アミラーゼとは アミラーゼとは、でんぷんを分解してブドウ糖にする消化酵素です。 唾液腺から分泌される唾液アミラーゼはプチアリンとも呼ばれ、中学の生物でも習う有名な酵素です。 その他にもアミラーゼは膵臓や耳下腺からも分泌され、でんぷんの代謝に重要な役割を果たしています。 アミラーゼは血液に混じって全身を巡った後、腎臓で濾過され尿に排泄されます。 血中や尿中に排出されるアミラーゼが増加した場合、膵臓や唾液腺の細胞に異常が生じて過剰分泌が起こっていると考えられます。 特に、膵臓に炎症があったり膵管の流れが悪くなったりしたときにアミラーゼは高い値を示すので、血中・尿中のアミラーゼ検査は膵炎や膵臓の腫瘍マーカーとして有効とされています。 アミラーゼの数値が高いのは膵臓の不調のサイン? アミラーゼは上記の臓器の中でも、膵臓から最も多く分泌されます。 アミラーゼが血中・尿中で高値を示す場合、膵臓の細胞が何らかの原因で破壊されたために、アミラーゼが漏れ出たと考えられます。 これを「逸脱」と呼びます。 これにより、膵炎の診断に血中アミラーゼ濃度の測定が利用されることもあります。 急性膵炎と血中アミラーゼ濃度 急性膵炎を発症していると、次のような症状があらわれます。 血中のアミラーゼをはじめとする膵酵素が基準値の10数倍の数値となる• 激しい腹痛 発症から1〜2日でアミラーゼの値が最高値の10数倍となり、その後は急速に低下して1週間程度でほぼ通常値に落ち着きます。 ただしアミラーゼの値だけで確定診断となることはなく、激しい腹痛の有無、他の血中の膵酵素の判定、腹部超音波、腹部CTなどの検査を併用して確定診断とします。 慢性膵炎と血中アミラーゼ濃度 慢性膵炎では、次のような症状があらわれます。 アミラーゼの値が基準値の2〜3倍の値を示す• 軽度の腹痛が長く続く 膵がんと血中アミラーゼ濃度 膵がんの場合は、アミラーゼの値が2〜3倍程度上昇するのが一般的です。 ただし膵がんに急性膵炎を合併した場合、急性膵炎の上昇値となり、10数倍の高値を示します。 血中・尿中アミラーゼ濃度の上昇は、急性および慢性膵炎・膵がんだけで見られる現象ではありません。 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)でも上昇しますし、唾液腺の疾患によって上昇する場合があります。 しかし、耳下腺や唾液腺に含まれるアミラーゼは「S型」と呼ばれるアミラーゼであり、膵臓に含まれるアミラーゼは「P型」と呼ばれるアミラーゼで、2つは異なります。 アミラーゼの「S型」と「P型」とは? アミラーゼの「S型」と「P型」は、 アイソザイム検査で鑑別することができます。 アミラーゼのS型 唾液腺や耳下腺に含まれる消化酵素であり、口から入った食物を咀嚼する際に食物と混ぜ合わされることで、でんぷんを分解する働きがあります。 また、S型は唾液腺や耳下腺以外の臓器にも多少存在するため、肺がんや卵巣がん、口の周りをなにかにぶつけた、胃カメラをした翌日などの場合にも血中S型アミラーゼ濃度が高くなることがあります。 おたふくかぜは耳下腺にウイルスが感染して発症するため、耳下腺の腫れと痛みが主な症状ですが、このアミラーゼの「S型」が基準値の2〜3倍の値になっていることでも見分けることができます。 アミラーゼのP型 P型は、胃を通過した食物が十二指腸に送られた際、十二指腸に分泌される膵液に含まれる消化酵素で、食物と混ぜ合わされながら糖分を分解し、小腸での消化・吸収を助けます。 膵臓の組織が壊れるような膵炎や膵がんなどを発症すると血中濃度が高くなります。 アミラーゼが高値であることがわかっても、原因が膵臓の疾患によるものなのか唾液腺や耳下腺の疾患によるものなのかが血液検査以外の症状などによって特定できない場合があります。 そのときはアイソザイム検査によってS型・P型を鑑別します。 さらに エコーやCTなどで画像診断による精密検査を行い、確定診断を行います。 健康診断でアミラーゼの数値が高いといわれたら 膵臓は胃の裏側にあり、炎症などの疾患を発症しても自覚症状に乏しい臓器です。 よって、がんや慢性膵炎など、自覚症状が特にわかりにくい疾患の場合は早期発見が難しくなります。 検査でアミラーゼに異常値が出た場合は、早めに病院を受診し精密検査を行うことが大切です。 とくに膵炎や膵がんは近年発症率が高まっているため、背中の痛みや黄疸・体重減少などのわずかな異常を見逃さないようにしましょう。 健康診断でアミラーゼが高値だった場合 何回か検査してたまたま高値だっただけではないことを確認します。 同時に、S型・P型の区別なしの血中アミラーゼ濃度以外の膵臓に関する検査を行う必要があります。 膵臓に関する検査でも異常が見られた場合、S型・P型アミラーゼの区別を含めた精密検査を行いましょう。 アミラーゼ濃度を正常値に保つ方法 日常生活では、アルコール類を控えたり、暴飲暴食を避けたりすることが大切です。 特に、 高脂肪食の食事を多く摂取し続けていると膵臓に大きな負担がかかります。 脂質の多い食事は控え、普段からさっぱりと低脂質な食事を心がけましょう。 食事内容と食事の注意点 健康診断などでアミラーゼ濃度が高めと指摘された人は、膵臓に負担がかかりやすい病気を発症している可能性もあるため精密検査が必要です。 一方で、1000人に1人程度の割合で、病気ではないものの体質的にアミラーゼが高値になる人もいます。 いずれにしても、 アミラーゼ値の異常を指摘された場合は、脂肪分や糖分を抑えた食事やアルコールの多飲を控えることなどを心がけるようにしましょう。 食事は 3食ともに栄養バランスのよいメニューを選び、腹八分目に抑えるのがポイントです。 また、間食は完全に控える必要はありませんが、糖分やカロリーの摂りすぎとならないよう控えめにしましょう。 おわりに:血中アミラーゼ濃度は膵疾患の指標になりうる 血中アミラーゼ濃度が高いからといって膵疾患と断言することはできません。 しかし、血中アミラーゼ濃度が基準値の数倍〜10数倍という非常に高値を示していながらも、唾液腺や耳下腺の目立った症状が見られない場合は注意です。 膵炎や膵がんなどの可能性を考慮して病院で精密検査を行い、適切な治療を受けましょう。
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アミラーゼって何? アミラーゼとは、食べ物を消化するときに出る物質です。 とはいっても、なかなか馴染みがないですね。 すい臓から分泌されます。 しかし、この記事で取り上げる血液や尿、唾液にも含まれていて、意外に身近だと感じられる面もあります。 血液検査等で目にする機会が多いです。 中には、健康診断を受けて初めて知ったという方もいます。 尿中アミラーゼって何? 字面から連想される通り、尿中アミラーゼとは「 尿に含まれるアミラーゼ」です。 もしも 尿中アミラーゼが異常に高い場合には、すい臓の病気が疑われます。 およそ100から1100 IU アイユー が正常値です。 もちろん、どんな検査でもそうなのですが、低すぎても高すぎても病気が疑われるので、自分は数値が低いからといって安心はできません。 値が低すぎる場合には、すい臓がんが疑われます。 ちなみに、IU アイユー とは医学用語のひとつで、体内の物質の量を測るときに使われる単位です。 医学では、とてもミクロな物質を扱うので、普段私たちが使っている単位とは違うものがたくさん用いられます。 こういった単位は、医学や薬学、化学の専門教育を受けた人でなければ、使いこなすことは難しいです。 決して一般向けではありません。 私たちは、「IU」が何であって、どんな風に使うかを深く知るよりも、自分が健康かどうかに気を遣うほうが大切です。 単位については、専門家に任せておきましょう。 血中アミラーゼって何? 血中アミラーゼも、その字が指し示している通り、「 血中に含まれるアミラーゼ」のことを言います。 基準値は、およそ40から132 IU となります。 この場合もまた、高すぎても低すぎてもいけません。 すい臓の病気が疑われます。 スポンサーリンク 基準値は絶対ではない!? たとえ自分が基準値内におさまっていたとしても、病気の確率が低いとは言えません。 お医者さんは、検査の結果だけを見て病気かどうかを判断するわけではありません。 生活環境や既往症、他の検査結果などを注意深く問診しながら、病気を突き止めます。 従って、 基準値におさまっているから安心!と思ってしまわないことが大切です。 体の調子が少しでも変に感じているのなら、検査の結果は大丈夫であったとしても、きちんとお医者さんに診ていただくべきですね。 もちろん、自分が基準値すれすれの場合だったときはなおさらです。 自分が基準値すれすれだという状況が、今の健康とどう関わっているのか…、きちんとお医者さんから答えを頂きましょう。 他の精密検査をすすめられる場合もあるでしょうし、専門のお医者さんを紹介してくれる場合もあるでしょう。 病気の早期発見のためにも、お医者さんの指示にきちんと従って、自分の健康を守っていきたいものですね。 アミラーゼでストレスを測れるの? 厳密に言うと、ストレスは全身の健康を乱してしまう原因です。 体の各器官が、きちんと調和し合っているのを、ストレスはぶち壊しにしてしまうのです。 ストレスを測定するのには、これまでは気分や感じ方に丸を付けるチェックシートが一般的でした。 精神科やメンタルクリニックの問診では主に、このチェックシートが重要な意味を持ちます。 ですが最近は、 徐々にではありますが、化学的にストレスを分析していこうとする動きもあります。 研究が進んでいき、気分や感じ方の問診票以外にも、ストレスを測定する方法が見つかったのですね。 それが、アミラーゼを使った測定です。 なんと!アマゾンで、こんな測定器が一般向けに売られているくらいです! 今は2万円代と高額ですが、いずれ体温計や血圧計並みに値段が下がっていくでしょう。 その時代の到来は遥か未来の話ではなく、もう間近に迫っている気もします。 アミラーゼは、すい臓の病気を知るときに不可欠ですが、同時にストレスを測るのにもうってつけだということを忘れないでくださいね。 今後のメンタルヘルスの分野で、アミラーゼはきっと主役になっていくことでしょう。 まとめ 尿中アミラーゼと血中アミラーゼは、すい臓の健康をチェックする指標になります! 検査結果を見て一喜一憂してしまうのではなくて、お医者さんを受診するきっかけとして、検査結果を賢く活用したいものですね! スポンサーリンク.
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ドクターおおばの 医療相談 院長 大場 敏明 「 健康診断でアミラーゼが高いのですが 」 Q「 健康診断で2年続けてアミラーゼの数値が130(IU/? )ほどで膵炎の疑いが指摘されました。 別に痛みも感じないのですが、検査は必要でしょうか。 また、膵臓の病気について教えて下 」 (福岡・S) A まずアミラーゼ(Amyと略)値についてですが、検査では 血中Amyと尿中Amyとがありますが、受けられた健診では、 おそらく血中検査と思われますので、Sさんの数値は、軽度上昇 です。 又、Amyは膵臓だけでなく唾液腺から分泌される消化酵 素で、膵臓や耳下腺等の疾患や、腎臓疾患でも高くなりますので、 Amy高値=膵炎の疑いとは即断できませんが、2年続けて異常 がでていますので、精密検査は是非お受けください。 次に、精密検査とその判断について説明いたします。 まず、血 液と検尿でAmyとAmy分画などを検査します。 その結果、血 中Amyが高くて、尿中Amyが正常であれば、腎臓でのAmy の排泄が減ったために血中Amyが上がった病態が考えられます。 その原因は、腎疾患の場合と、マクロアミラーゼ血症(アミラー ゼが大分子化したもの)の場合もあり、諸検査の上診断します。 次に血中・尿中Amyともに上がっている時は、Amy分画の結 果から、Amy増加が膵由来か、唾液腺由来かを区別します。 膵由来の場合は、膵臓の病気以外に、腸閉塞、腹膜炎なども 原因として考えられます。 一方、唾液腺由来の場合は、耳下腺 の病気とともに、卵巣・卵管の疾患、糖尿病性ケトアシドーシス、 特殊な肺ガンなども考えられます。 したがって、更に、エコー・ CT・MRIなどの画像診断を行なうことで、診断確定できます。 膵臓の病気としては、急性膵炎・慢性膵炎・膵癌がありますが、 共通してAmyの異常がおきます。 症状として、上腹部に急性腹 痛発作と圧痛があるのが急性膵炎で、上腹部痛・圧痛が6ヶ月以 上持続または継続して、膵機能異常と、膵画像・膵組織像に異常 所見があるのが慢性膵炎です。 また膵炎様腹痛があって画像診断 で診断される膵癌は、無症状のときに健診の異常値で発見される 時もありますので、精密検査がやはり重要です。
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