ネタバレなしの感想 クライマックスに向けて物語が動き出してくれました。 今巻の前半パートはコメディパートや日常回となっています。 シシリーと一線を超えたシンとシシリーが、アルティメット・マジシャンズの面々にからかわれたり、 アルティメット・マジシャンズの面々がすごす何気ない日常の一場面であったり、 あらすじにも書かれている魔法少女キューティスリーの起こす騒動が描かれています。 この前半パートはいつもの緩い雰囲気ですので、これまで『賢者の孫』を楽しんできた読者の方でしたら問題なく楽しめます。 私も心の中でちょいちょい突込みを入れながら楽しく読ませてもらいました。 何故、シンが賢者の息子ではなく孫とされているのかもこの前半パートで明らかにされています。 大凡の読者の方には予想の範疇であったと思いますが、ここで変に読者の意表をついても仕方ないので当然の流れであったと思います。 それにしても、スレインの死因は初めての魔人が関係するのかと思ったが、全くそんなことが無くて逆に驚いたよ。 後半はシリアスパートとなっており、ついに雑魚ではない魔人が前面に立って人類に襲い掛かります。 魔人の首魁であるシュトロームでも敵わない圧倒的強者であるシンをどうやって倒すんだろう? と思うでしょうが、そこは安心してください。 ちゃんとシンを排除するための作戦を練ってくれています。 雑魚魔人と違って少しはアルティメット・マジシャンズを苦戦させてくれますので、読者の溜飲も多少は下げてくれること請け合いです。 ただ、気を付けてください。 当然ながら本作のストロングポイントはストレスフリーの展開です。 ですので、アルティメット・マジシャンズの苦戦はさほどでもありませんし、その苦戦も逆襲のための前振りにすぎません。 一応、次巻への引きとして魔人たちによる対アルティメット・マジシャンズ作戦が発動します。 アルティメット・マジシャンズへの対抗策としては正しい作戦であるといえますので、シンやアルティメット・マジシャンズの面々がどの様にこの作戦に対抗するのかちょっと楽しみです。 ネタバレありの感想 ここから下は『』のネタバレありの感想になります。 未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。 魔人たちの動きと狙い 雑魚魔人を蠢動させることで、アルティメット・マジシャンズの脅威を避けていた魔人たちが、今巻でついに戦いの前面にでてきました。 この魔人たちは、考えなしで無策無能の上に魔力頼りのごり押し一辺倒であった雑魚魔人と違い、シンたちの実力を考慮した上で作戦を練っている点では有能です。 シンたちと魔人たちの戦闘力の差は、簡単に書くと以下の序列であります。 シュトロームが引き籠りを止めればシン不在のアルティメット・マジシャンズなら倒すことが可能です。 そこまで考えれば、魔人たちはシン不在の場面を用意して戦うのは当然です。 逆にアルティメット・マジシャンズの方はシン不在の場面を想定していないといけないはずなんですが、備え無だったんですかね? 魔人警戒網を作って備えるのは理解できるのですが、魔人を検知した時は毎回シンに出張ってもらうつもりだったとしたら間抜けすぎますよ。 流石にそこまで個人の戦闘力に依存しないと信じたいけど、備えて無さそう。 魔人たちは今巻の引きでシンとアルティメット・マジシャンズを旧帝国領に引付けたうえで周辺各国に魔人を発生させるという作戦を実施した訳です。 この作戦への対応として、アルティメット・マジシャンズが発生現場に分散して向かうとか場当たり的なことをしないといいな。 魔人の方は頭を使って動いてきたわけだし、シンやオーグも頭を使って対処してくれると嬉しいです。 作中の人物たちにアルティメット・マジシャンズさん超Suggeeeeeと言わせるだけじゃなくて、読者にもシンさん流石だわと言わせてくれる展開を期待です。 雑魚魔人じゃなく真の魔人たちが動き出してくれて物語が動き出したのは嬉しいです。 でも、なんでこのタイミングで本格的に魔人が動き出したんでしょうね? シュトロームさんが何らかの理由でモチベーションを取り戻したのか? それともシンたちの実力が把握できたので魔人たちが本気を出したのか? もしくは、自滅願望や破壊願望からの衝動なのかしら? 魔人たちが動いた理由は現状まだ分かりませんが、ミリアの行っていた実験の結果が魔人が動き出した原因なのだと推測されます。 魔人が警戒網を襲撃する前の場面でミリアの実験の結果が出たことが描写されながらも、その結果自体は読者に開示されませんでした。 情報の出し方から考えるミリアの実験の結果は重要なものであり、魔人たちが動き出すに足る理由であると考えられます。 この実験の結果次第で、魔人たちの存亡の行方と作品の締め方が変わる気がしますね。 私の現状の予想は、魔人が子孫を残せるかどうか?という実験ではないかなと考えています。 魔人が子孫を残せるのならアルティメット・マジシャンズを始めとした人類と戦うが必要なかったのでしょうが、子孫を残せないとなると魔人は一代限りの生物であり、思いや記憶を託す存在のない生物になります。 魔人が子孫を残せないのならば種族としての滅亡一直線です。 そのことが魔人たちのとっての絶望になり、自暴自棄や世界への憎しみに変わって戦う道を選んだのじゃないかと予想しています。 でも、魔人たちって元々帝国を滅亡させること以外の目的が全くなかったし、子孫残せないからって絶望するのかしら?という疑問が自分の中にもあるんですよね。 子孫を残せないことへの絶望を世界にぶつけることを選んだとか、世界に絶望した自分を倒してもらうために動き出したとか、そんなありきたりな理由ではないはずです。 世界や自分に絶望して死にたいとか、そんな自分勝手な理由だったら失笑しちゃいそうですわ。 きっと、私の浅はかな予想など外れており、思いもよらない理由が隠されていることでしょう! 魔人の狙いはいったい何なのか? シンたちは魔人たちの作戦をどのように打ち崩すのか? 次巻『賢者の孫 10巻』の内容を期待したいと思います。 もしかしたら次か次の次くらいで作品終わるのかなあ。 もし終わっちゃうのなら、シン自体は結局自ら主導的に動かず、作品の流れに沿って動くだけだったなあ。 教皇さんの事件について 暗殺されかかっちゃったけど、刃物持たせたまま面会させる護衛は無能だよなあ。 刺した刃に塗られていた毒で死にかけてたけどシンが作った異物排除のアクセサリーで毒殺予防できてたよなあ。 暗殺事件を起こすためには異物排除のアクセサリーは邪魔な存在になるのは分かるが、作品として整合性は取ってそのアイテムが使えなかった理由を書いてほしい。 シンが自作できて効果絶大なアイテムを大国の指導者であり、自分の祖父祖母と親しい重要な人間に便利なアイテム渡さない理由が無いよね。 まあ異物排除とかいうガバガバな効果のアイテムを出しちゃったから扱い難しいってのは理解できるけどね。
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ネタバレなしの感想 クライマックスに向けて物語が動き出してくれました。 今巻の前半パートはコメディパートや日常回となっています。 シシリーと一線を超えたシンとシシリーが、アルティメット・マジシャンズの面々にからかわれたり、 アルティメット・マジシャンズの面々がすごす何気ない日常の一場面であったり、 あらすじにも書かれている魔法少女キューティスリーの起こす騒動が描かれています。 この前半パートはいつもの緩い雰囲気ですので、これまで『賢者の孫』を楽しんできた読者の方でしたら問題なく楽しめます。 私も心の中でちょいちょい突込みを入れながら楽しく読ませてもらいました。 何故、シンが賢者の息子ではなく孫とされているのかもこの前半パートで明らかにされています。 大凡の読者の方には予想の範疇であったと思いますが、ここで変に読者の意表をついても仕方ないので当然の流れであったと思います。 それにしても、スレインの死因は初めての魔人が関係するのかと思ったが、全くそんなことが無くて逆に驚いたよ。 後半はシリアスパートとなっており、ついに雑魚ではない魔人が前面に立って人類に襲い掛かります。 魔人の首魁であるシュトロームでも敵わない圧倒的強者であるシンをどうやって倒すんだろう? と思うでしょうが、そこは安心してください。 ちゃんとシンを排除するための作戦を練ってくれています。 雑魚魔人と違って少しはアルティメット・マジシャンズを苦戦させてくれますので、読者の溜飲も多少は下げてくれること請け合いです。 ただ、気を付けてください。 当然ながら本作のストロングポイントはストレスフリーの展開です。 ですので、アルティメット・マジシャンズの苦戦はさほどでもありませんし、その苦戦も逆襲のための前振りにすぎません。 一応、次巻への引きとして魔人たちによる対アルティメット・マジシャンズ作戦が発動します。 アルティメット・マジシャンズへの対抗策としては正しい作戦であるといえますので、シンやアルティメット・マジシャンズの面々がどの様にこの作戦に対抗するのかちょっと楽しみです。 ネタバレありの感想 ここから下は『』のネタバレありの感想になります。 未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。 魔人たちの動きと狙い 雑魚魔人を蠢動させることで、アルティメット・マジシャンズの脅威を避けていた魔人たちが、今巻でついに戦いの前面にでてきました。 この魔人たちは、考えなしで無策無能の上に魔力頼りのごり押し一辺倒であった雑魚魔人と違い、シンたちの実力を考慮した上で作戦を練っている点では有能です。 シンたちと魔人たちの戦闘力の差は、簡単に書くと以下の序列であります。 シュトロームが引き籠りを止めればシン不在のアルティメット・マジシャンズなら倒すことが可能です。 そこまで考えれば、魔人たちはシン不在の場面を用意して戦うのは当然です。 逆にアルティメット・マジシャンズの方はシン不在の場面を想定していないといけないはずなんですが、備え無だったんですかね? 魔人警戒網を作って備えるのは理解できるのですが、魔人を検知した時は毎回シンに出張ってもらうつもりだったとしたら間抜けすぎますよ。 流石にそこまで個人の戦闘力に依存しないと信じたいけど、備えて無さそう。 魔人たちは今巻の引きでシンとアルティメット・マジシャンズを旧帝国領に引付けたうえで周辺各国に魔人を発生させるという作戦を実施した訳です。 この作戦への対応として、アルティメット・マジシャンズが発生現場に分散して向かうとか場当たり的なことをしないといいな。 魔人の方は頭を使って動いてきたわけだし、シンやオーグも頭を使って対処してくれると嬉しいです。 作中の人物たちにアルティメット・マジシャンズさん超Suggeeeeeと言わせるだけじゃなくて、読者にもシンさん流石だわと言わせてくれる展開を期待です。 雑魚魔人じゃなく真の魔人たちが動き出してくれて物語が動き出したのは嬉しいです。 でも、なんでこのタイミングで本格的に魔人が動き出したんでしょうね? シュトロームさんが何らかの理由でモチベーションを取り戻したのか? それともシンたちの実力が把握できたので魔人たちが本気を出したのか? もしくは、自滅願望や破壊願望からの衝動なのかしら? 魔人たちが動いた理由は現状まだ分かりませんが、ミリアの行っていた実験の結果が魔人が動き出した原因なのだと推測されます。 魔人が警戒網を襲撃する前の場面でミリアの実験の結果が出たことが描写されながらも、その結果自体は読者に開示されませんでした。 情報の出し方から考えるミリアの実験の結果は重要なものであり、魔人たちが動き出すに足る理由であると考えられます。 この実験の結果次第で、魔人たちの存亡の行方と作品の締め方が変わる気がしますね。 私の現状の予想は、魔人が子孫を残せるかどうか?という実験ではないかなと考えています。 魔人が子孫を残せるのならアルティメット・マジシャンズを始めとした人類と戦うが必要なかったのでしょうが、子孫を残せないとなると魔人は一代限りの生物であり、思いや記憶を託す存在のない生物になります。 魔人が子孫を残せないのならば種族としての滅亡一直線です。 そのことが魔人たちのとっての絶望になり、自暴自棄や世界への憎しみに変わって戦う道を選んだのじゃないかと予想しています。 でも、魔人たちって元々帝国を滅亡させること以外の目的が全くなかったし、子孫残せないからって絶望するのかしら?という疑問が自分の中にもあるんですよね。 子孫を残せないことへの絶望を世界にぶつけることを選んだとか、世界に絶望した自分を倒してもらうために動き出したとか、そんなありきたりな理由ではないはずです。 世界や自分に絶望して死にたいとか、そんな自分勝手な理由だったら失笑しちゃいそうですわ。 きっと、私の浅はかな予想など外れており、思いもよらない理由が隠されていることでしょう! 魔人の狙いはいったい何なのか? シンたちは魔人たちの作戦をどのように打ち崩すのか? 次巻『賢者の孫 10巻』の内容を期待したいと思います。 もしかしたら次か次の次くらいで作品終わるのかなあ。 もし終わっちゃうのなら、シン自体は結局自ら主導的に動かず、作品の流れに沿って動くだけだったなあ。 教皇さんの事件について 暗殺されかかっちゃったけど、刃物持たせたまま面会させる護衛は無能だよなあ。 刺した刃に塗られていた毒で死にかけてたけどシンが作った異物排除のアクセサリーで毒殺予防できてたよなあ。 暗殺事件を起こすためには異物排除のアクセサリーは邪魔な存在になるのは分かるが、作品として整合性は取ってそのアイテムが使えなかった理由を書いてほしい。 シンが自作できて効果絶大なアイテムを大国の指導者であり、自分の祖父祖母と親しい重要な人間に便利なアイテム渡さない理由が無いよね。 まあ異物排除とかいうガバガバな効果のアイテムを出しちゃったから扱い難しいってのは理解できるけどね。
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『賢者の孫』36話のあらすじ・ネタバレ 場所は、アールスハイド王国軍務局庁舎内。 近衛騎士団所属のクリスティーナ=ヘイデンと宮廷魔法師団所属のジークフリード=マルケスの二人は、それぞれ上司の前に腰掛けています。 二人の上司はそれぞれ、近衛騎士団総長のドミニク=ガストールと宮廷魔法師団団長のルーパー=オルグランです。 四人は先日実施した、「アルティメット・マジシャンズ」の戦力調査の分析結果について、話し合っているのでした。 結果は、驚くほどの戦力であることはもとより、各人の得意とする分野やどういう位置に配置するのが、最も効果的かということも判明したのです。 そして、何よりもシン=ウォルフォードの存在が、大きく彼らの能力開発に貢献している、と改めて考えざるを得ないのでした。 シンの存在は、意思を持つ魔人・オリバー=シュトロームをはじめ、大量に出現した魔物に対抗し得る人類唯一の希望でありました。 魔法使いの戦力に関しては、ほぼ申し分なかった実戦訓練でした。 改善しない騎士団の戦力 一方、肝心の騎士団の戦力向上はどうなっているのか、と問われたクリスティーナは、正直に現状を答えます。 騎士たちの実力は、魔法使いに比べて目に見えて向上しているとは、言いがたい状況でした。 その答えに檄を飛ばすドミニク総長でしたが、それに対してクリスティーナが手段はあると言います。 しかし、その方法は騎士でなくても誰でも強くなれるものであり、かえって騎士の戦力向上を妨げるものになってしまう諸刃の剣でもありました。 落胆する一同にクリスティーナは、それは飽くまで前提の話だというのです。 一方、魔人領である旧ブルースフィア帝国内では、魔物が跋扈し、魔人たちが暴れる機会を得られずにフラストレーションを溜め込んでいました。 アベルたち3人の魔人は、険しい顔を突き合わせていました。 そこへゼストから魔物の生態報告を命ぜられた、少年フィンがゼストの行方を尋ねますが、3人の機嫌は悪く突っぱねられます。 そんなフィンのもとへダンテがやって来て、フィンの話し相手になってやるのでした。 フィンがゼストを探していた頃、彼はオリバー=シュトロームのもとへ報告に赴いていました。 その内容は、人間たちの国々が結集して連合を組むことになってしまったという、言わば失敗報告でした。 そして、ついに「魔人領攻略作戦に向けた世界連合閣僚会議」が開催され、その場で災害級の魔物や魔人に対しては、「アルティメット・マジシャンズ」が対処することが発表されます。 アルティメット・マジシャンズの戦力調査結果 アールスハイド王国軍務局庁舎の一室に騎士と魔法使いが、四名集まっています。 その四名とは、近衛騎士団総長のドミニク=ガストールおよび宮廷魔法師団団長のルーパー=オルグラン、ならびに近衛騎士団所属のクリスティーナ=ヘイデンおよび宮廷魔法師団所属のジークフリード=マルケスです。 クリスティーナとジークフリードが並んで腰掛けて、テーブルを挟んで上司であるドミニクとルーパーが並んで腰掛けています。 シン=ウォルフォードがこの時代に存在していることに感心するジークフリード。 そして、意思を持った魔人オリバー=シュトロームをはじめ大量に出現した魔物や魔人に、対抗し得る人類唯一の希望である、とドミニク=ガストールは感嘆します。 魔物討伐演習の結果をクリスティーナは、次のように報告しました。 「あの程度の状況で誰ひとりとして全力を出すものはいません」 「むしろ、それすら利用して自分たちの訓練に組み込んでしまってますから」 また、魔法使いとしての見解からジークフリードは次のように分析します。 「後衛向きだったり、治癒向きだったり、魔道具の扱いに長けていたり……って特徴はありそうなんで……まあ、そのへんは臨機応変に動いてもらいつつ……」 それらの報告を受けて、ドミニク=ガストールは、アールスハイド国王陛下からも「アルティメット・マジシャンズは世界の共有戦力」との提言を受けていると漏らします。 どうやらその方向で連携各国の理解を得ようという考えが、アールスハイド王国としての見解になりそうなのです。 騎士団の戦力アップ方策 現時点では味方の戦力以上に敵の戦力が掴めていない彼らは、軍人の戦力の底上げについても話し合うのでした。 ドミニク=ガストールが近衛騎士団総長として、クリスティーナに騎士団の戦力アップについて近況を尋ねます。 クリスティーナは実直な軍人らしく、正直な感想を述べました。 「実力は上がってます……が、魔法師団ほどの戦力アップかと言うと、それは……」 言葉を濁すクリスティーナにドミニク=ガストールは檄を飛ばします。 「何かないのか!! ウォルフォード君の戦術で我々にも応用できそうなものが!! 」 そこで、クリスティーナがおもむろに懐から取り出したのは、短剣でした。 それは昔、シンから彼女がもらったものです。 その短剣は単なる短剣ではなく、シン=ウォルフォードが使う剣と同じ威力を持っていました。 超振動を発動して相手を倒すという魔法の短剣なのでした。 それを使えば誰でも敵を倒せるし、何の技術も要らないのです。 ただし、この短剣に頼れば本来の剣術の技術は衰退してしまいます。 クリスティーナは、断言しました。 「容易く手に入る力に意味はありません。 私はそう思います」 その言葉を聞いて、他の者は黙り込みます。 そして、ドミニク=ガストールが重い口を開きました 「口惜しいが……そのとおりだ。 やはり地道な訓練しかないか……我々は」 上げておいて落とす彼女の口ぶりに、ジークフリードが嗜めようとしたそのとき、 「今のは、前提の話です」 と、クリスティーナが何か妙案があるかのように言葉を続けるのでした。 魔人にとっての忠義 一方、場所は変わってこちらは魔人領、すなわち旧ブルースフィア帝国内の様子です。 領内には魔物たちも多く住んでおり、状況がどのようになっているのか魔人たちにとっても分からない点があるようでした。 年少のフィンはかつての隊長ゼストから、領内の魔物の生態報告をするように命ぜられていました。 書類を抱えたフィンは、ゼストを探して城内を歩き回ります。 ある部屋でソファに腰掛けて、為す術もなく投げやり状態のアベルたちに声を掛けました。 しかし、怖い顔で睨まれて恐ろしい返事が返ってくるだけでした。 そこへ現れたのは、色白の長い顔をした長髪の魔人・ダンテです。 アベルたちの機嫌が悪いのは、フラストレーションが溜まっているせいだろう、とフィンに説明してやります。 当然自分も同じだ、というダンテはアベルたちよりも無表情で、それがかえってある種の恐ろしさを醸し出していました。 そして、帝国は解体したにも関わらず、今もゼストのことを「隊長」と呼んでいるフィンに苦言を呈するのでした。 魔人にとって主は、オリバー=シュトロームただ一人でなければならない、とダンテは考えているようです。 しかし、フィンにとってゼストは何も変わっておらず、「隊長」のままだというのです。 それを聞いてダンテはこう言うのでした。 「……まあ、いいさ。 主に忠義の心があるならな」 魔人領攻略作戦に向けた世界連合閣僚会議 人間たちの国々は、ついにお互いの利益を超えて、魔人たちと対決するために手を組みます。 そのための第一歩として、「魔人領攻略作戦に向けた世界連合閣僚会議」が開催される手はずとなりました。 一方、この流れを阻止できなかったゼストは、オリバー=シュトロームに結果報告をします。 シュトロームが、かつてのこの国における皇帝ヘラルドだったら、この報告に激怒したことでしょう。 しかし、シュトロームは、飽くまで穏やかな態度を崩しません。 それどころか、人間たちの反乱に際しての戦略をゼストに一任するというのです。 シュトロームの考えを計りかねるゼストは、ミリアのもとを訪れます。 魔人が子供を身ごもれるかの実験をしているミリアですが、シュトロームに対して単なる実験以上の感情を抱いています。 彼女の心の機微が手に取るように分かるゼストは、複雑な心境でミリアの部屋を後にするのでした。 『賢者の孫』36話の感想・見所 規格外の魔力ゆえに「魔王」の二つ名をいただいて、ウォルフォード商会という組織まで作られて、一部では「神の使い」などと呼ばれるシン=ウォルフォードは、今回あまり活躍するところが見られなくて、物足りない感じがしたかも知れません。 しかし、今回魔物討伐に際して、シン=ウォルフォードが考案した前衛と後衛の二人一組のペアを作って放射線状に並び、敵を中心部に入り込ませない戦術は、見どころの一つだといえるでしょう。 しかも、シンがペアを組んだシシリーには訓練のためとはいえ、前衛を集中的に割り当てます。 訓練終了後、疲労困憊してグッタリするシシリーを何気に負ぶって帰るところなどは、微笑ましくシンの優しさが見て取れる箇所です。 そして、訓練で分かったことは、「アルティメット・マジシャンズ」のメンバーの一人ひとりが、現時点で一国の軍隊にも相当するということ。 そうなれば、それに見合うだけの強い騎士団が欲しくなるのは、ドミニク=ガストール近衛騎士団総長でなくても思うところではないでしょうか。 ただ、魔法とは違い、実際の肉体の能力のみで勝負する騎士団の戦力の向上が、徐々にしかアップできないのは致し方ないことなのです。 そして、気になるのは、クリスティーナが超振動の短剣に替わる魔道具とはいったい何なのでしょうか? そして、いよいよ「魔人領攻略作戦に向けた世界連合閣僚会議」が開催されました。 このことをシュトロームに報告するゼスト。 明らかに失敗の報告にも関わらず、まったく感情の起伏を見せないシュトロームは、いったい何を考えているのでしょうか。 そして、久しぶりにミリアのもとを訪れたゼストとの間で交わされる「実験の経過」も気になるところです。 『賢者の孫』の関連記事.
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