社会人として仕事を行う際、さまざまな決めごとを覚え、それに従って業務を進めることは必要不可欠な最重要事項と言えます。 名刺交換ひとつでも細かい決まりがあり、アポイントメントの取り方にしても決められたルールに従い、失礼のないように行わなければいけません。 これらの「商習慣」と呼ばれるこうしたビジネス上の常識やマナーは多岐にわたり、この商習慣を守らないと予期せぬ業務上の事故にもつながります。 今回はビジネスマンにとって切っても切れない商習慣について、紹介していきます。 商習慣の意味とは? 商習慣とは、文字通り、商取引におけるさまざま習慣を意味する言葉で、上記で触れたような名刺交換の仕方やアポイントの取り方のほかに、支払いサイトや居酒屋のお通しなど様々なものがあります。 この商習慣は、法規的な拘束力こそありませんが、通常の商取引では最も尊重されるべき決めごと、暗黙のルールと言えるでしょう。 もっとも商習慣は国によって大なり小なり違いがあり、特に島国で海外との通商の歴史が浅い日本には、いまだ独特の商習慣が多く残っています。 「月末締め、翌月末払い」「納品・検収制度」などは海外にない独特の商習慣で、グローバルな商取引ではなかなか理解されないことも少なくありません。 逆にビジネス上で交わされた約束時間や納期を守らない相手は、日本企業は理解できないでしょう。 商習慣は各国の歴史的、文化的背景が大きく影響しており、何より相互理解が不可欠となります。 海外とは違う日本の商習慣 商習慣が歴史的背景から形成されたものであり、各国の商習慣に違いがあることは理解できるのではないでしょうか。 そのため日本では「当たり前」と思われている商習慣が、海外のビジネスマンにとっては到底理解できない、というケースが結構多いのも事実です。 それでは具体的に、海外とは違う日本の商習慣にはどのようなものがあるのでしょうか。 決定は一度留保 日本の商習慣の中で、海外のビジネスマンから最も敬遠される一つが、即決性がない点です。 日本のビジネスマンの場合、何か決定事項がある場合、「一度会社に持ち帰ります」「上役に確認します」などと決断を保留するケースが多く見受けられます。 一方、海外のビジネスでは互いに決裁権を持った者同士の商談が基本で、即断即決が暗黙の了解です。 特にアジアでも台湾などはその傾向が強いと言われています。 海外のビジネスシーンでは、結論を保留することは時間の無駄ととらえられ、商談が決裂する原因にもなります。 月末締めの翌月末払い 日本の商習慣では「月末締めの翌月払い」が支払いの基本となっています。 日本では長く「下請け」という商習慣が定着しており、元請けと下請けの力関係が、「月末締めの翌月払い」という支払い方法にも影響を及ぼしてきたと言われています。 しかし、元請けの事情で支払いに問題が生じた場合、損害を受けるのは下請けで、フェアな関係とはとても言えません。 海外の商習慣では、たとえ親会社と子会社でもビジネス上は対等で、支払いも両者の契約によって決められます。 「お通し」や「突き出し」 飲食店などで見られる日本の商習慣の一つに「お通し」「突き出し」があります。 居酒屋や小料理店などで、注文したメニューが出る前に運ばれてくる小皿や小鉢で、関東圏では「お通し」、関西圏では「突き出し」と呼ばれています。 通常は店側のサービスと受け止め、お通しや突き出しをいただく人が多いようですが、中には有料のケースもあり、外国人観光客も含め、トラブルに発展するケースも少なくないようです。 日本にチップという習慣がないように、海外にもお通しや突き出しという習慣はなく、商習慣の違いはオフィスの中だけに限ったことではないので注意が必要です。 新卒一括採用 新卒一括採用とは、卒業予定の学生を面接などでふるいにかけ、事前に一括で内定を出して入社させる採用方法を意味します。 これも日本特有の商習慣の一つと言えるでしょう。 昔ほどではないものの、いまだ根強く残る終身雇用制度の下では、新卒組は転職組や就職浪人組に比べてアドバンテージは大きい反面、企業で育てるという風土で協調性が求められるため、個性が発揮しずらい環境となっています。 米国では大学での専攻や求職者の人脈、職歴など、即戦力になるかどうかが採用の基準になっており、日本の新卒一括採用とは相容れない関係と言っていいでしょう。 アポイント 仕事相手に合う場合、アポイントを取ることは日本でも海外でも当たり前の商習慣です。 ただ日本では「近くに来たので顔を出していいですか」と電話を入れ、突如訪問してくる仕事相手もいますが、例えば米国では仕事の用件もないのにアポイントを入れてくる相手は歓迎されません。 日本では昔ながらの泥臭い営業や普段の親密さが仕事に生きるのに対し、仕事は仕事と割り切り、プライベートとは切り離して考えるのが米国流と言えるでしょう。 名刺交換 日本のビジネスシーンにおいて名刺交換は欠かせません。 初めて会う際は、互いにお辞儀をしながら名刺を交換することが、日本の仕事における常識、商習慣となっています。 一方、米国では最初に互いの名前を言い合って握手を交わしたり、抱き合ったりと、フレンドリーな形でビジネスがスタートします。 今では大企業の多くで名刺交換はするようですが、日本ほどかしこまったものではなく、あくまで名刺は相手の名前を覚えておくためのツールに過ぎないようです。 価格 日本の商習慣では、メーカー側が小売店側に高めに卸価格を提示して、小売店の反応を見ながら価格を下げ、卸価格を決定する手法が一般的と言われます。 ただ、これは日本特有と言うべきもので、米国ではメーカー側が卸価格を定め、小売店側はその価格が妥当か高いかだけを判断して購入するかどうかを決めます。 米国では日本のような腹の探り合いはしない一方で、仕入れの量を増やすことで卸価格を下げるなど、正攻法のビジネス手法として交渉することはあるようです。 顧客接待 日本のビジネスシーンでは、商習慣として、日常大なり小なり顧客の接待が行われていると言われています。 日本では今も、飲食やゴルフ、麻雀など、ビジネスの相手と時間を共有することで互いの距離を縮め、ビジネスに結び付けていく商習慣が根強く残っています。 この「人情型」とも言えるビジネススタイルは日本特有のもので、ビジネスと人間関係を分けて考える米国などのビジネススタイルとは大きな隔たりがあると言えそうです。 押印 日本独自の商習慣は少なくありませんが、中でもその代表格と言われるのが「押印・印章制度」です。 いわゆる「はんこ文化」で、会社同士の契約はもとより、請求書、領収書、社内書類などに押印する機会は少なくありません。 しかし、テレワークが盛んに叫ばれるようになった現在、日本のはんこ文化が弊害となっているのも事実で、オンライン申請や書類のデジタル化も推進されています。 ちなみに欧米や中国では、日本のようにはんこを使う文化はなく、契約ではサインで行います。 メールの定型文 メールに定型文があるのも、日本特有の商習慣と言えるでしょう。 仕事相手にメールを送る場合、宛名一つにしても、会社名、部署名、役職、名前、敬称を明記し、「お世話になります」など決まり文句で本題へ入るのも日本独自です。 中にはメールを書くだけで1日の多くの時間を費やしているビジネスマンもいます。 一方、米国では定型文や敬称はなく、要点だけを簡潔に、的確に伝え、メールに時間を割きすぎることを良しとしていません。 歴史や文化の違いがあるとはいえ、外国と違う日本の商習慣は少なくありません。 海外の企業と仕事をする際は、相手の商習慣の意味をよく理解しておくことも必要です。
次のこんにちは、ライターの沼本です。 今日はフランス料理用語シリーズ。 席に着くと「こちら、本日のアミューズです」と最初に登場するアレについてのお話です。 メニューに載っていないし、頼んだ覚えもないけれど、なんだかオシャレで美味しそうなものが運ばれてきた経験、ありませんか?! アミューズとは amuse その名の通り、「お楽しみ」ということ 「アミューズメントパーク」のアミューズです。 お店によってはアミューズブーシュ amuse bouche 「ひとくちのお楽しみ」と表記しているところもあります。 boucheブーシュは口、という意味のフランス語 つまり、「口を楽しませるもの」です。 別の言い方でアミューズグール amuse gueule という言い方も存在していて、こちらも同じ意味。 グールは動物の口、という意味なので、ちょっと面白おかしくフランスならではのシニカルな表現ということになりますね。 どちらが間違っているとかではなくて、フランス料理の世界では両方使われています。 アミューズはひとつとは限らない?! さらに、アミューズの前にアヴァン・アミューズ avant amuse というものが登場することもあります。 本格的なフルコースの場合、前菜の前にアヴァンアミューズ、アミューズブーシュと2皿も登場することがあり、食べる側の気持ちを高揚させてくれます。 いわば「お店からのおもてなし」のひとつで、メニューやワインをゆっくり選んで欲しいという気持ちのサービスです。 このアミューズ、シェフのセンスの見せどころでもあります。 これから始まる楽しい食事の最初に出すものですから、アミューズが残念だと後の食事が抜群に美味しいということはなかなか考えにくいのです。 アミューズを頑張っているレストランはお客様を楽しませてあげよう!! という気持ちが強いシェフがいると思って間違いないでしょう。 アミューズは日本生まれ?! ここまで書いて、「日本で言うところのつきだしね」と思われた方も多いと思うのですが、まさにその通りです。 フランス料理の世界にアミューズが定着しだしたのは、1970年頃に「ヌーベルキュイジーヌ」という動きが起こりだしてからのこと。 ヌーベルキュイジーヌ=新しい料理 その頃、フランスのシェフたちが影響を受けたのがの「先附」でした。 それから有名シェフによって、軽やかで華やか、繊細で大胆、他の料理人の創作意欲を刺激する美しいアミューズが次々に生まれていきます。 口だけでなく、目で見ても楽しめる内容のものが多いのが特徴です。 アミューズとは無料で提供されるもの ところで、時々遭遇することがあるのですが居酒屋などで「あ、突出しいらないので…」と断る人がいます。 フランス料理の場合、いくら同じ位置づけである「突出し」だと言っても、シェフの才能や創意工夫を垣間見ることのできるチャンスなので、そのような行動に出てしまうのは無粋なことだと思います。 ちなみに、アミューズを断ったからと言って値段が安くなることはありません。 アミューズとは無料で提供されるものなのです。 思い切り、口を楽しませましょう。 美しいアミューズを楽しめる店 ロオジエ アピシウス レカン (ライター:沼本有佳子/ ) はこちらから。 はこちらから。 はこちらから。
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お通し・先付け・突き出しなどは、今では居酒屋や料理屋で注文前に出される軽いつまみ、として共通化されています。 お通しとは、先のご回答でもありましたが、新しい客が来た事を板場に通しました、という板場からの了解の印という意味があります。 先付けというのは、語源ははっきりしませんが、茶懐石料理の最初に出される膳が飯、汁、向付け むこうづけ。 主に刺身など と呼ばれますから、それより先に出る意味、かもしれません。 突き出しは、先ず突き出す料理、遊郭の突き出し 初物 からなどと言われています。 居酒屋などがなぜお通しを出すか、と言えば酒は直ぐに出せるが料理は時間が掛かるから、それまでの肴として繋ぐ一品です。 おかげで酒が出やすくなり、売上にも貢献する、という効果もあります。 なんにしても、お通しや突き出しは、日本料理の文化のなごり、片鱗、心づかいの形だったわけです。 それが今は、注文してないのに勝手に出して金を取るとはけしからん、と言う風潮があります。 実際商法的にも微妙な問題らしく、お通しを出さない店も増えてるとか。 もちろん、こんなもん食えるか、ってお通しも中にはあります。 それはそれで抗議する意味もあるでしょうが、すべて否定すれば、それはそれで随分とセコイ文化とも思えます。 若い頃、初めてお通しを出す店に行った時、え、これ食べていいの?という戸惑いもありました。 でも「そういうものなんだ」というのは、ひとつの感動でもありました。 ただ酒だけあって、料理が出るまで我慢するのも寂しいのは確かです。 実際、茶懐石など飯を一口、汁を啜って初めて酒に手をつけ、やっと向付けに進める、という作法があるくらいです。 酒と肴は一対なのが日本の文化で、そのなごりがお通しなんだ、というのは連綿と受け継がれた文化のひとつに触れた感動があったものです。 お通しに金を払いたくないほど金がないなら外で酒を飲むなよ、とは言いすぎでしょうか 笑。 なんでも西洋合理主義なら、ボーイにチップも払うのか? 都合のいいところだけ主義をつまみ食いして、文化は否定していけば、ただただ世知辛い世の中になるだけなのになぁ、と思ったりもします。
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