キャブレターの構造 キャブレターは流体力学のベンチュリー効果を利用して、エンジンから発生する負圧で燃料を吸い上げ供給する仕組みになっています。 ベンチュリー効果というのは、流体の流れの断面積を狭めて流速を加速させることです。 簡単にいえば、ホースをつまんで流路を狭めると水が勢いよく噴出するのと同じ原理です。 そのため、キャブレターの内部はくびれた構造をしており、そこで加速する流速によって発生する負圧で燃料を吸い上げ、空気と混ぜ合わせ混合気を作り出しています。 基本的な原理は上記の通りですが、「エンジンの回転数は常に変動するので負圧も変動するのでは?」という疑問が湧いてくるかと思います。 キャブレターは変動する負圧に対して、常に適正な燃料を噴射するために以下の3つのジェットを使い分けています。 アイドリング=スロージェット 2. 全閉と全開の中間のアクセル開度=ニードルジェット 3. アクセル全開=メインジェット スロージェットとメインジェットは、穴の大きさによって燃料の供給量を決めています。 ニードルジェットは爪楊枝のような形状をした部品で、メインジェットに突き刺さっています。 アクセル開度に応じてニードルジェットが持ち上げられると、メインジェットの穴の隙間が広がっていき燃料の供給量が増える仕組みになっています。 気温や気圧によって燃調が狂う キャブレターは一度セッティングを決めると、その通りにしか燃料を供給することができません。 環境が変わらなければそれでも問題ありませんが、気圧や気温は常に変動しています。 そのため気圧や気温が変動すると、同じセッティングのままでは燃調が狂ってしまうのです。 例えば、夏の暑い時期に合わせたセッティングのまま冬の寒い時期に走行すると、燃調が薄い状態になってしまいます。 気温が低いほうが酸素濃度が高いからです。 また、平地でセッティングしたキャブレターのまま標高の高い場所に移動すると、気圧差によって燃調が狂ってしまいます。 具体的には、空気の密度が低いので燃料が濃い状態になります。 インジェクションは外気圧や外気温を測定してコンピューターで燃料を調整するため、このような症状は表れません。 「いつでもどこでも当たり前のようにエンジンが稼働する」のは、コンピューターによる緻密な制御のおかげなのです。 ガソリンと空気の混合比率は、濃すぎても薄すぎてもよくありませんので、ちょうどいい混合比率(空燃比)を保つ必要があります。 キャブレターのセッティングとは、エンジンの回転数全域に渡って適切な混合比率(空燃比)を保つように調整してあげることです。 ベストセッティングの1つの基準となるのが、先ほど解説した理論空燃比「14. 7(空気):1(燃料)」です。 ただし、実際には理論空燃比だとパワーを最大限に発揮できないので、実際にはもう少し濃いめ(パワー空燃比)に燃調を合わせることになります。 問題はどのようにして燃調が濃いのか(薄いのか)を探るかですが、業者の場合はマフラーに空燃費計を取り付けて計測して判断しています。 個人でセッティングする場合は、主にプラグの焼け色や走行中のフィーリングによって判断します。 プラグの焼け色と燃調の関係を表にまとめたので、参考にしてみてください。 アクセル開度 症状 濃い・薄い セッティングの方向性 全開 ノッキング、オーバーヒート、息つき 薄い メインジェット径を大きくする 全開 回転が伸びない、ボコボコ言う、パワー感がない 濃い メインジェット径を小さくする 1/4~3/4 ノッキング、失速、息つき 薄い ジェットニードルのCリング段数を下げる 1/4~3/4 もたつく、ボコボコ言う、加速感がない 濃い ジェットニードルのCリング段数を上げる 1/8~1/2 ノッキング、失速、息つき 薄い ジェットニードルを細いものに交換する 1/8~1/2 もたつく、ボコボコ言う、加速感がない 濃い ジェットニードルを太いものに交換する アイドリング 回転が不安定 薄い パイロットジェット径を大きくする・エアスクリューを緩める アイドリング エンストする 濃い パイロットジェット径を小さくする・エアスクリューを締める キャブセッティング初心者の方にとっては、上記の表だけでは少しわかりづらいかもしれません。 濃すぎるときの症状と薄すぎるときの症状、それぞれさらに詳しく解説するので参考にしてください。 オーバーホール時のポイント ジェットのセッティングをメモせずに分解すると、後で組み付けるときに元通りにできなくなる可能性があります。 元に戻せるようにしっかりとメモしておきましょう。 また、ガスケットやOリングなどは消耗品なので、見た目が綺麗でも再使用せずに新品に交換してください。 キャブレター本体の消耗品ではありませんが、エンジンとキャブレターを接続するインシュレーターの交換も忘れずにおこないましょう。 インシュレーターは樹脂でできているものが多く、樹脂製のものは劣化するとそこから空気が入って燃調が狂ってしまう恐れがあります。 キャブレターのオーバーホールとセットで交換するのが望ましいでしょう。
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バイクのキャブレターの「オーバーフロー」とは オーバーフローとは、キャブレターからガソリンが溢れ出す不具合のこと。 過剰に(over)流れる(flow)と言うことから来ている用語です。 通常、ガソリンタンクから流れてきたガソリンは、キャブレター内のフロートチャンバーと言う場所に溜まります。 しかしながら、ガソリンが流れ続ければ、当然溢れてしまいます。 そのため、フロートと呼ばれる「浮き」の仕組みを利用して、フロート室のガソリンが一定量になるように調整しているのです。 ただ、何らかの原因でこの仕組みに不具合が出ると、ガソリンが溢れてしまう「オーバーフロー」が起こると言うわけです。 また、ガソリンが漏れる事から「お漏らししている」なんて言うこともあります。 様々なパーツで構成されているのが分かりますね。 下の方にあるのがフロートチャンバーとフロートです。 右上:フロート(チャンバー)の仕組み。 タンクからのガソリンがチャンバーに溜まるとフロートが浮いてフロートバルブが「栓」をするようになっている。 また、チャンバー内のガソリンが減ると、バルブが動き、再びガソリンが供給されると言うことですね。 キャブのオーバーフローの原因 キャブレターのオーバーフローが起こる原因はいくつか考えられます。 主な原因としては、• バルブの先端が劣化している(段付き)• バルブの開閉部分にゴミや異物が付いている• バルブが固着していて動かない と言うような理由で、きちんと密閉できないと言うことがあります。 密閉できていないと、当然ガソリンが流れて来てしまいますので、オーバーフローの原因になると言うことですね。 形は違えど「浮き」の役割をしている。 黒やベージュのものもあります。 フロートバルブを動かすのが、浮力によって上下するフロート(浮き)です。 フロート内にゴミなどが溜まり、このフロートの動きが鈍くなれば、当然バルプの開閉にも影響が出ます。 そのため、フロートの動きが悪くなることもオーバーフローの原因になります。 フロートの劣化や破損 また、そもそもフロートが劣化や破損してしまい、「浮かない」と言うことになれば、バルブの開閉ができません。 ガソリンを溜めた容器にフロートを浮かべてみて、きちんと浮くかどうかのチェックが必要です。 浮いていても沈みそうな感じであれば、フロートしても役目は充分に果たせていないと言うことになり、交換が必要になります。 フロートの油面調整のミス ガソリンの量によって、フロートがチャンバー内で浮いたり沈んだりするのですが、このフロートには適正な位置と言うものがあります。 一般的に「フロートレベル」と呼びますが、このフロートレベルの調整がずれている事でもオーバーフローの原因に。 適正な位置に調整されていないと、フロートが浮いてもバルブの締まりが緩くなってしまうと言うことですね。 キャブのオーバーフローの修理方法は? キャブがオーバーフローを起こした時には、基本的に「 オーバーホール」が必要になります。 一旦キャブレターを外して分解、清掃を行うと言うことですね。 バルブはフロートなどの劣化があれば、新品に交換をします。 ただ、キャブのオーバーホールは難易度が高い作業と言えます。 キャブは多くの細かい部品で構成されており、分解に清掃・組み上げるだけでも慣れていないと大変。 また、オーバーホール後にセッティングが狂い調子が悪くなることもあります。 もちろん、挑戦することは悪くないのですが、自信がない場合にはショップに依頼する方が良いかも知れません。 もし、自分でチャレンジする場合には、分解しながら写真を撮っておくと良いでしょう。 最後の組み立て時に、部品の場所がわからなくなってしまうのは良くあるケースです。 また、ごみや異物などの混入が原因の場合、軽くキャブを叩くと直ると言うこともあります。 叩いた衝撃で、詰まっていた異物が取れるとうケースですね。 ただ、このようなケースは運が良いだけとも言えます。 もし一時的に直っても、異物が混入している事が予想されますので、早めに対処する方が良いと言えます。 あくまでも目安ですが• シングル(単気筒)・・・15,000円~• ツイン(2気筒)・・・20,000円~• トリプル(3気筒)・・・25,000円~• マルチ(4気筒)・・・30,000円~ くらいが相場でしょう。 エンジンが単気筒なのか、ツインなのか、はたまた4発なのかによって料金が変わってくるのが一般的です。 原付スクーターならもっと安くできるはずです。 また、繰り返しになりますが、あくまでも目安です。 ショップの工賃には差がありますので、もう少し安いケースもあれば、高いケースもあると言えます。 なかにはキャブレターを外して持ち込むと安くなると言うショップもあります。 いずれにせよ、事前に見積もりを取ってみると良いでしょう。 オーバーフローの症状は外側だけでなく内側のケースもある キャブレターがオーバーフローを起こすと、オーバーフローパイプによって外部に溢れてくるのが一般的な症状。 そのため、すぐに気づくことも多いと言えます。 ただ、実は内側(シリンダー内)にもガソリンが溢れてしまうというケースもあります。 この内部へのオーバーフローは非常に厄介で、ウォーターハンマー現象を起こしエンジンに致命的なダメージを与えてしまう事があります。
次のスズキ ZZ (レッツ2)キャブレターオーバーホールの方法 ZZとレッツ2のキャブレターの構造は同じなのでレッツ2のオーナーの方も参考にして下さい。 CA1PB ZZのメットインボックスの外し方 シートを上げて、付け根のプラスネジ2本と10mmのボルト4本とオイル補給のキャップとカバーを外します。 メットインボックスを上に持ち上げてホースを外します 手で引っ張れば簡単に抜けますので忘れずに外しましょう。 エアクリーナーボックスカバーの5つのプラスネジを外します キャブレターのオーバーホールだけならカバーを外さなくても、エアクリナーボックスごと外せば可能ですが、エアクリーナーエレメントの状態を確認します。 キャブレターを洗浄するなら高いものではないのでエレメントの新品交換をお勧めいたします。 エアクリーナーボックスに繋がっているホースを外します ホースが外れにくい時はマイナスドライバーを使いましょう。 エアクリーナーのホースバンドを緩めて あらかじめ潤滑油を塗っておけばネジが回りやすいでしょう。 エアクリーナーボックスを固定している10mmのボルト2本を外します エアクリーナーボックスを固定している10mmのボルト2本を外します。 エアクリーナーボックスが外れました 外したついでに、エアクリーナーボックスの内部をパーツクリーナーで洗浄しましょう。 ガソリンホース、ドレンホースを外します ガソリンホースのクリップをプライヤー等ではさみ上に移動させてマイナスドライバーでこじります。 強引に引っ張るとホースがちぎれますのでご注意下さい。 スロットルバルブ、負圧ホース、キャブヒーターコネクター、インマニの10mmの2本のボルトを外します まずは負圧ホースを外し、スロットルバルブを外してキャブヒーターのコネクターを外し、キャブを固定しているインマニの10mmボルト2本を外します。 キャブヒーターのコネクターは割れやすいのでマイナスドライバーを使用します キャブヒーターのコネクターはプラスティック製で大変割れやすいので手で引っ張ったりせずに、負圧の穴を支点にしてマイナスドライバーで外しましょう。 キャブを固定しているインマニの10mmのボルトはフレキシブルエクステンションバーを使えば外しやすいです キャブを固定している右側のインマニの10mmのボルトは上からでは工具が入りにくい場所にありますのでフレキシブルエクステンションバーを使えば簡単に外れます。 オートチョークのカバーを外して オートチョークのカバーを引っ張り、保温材も外します。 プラスネジ1本を外します このプラスネジは舐めやすいのでぴったり合ったプラスドライバー又はインパクトドライバーを使用しましょう。 キャブレターが外れました インマニからゴミが入らないようにフタをすると良いでしょう。 ホースを外してキャブレター本体を洗浄します キャブレターを分解するにあたって中にゴミや砂などが入らないようにあらかじめ外部を洗浄します。 キャブクリーナー、灯油、ガソリン等を使い歯ブラシでこすり、パーツクリーナーで洗い流し、エアでブローします。 フロートチャンバーの2つのプラスネジを外します このプラスネジも舐めやすく、ぴったりと合ったドライバーかインパクトドライバーの使用をお勧めいたします。 フロートピンを固定しているプラスネジを緩めます フロートピンを固定しているプラスネジを緩め、フロートピンを抜きフロートとフロートバルブを外します。 7mmのメガネレンチでメインジェットホルダーを固定してメインジェットを外します メインジェット、スロージェットとも変形しやすいのでぴったりと合ったマイナスドライバーを使用しましょう。 バラバラになったジェット類 フロートチャンバーにジェット類を入れエンジンコンディショナーを注入します フロートチャンバーにメインジェットホルダー、メインジェット、スロージェット、フロートバルブ、フロートピンを入れてエンジンコンディショナーを注入し、ラップ等でフタをして浸け置きします。 キャブレター本体の通路にエンジンコンディショナーを注入します キャブレター本体に通路すべてにエンジンコンディショナーを注入します。 目に入ると焼けるように痛いので防護メガネ等をしましょう。 しばらく放置してからパーツクリーナーで念入りに洗浄します エンジンコンディショナーで溶解した不純物をきれいに洗い流します。 エアでキャブレター本体の通路全体をブローします 細かいゴミ等もエアで吹き飛ばします。 ジェット類もパーツクリーナーで洗浄します パーツクリーナーで洗浄したあと、エアでブローします。 スロージェットの穴は小さいので目視で貫通しているか確認しましょう。 フロートチャンバーのオートチョークの通路が詰まってないか確認しましょう 赤丸の通路が詰まっているとオートチョークが作動せず冬季は始動困難になりますのでここは必ずチェックしましょう。 小さい穴からエンジンコンディショナーを注入し通路が詰まってないか確認しましょう 細いノズルでエンジンコンディショナーを注入しパーツクリーナーで洗浄しエアでブローして仕上げます。 最後に手をきれいに洗い、ゴミが入らないように慎重に組み付けましょう。 せっかくキャブレターを分解清掃したのに組み付け時にゴミがジェット類に入れば一からやり直しになるのでご注意下さい。 レッツ2も基本は同じなのでご参考下さい。 安次富孝雄 今回の記事はあなたのお役に立てましたか? もしお役に立てたのでしたら、TwitterやFacebook等のソーシャルメディアでこの記事を共有して、あなたのお友達にもお知らせ頂けましたら嬉しいです。 一人でも多くの人にバイクのノウハウをお届けする事が私の喜びに繋がりますから、今後、新しい記事を作成して情報を発信する際のモチベーションアップにも繋がります。 検索エンジンからお越しのお客様で、私のこの顔写真を何度か見かけた方は、当サイトの最新情報がお役に立てるはずです。 Facebookページにいいね!、Twitterアカウントをフォロー、RSSで購読などの方法で最新記事を無料で購読することができます。
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