる。 柴又の帝釈天の参道にかつてあった団子屋「くるまや」は、現在はカフェに生まれ変わっていた。 その裏手にある住居では車寅次郎の甥である満男の妻の7回忌の法事で集まった人たちが昔話に花を咲かせていた。 サラリーマンから小説家に転進した満男の最新作のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までしたイズミの姿があった。 イズミに再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。 その店はかつて寅次郎の恋人だったリリーが経営する喫茶店だった。 大胆な過去作の引用も目立たない作りに 冒頭は寅さんのテーマから始まるが、歌はなんと桑田佳祐さんが歌っている。 しかも、ただの歌でなく、画面に桑田佳祐が登場して歌っている。 過去の寅さんの映像と桑田佳祐が交互に流れ、冒頭から過去作の引用が見られる作品になっている。 その後も過去作の大胆な引用があり、本編の半分以上は過去作である49本の中から厳選した映像で占められている。 通常の映画なら受け入れがたい構成であり、昔の映像をまとめただけじゃないかと言われかねない。 しかし、寅さんはそうならなかった。 自分が過去作をほとんど知らず、新鮮に感じたことも大きいが、今回の脚本に合致した映像を流してくれるので、全く気にならない。 過去の俳優を使った同窓会映画にも見えるが、50年前に一作目に出ている役者なんだと思うと、感動を禁じえない。 寅さんは男のリアル 普通の映画であれば、主人公が成長し、立派になり、正しい行いをするというのが筋というもの。 しかし寅さんはいつも同じ調子で、成長することがない。 基本的には場をかき乱し、自分勝手な論理をでっち上げ、周りの空気を読まない、正直面倒なタイプである。 寅さんがツイッターをやっていたら、さぞ有名な「くそリプおじさん」となったことだろう。 ただ、そんな面倒くさい寅さんではあるが、時には真面目に、名言を放つ。 まるで大人版「クレヨンしんちゃん」のよう。 基本的にはふざけてばっかりのおじさんだが、池寅さんがいないとどこか寂しく感じる。 こういう大人がいるのも、悪くない。 みんな寅さんを欲しているのだ。 こんな顔してます。 普通の人とは「違った映画の見方」をすることで、「ここだけの」映画批評を記事にしています。 どんな映画にも必ず良い点はあり、積極的にフィーチャします。 それが正しい「映画の見方」だと思うからです。 ・記事タイトルに自分の着眼点を書いています。 ・映画の分析のために、独自に画像を作成しています。 ここが他の映画評論サイトとは違うポイントです。 出典さえ明記してくれれば転載OKです。 com アットを に変えてください.
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第1作の公開から50周年を迎える2019年に公開するシリーズ50作目となる新作。 諏訪満男の妻の七回忌の法要から始まる本作。 柴又の帝釈天の参道に昔あった「くるまや」の店舗は新しくカフェに生まれ変わり、その裏手に昔のままの住居がある。 法事のあと、ひとしきり昔話に花が咲く…。 満男は、長い間サラリーマンをしていたが、その合間に書いた小説が認められ小説家になっていた。 そんなある日、満男の最新作の評判がよくサイン会をすることに。 ところが、その列に並ぶ客の中に初恋の人、一度は結婚の約束までした及川泉の姿を見て呆然。 サイン会もそこそこに「君に会わせたい人がいる」と小さなJAZZ喫茶にイズミを連れて行く。 経営者の顔を見て驚くイズミ、それは20年以上前に奄美大島で会った寅の恋人のリリーだった。 懐かしい人たちとの再会、そして思い返す寅さんのこと。 それは満男とイズミにあたたかい何かをもたらしていく。
次の《推定睡眠時間:0分》 予告編にあった寅さんファッション桑田佳祐が柴又の土手で主題歌を熱唱する場面、あれMVに入るイメージショットかと思っていたのでタイトルバックで普通に使われていて面食らってしまった。 しかもフルで。 マジか。 大丈夫か。 曲終わりで桑田佳祐が仁義を切るとその反対側に寅さんが合成されて仁義を被せてくるという前衛演出に早くもやばみしか感じない。 満男の部屋にはこれ見よがしに桑田ベスト盤の『I LOVE YOU』が置かれているし。 しかしこれはどこに向けたものかよくわからない山田洋次の観客サービスであった。 そこから始まる物語はちっとも前衛ではなかったので一安心、中年やもめの渋い渋い枯れたラブストーリーを繋ぎにしたシリーズ名場面集でしたね。 おもしろかったですよ、だってシリーズ名場面集だもん! 『悪魔のサンタクロース2』よりは新撮部分が多いぐらいと言えば伝わるだろうか。 三分の一ぐらいは過去作の引用ということですが。 新撮部分はこのようなお話だった。 妻と死別し小説家の道を歩み始めた満男(吉岡秀隆)は新刊のサイン会で偶然にも初恋の人・及川泉(後藤久美子)と再会する。 現在はフランスを拠点に国連難民高等弁務官事務所の職員として活動している泉は久々の帰国を機に半絶縁状態の父親(橋爪功)の入居している介護ホームを訪問しようとしていたので、満男もそれに同行するのだった。 中年ともなれば介護ホームへの小旅行がデート代わりだ。 いやぁ渋い枯れた大人のラブストーリーでしたねぇ。 満男の方は中学の娘がいて小説家の仕事がある、泉の方もフランスに夫と子供がいて国連の仕事がある、満男が法事で柴又に帰省すれば泉は介護ホーム訪問ですよ。 もうロマンスの余地とか全然ないよね。 だからとくに何が起こるということもないのだけれども、かつての初恋の人同士(かどうかはシリーズ後半を見てないので実は知らないが)が二人で過ごす大人の休日のさぁ、お互いに相手のことはだいたいわかってるから距離が近くもならないし離れてもいかないしみたいなさぁ、でもちょっとだけifが脳裏をよぎったりみたいな空気がさぁ、すごくイイっすよねぇ。 で、それを繋ぎに満男の回想としてシリーズ名場面集を入れてくる。 オープニングだけ見ると心底心配になってしまうわけですが、そういうわけで作りとしては存外手堅い、三分の一ぐらいは引用にも関わらず一本の作品としてちゃんと観れてしまう映画になっていたわけです。 さすが山田洋次、腐っても…いや腐ってはいないと思うが安定の巨匠クオリティでしたなぁ。 しかし思いましたよ。 渥美清ね、やっぱめっちゃ面白いですね。 寅さん本当に面倒くさい。 本当に面倒くさいけど断然お茶目。 ユーモラスなのにどこでキレだすかわからない怖さもある。 この絶対に一緒に暮らしたくはないけれどもたまに会うと超楽しいだろうなぁっていう雰囲気、絶妙っすよねぇ。 ちゃんと観た記憶がある『男はつらいよ』は1~3作目だけ、他は何本か浅草新劇場で観たような気もするがタイトルは覚えてない。 そういう人間からすると『お帰り寅さん』はシリーズの集大成というよりもシリーズ入門編として映る。 満男の回想としてシリーズ作が引用されるので若気の至りな寅さんから老境に達しつつある寅さんまで満遍なく、とは言えないのでしょうがざっとは出てくるわけで、あぁこんな寅さんもあったんだと観てないシリーズ作が観たくなってくる。 可能な限り当時のキャストに続投してもらったお馴染みのキャラクターで旧来のファンをくすぐりつつ寅さんビギナーにも寅さんの魅力を伝えつつ…でそれを当たり前の風景として撮ってるのがよかったですよね。 およそ四半世紀ぶりの寅さんの新作だからって変に肩肘張ったりしないでさ、佐藤蛾次郎とか出演時間2分ぐらいだったもの。 しかも被ってる野球帽がたぶん蛾次郎の自前。 あんな感じの帽子被った蛾次郎が自宅を紹介するテレビのお宅訪問企画を前に見た。 寅さんっていうキャラクターの面白さは当然としても、シリーズを重ねる中でのそういう実家感が『男はつらいよ』が人を引きつけてやまない所以なんだろうなとか思ったりしましたよ。 あとですね、超いいなぁと思ったのがさくらの倍賞千恵子で…若い頃の倍賞千恵子が俺は結構苦手で、なんか全身の神経を常に張った状態で芝居をしているようなところがあるので演技は巧いし知的なエロスも漂わせて映画女優だなーって圧倒されたりもするんですけど、ピリピリした感じが伝わってくるのであんま積極的に見たい感じにならなかった。 それが加齢でなんというか、身体に浸透してたっていうか。 背筋はピンと伸びて眼差しには油断がなくえらいカクシャクとしてるんですけれども、そこにピリピリ感が入るともう、なんかイイ女感みたいのがすごいんですよ。 かっこいいしエロい。 声の艶も深みを増していたように感じて…いや倍賞千恵子よかったですねぇ。 年寄りには年寄りにしか出せないエロスがあるからな。 年寄りが撮ってるわけだからそういうところには敏感だったのかもしれない。 年寄りといえば、『男はつらいよ』なんていう昭和的な拡大家族賛歌(?)のシリーズの最新作にして、家族の呪縛が子供をどれだけ傷つけるかというのをちゃんと描いているのも素晴らしいと思った。 お年寄りを大事にしなさいなんて説教臭いことは言わない。 今回は完全に脇役のさくらにも倍賞千恵子が演技の綾でそのへんのニュアンスを与えているように思う。 ほのかな哀しさであったり、枯れたエロティシズムであったり、ペシミスティックなポジティブさであったり。 いやはや滋味深い映画ですよこれはー。 後藤久美子の棒読み調の台詞回しも日本よりもフランス在住歴の方が長い人のキャラ設定だから違和感はあるが違和感がないっていうあたり、よく練られてるなーと思いましたよねー。 談志モノマネをする立川志らくだけは練られてないなって思いましたけれどもー。 【ママー!これ買ってー!】 とはいえ48作もあるとどっから観るのよ問題もあって実際はなかなか観ない。 最終作ぐらいは押さえておいた方が『お帰り寅さん』も深みが増しそうな感じではありましたが。 若いころ観光バスの帰り道、ガイドさんに「寅さんと釣りバカ以外で願いたい」と言っていた。 寅さんは何本かは観たが、あとは「いいや」と。 が、今回の『男は・・・50』は非常に良かった! ストーリーの良さについては、さわださんの解説の通りですね。 観ながら浮かんだのは・・・ セリフ棒読みの後藤久美子だが、アレジと結婚しスイスに住んだから、こういう設定になったんだろうな。 吉岡秀隆は一人身だけど、映画と違い、内田有紀と別れたからなんだよな~。 それにしても若いころの倍賞千恵子は、なんで美人なんだ! 昔のカトリーヌ・ドヌーブみたい。 観終わったあと、ホッコリとする良い作品でした。 話は変りますが、『ガーンジー島の秘密の読書会』を観てきました。 『マリーゴールドホテル・・・』のプロデューサーの製作とか。 物静かで意志の強い司書務めの家人の、ツボでした。 さわださんもDVDででも観られたら、また感想お願いします。 『男はつらいよ』って俳優の実生活と映画の役柄が繋がってますよね。 宗教学者の島田裕巳が何作目だかを観に行ったら観客が「おっきくなったねぇ!」とかスクリーンの中の中の満男に向かって語りかけていて驚いた、と映画評論の本で書いていたんですが、たぶん山田洋次もいつからか『男はつらいよ』がそういう風に日常と地続きのものとして観客に受容されるようになったことを分かっていて、だから今回こういう設定になったのかなぁって思いました。 最近のドヌーブはマフィアのボスみたいで(笑)倍賞千恵子と正反対ですけど、『シェルブールの雨傘』のドヌーブなんかは確かに倍賞千恵子に似たところがありますね。 役者バカっぽいところも似てるかも。 『ガーンジー島の秘密の読書会』、観てみます(ここで感想書くかはわかりませんが…).
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