トラスツズマブ デルクステカン。 抗がん薬略語一覧

KEGG DRUG: トラスツズマブデルクステカン

トラスツズマブ デルクステカン

同系統薬では イリノテカン:CPT-11〈トポテシン〉が有名ですかね。 DNAのリン酸ジエステル結合を切断し、再結合を触媒するトポイソメラーゼを阻害してDNAを傷害し、抗悪性腫瘍作用を示します。 細胞傷害性抗悪性腫瘍薬の1種ですね。 トラスツズマブとデルクステカンの薬物抗体複合体【ADC】 抗体薬物複合体【ADC】は、 抗体に 低分子医薬品を結合させたものです。 ADCに搭載する低分子医薬品を 「ペイロード」。 抗体とペイロードをつなぐ部分を 「リンカー」と呼びます。 標的特異性の高い抗体を「運び屋」として使い、活性の強い薬剤を標的細胞に直接届けることでの高い効果と、薬剤の全身暴露を抑えることでの副作用の低減を狙っています。 化学療法剤と抗体医薬品に はそれぞれ強みと弱みがありますが、ADCは両剤の強みを活かしつつ弱みをうまく補完し合うことのできる薬剤といえます。 トラスツズマブ デルクステカン〈エンハーツ点滴静注〉は、抗HER2ヒト化モノクローナル 抗体であるトラスツズマブに、ペイロードとして新規のDNAトポイソメラーゼI阻害薬であるデルクステカンを結合させた、第一三共創製のADCになります。 抗体とペイロードをつなぐリンカーの安定性が高いこと、従来のADCに比べて多くの薬剤を結合できること、搭載しているペイロードも強力であること、などが特徴です。 ということで、この難しい言葉達を使って簡単にエンハーツを説明するとこんな感じ。 サードライン以降のHER2陽性胃がん 胃がんの治療に関しての先駆け審査指定を受けているという状態ですね。 トラスツズマブを含む2つ以上の前治療を受けたHER2陽性の進行・再発胃がん患者を対象にしているようです。 先駆け審査指定とは 先駆け審査指定とは、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して極めて高い有効性が期待される医薬品や再生医療等製品等を指定し、日本の患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指した制度です。 エンハーツなど、抗がん剤を中心にこの制度が適用されます。 エンハーツ点滴静注の用法用量 通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回5. なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、呼吸器疾患に精通した医師と連携して使用すること。 投与中は、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、定期的な動脈血酸素飽和度(SpO 2)検査、胸部X線検査及び胸部CT検査の実施等、観察を十分に行うこと。 異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。 警告欄に上記警告の記載がある通り、間質性肺疾患(ILD)に注意が必要です。 第一三共さんのQ&Aでも下記注意が出ています。 異常が認められた場合は、本剤の投与を中止し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、必要に応じて胸部CT検査、血清マーカー等の検査を実施するとともに、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行ってください。 また、間質性肺疾患(ILD)が発現した場合は、Gradeに関わらず投与を中止してください(再開はできません)。 また実際の処方だったり、レジメン情報提供文書等で見ることがあれば追記していきます。

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KEGG DRUG: トラスツズマブデルクステカン

トラスツズマブ デルクステカン

治験概要: 切除不能および転移性の乳がんに対する治験。 HER2低発現の患者さんが対象です。 トラスツズマブ デルクステカンとカペシタビン・エリブリン・ゲムシタビン・パクリタキセル・ナブパクリタキセルのいずれかと比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。 登録予定数は、540人。 フェーズは、3相臨床試験。 試験デザインは、多施設共同無作為化非盲検2群第3相試験。 試験群:トラスツズマブ デルクステカ 対照群:カペシタビン・エリブリン・ゲムシタビン・パクリタキセル・ナブパクリタキセルのいずれか 無増悪生存期間、全生存期間、奏効率、奏効期間、安全性などで評価します。 疾患解説:乳がん によると、2014年に乳がんと診断された女性は78529人です。 日本人女性の12人に1人がかかるといわれ、女性のがん死亡予測数では5位と罹患数に比べると死亡数は少なくなっています。 40代から徐々に増加し50代でいったん減少しますが、60代から70代にかけ増加していき、その後は減少していきます。 35歳未満の乳がんは、若年性乳がんといわれ、全体でみると2. 7%と少数です。 早期の乳がんでは自覚症状がすくなく、症状の進行とともに症状が現れます。 自覚症状の1つが、乳房のしこりで、特徴は、硬かったり動かないことです。 そのほかの症状としては、乳頭や乳輪の湿疹やただれ、乳頭からの血が混じった分泌物、えくぼのような乳房のへこみ、皮膚の赤身や腫れ、熱っぽさ、腋の下の腫れやしこり、痛みなどがあります。 乳房は、母乳をつくる小葉と母乳を乳頭まで運ぶ乳管でできていますが、約95%の乳がんは乳管の上皮細胞にできる乳管がんです。 乳がんの診断は、がんの進行度合いで分類するステージ分類とがんの性質で分類するサブタイプ分類で総合的に行われます。 サブタイプ分類は、エストロゲン受容体 ER 、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2、Ki67の4つの要素で分類されます。 ERとPgRは女性ホルモンで、この女性ホルモンに対して陽性の場合、ホルモンの刺激によってがんが増殖する性質があり、陰性の場合はホルモンには反応しません。 HER2は、がん細胞に発現しているたんぱく質で、陽性だとこの受容体に反応してがんが増殖します。 Ki67は、がんが増えようとする力の程度を示す指標で、高いほどがん細胞の増殖活性が高くなります。 この4つの要素によって、5つのタイプに分類され、タイプによって薬物療法の種類が異なります。 乳がんや卵巣がんの中には、BRCA1、BRCA2の遺伝子の異常が原因で発生するものがあり、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)と呼ばれています。 この遺伝子に異常があっても、必ず乳がんや卵巣がんになるわけではありませんが、発症するリスクが高くなります。 トラスツズマブは、HER2たんぱくやHER2遺伝子の増殖があるがんで、HER2を標的として阻害し、がんの増殖を抑制します。 デルクステカンは、細胞の増殖にかかわる2つのトポイソメラーゼのうちI型の酵素を阻害することでがん細胞の増殖を抑制します。 強力な細胞障害性があるデルクステカンをトラスツズマブと結合させることで、HER2が発現しているがんに選択的に送り届け、有害性を最小限に抑えながら抗腫瘍効果を発揮します。 トラスツズマブ デルクステカンは、トラスツズマブがHER2を抑制し、抗体が免疫細胞を呼び寄せ抗体が結合している細胞を殺傷する抗体依存性細胞障害作用を誘導します。 さらに、トラスツズマブとの結合により、選択的に運ばれたデルクステカンが細胞障害作用を発揮することで抗腫瘍効果を高めます。 対照薬:カペシタビン カペシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。 細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。 ピリミジン系抗がん剤には、カペシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、ゲムシタビンなどがあります。 カペシタビンは、体内に吸収されたのち肝臓や腫瘍組織でフルオロウラシルに変化するプロドラッグといわれる製剤です。 対照薬:エリブリン エリブリンは、微小管の重合を阻害して、細胞分裂に不可欠な形成を阻害することで、細胞分裂を停止させるハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。 微小管の重合を阻害のほか、がん細胞の血流循環の改善、乳がんの上皮細胞化の誘導、乳がん細胞の転移・浸潤能を減少させる作用も確認されているお薬です。 対照薬:ゲムシタビン ゲムシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。 細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。 ピリミジン系抗がん剤には、ゲムシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、カペシタビンなどがあります。 ゲムシタビンは、細胞内で代謝され、DNA合成を直接的、間接的に阻害します。 対照薬:パクリタキセル パクリタキセルは、イチイ科の植物の成分から開発されたタキサン系と呼ばれる微小管阻害薬です。 細胞が増殖するために細胞分裂を行うときに、微小管という物質がばらばらになる必要があります。 パクリタキセルは、この微小管がばらばらにならないように安定化させ過剰に形成を起こすことで、細胞分裂を阻害して抗腫瘍効果を発揮する殺細胞性の抗がん薬です。 対照薬:ナブパクリタキセル ナブパクリタキセルは、イチイ科の植物の成分から開発されたタキサン系と呼ばれる微小管阻害薬であるパクリタキセルと人血清アルブミンを結合させ、ナノ粒子化した抗がん薬です。 タキサン系は水に溶けにくいため、無水エタノール(アルコール)を含んだ液体に溶かして使用されますが、ナブパクリタキセルは、溶けやすくアルコールも使わないため、アレルギー様症状も起こりにくいという特徴があります。 薬の作用は、パクリタキセルと同様、細胞が増殖するために細胞分裂を行うときに、微小管がばらばらにならないように安定化させ過剰に形成を起こすことで、細胞分裂を阻害して抗腫瘍効果を発揮する殺細胞性の抗がん薬です。 アルコールを使わないため、投与量を多くすることができますが、その分関節痛や筋肉痛、末梢神経障害などの副作用が出やすい傾向があります。 主な治験参加条件 対象となる人• 画像診断上の病勢進行が確認されている• 以下の目的のために利用できる十分量の腫瘍検体がある、または無作為割付前に組織生検を行う意思がある HER2ステータスの評価 後治療ステータスの評価• 全身状態(performance status:PS)が0 または1• 治験実施計画書に基づく測定可能病変が1つ以上ある• 治験実施計画書に基づく十分な心、骨髄、腎、肝、および血液凝固機能がある• 男性および妊娠可能な女性/妊娠の可能性のある女性は、治験薬最終投与後少なくとも4. 5か月まで、避妊法の指示に従うおよび性交渉を避けることに同意している• 年齢:20歳以上• 性別:両方 対象とならない人• 医師選択治療群のすべての治療オプションに不適格である• 過去にHER2陽性と評価されたことがない• 抗体薬物複合体を含む、抗HER2療法の治療歴がない• コントロール不良または重大な心血管疾患がある• 脊髄圧迫または臨床的に活動性の中枢神経系転移がある• 間質性肺疾患/肺臓炎の既往、合併、または罹患の疑いがある• その他治験実施計画書に記載した病歴または状態がある。 または本治験に不適格であると治験責任医師などにより判断される パフォーマンスステータス(Performance Status:PS) パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。 米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 0 Publish Date April 30, 1999 (より引用) Karnofsky パフォーマンスステータス スコア 患者の状態 正常の活動が可能。 特別な看護が必要ない 100 正常。 疾患に対する患者の訴えがない。 臨床症状なし 90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 労働することは不可能。 自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。 様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 身の回りのことを自分できない。 施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。 疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要 30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない 20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 10 死期が切迫している 0 死 WHO パフォーマンスステータス スコア 患者の状態 0 全く問題なく活動できる。 発病前と同じ日常生活が制限無く行える 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。 たとえば、軽い家事、事務など 2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。 自分の身の回りのことは全くできない。 完全にベッドか椅子で過ごす 5 死亡 出典:より 治験情報に関する注意点 治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。 薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。 有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。 その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験はに基づく倫理的原則と、を遵守して行われています。 治験実施にあたり、日本ではという厳しいルールが定められています。 これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。 試験概要詳細 試験の名称 HER2低発現の切除不能及び/又は転移性乳癌患者を対象として抗HER2抗体薬物複合体(ADC)DS-8201aを医師選択治療と比較検討する多施設共同無作為化非盲検実薬対照第III相試験 試験の概要 HER2低発現の切除不能及び/又は転移性乳癌患者を対象としたDS-8201aの安全性及び有効性を医師選択治療と比較するデザインの多施設共同無作為化非盲検2群比較第III相試験である 疾患名 HER2低発現の切除不能/転移性乳癌 試験薬剤名 trastuzumab deruxtecan 用法・用量 点滴静注(3週間に1度、5. 20歳以上の男女(日本)• 画像診断上の病勢進行が確認されている(治療中もしくは直近の治療後)• 以下の目的のために利用できる十分量の腫瘍検体がある、又は無作為割付前に組織生検を行う意思がある HER2ステータスの評価 後治療ステータスの評価• Eastern Cooperative Oncology Group performance status ECOG PS)が0 又は1• 治験実施計画書に基づく測定可能病変が1つ以上存在する• 治験実施計画書に基づく十分な心、骨髄、腎、肝、及び血液凝固機能を有する• 男性及び妊娠可能な女性/妊娠の可能性のある女性は、治験薬最終投与後少なくとも4. 5ヵ月まで、避妊法の指示に従う及び性交渉を避けることに同意している• 年齢:20歳以上• 性別:両方 除外基準• 医師選択治療群のすべての治療オプションに不適格である• 過去にHER2 陽性と評価されたことがない• 抗体薬物複合体(ADC)を含む、抗HER2 療法の治療歴がない• コントロール不良又は重大な心血管疾患を有する• 脊髄圧迫又は臨床的に活動性の中枢神経系転移を有する• 間質性肺疾患 ILD /肺臓炎の既往、合併、又は罹患の疑いがある• その他治験実施計画書に記載した病歴又は状態を有する。

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第一三共 抗HER2抗体薬物複合体「DS

トラスツズマブ デルクステカン

HER2標的抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカン[fam-trastuzumab deruxtecan-nxki](販売名:Enhertu[エンハーツ])は、第1相試験において乳がんおよび胃がん以外の複数のがん種に臨床的活性を示したことが、米国がん学会(AACR)誌のCancer Discoveryに掲載された。 ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)は、変異または高発現が認められた場合、がんの進行を促進する可能性がある遺伝子である。 HER2の高発現は、乳がん、胃がん、肺がん、大腸がんを含む多くのがん種で認められている。 HER2過剰発現の乳がんの治療では数種類のHER2標的治療薬が承認されているのに対して、胃がんではそのうちの1つが承認されている。 「HER2標的療法は、乳がんや胃がんの患者に効果があることが証明されているが、他のHER2過剰発現またはHER2変異を伴う悪性腫瘍の患者に対しては、承認済みのHER2標的療法はない」と、スローンケタリング記念がんセンターの腫瘍内科医であり、本試験の上級著者であるBob Li医師は述べ、「HER2過剰発現を伴うその他のがんに対する従来の治療薬は、有効性が限られており、副作用も大きい傾向にある。 これらの患者では、別の治療選択肢が早急に必要とされている」と続けた。 「HER2標的療法は、HER2を過剰発現しているがん細胞やHER2変異を伴うがん細胞に選択的に作用させることができるため、有効性を高め、正常細胞に対するオフターゲット効果による毒性を軽減することができる」と昭和大学先端がん治療研究所(東京都)の腫瘍内科医であり、本試験の代表著者である鶴谷純司医学博士は述べた。 さらに、「診断検査の進歩により、臨床医が腫瘍のHER2状態を判断する能力が向上したため、HER2標的治療の恩恵を受ける可能性のある患者の数が増えた」と鶴谷氏は説明した。 この第1相試験では、鶴谷氏、Li氏および両氏の共同研究者らは、HER2を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の安全性と臨床的活性をHER2過剰発現またはHER2変異を伴う数種類の進行固形がん患者を対象に検討した。 T-DXdは、DXdと呼ばれるDNA複製を阻害する細胞障害性薬剤とHER2に対する抗体を結合させた薬剤である。 抗体がHER2を発現するがん細胞に選択的に結合した後、DXdが標的細胞に放出され、DXdのDNA複製阻害作用が細胞死を誘導する。 またDXdは細胞膜を通過するため、隣接するがん細胞にも侵入して死滅させることができる。 昨年公表された研究結果では、HER2過剰発現を伴う乳がんおよび胃がんにおけるT-DXdの有望な抗腫瘍活性が示された。 2019年12月、T-DXdは、転移性の乳がんに対してHER2標的療法を2つ以上受けたHER2陽性の手術不能または転移性乳がんを有する患者の治療薬として、米国食品医薬品局から迅速審査のもとで承認された。 最新の発表では、HER2過剰発現を伴う固形がん(乳がんと胃がんを除く)ならびにHER2変異を伴う固形がん患者の計60人のデータが報告されている。 60人の患者のうち、20人が大腸がん、18人が非小細胞肺がん(NSCLC)、22人が「その他」のがん種に分類された。 「その他」のがん種には、唾液腺腫瘍(8人)、食道がん(2人)、子宮内膜がん(2人)、胆道がん(2人)、パジェット病(2人)、膵臓がん(1人)、子宮頸がん(1人)、骨外性粘液型軟骨肉腫(1人)、小腸腺がん(1人)が含まれた。 さらに、HER2変異を伴う乳がんの2人がこのカテゴリーに含まれた。 全ての患者(60人)を対象に効果を評価した。 全体の奏効率は28. 2カ月、全生存期間中央値は23. 4カ月であった。 奏効率は肺がん(NSCLC)で最も高く、患者の55. HER2変異を伴う肺がんでは、奏効率は72. 治療中に発現した有害事象(TEAE)の頻度は、各がん種間で同様であった。 全体では、患者の62. 多く認められたTEAEは、貧血、好中球減少、白血球数減少、血小板数減少、食欲減退、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(肝障害のバイオマーカー)、発熱性好中球減少症、および血中ナトリウム値の低下であった。 5人の患者で試験薬と関連のある間質性肺炎が認められた。 5人の患者で死亡に至る有害事象が発現し、そのうち2件は試験治療と関連があると報告された。 試験治療と関連のある死亡のうちの1件は試験薬と関連のある間質性肺炎が死因であった。 49名の患者が、疾患の進行、有害事象、死亡、患者による参加の撤回、その他の理由で治療を中止した。 「この第1相試験におけるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の安全性プロファイルは、過去に報告された乳がんと胃がんの患者群と一致している」とLi氏は述べ、「間質性肺炎は重要な有害事象として認識されている。 重篤または致死的な転帰に至る可能性があるため、モニタリングと迅速な介入が必要である。 このリスクを最小限に抑え、管理するためには、さらなる研究が必要である」と続けた。 「トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、多様な患者集団において有望な抗腫瘍活性を示した」と鶴谷氏は述べ、「これらの結果は、HER2過剰発現またはHER2変異を伴う固形がん患者の治療選択肢として、T-DXdをより大規模な試験で検討すべきであることを示している」と続けた。 Li氏は「今回の予備的試験の結果に非常に興奮している。 T-DXdは、早期臨床試験でHER2過剰発現またはHER2変異を伴うがん患者の標準治療に取って代わる有望性を示したので、われわれは今後の臨床試験でもこの重要な研究を継続していきたいと考えている」と述べた。 本試験の限界として、試験全体および各がん種内の症例数が少ないこと、本試験に含まれるHER2変異の多様性が限られていること等が考えられる。 より大規模な臨床試験が進行中である。 別のHER2標的ADCであるトラスツズマブエムタンシン(T-DM1)による治療後に再発した肺がん患者に対して、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が部分奏効を示したことが、Cancer Discovery誌に掲載されたLi氏らによるもう一つの研究により報告された。 この試験ではT-DM1治療により、HER2変異またはHER2増幅を伴う肺がん患者の臨床的奏効が得られること、T-DM1と不可逆的なHERキナーゼ阻害剤を併用すると細胞培養時に細胞の薬剤取り込みが増強されることが示された。 さらに、T-DM1と不可逆的なHERキナーゼ阻害剤の併用により、T-DM1による治療後の再発乳がん患者で部分奏効が得られた。 以上の点を考慮して、この2つ目の試験の結果から、T-DM1治療後に再発した患者の治療選択肢として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)またはT-DM1とHERキナーゼ阻害剤の併用療法が今後検討されうることが示唆された。 この研究は、研究室での発見を基にした治療、および臨床現場の所見を活かした研究によりトランスレーショナルサイエンス(橋渡し研究)の力を示している」とLi氏は述べ、「このチームアプローチは、作用機序への理解を深めさせ、肺がんやその他の固形がん患者のための新しいクラスの薬剤として、ADCを開発するのに役立った」と続けた。 両試験は第一三共株式会社により資金提供を受けた。 2つ目の試験は米国国立がん研究所(NCI)他、以下から資金提供を受けた:National Cancer Institute, the AACR-Conquer Cancer Foundation of ASCO Young Investigator Award for Translational Cancer Research, the Carol Lowenstein Fund, a gift from Mr. and Mrs. Peter Pritchard, MORE Health, Genentech, and Puma Biotechnology。 Li is an inventor on two pending institutional patents at Memorial Sloan Kettering Cancer Center. Li is an inventor on two pending institutional patents at Memorial Sloan Kettering Cancer Center. 鶴谷氏の所属情報は以下のとおりである:Tsurutani is an advisor for Daiichi Sankyo, Eli Lilly and Company, and Asahi Kasei. Tsurutani has received honoraria from Daiichi Sankyo, Eisai, Taiho Pharmaceutical, Chugai Pharmaceutical, Kyowa Kirin, Nihon Kayaku, Novartis, Pfizer, AstraZeneca, Ono Pharmaceutical, and MSD. Tsurutani has received funds for travel from Daiichi Sankyo and research funds from Boehringer Ingelheim, Eli Lilly and Company, Eisai, and Ono Pharmaceutical.

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