【もくじ】 ・ ・ ・ ・ 新盆のお布施の金額相場と包み方 まずは新盆におけるお布施の中身について解説します。 お布施は商品やサービスのような「定価」がありません。 そのため宗派や地域、法要ごとの「相場」を把握しておく必要があります。 新盆のお布施の金額相場は通常より少し高め 新盆のお布施の相場はおおよそ40,000円とされています。 通常のお盆のお布施は5,000~20,000円程のため、新盆では少し多めに包むことになります。 新盆は初めて迎えるお盆ということで、大規模な法要を行うことが多いからです。 翌年以降のお盆は、回忌法要と同じように年々少しずつ規模を縮小していく傾向にあります。 新盆ほど大がかりな法要は行わず、お墓参りの際に僧侶を呼び、墓前で読経してもらうだけに留めることも少なくありません。 宗派の違いとお布施の相場 新盆のお布施の相場は宗派によって異なります。 宗派ごとの考え方によって、新盆の法要における重要度も異なるからです。 真言宗の場合、お布施の相場は30,000~50,000円程と他の宗派よりやや高めになっています。 これは真言呪が追善供養をより重要視する宗派だからです。 読経への感謝に加えて、ご本尊へのお供えという意味が強くあるためそれを加味した金額となっています。 一方、曹洞宗や天台宗、臨済宗のお布施相場はおおよそ10,000円であり、僧侶の読経や法要に対するお礼という意味合いが込められています。 浄土宗では相場は10,000~30,000円程です。 お布施は「喜捨」という名前を持っており、仏様に捧げるものと考えられています。 同じく日蓮宗も、お布施の相場はおよそ10,000~30,000円です。 日蓮宗の場合はお布施が功徳に結びつくため、高いほど良いと考えることもあります。 <宗派ごとの新盆のお布施の相場> 宗派 金額 真言宗 30,000~50,000円 曹洞宗 10,000円 天台宗 10,000円 臨済宗 10,000円 浄土宗 10,000~30,000円 日蓮宗 10,000~30,000円 お布施を入れる封筒と表書き お布施を入れる封筒は白無地のもの使用します。 文具店などで販売されているお布施用の封筒でも構いません。 お布施では、葬儀の香典のように不祝儀袋を用意する必要はありませんが、 二重封筒は避けるようにしてください。 封筒の正しい書き方を見ていきましょう。 表書きは一般的な黒墨で問題ありません。 表面の上段には「お布施」または「御布施」と書きます。 宗派によっては、「御経料」「御回向料」と記載する場合もあるので事前に確認しておいたほうが良いでしょう。 下段には「〇〇家」と記載するか、あるいは施主の名前を記載します。 中袋は、表面には何も書きません。 裏面には左下に施主のフルネーム、住所、金額を記載してください。 お布施の包み方 新盆のお布施は正式には奉書紙に包みます。 お悔みの気持ちを表すものではないため、弔事用の包み方をする必要はありません。 まずは用意したお札を半紙で包んで「中包み」を作ります。 この「中包み」をさらに奉書紙で包んで「上包み」とします。 「上包み」の端は上部を折り返し、そこに下部の折り目を重ねてください。 お布施と別のお車代と御膳料包み方、渡し方は? 新盆ではお布施とは別に、「お車代」と「御膳料」を包む必要があります。 「お車代」は5,000~10,000円ほどが一般的ですが、お寺に隣接した斎場で行う場合は不要なこともあります。 「御膳料」は法要後の会食代で、相場はおおよそ2,000~5,000円です。 僧侶が会食に参列する場合は用意する必要はありません。 これらの「 お布施」「 お車代」「 御膳料」は、 僧侶に直接手渡してはいけません。 お布施を袱紗で包んでお盆に乗せ、法要後や会食後のタイミングに差し出して渡すのがマナーです。 このとき、読経や説法のお礼を伝えるのも忘れないようにしましょう。 新盆の流れとお布施を渡すタイミング 新盆は法要当日だけではなく、あらかじめ準備しておかなくてはならないことがたくさんあります。 当日の進行をスムーズにするために、余裕を持って用意しておけると良いでしょう。 新盆の準備段階から、お盆の終わりまでの具体的な流れに沿って解説します。 お寺への連絡日決定 新盆の日取りはできるだけ早く決めるようにしましょう。 旧盆であれば8月15日、新盆であれば7月15日になりますが、必ずその日におこなうという決まりはなく、遺族や親族が集まりやすい日程で調整します。 法要の日取りが決まり次第、お寺にも連絡を入れましょう。 お盆時期は僧侶も非常に忙しいため、早い段階で予定を確保してもらう必要があります。 お墓の掃除 新盆では法要のあとに参列者でお墓参りをするのが一般的です。 新盆前にはお墓を掃除し、気持ちよくお参りができるようにしておきたいものです。 雑草を抜いて、落ち葉やゴミなどを取り除き、墓石や付属品を綺麗に洗っておきましょう。 多くの場合お墓は屋外にあるため、法要の一週間前から三日前頃に掃除をしておくのがおすすめです。 掃除後、新盆までに期間が空くとその間に再度汚れがついてしまう可能性があります。 精霊棚やお供えの準備を行う 新盆をはじめとしてお盆の前には「精霊棚」を用意します。 「盆棚」とも言い、法要に必要な道具や、故人へのお供えものを捧げる際に使用するものです。 宗派や地域によって準備の仕方は異なりますが、今回は一番基本的なものをご紹介します。 まず「盆提灯」です。 故人の霊が迷わずたどり着けるように灯す提灯で、精霊棚の横や軒先につるしておきます。 「精霊馬」は、キュウリで作った馬と、ナスで作った牛です。 故人の霊がこれに乗って、お盆の行き帰りを行うとされています。 「線香」「ろうそく」は、新盆に限らず故人を供養するためにお供えします。 「盆花」はお供え用の花であり、白や紫、黄色を基調としたものを選びます。 菊やミソハギ、キキョウやリンドウなどが多いですが、故人の好きだった花を供えても構いません。 「食べ物」は、果物や干菓子をはじめとして、故人が好きだったものを選ぶと良いでしょう。 日持ちがして、常温でも傷みにくいものが適しています。 地域や宗派にもよりますが、団子を選ぶ場合が多くなっています。 「お迎え団子」や「送り団子」のように、お供えの時期によって団子の種類を変える地域もあります。 迎え火を焚く 「迎え火」とは故人の霊が迷わず帰って来られるよう、目印として焚くものです。 お盆の入り日である8月13日(地域によっては7月13日)の夕方に行います。 軒先でおがらやろうそく、松明などを燃やすのが一般的です。 地域によっては、お墓から自宅に沿った道に提灯をつるす場合もあります。 法要とお布施のスムーズな渡し方 新盆の法要は自宅やお寺、斎場で行うのが一般的です。 会場に参列者が集まったら、僧侶を呼んで読経と説法をしてもらい、その後は参列者や僧侶で会食を行います。 僧侶にお布施を渡すのは、法要後か会食後のどちらかのタイミングです。 ただし、法要当日に慌ただしくなってしまうのがわかっている場合は、あらかじめ渡しておいても失礼にはあたりません。 法要前に僧侶に挨拶をするタイミングで渡すこともあります。 お布施を渡す際、直接手で渡すのはマナー違反になります。 封筒を袱紗に包み、さらにお盆に乗せて差し出します。 送り火を焚く 送り火は故人の霊を送り出すために焚くものです。 8月16日(地域によっては7月16日)の夕方に焚きますが、迎え火よりも遅い時間を選ぶことが多くなっています。 これは「少しでも長く一緒にいるため」という考え方から来る風習ですが、地域や宗派によっても変わります。 法事の豆知識 基本的な新盆のルールについて見てきましたが、ここからは知っておくとより便利な、新盆関連の豆知識を紹介していきます。 新盆のやり方やお布施の決まりは、宗派や地域による違いも少なくありません。 豆地域を理解した上で、臨機応変に調整していきましょう。 お布施をお渡しするには「切手盆」が便利 前述したように、新盆の法要のために用意したお布施は、僧侶に直接手渡しするのはマナー違反です。 このときに活用できるのが「切手盆」です。 通常使用するお盆の多くは8号サイズですが、それよりも小さい7号サイズや、大きい9号サイズでも問題はありません。 色は黒塗りで派手なデザインはありません。 新盆に限らず使用できるお盆なので、ひとつ用意しておくと便利です。 新盆を合同で行う際もお布施は同額で お寺によっては、新盆を複数の檀家によって合同で行う場合があります。 これは宗派や地域、さらにお寺や家庭ごとの考え方が一致した場合のみ成立する方法です。 合同で行うことで、慌ただしいお盆の時期でもじっくり時間をかけて法要ができるというメリットがあります。 このような合同法要の場合も、お布施は相場通りの金額で用意します。 合同だからといって一家庭あたりの お布施を減らしてしまうのはマナー違反なので気を付けましょう。 盆行事がない宗教もある 日本で暮らしていると、お盆行事はすべての人に訪れるもののように感じられます。 しかし、お盆行事を行わない宗教もあります。 代表的なところで言えばキリスト教には、お盆行事がありません。 11月に行われる「万聖節」や「死者の日」が、仏教で言うところのお盆にあたります。 また、同じ仏教であっても国によってはお盆行事を行わないところもあります。 ミャンマーや中国では、仏教でも盆行事とは縁が薄い傾向にあります。 お布施を奉書紙で包むのは上級者向け 今回の記事では、お布施の包み方として奉書紙を利用する方法を紹介しました。 しかし、実は奉書紙を使うのはかなり上級者向けで、現在ではあまり一般的ではありません。 もちろん、正式な包み方なのでマナー違反ではありませんが、近年は市販の封筒を選ぶ人も増加しています。 状況に応じて選択しましょう。 お布施に水引は不要 通夜や葬儀で使用する香典袋には「水引」がついています。 それぞれ色や結び方が異なっており、シーンに適した水引を選ぶ必要があります。 しかし、 基本的にお布施には水引は不要です。 お布施はあくまで僧侶に渡すものであるため、香典のような不祝儀としてのルールは不要と考えるためです。 ただし、地域や風習によっては水引を使用することもあります。 心配な場合は事前に周囲の人に確認しておくと良いでしょう。 まとめ 今回の記事では、新盆を迎える際に知っておきたい様々なルールについて解説しました。 故人が亡くなり、忌明けから初めて迎える「新盆」は、以降のお盆よりも大々的に法要を行うことが多いです。 そのため通常のお盆よりもお布施の相場は高めとなっています。 お布施には決まった金額はありませんが、相場はあります。 ただしこの相場も宗派によっても異なります。 そもそもお布施が持っている意味も宗派によって微妙に異なるため、事前にきちんと確認し、マナーに則った金額を包めるようにしておきましょう。 その他、新盆に関する記事を読みたい人はぜひこちらもご確認ください! 新盆・初盆に関するお問い合わせは「小さなお葬式」へ 新盆・初盆に関するご準備は事前に行うことが大切です。 いざという時困らないように、葬儀全般に関する疑問は、「小さなお葬式」へお問い合わせください。 24時間365日専門スタッフがお客様のサポートをさせていただきます。
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施餓鬼とは? 生前の悪行などにより餓鬼となった霊魂や、無縁仏など供養されない死者に施しを行う法会を施餓鬼会、または施餓鬼と言います。 また、 施しを与える者・受ける者の間に貴賤の区別があってはならないという考えから、施食会(せじきえ)と呼ばれることもあります。 施餓鬼の「餓鬼」とは? 仏教には六道と呼ばれる世界があり、その中の一つに餓鬼道があります。 生前の自らの悪行により餓鬼道へ落ちると、餓鬼という鬼になってしまうと考えられています。 餓鬼になった者は常に飢えや喉の渇きに苦しんでいると考えられており、そういった 餓鬼にも食べ物などの施しを与えることを施餓鬼と言います。 施餓鬼の由来 施餓鬼の由来は、 『 救抜焔口餓鬼陀羅尼経 (くばつえんくがきだらにきょう) 』 というお経にあると言われています。 お釈迦様の弟子の一人である阿難(あなん)が、餓鬼に死を予告された際に、お釈迦様の教えに従って、陀羅尼(だらに)を唱えながら餓鬼に食事を施したところ、その功徳によって餓鬼が救われ、阿難も寿命を延ばすことができました。 こうした説話に基づいて、施餓鬼が行われるようになったようです。 施餓鬼を行う時期 執り行う時期に決まりはなく年に複数回行うこともありますが、 先祖供養とともに餓鬼の供養も行うことで徳が積めると考えられていたためか、 に、盂蘭盆会と合わせて施餓鬼会が行われることも多いようです。 宗派によっても異なりますが、真言宗や浄土宗、曹洞宗などでは8月の盂蘭盆会に、精霊供養として行われています。 禅宗ではこの施餓鬼は重要な法会とされています。 一方、浄土真宗では死者はすぐに成仏すると考えられているので、施餓鬼はありません。 お寺によっては施餓鬼に集まった檀家同士の交流の場を設けたり、食事を楽しんだり、ほかのお寺からゲストを呼んで法話するなどのイベントが催されることもあります。 施餓鬼に行くときのマナー 施餓鬼には、基本的には平服・略礼服を着て供養を行います。 お寺によって違いがあり、法事ではなく行事の一つであるため、ホワイト・グレー・ブラウンなどのシンプルな普段着でよいとする場合もあります。 お寺によっても違いがあるため、確認しておくと間違いがありません。 施餓鬼のお布施の相場 施餓鬼の法要は必ず行わなければならないものではなく、行うかどうかは個人の意思によります。 お布施の金額は特に決められていません。 自分が出せる範囲内の金額のお布施を用意しましょう。 一般的にはお布施として3千円~1万円ぐらいを包むことが多いようです。 また卒塔婆もお願いする場合はさらに塔婆料が必要になります。 お寺・地域によってもお布施の目安には違いがあるので、不安な場合はお寺に確認しましょう。 施餓鬼のお布施の表書き・裏書きの書き方 特に指定がなければ、まずは白地の封筒の上部に御布施と書きます。 お寺によっては施餓鬼料・施餓鬼供養料などと書くこともあります。 裏面には住所と電話番号、金額を記入しておきましょう。 こうすることでどこの誰からいくらもらったのかを寺院でも把握することができます。 また、金額は頭に金と記載し、その下に旧字体の漢数字を使って書きましょう。 3千円であれば金参仟圓也、一万円なら金壱萬圓也などと書きます。 お布施の封筒に文字を入れる際は毛筆や筆ペンなどを使用します。 香典袋の表書きなどは薄墨を使いますが、お布施は僧侶への感謝の印であるため濃墨を使います。 薄墨は悲しみの涙で墨が薄くなったという意味合いを持つため、葬儀などで使用されますが、施餓鬼は身内に不幸があったわけではないので使用する必要はありません。 使う筆は筆ペンや筆タッチのサインペンなどを使っても問題ありませんが、薄墨用と濃墨用があるので注意しましょう。 お布施を入れる封筒の選び方・包み方 奉書紙(ほうしょし)または白地の封筒を用意します。 奉書紙を使って包む方法が一番丁寧ですが、封筒でも構いません。 葬儀などで使用する不祝儀袋は不幸があったときに限りますので、淡墨を使用しないのと同様の理由からお布施には使いません。 お札も新札を使います。 奉書紙の場合は、半紙でお札を包む中包みをしてから奉書紙で包むのがマナーです。 奉書紙には裏表があり、ツルツルした面が表、ザラザラした面が裏になります。 包むときは上包みで折ります。 一方、封筒の場合は白色の赤い郵便欄がないものを選びます。 入れるときは肖像画を表書きの方に向け、封筒の口の近くに来るように入れましょう。 まとめ 先祖供養とともに餓鬼供養も行うことで徳を積めるという考えから、お盆の時期には施餓鬼法要も行われるようになりました。 お寺で行う施餓鬼会に着ていく服装やお布施の相場などについては、葬儀ほど明確な決まりがあるわけではありません。 地域性などもありますので、気になる場合はお寺に確認することをお勧めします。 また、お盆法要などでお坊さんをお探しの方には、宗教者をご紹介させいていただいています。 お気軽にご相談ください。 いい葬儀で葬儀場・斎場を探す エリアを選択してください 北海道・東北地方 探す• 関東地方 探す• 中部地方 探す• 関西地方 探す• 中国・四国地方 探す• 九州地方・沖縄 探す• いい葬儀の鎌倉新書が運営するサービス•
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施餓鬼とは? 餓鬼に施すと書いてせがきと読みます。 施餓鬼とは、地獄の餓鬼道に堕ちて苦しみ続けている無縁仏を供養し、自らの功徳を積むための法要です。 すべての無縁仏を供養する法要、と考えれば簡単かもしれません。 餓鬼たちを供養することで「自身やご先祖様の極楽浄土への供養につながる」と考えられており、「欲を捨て、施しを行うことが施餓鬼の心である」とされています。 施餓鬼はお寺では欠かすことのできない仏教行事のひとつで、法要には近隣の寺院から僧侶たちが集まり、盛大に行われます。 10人や50人、檀家さんも含めて200人以上が集まることもあります。 また、1年に何度か施餓鬼会を行うお寺も珍しくありません。 施餓鬼会では、施餓鬼棚という祭壇にお供えをして、お経をあげます。 その後、何を行うかはお寺によって異なりますが、食事会や法話などが行われます。 また、川の水難で亡くなった方を供養する川施餓鬼(かわせがき)を行う地域や、海で亡くなった方を供養する海施餓鬼(うみせがき)を行う地域もあります。 川や海の施餓鬼会では、灯篭流しや経木流しを行い、地域の行事となっていることもあり、東日本大震災で亡くなった方たちに対しても、海施餓鬼が行われています。 川施餓鬼や海施餓鬼に対して、お寺で行われる施餓鬼を寺施餓鬼と呼ぶ方もいます。 施餓鬼とお盆の違い 施餓鬼はお盆の法要と同一視されがちですが、全く別の行事です。 年に一度といわず、毎日行っても構わない施餓鬼会に対して、お盆は8月13日から16日までの4日間、正式には太陰暦(旧暦)の7月15日に行うものとされています。 どちらも由来はお経、つまり仏教伝説からきており、どちらも餓鬼が登場します。 そして、どちらも亡くなった方を供養する法要であるため、同じものだと誤解が生まれたのかもしれません。 下記に、お盆と施餓鬼、それぞれの由来をご紹介します。 施餓鬼の由来「焔口餓鬼陀羅尼経」(ぐばつえんくがきだらにきょう) お釈迦様の弟子、阿難(あなん)尊者が一人で静かな場所に座り、学修している時のことでした。 夜も更けた丑三刻、焔口(えんく)という餓鬼が現れました。 その姿は枯れ細り、口から火を吹き、髪は乱れ、喉は針の先のように細い、それはそれは醜い恐ろしい形相でした。 餓鬼は阿難尊者に「お前の寿命はあと三日で尽き、私のような餓鬼の姿に生まれ変わるだろう」と言いました。 驚いた阿難尊者は、お釈迦様に相談をしました。 「お経を唱えながら餓鬼に食物を布施しなさい。 そうすれば、わずかな一食でも、多くの餓鬼に施され、あなたの寿命も延び、悟りを得ることができるでしょう。 」 阿難尊者がその通りに法要を行ったところ、長生きすることができたのです。 盂蘭盆(うらぼんえ、いわゆるお盆)の由来「盂蘭盆経」(うらぼんきょう) お釈迦様の弟子で神通が第一といわれている目連(もくれん)尊者は、亡くなった母のことを気にかけ、神通力でその姿を探しました。 すると、目連尊者は母が餓鬼道に堕ち、飢えた姿で逆さ吊りになり、苦しんでいることを知りました。 目連尊者は神通力で食べ物や飲み物を施そうとしましたが、神通力で出したものはたちまち燃えてしまい、母は口にすることができません。 そこで目連尊者は、お釈迦様に母を救う方法を尋ねました。 「お前の母親はお前を可愛がるあまり、他の子供達の事を考えもせずお前の幸せだけを願っていた。 その自分勝手な心が餓鬼であり、それによって餓鬼界に堕ちてしまったのだ。 」 そしてお釈迦様は目連尊者にこう指示します。 「7月15日に、雨安居(雨期百日間の修行)を終えて精舎から出てくる修行僧にご馳走を用意し、お経を唱え、すべての霊を心から供養しなさい。 」 目連尊者がお釈迦様の言った通りに供養をすると、母は餓鬼の苦しみから救われたのでした。 このように、無縁仏を含むすべての霊を供養するのが施餓鬼で、縁のあるご先祖様を供養するのがお盆、と考えれば簡単かもしれませんが、どちらも布施の心を大切にする教えとなっています。 施餓鬼もお盆も、亡くなった方を供養する、大切な行事なのです。 真言宗では、施餓鬼と護摩祈祷が重要視されています。 それは、毎日施餓鬼をし、護摩を焚けば寺門繁栄や福徳増長につながる、という教えがあるからです。 真言宗の施餓鬼会は夕方に行われることが多く、他の宗派よりも施餓鬼会が行われる回数は多い傾向にあります。 内容はお寺によって様々ですが、他の宗派とあまり違いはありません。 曹洞宗 曹洞宗では30年ほど前に名称が改められ、施餓鬼のことを「施食」 せじき といいます。 先祖が餓鬼になってしまったと誤解をさせるから、または、曹洞宗では施すものと施されるものの間に尊卑貴賤の差があってはならないという考えがあるから、というのが名称を改めた理由だといわれていますが、はっきりとは分かっていません。 曹洞宗でも施餓鬼は大切な法要とされており、「生飯(さば)」という施食作法があります。 これは食事のときに七粒ほどの米粒を供養するもので、禅宗の作法のひとつです。 禅宗における施餓鬼とは、単なる法要ではなく、修行の一つと考えられています。 施食会にて読まれるお経は「甘露門」となっています。 浄土宗 浄土宗でも他の宗派と同じように、施餓鬼は大規模な法要として行われます。 しかし、浄土宗を元にして始まった浄土真宗では、施餓鬼の法要は行いません。 それは、すべての人は成仏しており、死後、餓鬼道に行くことはない、という教えになっているからです。 餓鬼道は死後にあるのではなく、人の心の中にある、という考えで、餓鬼のような苦しみは現世にあるとされています。 日蓮宗 日蓮宗でもやはり施餓鬼の法要は盛大に行われます。 謡曲の「鵜飼(うかい)」では、開祖である日蓮聖人が、山梨県笛吹市の石和町に立ち寄った際、「鵜飼の亡霊がでる」と聞き、法華経28品およそ6万9384文字を、ひと文字ずつ小石に書いて川に投げ入れる川施餓鬼供養を行ったとされています。 その際に創建されたのが鵜飼山遠妙寺とされ、一字一石の経石として、現在も祀られており、能や狂言では今もその様子が演目の一つとして披露されています。 臨済宗 臨済宗は曹洞宗と同様に、禅宗のひとつであり、やはり施餓鬼は大切な法要なっています。 施餓鬼会では焼香をせずに、水向けが行われることがあります。 水向けとは、霊前に水をお供えすることで、施餓鬼のときには洗米と水をお供えします。 また、禅宗であるため、施食作法として、やはり僧侶は生飯(さば)を行っており、食事の際には七粒ほどの米粒を供養しています。 施餓鬼会を行う時期 施餓鬼会を行う時期は決まっていないため、いつ行ってもおかしくはありません。 しかし、祖先と一緒に餓鬼たちを供養するという形で、お盆の時期である7月や8月によく開かれています。 また、お彼岸に施餓鬼会を行っているお寺もあり、その場合、春と秋の年に2回、施餓鬼会を行っています。 施餓鬼法要のお布施の金額相場 施餓鬼会のお布施の金額はお寺や地域などによって様々ですが、相場としては、3千円~1万円となっています。 お寺から金額の指定をされる場合もあるため、よく確認をするようにしましょう。 卒塔婆をお願いする場合は、卒塔婆料を別途で用意します。 卒塔婆料の相場はやはり3千円~1万円です。 のし袋を使う場合には、通常無地ののし袋を使いますが、お寺によっては、専用の封筒などが用意されていることもあります。 表書きは御布施か施餓鬼料、または御施餓鬼料、施食料のいずれかを書きますが、お寺によって使われている書き方を優先するようにしましょう。 また、施餓鬼法要の当日には、お寺が受付を設けているケースが多くなっています。 受付があった場合、お布施はのし袋を使わず、そのまま係りの人に手渡しても構いません。 施餓鬼法要のお供え物 施餓鬼法要では、施餓鬼棚に洗米と洒水 しゃすい をお供えします。 洒水はお清めの水のことです。 洒水を浴びた餓鬼はその身の欲望の炎が消え、洗米やお供え物を口にすることができるといわれています。 施餓鬼でお供えするお米は、お施餓鬼米・御供米もしくは餓鬼飯(がきめし)と呼ばれることがあります。 施餓鬼法要に参列する際に、お布施と共にお供え物を用意する場合、お供えの品の表書きは「御供」にするようにしましょう。 また、お盆のときにはご家庭で精霊棚をつくりますが、それと共に、施餓鬼棚もしくは水棚と呼ばれる祭壇を、盆棚とは別に庭先や縁側に作り、施餓鬼のお膳を用意する地域もあります。 その場合、野菜や果物、お菓子などのお供えをします。 施餓鬼の際の服装 施餓鬼会は年中行事のため、喪服を着ていく必要はありません。 普段着や平服で参加しても大丈夫でしょう。 そのときは黒やグレーを中心としたコーディネイトにし、失礼のない程度に弁えるようにしましょう。 夏に行われることが多いため、黒いストッキングなどは履かなくても大丈夫ですが、サンダルは控えるようにします。 子供の服は、黒かグレーの目立たないものや、制服で構いません。 また、法要のため数珠を忘れずに持っていくようにしましょう。 自宅に僧侶を招いて施餓鬼会を行う場合、施主は喪服(略礼服)を着るようにします。 このときも、数珠は忘れずに持参するようにしましょう。 施餓鬼会は、地域や宗派によって作法が異なります。 気になることがあったときは、お寺や檀家総代に事前に問い合わせるといいでしょう。 よくあるご質問 施餓鬼や施餓鬼会はあまり馴染みがある行事では無いため、解らないことも多いと思います。 こちらでは、施餓鬼に関する「よくある質問」について紹介します。 施餓鬼会は必ず出席しなければいけないの? 施餓鬼会への参加は義務ではありません。 遠方のためや、都合がつかないなど、やむを得ず欠席することもあるでしょう。 基本的に通知は必要ありませんが、お寺から施餓鬼会の案内状が届いたときや、檀家である場合には、欠席の旨を早めに伝えるようにしましょう。 施餓鬼会に欠席する場合もお布施は必要なの? 施餓鬼会に欠席する場合、基本的にお布施は必要ありません。 しかし、お寺からの案内状に、欠席する場合のお布施について記載がされているときは、その指示に従うようにしましょう。 欠席の際のお布施の額は、お寺によってまちまちです。 記載がないときは、お寺や檀家総代に尋ねるようにしましょう。 また、施餓鬼会に欠席する場合でも、卒塔婆をお願いする場合には、お布施と卒塔婆料が必要になります。 別の日や、郵送などでお寺にお渡しするようにしましょう。 施餓鬼会の当日は何をするの? 当日は読経したあとに、卒塔婆の回向供養が行われます。 そのあとは檀家同士でコミュニケーションをとったり、お食事会があったり、僧侶からの法話があったりと、お寺によってさまざまです。 施餓鬼会の様子を事前に知りたい場合は、お寺のホームページや案内などに、当日のスケジュールや写真が紹介されていることがあるため、調べておくといいでしょう。 施餓鬼会で配っていた小さな旗や卒塔婆はどうしたらいいの? 木の棒に5色の色紙がついた旗は、施餓鬼旗(せがきばた)といいます。 お寺によっては、小さな施餓鬼旗が参列者に配られることがあります。 いただいた施餓鬼旗は、お墓参りの際に立てたり、仏壇や精霊棚に飾り付けます。 5色は五如来を表したもので、五如来の御力で身心が清められ、餓鬼道への恐怖が除かれるといわれています。 施餓鬼旗は、お盆が終わった後に送り火でお焚き上げをします。 卒塔婆はお墓に立てましょう。 日が経って古くなったものはお焚き上げをして供養をします。 まとめ このように、施餓鬼は聞き慣れない言葉かもしれませんが、特殊なことをするわけではありません。 亡くなった方にお供えをして供養する一般的な法事と、行うことも心持ちも同じです。 餓鬼たちにお供えをすることで、水やお米の有難さを感じ、自分を見つめ直す機会になる、と僧侶の方々は説いています。 餓鬼は己の心にある物欲であり、施しをすることで、大きな安らぎを得ることとなるのです。 施餓鬼会に参加する機会があったときは、お盆のお墓参りと同じように、亡くなった方と自分自身のことを思って、手を合わせるといいかもしれませんね。
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