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【刀剣ワールド】天下五剣とは|刀剣の基礎知識

かみ な ぐち ひめ か 炎上

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かみ な ぐち ひめ か 炎上

平家物語 巻第四 平家物語 巻第四 (流布本元和九年本) 1 厳島御幸(いつくしまごかう) 治承四年正月一日の日、鳥羽殿には、相国もゆるさず、法皇もおそれさせましましければ、ぐわんにちぐわんざんのあひだ、さんにふつかまつるひともなし。 されどもそのなかにこせうなごんにふだうしんせいのしそく、さくらまちのちうなごんしげのりのきやう、そのおととさきやうのだいぶながのりばかりぞ、ゆるされてはまゐられける。 おなじきはつかのひ、とうぐうおんはかまぎ、ならびにおんまなはじめとて、めでたきことどもありしかども、法皇は鳥羽殿にて、おんみみのよそにぞきこしめす。 にんぐわつにじふいちにち、しゆしやうことなるおんつつがもわたらせたまはざりしを、おしおろしたてまつて、とうぐうせんそあり。 これも入道相国、よろづおもふさまなるがいたすところなり。 ときよくなりぬとてひしめきあへり。 しんし、ほうけん、ないしどころわたしたてまつる。 かんだちめぢんにあつまつて、ふるきことどもせんれいにまかせておこなひしに、さだいじんどのぢんにいでて、おんくらゐゆづりのことどもおほせしをきいて、こころあるひとびとのなみだをながし、こころをいたましめずといふことなし。 われとおんくらゐをまうけのきみにゆづりたてまつり、はこやのやまのうちも、しづかになどおぼしめすさきざきだにも、あはれはおほきならひぞかし。 いはんやこれは、おんこころならずおしおろされさせましましけんおんこころのうち、まうすもなかなかおろかなり。 つたはれるおんたからものどもしなじな、つかさづかさうけとつて、しんていのくわうきよごでうだいりへわたしたてまつる。 かんゐんどのには、ひのかげかすかに、けいじんのこゑもとどまり、たきぐちのもんじやくもたえにしかば、ふるきひとびとは、かかるめでたきいはひのなかにも、いまさらあはれにおぼえて、なみだをながしそでをぬらさぬはなかりけり。 しんていこんねんさんざい、あはれいつしかなるじやうゐかなとぞ、ひとびとささやきあはれける。 平大納言時忠卿は、うちのおんめのと、そつのすけのをつとたるによつて、「こんどのじやうゐいつしかなりと、たれかかたぶけまうすべき。 いこくには、しうのせいわうさんざい、しんのぼくていにさい、わがてうには、こんゑのゐんさんざい、ろくでうのゐんにさい、これみなきやうほうのなかにつつまれて、いたいをただしうせざりしかども、あるひはせつしやうおうてくらゐにつき、あるひはぼこういだいててうにのぞむとみえたり。 ごかんのかうしやうくわうていは、むまれてひやくにちといふにせんそあり。 てんしくらゐをふむせんじよう、わかんかくのごとし」とまうされければ、そのときのいうしよくのひとびと、「あなおそろし、ものなまうされそ。 さればそれらはよきれいどもかや」とぞつぶやきあはれける。 とうぐうせんそありしかば、入道相国ふうふともに、ぐわいそぶ、ぐわいそぼとて、じゆんさんごうのせんじをかうぶり、ねんぐわんねんじやくをたまはつて、じやうにちのものをめしつかひ、ゑかきはなつけたるものどもいでいつて、ひとへにゐんぐうのごとくにてぞありける。 しゆつけのひとのじゆんさんごうのせんじをかうぶることは、ほふこうゐんのおほ入道どのかねいへこうのほかは、これはじめとぞうけたまはる。 おなじきさんぐわつじやうじゆんに、じやうくわうあきのいつくしまへごかうなるべしときこえけり。 ていわうくらゐをすべらせたまひて、しよしやのごかうはじめには、やはた、かも、かすがへこそごかうはなるべきに、はるばるとあきのくにまでのごかうはいかにと、ひとふしんをなす。 あるひとのまうしけるは、「しらかはのゐんはくまのへごかう、ごしらかははひよしのやしろへごかうなる。 さればしんぬ、えいりよにありとまうすことを」。 ごしんぢうにふかきごりふぐわんあり。 そのうへこのいつくしまをば、平家なのめならずにあがめうやまひまうされけるあひだ、うへには平家にごどうしん、したには法皇のいつとなく鳥羽殿におしこめられてわたらせたまへば、にふだう相国のこころもやはらぎたまふかとの、ごきねんのためとぞきこえし。 さんもんのだいしゆいきどほりまうしけるは、「しゆしやうおんくらゐをすべつて、しよしやのごかうはじめには、やはた、かも、かすがへごかうならずは、わがやまのさんわうへこそごかうはなるべきに、はるばるとあきのくにまでのごかうは、いつのならひぞや。 そのぎならばしんよふりくだしたてまつて、ごかうをとどめたてまつれ」とぞまうしける。 これによつてしばらくごえんいんありけり。 入道相国やうやうになだめのたまへば、さんもんのだいしゆしづまりぬ。 おなじきじふしちにち、しやうくわういつくしまごかうのおんかどでとて、入道相国のきたのかたにゐどののしゆくしよ、はちでうおほみやへごかうなる。 そのよやがていつくしまのごじんじはじめらる。 てんがよりからのおんくるま、うつしのむまなどまゐらせらる。 あくるじふはちにち、入道相国のていへいらせおはします。 そのひのくれがたに、さきのうだいしやう宗盛のきやうをめして、「みやうにちいつくしまごかうのおんついでに、鳥羽殿へまゐつて、法皇のおんげんざんにいらばやとおぼしめすは、相国ぜんもんにしらせずしては、あしかりなんや」とおほせければ、宗盛のきやう、「なんでふことかさふらふべき」とそうせられたりければ、「さらばなんぢこよひ鳥羽殿へまゐりて、そのやうをまうせかし」とおほせければ、かしこまりうけたまはつて、いそぎ鳥羽殿へまゐつて、このよしそうもんせられければ、法皇はあまりにおぼしめすおんことにて、こはゆめやらんとぞおほせける。 あくるじふくにち、おほみやのだいなごんたかすゑのきやう、いまだよふかうまゐつて、ごかうもよほされけり。 このひごろきこえさせたまひつるいつくしまごかうをば、にしはちでうのていよりすでにとげさせおはします。 やよひもなかばすぎぬれど、かすみにくもるありあけのつきはなほおぼろなり。 こしぢをさしてかへるかりの、くもゐにおとづれゆくも、をりふしあはれにおぼしめす。 いまだよのうちに鳥羽殿へごかうなる。 もんぜんにておんくるまよりおりさせおはしまし、もんのうちへさしいらせたまふに、ひとまれにしてこぐらく、ものさびしげなるおんすまひ、まづあはれにぞおぼしめす。 はるすでにくれなんとす。 なつこだちにもなりにけり。 こずゑのはないろおとろへて、みやのうぐひすこゑおいたり。 きよねんのしやうぐわつむゆか、てうきんのためにほふぢうじどのへぎやうがうありしには、がくやにらんじやうをそうし、しよきやうれつにたつて、しよゑぢんをひき、ゐんじのくぎやうまゐりむかつて、まんもんをひらき、かもんれうえんだうをしき、ただしかりしぎしき、いちじもなし。 けふはただゆめとのみぞおぼしめす。 さくらまちのちうなごんしげのりのきやうまゐつて、ごきしよくまうされたりければ、法皇ははやしんでんのはしがくしのまへごかうなつて、まちまゐらさせたまひけり。 しやうくわうはこんねんにじふ、あけがたのつきのひかりにはえさせたまひて、ぎよくたいもいとどうつくしうぞみえさせましましける。 おんぼぎこけんしゆんもんゐんに、いたくにまゐらさせたまひたりしかば、法皇はまづこによゐんのおんことおぼしめしいでて、おんなみだせきあへさせたまはず。 りやうゐんのござ、ちかくしつらはれたり。 ごもんだふはひとうけたまはるにおよばず。 ごぜんにはあまぜばかりぞさぶらはれける。 ややひさしくおんものがたりせさせおはしまし、はるかにひたけてのち、おんいとままうさせたまひて、とばのくさづよりおんふねにぞめされける。 しやうくわうは法皇のりきうのこてい、いうかんせきばくのおんすまひ、おんこころぐるしうごらんじおかせたまへば、法皇はまたしやうくわうのりよはくかうきうのなみのうへ、ふねのうちのおんありさま、おぼつかなくぞおぼしめされける。 まことにそうべう、やはた、かもなどをさしおかせたまひて、はるばるとあきのくにまでのごかうをば、しんめいもなどかごなふじゆなかるべき。 ごぐわんじやうじゆうたがひなしとぞみえたりける。 2 還御(くわんぎよ) おなじきにじふろくにち、しやうくわういつくしまへごさんちやく。 にふだうしやうこくのさいあいのないしがしゆくしよ、くわうきよになる。 なかふつかおんとうりうあつて、きやうゑぶがくおこなはる。 けちぐわんのだうしには、こうけんそうじやう、かうざにのぼりかねうちならし、へうびやくのことばにいはく、「ここのへのみやこをいでさせたまひ、やへのしほぢをわきもつて、はるばるとこれまでまゐらせたまひたる、おんこころざしのかたじけなさよ」とたからかにまうされたりければ、きみもしんもみなかんるゐをぞ、もよほされける。 おほみや、まらうどをはじめまゐらせて、やしろやしろところどころへみなごかうなる。 おほみやよりごちやうばかり、やまをまはらせたまひて、たきのみやへまゐらせたまふ。 こうけんそうじやうはいでんのはしらにかきつけられけるとかや。 くもゐよりおちくるたきのしらいとにちぎりをむすぶことぞうれしき W016 かんぬしさいきのかげひろかかい、じゆじやうのごゐ、こくしふぢはらのありつな、しなあげられてじゆげのしほん、ならびにゐんのてんじやうをゆるさる。 ざすそんえい、ほふげんになさる。 しんりよもうごき、にふだうしやうこくのこころもやはらぎたまひぬらんとぞみえし。 おなじきにじふくにちおんふねかざつてくわんぎよなる。 をりふしなみかぜはげしかりければ、おんふねこぎもどさせ、そのひはいつくしまのうち、ありのうらといふところにとどまらせたまふ。 しやうくわう、「だいみやうじんのおんなごりをしみに、うたつかまつれひとびと」とおほせければ、たかふさのせうしやう、 たちかへるなごりもありのうらなればかみもめぐみをかくるしらなみ W017 やはんばかりにかぜしづまつて、かいじやうもおだしかりければ、おんふねこぎいださせ、そのひはびんごのくにしきなのとまりにつかせたまふ。 このところはさんぬるおうほうのころほひ、いちゐんごかうのとき、こくしふぢはらのためなりがつくつたりけるごしよのありけるを、にふだうしやうこくおんまうけにしつらはれたりしかども、しやうくわうそれへはごかうもならず、「けふはうづきひとひ、ころもがへといふことのあるぞかし」とて、おのおのみやこのことをのたまひいだし、ながめやりたまふほどに、きしにいろふかきふぢのまつのえだにさきかかりけるを、しやうくわうえいらんあつて、「あのはなをりにつかはせ」とおほせければ、おほみやのだいなごんたかすゑのきやううけたまはつて、さししやうなかはらのやすさだがはしぶねにのつて、をりふしごぜんをこぎとほりけるをめして、をりにつかはす。 ふぢのはなをまつのえだにつけながら、をりてまゐらせたりければ、こころばせありなどおほせられて、ぎよかんありけり。 「このはなにてうたつかまつれ。 おのおの」とおほせければ、たかすゑのだいなごん、ちとせへむきみがよはひにふぢなみのまつのえだにもかかりぬるかな W018ふつかのひは、備前のこじまのとまりにつかせたまふ。 いつかのひてんはれて、かいじやうものどけかりければ、ごしよのおんふねをはじめまゐらせて、ひとびとのふねどもみなこぎいだす。 くものなみ、けぶりのなみをわきしのがせたまひて、そのひははりまのくにやまたのうらにつかせたまふ。 それよりおんこしにめして、ふくはらへいらせおはします。 むゆかのひは、おんとうりうあつて、ふくはらのところどころをみなれきらんある。 いけのちうなごんよりもりのきやうのさんざう、あらたまでごらんぜらる。 あくるなぬかのひ、ふくはらをたたせたまふとて、にふだうのいへのしやうおこなはる。 にふだうしやうこくのやうじ、たんばのかみきよくにじやうげのしゐ、おなじうにふだうのまご、ゑちぜんのせうしやうはしゐのじゆじやうとぞきこえし。 そのひてらゐにつかせたまふ。 やうかのひおんむかひのくぎやうてんじやうびと、とばのくさづまでみなまゐられけり。 くわんぎよのときは、とばどのへはごかうもならず、すぐににふだうしやうこくのにしはちでうのていへぞいらせおはします。 おなじきにじふににち、しんていのごそくゐあり。 だいこくでんにておこなはるべかりしかども、ひととせえんしやうののちはいまだつくりもいだされず。 だいこくでんなからんうへは、だいじやうぐわんのちやうにておこなはるべきかと、くぎやうせんぎありしかば、くでうどのまうさせたまひけるは、「だいじやうぐわんのちやうは、ぼんにんのいへにとらば、くもんじよていのところなり。 だいこくでんなからんうへは、ししんでんにてこそ、ごそくゐはあるべけれ」とまうさせたまへば、ししんでんにてぞ、ごそくゐはありける。 いんじかうほうしねんじふいちぐわつじふいちにち、れんぜいゐんのごそくゐ、ししんでんにてありしは、しゆしやうごじやけによつて、だいこくでんへのぎやうがうかなはざりしおんゆゑなり。 ごさんでうのゐんのえんきうのかれいにまかせて、だいじやうぐわんのちやうにておこなはるべきものをと、ひとびとまうしあはれけれども、そのときのくでうどののおんぱからひのうへは、さうにおよばず。 とうぐうせんそありしかば、ちうぐうはこうきでんよりじじゆでんへうつつて、やがてたかみくらへまゐらせたまふ。 へいけのひとびとみなしゆつしせられけるなかに、こまつどののきんだちたちは、こぞおとどこうぜられにしかば、いろにてろうきよせられけり。 3 源氏揃(げんじぞろへ) くらんどのさゑもんのごんのすけさだなが、こんどのごそくゐにゐらんなく、めでたきやうを、こうしじふまいばかりにかいて、にふだうしやうこくのきたのかた、はちでうのにゐどのへまゐらせたりければ、ゑみをふくんでぞよろこばれける。 かやうにはなやかに、めでたきことどもありしかども、せけんはなほにがにがしうぞみえし。 そのころいちゐんだいにのわうじ、もちひとのしんわうとまうししは、おんははかがのだいなごんすゑなりのきやうのおんむすめなり。 さんでうたかくらにましましければ、たかくらのみやとぞまうしける。 いんじえいまん元年じふいちぐわつじふごにちのあかつき、おんとしじふごにて、しのびつつ、こんゑかはらのおほみやのごしよにて、ひそかにおんげんぶくありけり。 おんしゆせきうつくしうあそばし、おんさいかくもすぐれてましましければ、たいしにもたち、くらゐにもつかせたまふべかりしかども、こけんしゆんもんゐんのおんそねみによつて、おしこめられさせたまひけり。 はなのもとのはるのあそびには、しがうをふるつててづからごさくをかき、つきのまへのあきのえんには、ぎよくてきをふいて、みづからがいんをあやつりたまふ。 かくしてあかしくらさせたまふほどに、治承しねんには、おんとしさんじふにぞならせましましける。 そのころこのゑかはらにさぶらはれけるげんざんみにふだうよりまさ、あるよひそかにこのみやのごしよにまゐりて、まうされけることこそおそろしけれ。 たとへば、「きみはてんせうだいじんしじふはつせのしやうとう、じんむてんわうよりしちじふはちだいにあたらせたまふ。 しかればたいしにもたち、くらゐにもつかせたまふべかりしひとの、さんじふまでみやにてわたらせたまふおんことをば、おんこころうしとはおぼしめされさふらはずや。 はやはやごむほんおこさせたまひて、へいけをほろぼし、ほふわうのいつとなく、とばどのにおしこめられてわたらせたまふおんいきどほりをも、やすめまゐらせ、きみもくらゐにつかせたまふべし。 これひとへにごかうかうのおんいたりにてこそさふらはんずれ。 もしおぼしめしたたせたまひて、りやうじをくだされたまふものならば、よろこびをなしてはせまゐらんずるげんじどもこそ、くにぐににおほうさふらへ」とてまうしつづく。 「まづきやうとにはではのぜんじみつのぶがこども、いがのかみみつもと、ではの判官みつなが、ではのくらんどみつしげ、ではのくわんじやみつよし、くまのにはころくでうのはうぐわんためよしがばつしじふらう義盛とてかくれてさふらふ。 つのくににはただのくらんどゆきつなこそさふらへども、これはしんだいなごんなりちかのきやうのむほんのとき、どうしんしながらかへりちうしたるふたうじんにてさふらへば、まうすにおよばず。 さりながらそのおととただのじらうともざね、てしまのくわんじやたかより、おほたのたらうよりもと。 かはちのくにには、いしかはのこほりをちぎやうしけるむさしのごんのかみにふだうよしもと、しそくいしかはの判官だいよしかぬ。 やまとのくにには、うののしちらうちかはるがこども、たらうありはる、じらうきよはる、さぶらうなりはる、しらうよしはる。 あふみのくにには、やまもと、かしはぎ、にしごり。 みのをはりには、やまだのじらうしげひろ、かうべのたらうしげなほ、いづみのたらうしげみつ、うらののしらうしげとほ、あじきのじらうしげより、そのこのたらうしげすけ、きだのさぶらうしげなが、かいでんのはうぐわんだいしげくに、やしまのせんじやうしげたか、そのこのたらうしげゆき。 かひのくにには、へんみのくわんじやよしきよ、そのこのたらうきよみつ、たけだのたらうのぶよし、かがみのじらうとほみつ、おなじきこじらうながきよ、いちでうのじらうただより、いたがきのさぶらうかねのぶ、へんみのひやうゑありよし、たけだのごらうのぶみつ、やすだのさぶらうよしさだ。 しなののくにには、おほうちたらうこれよし、をかだのくわんじやちかよし、ひらがのくわんじやもりよし、そのこのしらうよしのぶ、こたてはきのせんじやうよしかたがじなん、きそのくわんじや義仲。 いづのくににはるにんさきのうひやうゑのすけ頼朝。 ひたちのくにには、しだのさぶらうせんじやうよしのり、さたけのくわんじやまさよし、そのこのたらうただよし、さぶらうよしむね、しらうたかよし、ごらうよしすゑ、陸奥国には故右馬頭義朝が末子、九郎冠者義経、これみな六孫王の御苗裔、ただのしんぼちまんぢうがこういんなり。 てうてきをたひらげしゆくまうをとぐることは、げんぺいいづれしようれつなかりしかども、いまはうんでいまじはりをへだてて、しゆじうのれいにもなほおとれり。 くにはこくしにしたがひ、しやうはあづかつしよにめしつかはれ、くじざふじにかりたてられて、やすいこころもしさふらはず。 つらつらたうせいのていをみさふらふに、うへにはしたがうたるやうなれども、ないないはいつかうへいけをそねまぬものやさふらふ。 きみもしおぼしめしたたせたまひて、りやうじをたうづるほどならば、くにぐにのげんじども、よをひについではせのぼり、へいけをほろぼさんことは、じじつをめぐらすべからず。 そのぎにてさふらはば、にふだうもとしこそよつてさふらへども、わかきこどもあまたさふらへば、ひきぐしてまゐりさふらふべし」とぞまうしける。 みやはこのこといかがあらんずらんと、おぼしめしわづらはせたまひて、しばしはごしよういんもなかりけるが、ここにあこまるだいなごんむねみちのきやうのまご、びんごのぜんじすゑみちがこに、せうなごんこれながとまうししは、すぐれたるさうにんのじやうずにてありければ、ときのひと、さうせうなごんとぞまうしける。 そのひとこのみやをみまゐらせて、「くらゐにつかせたまふべきおんさうまします。 あひかまへててんがのこと、おぼしめしすつな」とまうされけるをりふし、このさんみにふだうも、かやうにすすめまうされければ、さてはしかるべきてんせうだいじんのおんつげやらんとて、ひしひしとおぼしめしたたせたまひけり。 まづしんぐうのじふらう義盛をめして、くらんどになさる。 ゆきいへとかいみやうして、りやうじのおつかひにとうごくへこそくだされけれ。 しんぐわつにじふはちにちみやこをたつて、あふみのくによりはじめて、みのをはりのげんじどもに、しだいにふれてくだるほどに、ごぐわつとをかには、いづのほうでうひるがこじまについて、るにんさきのうひやうゑのすけどのに、りやうじをとりいだいてたてまつる。 しだのさぶらうせんじやうよしのりは、あになればたばんとて、しだのうきしまへくだる。 きそのくわんじや義仲は、をひなればとらせんとて、せんだうへこそおもむきけれ。 ここにくまののべつたうたんぞうは、へいけぢうおんのみなりしが、なにとしてかききいだしけん、「しんぐうのじふらう義盛こそ、たかくらのみやのりやうじたまはつて、すでにむほんをおこすなれ。 なちしんぐうのものどもは、さだめてげんじのかたうどをぞせんずらん。 たんぞうはへいけのごおんをあめやまにかうぶりたれば、いかでかそむきたてまつるべき。 やひとついかけて、そののちみやこへしさいをまうさん」とて、ひたかぶといつせんよにん、しんぐうのみなとへはつかうす。 しんぐうにはとりゐのほふげん、たかばうのほふげん、さぶらひにはうゐ、すずき、みづや、かめのかふ、なちにはしゆぎやうほふげんいげ、つがふそのせいいつせんごひやくよにん、ときつくりやあはせして、げんじのかたにはとこそいれ、へいけのかたにはかくこそいれと、たがひにやさけびのこゑのたいてんもなく、かぶらのなりやむひまもなく、みつかがほどこそたたかうたれ。 されどもおぼえのほふげんたんぞうは、いへのこらうどうおほくうたせ、わがみておひ、からきいのちいきつつ、なくなくほんぐうへこそかへりのぼりけれ。 4 鼬の沙汰(いたちのさた) さるほどに法皇は、なりちかしゆんくわんらがやうに、とほきくにはるかのしまへも、うつしぞやりまゐらせんずるにこそと、おぼしめされけれども、さはなくして、鳥羽殿にて治承も四年におくらせおはします。 おなじきごぐわつじふににちのうまのこくばかり、鳥羽殿には、いたちおびたたしうはしりさわぐ。 法皇おんうらかたあそばいて、あふみのかみなかかぬ、そのときはいまだつるくらんどにてさふらひけるを、ごぜんへめして、「これもつてあべのやすちかがもとへゆき、きつとかんがへさせて、かんじやうをとつてまゐれ」とぞおほせける。 なかかぬこれをたまはつて、あべのやすちかがもとへゆく。 をりふししゆくしよにはなかりけり。 しらかはなるところへといひければ、それへたづねゆきて、ちよくぢやうのおもむきおほすれば、やすちかやがてかんじやうをこそまゐらせけれ。 なかかぬこれをとつて鳥羽殿へはせまゐり、もんよりいらんとすれば、しゆごのぶしどもゆるさず。 あんないはしつたり、ついぢをこえ、おほゆかのしたをはうて、ごぜんのきりいたより、やすちかがかんじやうをこそまゐらせけれ。 法皇これをひらいてえいらんあるに、「いまみつかがうちのおんよろこび、ならびにおんなげき」とぞかんがへまうしたる。 法皇、「このおんありさまにても、おんよろこびはしかるべし。 またいかなるおんめにかあふべきやらん」とぞおほせける。 おなじきじふさんにち前大将宗盛卿、父の御前へにおはして、法皇のおんことをたりふしまうされければ、入道相国やうやうにおもひなほつて、法皇をば鳥羽殿をいだしたてまつり、みやこへくわんぎよなしたてまつり、はちでうからすまるのびふくもんゐんのごしよへいれたてまつる。 いまみつかがうちのおんよろこびとは、やすちかこれをぞまうしける。 かかりけるところに、くまののべつたうたんぞう、ひきやくをもつて、たかくらのみやのごむほんのよしを、みやこへまうしたりければ、前大将宗盛卿おほきにさわいで、折節入道相国は、福原のべつげふにおはしけるにこの由申されたりければ、入道相国おほきに怒つて、「そのぎならばたかくらのみやをからめとつて、とさのはたへうつすべし」とぞのたまひける。 しやうけいにはさんでうのだいなごんさねふさ、しきじにはとうのべんみつまさとぞきこえし。 ぶしにはげんだいふのはうぐわんかねつな、ではのはうぐわんみつなが、ひたかぶとさんびやくよき、みやのごしよへぞむかひける。 このげんだいふのはうぐわんとまうすは、さんみにふだうのじなんなり。 しかるをこのにんじゆにいれられけることは、たかくらのみやのごむほんを、さんみにふだうすすめまうされたりといふことを、平家いまだしらざりけるによつてなり。 5 信連合戦(のぶつらかつせん) さるほどに、みやはさつきじふごやのくもまのつきをながめさせたまひて、なんのゆくへもおぼしめしよらざりけるに、さんみにふだうのししやとて、ふみもちていそがはしげにいできたる。 みやのおんめのとご、ろくでうのすけのたいふむねのぶ、これをとつてごぜんへまゐり、ひらいてみるに、「きみのごむほんすでにあらはれさせたまひて、とさのはたへうつしまゐらすべしとて、くわんにんどもがべつたうせんをうけたまはつて、おむかひにまゐりさふらふ。 いそぎごしよをいでさせたまひて、みゐでらへいらせおはしませ。 にふだうもやがてまゐりさふらはん」とぞかかれたる。 みやはこのこといかがせんと、おぼしめしわづらはせたまふところに、みやのさぶらひにちやうひやうゑのじようはせべののぶつらといふものあり。 をりふしごぜんちかうさふらひけるが、すすみいでてまうしけるは、「ただなんのやうもさふらふまじ。 にようばうしやうぞくにいでたたせたまひて、おちさせたまふべうもやさふらふらん」とまうしければ、このぎもつともしかるべしとて、おんぐしをみだり、かさねたるぎよいに、いちめがさをぞめされける。 ろくでうのすけのたいふむねのぶ、からかさもちておんともつかまつる。 つるまるといふわらは、ふくろにものいれていただいたり。 たとへばせいしがぢよをむかへてゆくやうにいでたたせたまひて、たかくらをきたへおちさせたまふに、おほきなるみぞのありけるを、いとものがるうこえさせたまへば、みちゆきびとがたちとどまつて、「はしたなのにようばうのみぞのこえやうや」とて、あやしげにみまゐらせければ、いとどあしばやにぞすぎさせおはします。 ごしよのおんるすには、ちやうひやうゑのじようはせべののぶつらをぞおかれける。 にようばうたちのせうせうおはしけるをば、かしこここへたちしのばせて、みぐるしきものあらば、とりしたためんとてみるほどに、さしもみやのごひざうありけるこえだときこえしおんふえを、つねのごしよのおんまくらに、とりわすれさせたまひたるをぞ、たちかへつてもとらまほしうやおぼしめされけん。 のぶつらこれをみつけて、「あなあさまし。 さしもきみのごひざうのおんふえを」とまうして、いまごちやうがうちにておつついてまゐらせたり。 みやなのめならずぎよかんあつて、「われしなば、このふえをば、ごくわんにいれよ」とぞおほせける。 「やがておんともつかまつれ」とおほせければ、のぶつらまうしけるは、「ただいまあのごしよへ、くわんにんどもがおむかひにまゐりさふらふなるに、ひといちにんもさふらはざらんは、むげにくちをしくぞんじさふらふ。 そのうへあのごしよに、のぶつらがさふらふとまうすことをば、じやうげみなしつたることでこそさふらへ。 こんやさふらはざらんは、それもそのよはにげたりなどいはれんこと、くちをしうさふらふべし。 ゆみやとるみは、かりにもなこそをしうさふらへ。 くわんにんどもにしばらくあひしらひ、いつぱううちやぶつて、やがてまゐりさふらはん」とて、ただいちにんとつてかへす。 のぶつらがそのよのしやうぞくには、うすあをのかりぎぬのしたに、もよぎにほひのはらまきをきて、ゑふのたちをぞはいたりける。 さんでうおもてのそうもんをも、たかくらおもてのこもんをも、ともにひらいてまちかけたり。 あんのごとくげんだいふのはうぐわんかねつな、ではのはうぐわんみつなが、つがふそのせいさんびやくよき、じふごにちのねのこくに、みやのごしよへぞおしよせたる。 げんだいふのはうぐわんは、ぞんずるむねありとおぼえて、はるかのもんぐわいにひかへたり。 ではのはうぐわんみつながは、のりながらもんのうちへうちいれ、にはにひかへ、だいおんじやうをあげて、「みやのごむほんすでにあらはれさせたまひて、とさのはたへうつしまゐらせんがために、くわんにんどもがべつたうせんをうけたまはつて、ただいまおんむかひにまゐりてさふらふ。 とうとうおんいでさふらへ」とまうしければ、のぶつらおほゆかにたつて、「たうじはごしよでもさふらはず、おんものま[う]ででさふらふぞ。 なにごとぞ、ことのしさいをまうされよ」といひければ、ではのはうぐわん、「なんでふこのごしよならでは、いづくへかわたらせたまふべかんなるぞ。 そのぎならば、しもべどもまゐつてさがしたてまつれ」とぞまうしける。 のぶつらかさねて、「ものもおぼえぬくわんにんどもがまうしやうかな。 むまにのりながら、もんのうちへまゐるだにもきくわいなるにあまつさへしもべどもまゐつてさがしたてまつれとは、いかでかまうすぞ。 ちやうひやうゑのじようはせべののぶつらがさふらふぞ。 ちかうよつてあやまちすな」とぞいひける。 ちやうのしもべのなかに、かなたけといふだいぢからのかうのもの、うちもののさやをはづし、のぶつらにめをかけて、おほゆかのうへへとびのぼる。 これをみてどうれいども、じふしごにんぞつづいたる。 のぶつらこれをみて、かりぎぬのおびひもひつきつてすつるままに、ゑふのたちなれども、みをばこころえてつくらせたるをぬきあはせて、さんざんにこそふるまうたれ。 かたきはおほだち、おほなぎなたでふるまへども、のぶつらがゑふのたちにきりたてられて、あらしにこのはのちるやうに、にはへさつとぞおりたりける。 さつきじふごやのくもまのつきの、あらはれいでてあかかりけるに、かたきはぶあんないなり、のぶつらはあんないしやにてありければ、あそこのめんらうにおつかけては、はたときり、ここのつまりにおつつめては、ちやうどきる。 「いかにせんじのおつかひをば、かうはするぞ」といひければ、「せんじとはなんぞ」とて、たちゆがめばをどりのき、おしなほし、ふみなほし、やにはによきものどもじふしごにんぞきりふせたる。 そののちたちのきつさきさんずんばかりうちをつてすててげり。 はらをきらんとこしをさぐれども、さやまきおちてなかりければ、ちからおよばず。 おほてをひろげて、たかくらおもてのこもんより、をどりいでんとするところに、おほなぎなたもちたるをとこいちにんよりあうたり。 のぶつらなぎなたにのらんととんでかかるが、のりそんじて、ももをぬひざまにつらぬかれ、こころはたけくおもへども、おほぜいのなかにとりこめられて、いけどりにこそせられけれ。 そののちごしよぢうにみだれいつてさがせども、みやはわたらせたまはず。 のぶつらばかりからめて、六波羅へゐてまゐる。 さきのうだいしやうむねもりのきやうおほゆかにたつて、のぶつらをおほにはにひつすゑさせ、「まことにわをのこは、せんじのおつかひとなのるを、せんじとはなんぞとてきつたりけるか。 そのうへ、ちやうのしもべども、おほくにんじやうせつがいしたんなれば、よくよくきうもんして、ことのしさいをたづねとひ、そののちかはらにひきいだいてかうべをはねよ」とぞのたまひける。 のぶつらもとよりすぐれたるだいかうのものなりければ、ゐなほりあざわらつてまうしけるは、「このほどあのごしよを、よなよなもののうかがひさふらふを、なんでふことのあるべきとおもひあなどつて、ようじんもつかまつらぬところに、やはんばかりによろうたるものどもが、にさんびやくきうちいつてさふらふを、なにものぞとたづねてさふらへば、せんじのおつかひとまうす。 たうじはしよこくのせつたうがうだう、さんぞくかいぞくなどまうすやつばらが、あるひはきんだちのいらせたまひたるぞ、あるひはせんじのおつかひなどなのりまうすと、かねがねうけたまはつてさふらふほどに、せんじとはなんぞとて、きつたるざふらふ。 およそのぶつら、もののぐをもおもふさまにつかまつり、かねよきたちをももつてさふらはんには、ただいまのくわんにんどもをば、よもいちにんもあんをんではかへしさふらはじ。 そのうへ、みやのございしよは、いづくにわたらせたまひさふらふやらん、しりまゐらせぬざふらふ。 たとひしりまゐらせてさふらふとも、さぶらひほんのものの、いちどまうさじとおもひきりてんことを、きうもんにおよんでまうすべきやうなし」とて、そののちはものもまうさず。 いくらもなみゐたりけるへいけのさぶらひども、「あつぱれかうのものや。 これらをこそいちにんたうぜんのつはものともいふべけれ」と、くちぐちにまうしければ、そのなかにあるひとのまうしけるは、「あれがかうみやうはいまにはじめぬことぞかし。 せんねんところにありしとき、おほばんじゆのものどものとどめかねたりしがうだうろくにんに、ただいちにんおつかかり、にでうほりかはなるところにて、しにんきりふせ、ににんいけどつて、そのときなされたりしさひやうゑのじようぞかし。 あつたらをのこのきられんずることのむざんさよ」とをしみあへりければ、にふだうしやうこくいかがおもはれけん、「さらば、なきつそ」とて、はうきのひのへぞながされける。 へいけほろびげんじのよになつて、とうごくへくだり、かぢはらへいざうかげときについて、ことのこんげんいちいちにまうしたりければ、かまくらどの、「しんべうなり」とかんじたまひて、のとのくににごおんかうぶりけるとぞきこえし。 6 高倉宮園城寺入御 (たかくらのみやをんじやうじへじゆぎよ」 さるほどに、みやはたかくらをきたへ、こんゑをひがしへ、かもがはをわたらせたまひて、によいやまへいらせおはします。 むかしきよみばらのてんわう、おほとものわうじにおそはれさせたまひて、よしのやまへいらせたまひけるにこそ、をとめのすがたをばからせたまひけるなれ。 いまこのみやのおんありさまも、それにはすこしもたがはせたまふべからず。 しらぬやまぢを、よもすがらはるばるとわけいらせたまふに、いつならはしのおんことなれば、おんあしよりいづるちは、いさごをそめてくれなゐのごとし。 なつぐさのしげみがなかのつゆけさも、さこそはところせうおぼしめされけめ。 かくしてあかつきがたにみゐでらへいらせおはします。 「かひなきいのちのをしさに、しゆとをたのんでじゆぎよあり」とおほせければ、だいしゆおほきにかしこまりよろこんで、ほふりんゐんにごしよをしつらひ、かたのごとくのぐごしいだいてたてまつる。 7 競(きほふ) あくるじふろくにち、たかくらのみやのごむほんおこさせたまひて、みゐでらへおちさせたまふぞやとまうすほどこそありけれ、きやうぢうのさうどうなのめならず。 そもそもこのげんざんみにふだうよりまさは、としごろひごろもあればこそありけめ、こんねんいかなるこころにて、むほんをばおこされけるぞといふに、へいけのじなんむねもりのきやうの、ふしぎのことをのみしたまひけるによつてなり。 さればひとのよにあればとて、すずろにいふまじきことをいひ、すまじきことをするは、よくよくしりよあるべきことなり。 たとへばそのころさんみにふだうのちやくしいづのかみなかつなのもとに、くぢうにきこえたるめいばあり。 かげなるむまのならびなきいちもつ、のりはしり、こころむけ、よにあるべしともおぼえず。 なをばこのしたとぞいはれける。 むねもりのきやうししやをたてて、「きこえさふらふめいばをたまはつて、みさふらはばや」とのたまひつかはされたりければ、いづのかみのへんじには、「さるむまをもつてさふらひしを、このほどあまりにのりつからかしてさふらふほどに、しばらくいたはらせんがために、でんしやへつかはしてさふらふ」とまうされければ、「さらんにはちからおよばず」とて、そののちはさたなかりけるが、おほくなみゐたりけるへいけのさぶらひども、「あつぱれそのむまはをととひもさふらひし。 きのふもみえてさふらふ。 けさもにはのりしさふらひつる」など、くちぐちにまうしければ、「さてはをしむござんなれ。 にくし。 こへ」とて、さぶらひしてはせさせ、ふみなどして、ひとときがうちにごろくどしちはちどなどこはれければ、さんみにふだうこれをきき、いづのかみにむかつてのたまひけるは、「たとひこがねをもつてまろめたるむまなりとも、それほどひとのこはうずるに、をしむべきやうやある。 そのむますみやかに六波羅へつかはせ」とこそのたまひけれ。 いづのかみちからおよばず、いつしゆのうたをかきそへて、六波羅へつかはさる。 こひしくはきてもみよかしみにそふるかげをばいかがはなちやるべき W021 むねもりのきやう、まづうたのへんじをばしたまはで、「あつぱれむまや、むまはまことによいむまでありけり。 されどもあまりにをしみつるがにくきに、ぬしがなのりをかなやきにせよ」とて、なかつなといふかなやきをして、むまやにこそたてられけれ。 まらうときたつて、「きこえさふらふめいばをみさふらはばや」とまうしければ、「そのなかつなめにくらおけ、ひきいだせ、のれ、うて、はれ」なんどぞのたまひける。 いづのかみこのよしをつたへききたまひて、「みにかへておもふむまなれども、けんゐについてとらるるさへあるに、あまつさへてんがのわらはれぐさとならんずることこそやすからね」とおほきにいきどほられければ、さんみにふだうのたまひけるは、「なんでふことのあるべきとおもひあなどつて、へいけのひとどもが、かやうのしれごとをするにこそあんなれ。 そのぎならば、いのちいきてもなににかはせん。 びんぎをうかがふにこそあらめ」とのたまへども、わたくしにはおもひもたたれず、たかくらのみやをすすめまうされけるとぞ、のちにはきこえし。 これにつけても、てんがのひと、こまつのおとどのことをぞしのびまうしける。 あるときおとどさんだいのついでに、ちうぐうのおんかたへまゐらせたまふに、はつしやくばかりありけるくちなはの、おとどのさしぬきのひだんのりんをはひまはりけるを、しげもりさわがば、にようばうたちもさわぎ、ちうぐうもおどろかせたまひなんずとおぼしめし、ひだんのてにてををおさへ、みぎのてにてかしらをとつて、なほしのそでのなかへひきいれ、ちつともさわがず、ついたつて、「ろくゐやさふらふ、ろくゐやさふらふ」とめされければ、いづのかみなかつな、そのときはいまだゑふのくらんどにてさふらはれけるが、「なかつな」となのつてまゐられたるに、このくちなはをたぶ。 たまはつてゆばどのをへて、てんじやうのこにはにいでつつ、みくらのことねりをまねいて、「これたまはれ」といはれければ、おほきにかしらをふつてにげさりぬ。 いづのかみちからおよばず、わがらうどうのきほふをめしてこれをたぶ。 たまはつてすててげり。 そのあしたこまつどのより、よいむまにくらおいて、いづのかみのもとへつかはすとて、「さてもきのふのふるまひこそ、いうにやさしうさふらひつれ。 これはのりいちのむまでさふらふぞ。 ゆふべにおよんで、ぢんげよりけいせいのもとへかよはれんときもちひらるべし」とてつかはさる。 いづのかみ、だいじんのおんぺんじなれば、「おむまかしこまつてたまはりさふらひぬ。 さてもきのふのおんふるまひは、げんじやうらくにこそにてさふらひしか」とぞまうされける。 いかなればこまつどのは、かやうにいうなるためしもおはせしぞかし。 このむねもりのきやうは、さこそなからめ、ひとのをしむむまこひとつて、あまつさへてんがのだいじにおよびぬるこそうたてけれ。 さるほどにおなじきじふろくにちのよにいつて、げんざんみにふだうよりまさ、ちやくしいづのかみなかつな、じなんげんだいぶのはうぐわんかねつな、ろくでうのくらんどなかいへ、そのこくらんどたらうなかみついげ、ひたかぶとさんびやくよき、たちにひかけやきあげて、みゐでらへこそまゐられけれ。 ここにさんみにふだうのとしごろのさぶらひに、わたなべのげんざうきほふのたきぐちといふものあり。 はせおくれてとどまりたりけるを、六波羅へめして、「などなんぢは、さうでんのしゆ、さんみにふだうがともをばせで、とどまつたるぞ」とのたまへば、きほふかしこまつてまうしけるは、「ひごろはしぜんのこともさふらはば、まつさきかけて、いのちをたてまつらうどこそぞんぜしか。 こんどはいかがさふらひつるやらん。 かうともしらせられざりつるあひだ、とどまつてさふらふ」とまうす。 むねもりのきやう、「これにもまたけんざんのものぞかし。 せんどこうえいをぞんじて、たうけについてほうこうーせうとやおもふ。 またてうてきよりまさぼふしにどうしんーせんとやおもふ。 ありのままにまうせとこそのたまひけれ。 きほふなみだをはらはらとながいて、「たとひさうでんのよしみさふらふとも、いかんかてうてきとなれるひとに、どうしんをばつかまつりさふらふべき。 ただてんちうにほうこういたさうずるざふらふ」とまうしければ、だいしやう、「さらばほうこうーせよ。 よりまさぼふしがしけんおんには、ちつともおとるまじきぞ」とていりたまひぬ。 あしたよりゆふべにおよぶまで、「きほふはあるか」。 「ざふらふ」。 「あるか」。 「ざふらふ」とてしこうーす。 ひもやうやうくれければ、だいしやういでられたり。 きほふかしこまつてまうしけるは、「まことやさんみにふだうは、みゐでらにときこえさふらふ。 さだめてようちなんどもやむけられさふらはんずらん。 さんみにふだうのいちるゐ、わたなべたうさてはみゐでらぼふしにてぞさふらはんずらん。 こころにくうもさふらはず、まかりむかつてえりうちなどもつかまつるべき。 さるむまをもつてさふらひしを、このほどしたしいやつめにぬすまれてさふらふ。 おんむまいつぴきくだしあづかりさふらはばや」とまうしければ、だいしやう、「もつともさるべし」とて、しらあしげなるむまの、なんれうとてひざうーせられたりけるに、よいくらおいてきほふにたぶ。 たまはつてしゆくしよにかへり、「はやひのくれよかし。 みゐでらへはせーまゐり、にふだうどののまつさきかけてうちじにーせん」とぞまうしける。 ひもやうやうくれければ、さいしどもをば、かしこここにたちしのばせて、みゐでらへといでたちける、こころのうちこそむざんなれ。 ひやうもんのかりぎぬのきくとぢおほきらかにしたるに、ぢうだいのきせなが、ひをどしのよろひきて、ほしじろかぶとのををしめ、いかものづくりのたちをはき、にじふしさいたるおほなかぐろのやおひ、たきぐちのこつぽふわすれじとや、たかのはではいだりけるまとやひとてぞさしそへたる。 しげどうのゆみもつて、なんれうにうちのり、のりかへいつきうちぐし、とねりをとこにもつだてわきばさませ、やかたにひかけやきあげて、みゐでらへこそはせたりけれ。 六波羅にはきほふがやかたよりひいできたりとてひしめきけり。 むねもりのきやういそぎいでて、「きほふはあるか」。 「さふらはず」とまうす。 「すはきやつめをてのびにして、たばかられぬるは。 あれおつかけてうて」とのたまへども、きほふはすぐれたるだいぢからのかうのもの、やつぎばやのてききにてありければ、「にじふしさいたるやでは、まづにじふしにんはいころされなんず。 おとなせそ」とて、すすむものこそなかりけれ。 ただいましもみゐでらには、わたなべたうよりあひて、きほふがさたありけり。 「いかにもしてこのきほふたきぐちをば、めしーぐせられさふらはんずるものを」と、くちぐちにまうされければ、さんみにふだう、きほふがこころをよくしつてのたまひけるは、「むげにそのものとらへからめられはせじ。 にふだうにこころざしふかきものなれば、みよ、ただいままゐらうずるぞ」とのたまひもはてぬに、きほふつとまゐりたり。 「さればこそ」とぞのたまひける。 きほふかしこまつてまうしけるは、「いづのかうのとののこのしたがかはりに、六波羅のなんれうをこそとつてまゐつてP262さふらへ。 まゐらせさふらはん」とてたてまつる。 いづのかみなのめならずよろこびたまひて、やがてをがみをきり、かなやきをして、そのよろくはらへつかはさる。 やはんばかりにもんのうちへおひいれたりければ、むまやにいつて、むまどもとくひあひければ、そのときとねりおどろきあひ、「なんれうがまゐつてさふらふ」とまうす。 むねもりのきやういそぎいでてみたまふに、むかしはなんれう、いまは、「たひらのむねもりにふだう」といふかなやきをこそしたりけれ。 だいしやう、「につくいきほふめをきつてすつべかりけるものを。 てのびにしてたばかられぬることこそやすからね。 こんどみゐでらへよせたらんずるひとびとは、いかにもしてきほふめをいけどりにせよ。 のこぎりでくびきらん」と、をどりあがりをどりあがりいかられけれども、なんれうがをがみもおひず、かなやきもまたうせざりけり。 8 山門牒状(さんもんへのてふじやう) さるほどに、みゐでらには、かひかねならいて、だいしゆせんぎす。 「そもそもきんじつせじやうのていをあんずるに、ぶつぽふのすゐび、わうぼふのらうろう、まさにこのときにあたれり。 こんどにふだうのばうあくをいましめずば、いづれのひをかごすべき。 みやここにじゆぎよのおんこと、しやうはちまんぐうのゑご、しんらだいみやうじんのみやうじよにあらずや。 てんじゆちるゐもやうがうをたれ、ぶつりきじんりきもがうぶくをくはへましますこと、などかなからん。 なかんづくほくれいはゑんじういちみのがくぢ、なんとは、げらふとくどのかいぢやうなり。 てつそうのところになどかくみせざるべき」と、いちみどうしんにせんぎして、やまへもならへもてふじやうをこそつかはしけれ。 まづさんもんへのじやうにいはく、「をんじやうじてつす、えんりやくじのが。 ことにがふりよくをいたして、たうじのはめつをたすけられんとおもふじやう。 みぎにふだうじやうかい、ほしいままにぶつぽふをはめつし、わうぼふをみだらんとほつす。 しうたんきはまりなきところに、こんげつじふごにちのよ、いちゐんだいにのわうじ、ふりよのなんをのがれんために、ひそかににふじせしめたまふ。 ここにゐんぜんとかうして、いだしたてまつるべきよし、しきりにせめありといへども、いだしたてまつるにあたはず。 よつてくわんぐんをはなちつかはすべきむね、そのきこえあり。 たうじのはめつ、まさにこのときにあたれり。 しよしゆなんぞしうたんせざらんや。 なかんづくえんりやくをんじやうりやうじは、もんぜきふたつにあひわかるといへども、がくするところは、これゑんどんいちみのけうもんにおなじ。 たとへばとりのさうのつばさのごとく、またくるまのふたつのわににたり。 いつぱうかけんにおいては、いかでかそのなげきなからんや。 ていればことにがふりよくをいたして、たうじのはめつをたすけられば、はやくねんらいのゐこんをわすれ、ぢうせんのむかしにふくせん。 しゆとのせんぎかくのごとし。 よつててふそうくだんのごとし。 治承しねんごぐわつじふはちにち、だいしゆら」とぞかいたりける。 9 南都牒状(なんとへのてふじやう」 さんもんのだいしゆ、このじやうをひけんして、「こはいかに、たうざんのまつじでありながら、とりのさうのつばさのごとく、またくるまのふたつのわににたりと、おさへてかくでう、これもつてきくわいなり」とて、へんてふにもおよばず。 そのうへにふだうしやうこく、てんだいざすめいうんだいそうじやうに、しゆとをしづめらるべきよしのたまひければ、ざすいそぎとうざんして、だいしゆをしづめたまふ。 かかりしほどに、みやのおんかたへは、ふぢやうのよしをぞまうしける。 またにふだうしやうこくのはかりごとに、あふみごめにまんごく、ほくこくのおりのべぎぬさんぜんびき、わうらいのためにさんもんへよせらる。 これをたにだにみねみねへひかれけるに、にはかのことにてありければ、いちにんしてあまたとるだいしゆもあり、またてをむなしうして、ひとつもとらぬしゆともあり。 なにもののしわざにやありけん、らくしよをぞしたりける。 やまぼふしおりのべごろもうすくしてはぢをばえこそかくさざりけれ W022 またきぬにもあたらぬだいしゆのよみたりけるにや、 おりのべをひときれもえぬわれらさへうすはぢをかくかずにいるかな W023 またなんとへのじやうにいはく、「をんじやうじてつす、こうぶくじのが。 ことにがふりよくをいたして、たうじのはめつをたすけられんとこふじやう。 みぎぶつぽふのしゆしようなることは、わうぼふをまもらんがため、わうぼふまたちやうきうなること、すなはちぶつぽふによる。 ここににふだうさきのだいじやうだいじんたひらのあそん清盛こう、ほふみやうじやうかい、ほしいままにこくゐをひそかにし、てうせいをみだり、ないにつけげにつけ、うらみをなし、なげきをなすあひだ、こんぐわつじふごにちのよ、いちゐんだいにのわうじふりよのなんをのがれんがために、にはかににふじせしめたまふ。 ここにゐんぜんとかうしていだしたてまつるべきむね、しきりにせめありといへども、しゆといつかうをしみたてまつて、いだしたてまつるにあたはず。 よつてかのぜんもん、ぶしをたうじへいれんとす。 ぶつぽふといひ、わうぼふといひ、いちじにまさにはめつせんとす。 むかしたうのゑしやうてんし、ぐんびやうをもつてぶつぽふをほろぼさしめしとき、しやうりやうぜんのしゆ、かつせんをいたして、これをふせぐ。 わうけんなほかくのごとし。 いかにいはんやむほんはちぎやくのともがらにおいてをや。 たれのひとかきやうせいすべきぞや。 なかんづくなんきやうはれいなくして、つみなきちやうじやをはいるせらる。 このときにあらずんば、いづれのひかくわいけいをとげん。 ねがはくはしゆと、うちにはぶつぽふのはめつをたすけ、ほかにはあくぎやくのはんるゐをしりぞけば、どうしんのいたり、ほんぐわいにたんぬべし。 しゆとのせんぎかくのごとく、よつててつそうくだんのごとし。 治承しねんごぐわつじふはちにち、だいしゆら」とぞかいたりける。 「なんとへんてふ」なんとのだいしゆこのじやうをひけんして、いちみどうしんにせんぎして、やがてへんてふをこそおくりけれ。 そのへんてふにいはく、「こうぶくじてつす、をんじやうじのが。 らいてふいつしにのせられたり。 みぎにふだうじやうかいがために、きじのぶつぽふをほろぼさんとするよしのことてつす。 ぎよくせんぎよくくわりやうかのしうぎをたつといへども、きんしやうきんく、おなじういちだいのけうもんよりいでたり。 なんきやうほくきやうともにもつてによらいのでしたり。 じじたじ、たがひにでうだつがましやうをぶくすべし。 そもそも清盛にふだうはへいじのさうかう、ぶけのぢんがいなり。 そぶまさもり、くらんどごゐのいへにつかへて、しよこくじゆりやうのむちをとる。 おほくらきやうためふさ、かしうししのいにしへ、けんびしよにふし、しゆりのだいぶあきすゑ、はりまのたいしゆたりしむかし、むまやのべつたうしきににんず。 しかるをしんぶただもり、しようでんをゆるされしとき、とひのらうせう、みなほうこのかきんををしみ、ないげのえいかう、おのおのばだいのじんもんになく。 忠盛せいうんのつばさをかいつくろふといへども、よのたみなほはくをくのたねをかろんず。 なををしむせいし、そのいへにのぞむことなし。 しかればすなはちさんぬる平治元年じふにんぐわつ、だ[い]じやうてんわういつせんのこうをかんじて、ふじのしやうをさづけたまひしよりこのかた、たかくしやうこくにのぼつて、かねてひやうぢやうをたまはる。 なんしあるひはたいかいをかたじけなうし、あるひはうりんにつらなり、によしあるひはちうぐうしきにそなはり、あるひはじゆんごうのせんをかうぶる。 くんていそし、みなきよくろにあゆみ、そのまごかのをひ、ことごとくちくふをさく。 しかのみならずきうしうをとうりやうし、はくしをしんだいして、ぬびみなぼくじうとなす。 いちまうこころにたがへば、わうこうといへどもこれをとらへ、へんげんみみにさかふれば、くぎやうといへどもこれをからむ。 これによつて、あるひはいつたんのしんみやうをのべんがため、あるひはへんしのりようじよくをのがれんとおもつて、ばんじようのせいしゆ、なほめんてんのこびをなし、ぢうだいのかくん、かへつてしつかうのれいをいたす。 だいだいさうでんのけりやうをうばふといへども、しやうさいもおそれてしたをまき、みやみやさうじようのしやうゑんをとるといへども、けんゐにはばかつてものいふことなし。 かつにのるあまり、きよねんのふゆじふいちぐわつ、だ[い]じやうくわうのすみかをつゐふくして、はくりくこうのみをおしながす。 ほんぎやくのはなはだしきこと、まことにこきんにたえたり。 そのときわれら、すべからくぞくしゆにゆきむかつて、そのつみをとふべしといへども、あるひはしんりよにあひはばかり、あるひはりんげんとしようずるによつて、うつたうをおさへて、くわういんをおくるあひだ、かさねてぐんびやうをおこして、いちゐんだいにのしんわうぐうをうちかこむところに、はちまんさんじよ、かすがだいみやうじん、ひそかにやうがうをたれ、せんひつをささげたてまつり、きじにおくりつけて、しんらのとぼそにあづけたてまつる。 わうぼふつきざるむねあきらけし。 よつてきじしんみやうをすててしゆごしたてまつるでう、がんじきのたぐひ、たれかずゐきせざらん。 このときわれらゑんゐきにあつて、そのなさけをかんずるところに、清盛こう、なほきようきをおこして、きじにいらんとするよし、ほのかにつたへうけたまはるによつて、かねてよういをいたす。 じふはちにちたつのいつてんにだいしゆをおこし、しよじにてつそうし、まつじにげぢして、ぐんしをえてのち、あんないをたつせんとするところに、せいてうとびきたつてはうかんをなげたり。 すうじつのうつねんいちじにげさんす。 かのたうかしやうりやういつさんのひつしゆ、なほぶそうのくわんびやうをかへす。 いはんやわこくなんぼくりやうもんのしゆと、なんぞぼうしんのじやるゐをはらはざらん。 よくりやうゑんさうのぢんをかためて、よろしくわれらがしんぱつのつげをまつべし。 じやうをさつしてぎたいをなすことなかれ。 もつててつす。 くだんのごとし。 治承しねんごぐわつにじふいちにち、だいしゆら」とぞかいたりける。 10 大衆揃(だいしゆそろへ) てらにはみやいらせたまひてのち、おほぜきこぜきほりきつて、だいしゆまたせんぎす。 「そもそもさんもんはこころがはりしつ。 なんとはいまだまゐらず。 このことのびてはあしかりなん。 いざやこんや六波羅におしよせて、ようちにせん。 そのぎならば、らうせうふたてにあひわかつて、まづらうそうどもは、によいがみねよりからめでへむかふべし。 あしがるどもをさきだてて、しらかはのざいけにひをかけやきあげば、ざいきやうにん、六波羅のぶしども、あはやこといできたりとて、はせむかはんずらん。 そのときいはさか、さくらもとのへんに、しばしささへてふせぎたたかはんまに、おほてはまつざかより、いづのかみをたいしやうぐんとして、わかだいしゆあくそうどもは、六波羅におしよせ、かざうへにひをかけやきあげ、ひともみもうでせめんに、などかだいじやうにふだうやきいだいて、うたざるべき」とぞせんぎしたりける。 ここにへいけのいのりしける、いちによばうのあじやりしんかいは、でしどうじゆくすじふにんひきぐし、せんぎのにはにすすみいでてまうしけるは、「かやうにまうせば、へいけのかたうどとやおぼしめされさふらふらん。 いつかうそのぎにてはさふらはず。 たとひささふらふとも、いかがしゆとのぎをもおもひ、わがてらのなをもをしまでは、さふらふべき。 むかしは源平さうにあらそひて、てうかのおんかためたりしかども、ちかごろはげんじのうんかたぶき、へいけよをとつてにじふよねん、てんがになびかぬくさきもさふらはず。 さればないないのたちのありさまも、こぜいにてはたやすうかなひがたし。 よくよくはかりごとをめぐらし、せいをもよほし、ごにちによせらるべうもやさふらふらん」と、ほどをのばさんがために、ながながとこそせんぎしたりけれ。 ここにじようゑんばうのあじやりきやうしうは、ころものしたにもよぎにほひのはらまきをき、おほきなるうちがたなまへだれにさしほらし、しらえのなぎなたつゑにつき、せんぎのにはにすすみいでて、「しようこをほかにひくべからず。 まづわがてらのほんぐわん、てんむてんわう、いまだとうぐうのおんとき、おほとものわうじにおそはれさせたまひて、よしののおくをいでさせたまひて、やまとのくにうだのこほりをすぎさせたまふには、そのせいわづかにじふしちき、されどもいがいせにうちこえ、みのをはりのぐんびやうをもつて、おほとものわうじをほろぼして、つひにくらゐにつかせたまひき。 きうてうふところにいる。 じんりんこれをあはれむといふほんもんあり。 じよはしらず、きやうしうがもんとにおいては、こんや六波羅におしよせてうちじにせよや」とぞせんぎしける。 ゑんまんゐんのたいふげんかくすすみいでて、「せんぎはしおほし。 ただよのふくるに。 いそげや、すすめ」とぞまうしける。 まづからめでにむかふらうそうどものたいしやうぐんには、げんざんみにふだうよりまさ、じようゑんばうのあじやりきやうしう、りつじやうばうのあじやりにちいん、そつのほふいんぜんち、ぜんちがでしぎはう、ぜんやうをさきとして、つがふそのせいいつせんにん、てんでにたいまつもつて、によいがみねへぞむかひける。 おほてのたいしやうぐんには、ちやくしいづのかみなかつな、じなんげんだいふのはうぐわんかねつな、ろくでうのくらんどなかいへ、そのこくらんどたらうなかみつ。 だいしゆにはゑんまんゐんのたいふげんかく、りつじやうばうのいがのきみ、ほふりんゐんのおにさど、じやうきゐんのあらとさ、これらはちからのつよさ、ゆみやうちものとつては、いかなるおににもかみにもあはうどいふ、いちにんたうぜんのつはものなり。 びやうどうゐんには、いなばのりつしやくわうだいぶ、すみのろくらうばう、しまのあじやり、つつゐぼふしに、きやうのあじやり、あくせうなごん、きたのゐんには、こんくわうゐんのろくてんぐ、しきぶたいふ、のと、かが、さど、びんごらなり。 まつゐのひご、しようなんゐんのちくご、がやのちくぜん、おほやのしゆんちやう、ごちゐんのたぢま、きやうしうがばうにん、ろくじふにんのうち、かがくわうじよう、ぎやうぶしゆんしう、ほふしばらには、いちらいほふしにしかざりき。 だうじゆには、つつゐのじやうめうめいしう、をぐらのそんぐわつ、そんえい、じけい、らくぢう、かなこぶしのげんやう、ぶしにはわたなべのはぶくはりまのじらうさづくさつまのひやうゑ、ちやうじつとなふ、きほふのたきぐち、あたふのうまのじよう、つづくのげんた、きよし、すすむをさきとして、つがふそのせいいつせんごひやくよにん、みゐでらをこそうつたちけれ。 てらにはみやいらせたまひてのち、おほぜきこぜきほりきり、かいだてかき、さかもぎひきたりければ、ほりにはしわたし、さかもぎとりのけなどしけるほどに、じこくおしうつつて、せきぢのにはとりなきあへり。 いづのかみ、「ここにてとりないては、六波羅へは、はくちうにこそよせんずれ。 いかがせん」とのたまへば、ゑんまんゐんのたいふげんかく、またさきのごとくにすすみいでて、「むかししんのせうわう、まうしやうくんをめしいましめられたりしに、きさきのおんたすけによつて、つはものさんぜんにんをひきぐして、にげまぬかれけるが、ほどなくかんこくくわんにいたりぬ。 いこくのならひに、にはとりのなかぬかぎりは、せきのとをひらくことなし。 かのまうしやうくんがさんぜんのかくのなかに、てんかつといふつはものあり。 にはとりのなくまねをゆゆしうしければ、けいめいともいはれけり。 かのけいめい、たかきところにはしりあがり、にはとりのなくまねをゆゆしうしたりければ、せきぢのにはとりききつたへて、みななきあへり。 そのときせきもり、とりのそらねにばかされて、せきのとをあけてぞとほしける。 さればこれもかたきのはかりごとにやなかすらん。 ただよせよや」とぞまうしける。 かかりしほどに、さつきのみじかよなれば、ほのぼのとぞあけにける。 いづのかみのたまひけるは、「ようちにこそさりともとおもひつれ、ひるいくさにはいかにもかなふまじ。 あれよびかへせや」とて、おほてはまつざかよりとつてかへし、からめではによいがみねよりひつかへす。 わかだいしゆあくそうども、「これはいちによばうがながせんぎにこそ、よはあけたれ。 そのばうきれ」とて、おしよせてばうをさんざんにきる。 ふせぐところのでしどうじゆく、みなうたれにけり。 わがみておひ、はふはふ六波羅へまゐつて、このよしうつたへまうしけれども、六波羅にはぐんびやうすまんぎはせあつまつて、ちつともさわぐけしきもしたまはず。 さるほどにみやは、さんもんはこころがはりしつ、なんとはいまだまゐらず。 このてらばかりでは、いかにもかなふべからずとて、おなじきにじふさんにちのあかつきがたに、みゐでらをいでさせたまひて、なんとへおちさせおはします。 このみやはせみをれ、こえだとて、かんちくのふえをふたつもちたまへり。 なかにもせみをれは、むかしとばのゐんのおんとき、そうてうのみかどへ、しやきんをおほくまゐらつさせたまひたりしかば、へんぱうとおぼしくて、いきたるせみのごとくに、ふしのつきたるふえたけを、ひとよまゐらつさせたまひけり。 これほどのちようほうを、いかんかさうなうゑらせらるべきとて、みゐでらのだいしんのそうじやうかくそうにおほせ、だんじやうにたて、しちにちかぢして、ゑらせたまへるおんふえなり。 あるときたかまつのちうなごんさねひらのきやうまゐつて、このおんふえをふかれけるに、よのつねのふえのやうにおもひわすれて、ひざよりしもにおかれたりければ、ふえやとがめけん、そのときせみをれにけり。 さてこそせみをれとはめされけれ。 このみやふえのおんきりやうたるによつて、ごさうでんありけるとかや。 されどもいまをかぎりとやおぼしめされけん、こんだうのみろくにこめまゐらさせたまひけり。 りうげのあかつき、ちぐのおんためかとおぼしくて、あはれなりしことどもなり。 さるほどにみやは、らうそうどもにはみないとまたうで、とどめさせおはします。 しかるべきわかだいしゆあくそうどもはまゐりけり。 さんみにふだうのいちるゐ、わたなべたう、みゐでらのだいしゆひきぐして、そのせいいつせんごひやくよにんとぞきこえし。 じようゑんばうのあじやりきやうしうははとのつゑにすがり、みやのおんまへにまゐり、さうがんよりなみだをはらはらとながいてまうしけるは、「いづくまでもおんともつかまつるべうさふらひしかども、としすでにはちじゆんにたけて、ぎやうぶいかにもかなひがたくさふらへば、でしでさふらふぎやうぶばうしゆんしうをまゐらせさふらはん。 これはひととせ平治のかつせんのとき、こさまのかみよしともがてにさふらうて、ろくでうかはらでうちじにつかまつりさふらひし、さがみのくにの住人、やまのうちのすどうぎやうぶのじようとしみちがこにてさふらひしを、いささかゆかりさふらふによつて、あとふところにておほしたてて、こころのそこまでも、よくしつてさふらへば、いづくまでもめしぐせられさふらへ」とて、なみだをおさへてとどまりぬ。 みやもあはれにおぼしめして、「いつのよしみにかくはまうすらん」とて、おんなみだせきあへさせたまはず。 11 橋合戦(はしかつせん) さるほどに、みやはうぢとてらとのあひだにて、ろくどまでおんらくばありけり。 これはさんぬるよ、ぎよしんならざりしゆゑなりとて、うぢばしさんげんひきはづし、びやうどうゐんにいれたてまつり、しばらくごきうそくありけり。 六波羅には、「すはやみやこそ、なんとへおちさせたまふなれ。 おつかけてうちたてまつれや」とて、たいしやうぐんには、さひやうゑのかみ知盛、とうのちうじやうしげひら、さつまのかみただのり、さむらひだいしやうには、かづさのかみただきよ、そのこかづさのたらうはうぐわんただつな、ひだのかみかげいへ、そのこひだのたらうはうぐわんかげたか、たかはしのはうぐわんながつな、かはちのはうぐわんひでくに、むさしのさぶらうざゑもんありくに、ゑつちうのじらうびやうゑもりつぎ、かづさのごらうひやうゑただみつ、あくしちびやうゑかげきよをさきとして、つがふそのせいにまんはつせんよき、こはたやまうちこえて、うぢばしのつめにぞおしよせたる。 かたきびやうどうゐんにとみてげれば、ときをつくることさんかどなり。 みやのおんかたにも、おなじうときのこゑをぞあはせたる。 せんぢんが、「はしをひいたるぞ、あやまちすな。 はしをひいたるぞ、あやまちすな」とどよみけれども、ごぢんはこれをききつけず、われさきにわれさきにとすすむほどに、せんぢんにひやくよきおしおとされ、みづにおぼれてうせにけり。 さるほどに、はしのりやうばうのつめにうつたつてやあはせす。 みやのおんかたより、おほやのしゆんちやう、ごちゐんのたぢま、わたなべのはぶく、さづく、つづくのげんたがいけるやぞ、たてもたまらず、よろひもかけずとほりけり。 げんざんみにふだうよりまさは、けふをさいごとやおもはれけん、ちやうけんのよろひびたたれに、しながはをどしのよろひきて、わざとかぶとをばきたまはず。 ちやくしいづのかみなかつなは、あかぢのにしきのひたたれに、くろいとをどしのよろひなり。 ゆみをつようひかんがために、これもかぶとをばきざりけり。 ここにごちゐんのたぢま、おほなぎなたのさやをはづいて、ただいちにんはしのうへにぞすすんだる。 へいけのかたにはこれをみて、「ただいとれやいとれ」とて、さしつめひきつめ、さんざんにいけれども、たぢますこしもさわがず、あがるやをばついくぐり、さがるやをばをどりこえ、むかつてくるをばなぎなたにてきつておとす。 かたきもみかたもけんぶつす。 それよりしてこそやぎりのたぢまとはいはれけれ。 まただうじゆのなかに、つつゐのじやうめうめいしうは、かちのひたたれに、くろかはをどしのよろひきて、ごまいかぶとのををしめ、こくしつのたちをはき、にじふしさいたるくろぼろのやおひ、ぬりごめどうのゆみに、このむしらえのおほなぎなたとりそへて、これもただいちにんはしのうへにぞすすんだる。 だいおんじやうをあげて、「とほからんものはおとにもきけ。 ちかからんひとはめにもみたまへ。 みゐでらにはかくれなし、だうじゆのなかにつつゐのじやうめうめいしうとて、いちにんたうぜんのつはものぞや。 われとおもはんひとびとは、よりあへやげんざんせん」とて、にじふしさいたるやを、さしつめひきつめさんざんにいる。 やにはにかたきじふににんいころし、じふいちにんにておうせたれば、えびらにひとつぞのこつたる。 そののち、ゆみをばからとなげすてて、えびらもといてすててげり。 つらぬきぬいではだしになり、はしのゆきげたを、さらさらとはしりける。 ひとはおそれてわたらねども、じやうめうばうがここちには、いちでうにでうのおほちとこそふるまうたれ。 なぎなたにてむかふかたきごにんなぎふせ、ろくにんにあたるかたきにあうて、なぎなたなかよりうちをつてすててげり。 そののち、たちをぬいてたたかふに、かたきはおほぜいなり、くもで、かくなは、じふもんじ、とんばうかへり、みづくるま、はつぱうすかさずきつたりけり。 むかふかたきはちにんきりふせ、くにんにあたるかたきがかぶとのはちにあまりにつよううちあてて、めぬきのもとよりちやうどをれ、くつとぬけて、かはへざつぶとぞいりにける。 たのむところはこしがたな、しなんとのみぞくるひける。 ここにじようゑんばうのあじやりきやうしうがめしつかひけるいちらいほふしといふだいぢからのかうのもの、じやうめうばうがうしろにつづいてたたかひけるが、ゆきげたはせばし、そばとほるべきやうはなし。 じやうめうばうがかぶとのしころにてをおいて、「あしうさふらふ、じやうめうばう」とて、かたをづんどをどりこえてぞたたかひける。 いちらいほふしうちじにしてげり。 じやうめうばうははふはふかへつて、びやうどうゐんのもんのまへなるしばのうへにもののぐぬぎすて、よろひにたつたるやめをかぞへたればろくじふさん、うらかくやごしよ、されどもいたでならねば、ところどころにきうぢし、かしらからげ、じやうえき、ゆみきりをりつゑにつき、ひらあしだはき、あみだぶまうして、ならのかたへぞまかりける。 そののちはじやうめうばうがわたつたるをてほんとして、みゐでらのだいしゆ、さんみにふだうのいちるゐ、わたなべたう、われさきにとはしりつづきはしりつづき、はしのゆきげたをこそわたりけれ。 あるひはぶんどりしてかへるものもあり、あるひはいたでおうてはらかききり、かはへとびいるものもあり、はしのうへのいくさ、ひいづるほどにぞみえたりける。 へいけのかたのさぶらひだいしやうかづさのかみただきよ、たいしやうぐんのおんまへにまゐり、「あれごらんさふらへ。 はしのうへのたたかひ、ていたうさふらふ。 いまはかはをわたすべきにてさふらふが、をりふしさみだれのころ、みづまさつてさふらへば、わたさばむまひとおほくほろびさふらひなん。 よど、いもあらひへやむかふべき。 またかはちぢへやまはるべき。 いかがせん」とまうしければ、しもづけのくにの住人、あしかがのまたたらうただつな、しやうねんじふしちさいにてありけるが、すすみいでてまうしけるは、「よど、いもあらひ、かはちぢへは、てんぢくしんだんのぶしをめして、むけられさふらはんずるか、それもわれらこそうけたまはつてむかひさふらはんずれ。 めにかけたるかたきをうたずして、みやをなんとへいれまゐらせなば、よしのとづがはのせいどもはせあつまつて、いよいよおんだいじでこそさふらはんずらめ。 むさしとかうづけのさかひに、とねがはとまうすだいがさふらふ。 ちちぶ、あしかが、なかたがうて、つねはかつせんをつかまつりさふらひしに、おほてはながゐのわたり、からめではこがすぎのわたりよりよせさふらひしにここに、かうづけのくにの住人、につたのにふだう、あしかがにかたらはれて、すぎのわたりよりよせんとて、まうけたりけるふねどもを、ちちぶがかたよりみなわられて、まうしけるは、『ただいまここをわたさずは、ながきゆみやのきずなるべし。 みづにおぼれてもしなばしね、いざわたさう』とて、むまいかだをつくつて、わたせばこそわたしけめ。 ばんどうむしやのならひ、かたきをめにかけ、かはをへだてたるいくさに、ふちせきらふやうやある。 このかはのふかさはやさ、とねがはにいくほどのおとりまさりはよもあらじ。 つづけやとのばら」とて、まつさきにこそうちいれたれ。 つづくひとびと、おほご、おほむろ、ふかず、やまがみ、なはのたらう、さぬきのひろつなしらうだいふ、をのでらのぜんじたらう、へやこのしらう、らうどうにはうぶかたのじらう、きりふのろくらう、たなかのそうだをはじめとして、さんびやくよきぞつづきける。 あしかがだいおんじやうをあげて、「よわきむまをばしたてにたてよ。 つよきむまをばうはてになせ。 むまのあしのおよばうほどは、たづなをくれてあゆませよ。 はずまば、かいくつておよがせよ。 さがらうものをばゆみのはずにとりつかせよ。 てにてをとりくみ、かたをならべてわたすべし。 むまのかしらしづまばひきあげよ。 いたうひいてひつかづくな。 くらつぼによくのりさだまつて、あぶみをつようふめ。 みづしとまば、さんづのうへにのりかかれ。 かはなかにてゆみひくな。 かたきいるともあひびきすな。 つねにしころをかたぶけよ。 いたうかたぶけててへんいさすな。 むまにはよわう、みづにはつようあたるべし。 かねにわたいておしおとさるな。 みづにしなうてわたせやわたせ」とおきてて、さんびやくよきいつきもながさず、むかひのきしへざつとぞうちあげたる。 12 宮御最後(みやのごさいご) あしかががそのひのしやうぞくには、くちばのあやのひたたれに、あかがはをどしのよろひきて、たかづのうつたるかぶとのををしめ、こがねづくりのたちをはき、にじふしさいたるきりふのやおひ、しげどうのゆみもちて、れんぜんあしげなるむまに、かしはぎにみみづくうつたるきんぷくりんのくらおいてぞのつたりける。 あぶみふんばりたちあがり、だいおんじやうをあげて、「むかしてうてきまさかどをほろぼして、けんじやうかうぶつて、なをこうだいにあげたりしたはらとうだひでさとにじふだいのこういん、しもづけのくにの住人、あしかがのたらうとしつながこ、またたらうただつな、しやうねんじふしちさいにまかりなる。 かやうにむくわんむゐなるものの、みやにむかひまゐらせてゆみをひきやをはなつことはてんのおそれすくなからずさふらへども、ただしゆみもやも、みやうがのほどもへいけのおんうへにこそとどまりさふらはめ。 さんみにふだうどののおんかたに、われとおもはんひとびとは、よりあへやげんざんせん」とて、びやうどうゐんのもんのうちへ、せめいりせめいりたたかひけり。 たいしやうぐんさひやうゑのかみ知盛、これをみたまひて、「わたせやわたせ」とげぢしたまへば、にまんはつせんよき、みなうちいれてわたす。 さばかりはやきうぢがはも、むまやひとにせかれて、みづはかみにぞたたへたる。 ざふにんばらは、むまのしたてにとりつきとりつきわたるほどに、ひざよりうへをぬらさぬものもおほかりけり。 おのづからはづるるみづにはなにもたまらずながれたり。 ここにいがいせりやうごくのくわんびやうら、むまいかだおしやぶられて、ろくぴやくよきこそながれたれ。 もよぎ、ひをどし、あかをどし、いろいろのよろひの、うきぬしづみぬゆられけるは、かみなみやまのもみぢばのみねのあらしにさそはれて、たつたがはのあきのくれ、ゐせきにかかりて、ながれもあへぬにことならず。 そのなかにひをどしのよろひきたるむしやさんにん、あじろにながれかかりて、うきぬしづみぬゆられけるを、いづのかみみたまひて、かくぞえいじたまひける。 いせむしやはみなひをどしのよろひきてうぢのあじろにかかりぬるかな W024 これらはみないせのくにの住人なり。 くろだのごへいしらう、ひののじふらふ、おとべのやしちといふものなり。 なかにもひののじふらうはふるつはものにてありければ、ゆみのはず、いはのはざまにねぢたてて、かきあがり、ににんのものどもをひきあげて、たすけけるとぞきこえし。 おほぜいみなわたつて、びやうどうゐんのもんのうちへ、せめいりせめいりたたかひけり。 このまぎれにみやをばなんとへさきだたせまゐらせ、さんみにふだうのいちるゐ、わたなべたう、みゐでらのだいしゆ、のこりとどまつてふせぎやいけり。 げんざんみにふだうは、しちじふにあまつていくさして、ゆんでのひざぐちをいさせ、いたでなれば、こころしづかにじがいせんとて、びやうどうゐんのもんのうちへひきしりぞくところに、かたきおそひかかれば、じなんげんだいふのはうぐわんかねつなは、こんぢのにしきのひたたれにからあやをどしのよろひきて、しらつきげなるむまに、きんぷくりんのくらおいてのりたまひたりけるが、ちちをのばさんがために、かへしあはせかへしあはせふせぎたたかふ。 かずさのたらうはうぐわんがいけるやに、げんだいふのはうぐわん、うちかぶとをいさせてひるむところに、かづさのかみがわらは、じらうまるといふだいぢからのかうのもの、もよぎにほひのよろひき、さんまいかぶとのををしめ、うちもののさやをはづいて、げんだいふのはうぐわんにおしーならべて、むずとくんでどうどおつ。 げんだいふのはうぐわんは、だいぢからにておはしければ、じらうまるをとつておさへてくびをかき、たちあがらんとするところにへいけのつはものども、じふしごきおちかさなつて、つひにかねつなをうちてげり。 いづのかみなかつなもさんざんにたたかひ、いたであまたおうて、びやうどうゐんのつりどのにてじがいしてげり。 そのくびをばしもかうべのとうざぶらうきよちかとつて、おほゆかのしたへぞなげいれたる。 ろくでうのくらんどなかいへ、そのこくらんどたらうなかみつも、さんざんにたたかひ、いつしよでうちじにしてげり。 このなかいへとまうすは、こたてはきせんじやうよしかたがちやくしなり。 しかるをちちうたれてのち、みなしごにてありしを、さんみにふだうやうじにして、ふびんにしたまひしかば、ひごろのけいやくをたがへじとや、いつしよでしににけるこそむざんなれ。 さんみにふだう、わたなべのちやうじつとなふをめして、「わがくびうて」とのたまへば、しうのいけくびうたんずることのかなしさに、「つかまつともぞんじさふらはず。 おんじがいさふらはば、そののちこそたまはりさふらはめ」とまうしければ、げにもとやおもはれけん、にしにむかひてをあはせ、かうじやうにじふねんとなへたまひて、さいごのことばぞあはれなる。 うもれぎのはなさくこともなかりしにみのなるはてぞかなしかりける W025 これをさいごのことばにて、たちのさきをはらにつきたて、うつぶさまにつらぬかつてぞうせられける。 そのときにうたよむべうはなかりしかども、わかうよりあながちにすいたるみちなれば、さいごのときもわすれたまはず。 そのくびをばちやうじつとなふがとつて、いしにくくりあはせ、うぢがはのふかきところにしづめてげり。 へいけのさぶらひども、いかにもしてきほふたきぐちをばいけどりにせばやとうかがひけれども、きほふもさきにこころえてさんざんにたたかひ、いたであまたおひ、はらかききつてしににける。 ゑんまんゐんのたいふげんかくは、いまはみやもはるかにのびさせたまひぬらんとやおもひけん、おほだちおほなぎなたさうにもつて、かたきのなかをわつていで、うぢがはへとんでいり、もののぐひとつもすてず、みづのそこをくぐつて、むかひのきしにぞつきにける。 たかきところにはしりあがり、だいおんじやうをあげて、「いかにへいけのきんだち、これまではおんだいじか、よう」といひすてて、みゐでらへこそかへりけれ。 ひだのかみかげいへは、ふるつはものにてありければ、このまぎれにみやはさだめてなんとへやおちさせたまふらんとて、ひたかぶとしごひやくき、むちあぶみをあはせておつかけたてまつる。 あんのごとくみやはさんじつきばかりでおちさせたまふところを、くわうみやうせんのとりゐのまへにておつつきたてまつりあめのふるやうにいたてまつりければ、いづれがやとはしらねども、やひとつきたつて、みやのひだりのおんそばはらにたちければ、おむまよりおちさせたまひて、おんくびとられさせたまひけり。 おんともまうしたるおにさど、あらとさ、くわうだいぶ、ぎやうぶしゆんしうも、いのちをばいつのためにかをしむべきとて、さんざんにたたかひ、いつしよでうちじにーしてげり。 そのなかにめのとごのろくでうのすけのたいふむねのぶは、にひのがいけへとんでいり、うきぐさかほにとりおほひ、ふるひゐたれば、かたきはまへをぞうちとほりぬ。 ややあつてかたきしごひやくき、ざざめいてかへりけるなかに、じやうえきたるしにんのくびもなきを、しとみのもとよりかきいだいたるをみれば、みやにてぞおはしましける。 「われしなばごくわんにいれよ」とおほせられしこえだときこえしおんふえをも、いまだおんこしにぞささせましましける。 はしりいでて、とりつきたてまつらばやとおもへども、おそろしければそれもかなはず。 かたきみなとほつてのち、いけよりあがり、ぬれたるものどもしぼりきて、なくなくみやこへのぼつたりけるを、にくまぬものこそなかりけれ。 さるほどになんとのだいしゆしちせんよにん、かぶとのををしめ、みやのおんむかひにまゐりけるが、せんぢんはこづにすすみ、ごぢんはいまだこうぶくじのなんだいもんにぞゆらへたる。 みやははやくわうみやうせんのとりゐのまへにて、うたれさせたまひぬときこえしかば、だいしゆちからおよばず、なみだをおさへてとどまりぬ。 いまごじつちやうばかりまちつけさせたまはで、うたれさせたまひける、みやのごうんのほどこそうたてけれ。 13 若宮御出家(わかみやごしゆつけ) へいけのひとびと、みやならびにさんみにふだうのいちるゐ、わたなべたう、みゐでらのだいしゆ、つがふごひやくよにんがくびきつて、たちなぎなたのさきにつらぬき、たかくさしあげ、ゆふべにおよんで六波羅へかへりいらる。 つはものどもいさみののしることおびたたし。 なかにもさんみにふだうのくびをば、ちやうじつとなふがうぢがはのふかきところにしづめてげれば、みえざりけり。 こどものくびをば、あそこここよりみなたづねいだされたり。 なかにもみやのおんくびをば、つねにまゐりかよふひともなかりしかば、たれみしりまゐらせたるひともなし。 てんやくのかみさだなりこそ、せんねんごれうぢのためにめされしかば、それぞみしりまゐらせたるにこそとてめされけれども、げんしよらうとてまゐらず。 また六波羅より、つねはみやのめされまゐらせけるにようばうとて、たづねいだされたり。 おんこあまたうみまゐらせなどして、さしもおんちぎりあさからざりしかば、なじかはみそんじたてまつるべき。 ただひとめみまゐらせて、そでをかほにおしあててなみだをながしけるにぞ、やがてみやのおんくびとはしつてげる。 このみやは、はらばらにおんこのみやたち、あまたおはしましけり。 はちでうのにようゐんにさぶらはれけるいよのかみもりのりがむすめ、さんみのつぼねとまうしけるにようばうのはらに、しちさいのわかみや、ごさいのひめみやおはしましけり。 にふだうしやうこくのおとと、いけのちうなごんよりもりのきやうをもつて、はちでうのにようゐんへまうされけるは、「ひめみやのおんことはまうすにおよばず。 わかみやをば、とういだしまゐらさせたまへ」とまうされたりければ、にようゐんのおんぺんじに、「かかるきこえのありしあかつき、おちのひとなんどがこころをさなうぐしたてまつてうせにけるにや、まつたくこのごしよにはわたらせたまはず」とぞおほせける。 よりもりのきやうかへりまゐつて、このよしかくとまうされければ、「なんでふそのごしよならでは、いづくへかわたらせたまふべかんなるぞ。 そのぎならば、ぶしどもまゐりてさがしたてまつれ」とぞのたまひける。 このちうなごんは、にようゐんのおんめのと、さいしやうどのとまうすにようばうにあひぐして、つねはまゐりかよはれければ、ひごろはなつかしうこそおぼしめしつるに、このみやのおんことまうしにまゐられたれば、いつしかうとましうぞおぼしめされける。 わかみや、にようゐんにまうさせたまひけるは、「これほどのおんだいじにおよびさふらふうへ、つひにはのがれさふらふまじ。 はやはやいださせおはしませ」とまうさせたまひければ、にようゐんおんなみだをながさせたまひて、「ひとのななつやつは、いまだなにごとをもききわかぬほどぞかし。 それにおんみゆゑ、かかるだいじのいできたるを、かたはらいたくおぼして、かやうにおほせらるることよ。 義仲りけるひとを、このろくしちねんてならして、けふはかかるうきめをみるよ」とて、おんなみだせきあへさせたまはず。 よりもりのきやう、わかみやのおんことかさねてまうしにまゐられたれば、にようゐんちからおよばせたまはず、つひにいだしまゐらさせたまひけり。 おんははさんみのつぼね、いまをかぎりのおんわかれなれば、さこそはおんなごりをしうもおぼしめされけめ。 さてしもあるべきことならねば、なくなくぎよいきせまゐらせ、おんぐしかきなでて、いだしまゐらさせたまふも、ただゆめとのみぞおもはれける。 にようゐんをはじめまゐらせて、つぼねのにようばう、めのわらはにいたるまで、なみだをながしそでをぬらさぬはなかりけり。 よりもりのきやう、わかみやうけとりまゐらせ、おんくるまにのせたてまつりて、六波羅へわたしたてまつる。 さきのうだいしやうむねもりのきやう、このみやをみまゐらせて、ちちのぜんもんのおんまへにおはして、「ぜんせのことにやさふらふらん、わかみやをただひとめみまゐらせてさふらへば、あまりにおんいたはしうおもひまゐらせさふらふ。 なにかくるしうさふらふべき、このみやのおんいのちをば、まげてむねもりにたびさふらへかし」とまうされければ、にふだういかがおもはれけん、「さらばとうごしゆつけをせさせたてまつれ」とぞのたまひける。 むねもりのきやうはちでうのにようゐんへ、このよしまうされたりければ、にようゐん、「なんのやうもあるべからず、ただとうとう」とて、ごしゆつけーせさせたてまつらる。 しやくしにさだまらせたまひしかば、ほふしになしまゐらせて、にんなじのおむろのおんでしになしまゐらさせたまひけり。 のちにはとうじのいちのちやうじや、やすゐのみやのだいそうじやうだうそんとまうししは、このみやのおんことなり。 ならにもまたごいつしよおはしけるを、おんめのとさぬきのかみしげひでがごしゆつけせさせたてまつり、ぐしたてまつりて、ほくこくへおちくだりたりしを、きそ義仲しやうらくのとき、しうにしまゐらせんとて、げんぞくせさせたてまつり、ぐそくしたてまつりて、みやこへのぼりたりければ、きそがみやともまうし、またげんぞくのみやともまうす。 のちにはさがのへん、のよりにましましければ、のよりのみやともまうしき。 むかしとうじようといつしさうにんあり。 うぢどの、にでうどのをば、きみさんだいのくわんばく、ともにおんとしはちじふとまうしたりしもたがはず、そつのうちのおとどをるざいのさうましますとまうしたりしもたがはず。 またしやうとくたいしの、しゆじゆんてんわうをわうしのさうましますとまうさせたまひたりしが、むまこのだいじんにころされさせたまひぬ。 かならずさうにんとしもあらねども、しやうこにはかくこそめでたかりしか。 これはいつかうさうせうなごんがふかくにはあらずやとぞひとまうしける。 なかごろげんめいしんわう、ぐへいしんわうとまうししは、ぜんちうしよわう、ごちうしよわうとて、ともにけんわうせいしゆのわうじにてわたらせたまひしかども、つひにくらゐにはつかせたまはず。 されどもいつかはごむほんおこさせたまひたりき。 またごさんでうのゐんだいさんのわうじ、すけひとのしんわうとまうししは、おんさいかくすぐれておはしましければ、しらかはのゐんいまだとうぐうのおんとき、おんくらゐののちは、このみやをくらゐにつけまゐらさせたまへと、ごさんでうのゐん、ごゆゐぜうありしかども、しらかはのゐんいかがおぼしめされけん、つひにくらゐにはつけまゐらさせたまはず。 せめてのおんことにや、すけひとのしんわうのおんこのみやに、げんじのしやうをさづけまゐらさせたまひて、むゐよりいちどにさんみにじよして、やがてちうじやうになしまゐらせて、さんみのちうじやうとぞまうしける。 いつせのげんじ、むゐよりさんみすることは、さがのくわうていのおんこ、やうぜいゐんのだいなごんさだむのきやうのほかは、これはじめとぞうけたまはる。 はなぞののさだいじんありひとこうのおんことなり。 さればこんどのたかくらのみやのごむほんによつて、てうぶくのほふうけたまはつておこなはれけるかうそうたちに、けんじやうどもおこなはる。 さきのうだいしやうむねもりのきやうのしそく、じじうきよむねさんみにじよして、さんみのじじうとぞまうしける。 こんねんじふにさい、ちちのきやうはこのよはひでは、わづかひやうゑのすけまでこそいたられしか。 たちまちにかんだちめにあがりたまふこと、いちのひとのきんだちのほかは、これはじめとぞうけたまはる。 さるほどにみなもとのもちひとならびにさんみにふだうよりまさふし、つゐたうのしやうとぞききがきにはありける。 まさしいだ[い]じやうほふわうのわうじを、いたてまつるだにあるに、あまつさへぼんにんになしたてまつるぞあさましき。 みなもとのもちひととは、このたかくらのみやのおんことなり。 14 鵺(ぬえ) そもそもこのげんざんみにふだうよりまさは、つのかみらいくわうにごだい、みかはのかみよりつながまご、ひやうごのかみなかまさがこなりけり。 保元のかつせんのときも、みかたにてさきをかけたりしかども、させるしやうにもあづからず。 また平治のげきらんにも、すでにしんるゐをすててさんじたりしかども、おんしやうこれおろそかなりき。 たいだいしゆごにて、としひさしうありしかども、しようでんをばゆるされず。 としたけよはひかたぶいてのち、じゆつくわいのわかいつしゆよみてこそ、しようでんをばしたりけれ。 ひとしれぬおほうちやまのやまもりはこがくれてのみつきをみるかな W026 これによつてしようでんゆるされ、じやうげのしゐにてしばらくありしが、なほさんみをこころにかけつつ、 のぼるべきたよりなきみはこのもとにしゐをひろひてよをわたるかな W027 さてこそさんみはしたりけれ。 やがてしゆつけして、げんざんみにふだうよりまさとて、こんねんはしちじふごにぞなられける。 このひといちごのかうみやうとおぼしきことはおほきがなかにも、ことには任平のころほひ、こんゑのゐんございゐのおんとき、しゆしやうよなよなおびえさせたまふことありけり。 うげんのかうそうきそうにおほせて、だいほふひほふをしゆせられけれどもそのしるしなし。 ごなうはうしのこくばかりのことなるに、とうさんでうのもりのかたより、くろくもひとむらたちきたつて、ごてんのうへにおほへば、かならずおびえさせたまひけり。 これによつてくぎやうせんぎありけり。 さんぬるくわんぢのころほひ、ほりかはのゐんございゐのおんとき、しゆしやうしかのごとくおびえたまぎらせたまひけり。 そのときのしやうぐんよしいへのあそん、なんでんのおほゆかにさふらはれけるが、ごなうのこくげんにおよんで、めいげんすることさんどののち、かうじやうにさきのみちのくにのかみみなもとのよしいへとなのりたりければ、きくひとみのけよだつて、ごなうかならずおこたらせたまひけり。 しかればすなはちせんれいにまかせて、ぶしにおほせてけいごあるべしとて、源平りやうかのつはもののなかをえらませられけるに、このよりまさをぞえらびいだされたりける。 そのときはいまだひやうごのかみにてさふらはれけるが、まうされけるは、「むかしよりてうかにぶしをおかるることは、ぎやくほんのものをしりぞけ、ゐちよくのともがらをほろぼさんがためなり。 めにもみえぬへんげのものつかまつれとおほせくださるること、いまだうけたまはりおよばず」とまうしながら、ちよくせんなれば、めしにおうじてさんだいす。 よりまさたのみきつたるらうどう、とほたふみのくにの住人、ゐのはやたに、ほろのかざぎりはいだりけるやおはせて、ただいちにんぞぐしたりける。 わがみはふたへのかりぎぬに、やまどりのををもつてはいだりけるとがりやふたすぢ、しげどうのゆみにとりそへて、なんでんのおほゆかにしこうす。 よりまさやふたつたばさみけることは、がらいのきやう、そのときはいまださせうべんにておはしけるが、へんげのものつかまつらんずるじんは、よりまさぞさふらふらんとえらびまうされたるあひだ、いちのやにてへんげのものいそんずるほどならば、にのやには、がらいのべんのしやくびのほねをいんとなり。 あんのごとくひごろひとのまうすにたがはず、ごなうのこくげんにおよんで、とうさんでうのもりのかたより、くろくもひとむらたちきたつて、ごてんのうへにたなびいたり。 よりまさきつとみあげたれば、くものなかにあやしきもののすがたあり。 いそんずるほどならば、よにあるべしともおぼえず。 さりながらやとつてつがひ、なむはちまんだいぼさつとこころのうちにきねんして、よつぴいて、ひようどはなつ。 てごたへしてはたとあたる。 「えたりや、おう」と、やさけびをこそしてんげれ。 ゐのはやたつとより、おつるところをとつておさへ、つかもこぶしもとほれとほれと、つづけさまにここのかたなぞさいたりける。 そのときじやうげてんでにひをとぼして、これをごらんじみたまふに、かしらはさる、むくろはたぬき、をはくちなば、てあしはとらのごとくにて、なくこゑぬえにぞにたりける。 おそろしなどもおろかなり。 しゆしやうぎよかんのあまりにししわうとまうすぎよけんをくださる。 うぢのさだいじんどのこれをたまはりついで、よりまさにたばんとて、ごぜんのきざはしをなからばかりおりさせたまふをりふし、ころはうづきとをかあまりのことなれば、くもゐにくわつこうふたこゑみこゑおとづれてとほりければ、さだいじんどの、 ほととぎすなをもくもゐにあぐるかな とおほせられかけたりければ、よりまさみぎのひざをつき、ひだりのそでをひろげて、つきをすこしそばめにかけつつ、 ゆみはりつきのいるにまかせて W028 とつかまつり、ぎよけんをたまはりてまかりいづ。 このよりまさのきやうはぶげいにもかぎらず、かだうにもまたすぐれたりとぞ、ときのひとびとかんじあはれける。 さてかのへんげのものをば、うつほぶねにいれてながされけるとぞきこえし。 またおうほうのころほひ、にでうのゐんございゐのおんとき、ぬえといふけてう、きんちうにないて、しばしばしんきんをなやましたてまつることありけり。 しかればせんれいにまかせて、よりまさをぞめされける。 ころはさつきはつかあまり、まだよひのことなるに、ぬえただひとこゑおとづれて、ふたこゑともなかざりけり。 めざすともしらぬやみではあり、すがたかたちもみえざりければ、やつぼをいづくともさだめがたし。 よりまさがはかりごとに、まづおほかぶらとつてつがひ、ぬえのこゑしたりけるだいりのうへへぞいあげたる。 ぬえ、かぶらのおとにおどろいて、こくうにしばしぞひひめいたる。 つぎにこかぶらとつてつがひ、ひいふつといきつて、ぬえとならべてまへにぞおとしたる。 きんちうざざめきわたつて、よりまさにぎよいをかづけさせおはします。 こんどはおほひのみかどのうだいじんきんよしこうのたまはりついで、よりまさにかづけさせたまふとて、「むかしのやういうは、くものほかのかりをいき。 いまのよりまさは、あめのうちのぬえをいたり」とぞかんぜられける。 さつきやみなをあらはせるこよひかな とおほせられかけたりければ、よりまさ、 たそかれどきもすぎぬとおもふに W029 とつかまつり、ぎよいをかたにかけてまかりいづ。 そののちいづのくにたまはり、しそくなかつなじゆりやうになし、わがみさんみして、たんばのごかのしやう、わかさのとうみやがはをちぎやうして、さておはすべかりしひとの、よしなきむほんおこいて、みやをもうしなひまゐらせ、わがみもしそんもほろびぬるこそうたてけれ。 15 三井寺炎上(みゐでらえんしやう) ひごろはさんもんのだいしゆこそ、はつかうのみだりがはしきうつたへつかまつるに、こんどはいかがおもひけん、をんびんをぞんじておともせず。 しかるをなんとみゐでらどうじんして、あるひはみやうけとりまゐらせ、あるひはおんむかひにまゐるでう、これもつててうてきなり。 しからばならをも、てらをもせめらるべしときこえしが、まづみゐでらをせめらるべしとて、おなじきごぐわつにじふしちにち、たいしやうぐんにはさひやうゑのかみ知盛、ふくしやうぐんにはさつまのかみただのり、つがふそのせいいちまんよき、をんじやうじへはつかうす。 てらにもだいしゆいつせんにん、かぶとのををしめ、かいだてかき、さかもぎひいて、まちかけたり。 うのこくよりやあはせして、いちにちたたかひくらし、よにいりければ、だいしゆいげほふしばらにいたるまで、さんびやくよにんうたれぬ。 よいくさになつて、くらさはくらし、くわんぐんじちうにせめいりて、ひをはなつ。 やくるところ、ほんがくゐん、じやうきゐん、しんによゐん、けをんゐん、だいほうゐん、しやうりうゐん、ふげんだう、けうだいくわしやうのほんばう、ならびにほんぞうとう、はちけんしめんのだいかうだう、しゆろう、きやうざう、くわんぢやうだう、ごほふぜんじんのしやだん、いまぐまののごほうでん、すべてP293だうじやたふべうろくぴやくさんじふしちう、おほつのざいけいつせんはつぴやくごじふさんう、ならびにちしようのわたしたまへるいつさいきやうしちせんよくわん、ぶつざうにせんよたい、たちまちにけぶりとなるこそかなしけれ。 しよてんごめうのたのしみも、このときながくつき、りうじんさんねつのくるしみも、いよいよさかんなるらんとぞみえし。 それみゐでらは、あふみのぎだいりやうがわたくしのてらたりしを、てんむてんわうによせたてまつりて、ごぐわんとなす。 ほんぶつもかのみかどのごほんぞん、しかるをしやうじんのみろくときこえたまひしけうだいくわしやう、ひやくろくじふねんおこなうて、だいしにふぞくしたまへり。 としたてんじやう、まにほうでんよりあまくだり、はるかにりうげげしやうのあかつきをまたせたまふとこそききつるに、こはいかにしつることどもぞや。 だいしこのところをでんぽふくわんぢやうのれいせきとして、ゐけすゐのみつをむすびたまひしゆゑにこそ、みゐでらとはなづけたれ。 かかるめでたきせいぜきなれども、いまはなにならず。 けんみつしゆゆにほろびて、がらんさらにあともなし。 さんみつだうぢやうもなければ、れいのこゑもきこえず。 いちげのはなもなければ、あかのおともせざりけり。 しゆくらうせきとくのめいしは、ぎやうがくにおこたり、じゆほふさうじようのでしは、またきやうげうにわかれんだり。 てらのちやうりゑんけいほつしんわうは、てんわうじのべつたうをもとどめられさせたまふ。 そのほかそうがうじふさんにん、けつくわんせられて、みな検非違使にあづけらる。 だうじゆはつつゐのじやうめうめいしうにいたるまで、さんじふよにんながされけり。 「かかるてんがのみだれ、こくどのさわぎ、ただごとともおぼえず、へいけのよのすゑになりぬるぜんべうやらん」とぞひとまうしける。 「わがみのえいぐわ」 わがみのえいぐわをきはむるのみならず、いちもんともにはんじやうして、ちやくししげもり、ないだいじんのさだいしやう、じなんむねもり、ちうなごんのうだいしやう、さんなん知盛、さんみのちうじやう、ちやくそんこれもり、しゐのせうしやう、すべていちもんのくぎやうじふろくにん、てんじやうびとさんじふよにん、しよこくのじゆりやう、ゑふ、しよし、つがふろくじふよにんなり。 よにはまたひとなくぞみえられける。 むかしならのみかどのおんとき、じんきごねん、てうかにちうゑのだいしやうをはじめおかる。 だいどうしねんにちうゑをこんゑとあらためられしよりこのかた、きやうだいさうにあひならぶこと、わづかにさんしかどなり。 もんどくてんわうのおんときは、ひだんによしふさ、うだいじんのさだいしやう、みぎによしあふ、だいなごんのうだいしやう、これはかんゐんのさだいじんふゆつぎのおんこなり。 しゆしやくゐんのぎようには、ひだりにさねより、をののみやどの、みぎにもろすけ、くでうどの、ていじんこうのおんこなり。 ごれんぜいゐんのおんときは、ひだりにのりみち、おほにでうどの、みぎによりむね、ほりかはどの、みだうのくわんぱくのおんこなり。 にでうのゐんのぎようには、ひだりにもとふさ、まつどの、みぎにかねざね、つきのわどの、ほつしやうじどののおんこなり。 これみなせふろくのしんのごしそく、はんじんにとつてはそのれいなし。 てんじやうのまじはりをだにきらはれしひとのしそんにて、きんじき、ざつぱうをゆり、りようらきんしうをみにまとひ、だいじんのだいしやうになつてきやうだいさうにあひならぶこと、まつだいとはいひながら、ふしぎなりしことどもなり。 そのほか、おんむすめはちにんおはしき。 みなとりどりにさいはひたまへり。 いちにんはさくらまちのちうなごんしげのりのきやうのきたのかたにておはすべかりしが、はつさいのとしおんやくそくばかりにて、平治のみだれいご、ひきちがへられて、くわざんのゐんのさだいじんどののみだいばんどころにならせたまひて、きんだちあまたましましけり。 そもそもこのしげのりのきやうをさくらまちのちうなごんとまうしけることは、すぐれてこころすきたまへるひとにて、つねはよしののやまをこひつつ、ちやうにさくらをうゑならべ、そのうちにやをたててすみたまひしかば、くるとしのはるごとに、みるひと、さくらまちとぞまうしける。 さくらはさいてしちかにちにちるを、なごりををしみ、あまてるおんがみにいのりまうされければにや、さんしちにちまでなごりありけり。 きみもけんわうにてましませば、しんもしんとくをかかやかし、はなもこころありければ、はつかのよはひをたもちけり。 いちにんはきさきにたたせたまふ。 にじふににてわうじごたんじやうあつて、くわうたいしにたち、くらゐにつかせたまひしかば、ゐんがうかうぶらせたまひて、建礼門院とぞまうしける。 にふだうしやうこくのおんむすめなるうへ、てんがのこくもにてましませば、とかうまうすにおよばれず。 いちにんはろくでうのせつしやうどののきたのまんどころにならせたまふ。 これはたかくらのゐんございゐのおんとき、おんははしろとて、じゆんさんごうのせんじをかうぶらせたまひて、しらかはどのとて、おもきひとにてぞましましける。 いちにんはふげんじどののきたのまんどころにならせたまふ。 いちにんはれんぜいのだいなごんりうばうのきやうのきたのかた、いちにんはしちでうのしゆりのだいぶのぶたかのきやうにあひぐしたまへり。 またあきのくにいつくしまのないしがはらにいちにん、これはごしらかはのほふわうへまゐらせたまひて、ひとへににようごのやうでぞましましける。 そのほかくでうのゐんのざふしときはがはらにいちにん、これはくわざんのゐんどののじやうらふにようばうにて、らふのおんかたとぞまうしける。 につぽんあきつしまはわづかにろくじふろくかこく、へいけちぎやうのくにさんじふよかこく、すでにはんごくにこえたり。 そのほかしやうえん、でんばく、いくらといふかずをしらず。 きらじうまんして、たうしやうはなのごとし。 けんきくんじゆして、もんぜんいちをなす。 やうしうのこがね、けいしうのたま、ごきんのあや、しよつかうのにしき、しつちんまんぽう、ひとつとしてかけたることなし。 かたうぶかくのもとゐ、ぎよりようしやくばのもてあそびもの、おそらくは、ていけつもせんとうも、これにはすぎじとぞみえし。 巻第四 了 2000. 19 Hsato 原テキスト作成 荒山慶一氏 荒山氏のURLは以下の所にある。 平家物語協会(Heike Academy International) 佐藤弘弥一部改変中.

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平家物語 巻第四

かみ な ぐち ひめ か 炎上

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