日経ビジネス12月12日号の特集「」では、企業や個人に大きなダメージをもたらすインターネット発の「炎上」の威力とメカニズムを詳報した。 なぜ炎上は発生し、どのように対処するべきなのか。 炎上問題に関する著作がある国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一講師に聞いた。 今年も多くの炎上事案が発生しましたが、特に印象に残っているのはどのケースですか。 山口:ピーシーデポコーポレーションの契約に関するトラブルは大きな問題になりましたが、炎上の社会的影響を示したものだと言えます。 あとは(フリーアナウンサーの)長谷川豊さんの透析患者に対する発言。 あまり大きくはないですが、鹿児島県志布志市がふるさと納税のPRのために作った動画が、特産のうなぎを水着姿の少女に擬人化したことで、いわゆるポルノを連想させるということで炎上したケースもありました。 最近の傾向としては、炎上がわっとネット上で盛り上がっている状況を、マスメディアが積極的に報じるようになっているということですね。 ネット炎上というのはネット上での現象であるにも関わらず、人々の認知経路では最も多いのがテレビ番組という研究があります。 さらに炎上によって企業の株価が下がる原因やタイミングとして、マスメディアの報道があるという実証研究もある。 ネット上だけで騒いでいる段階からテレビや新聞が報じる段階になって、株価などに大きなインパクトを与えるようになっているということですね。 マスメディアが炎上に加担 企業だけでなく、例えば今年、青山学院大学の学生たちがスーパーマーケットでふざけている動画をネットに投稿して炎上するという事案がありました。 私の見ている範囲では、テレビも大きく取り上げることで、結果的に炎上の被害が拡大しました。 若者がふざけた写真や動画をネット上に投稿することがかつてより増えていることもあるかもしれませんが、それ以上に報道する人々や機関が増えた影響が大きいですね。 山口真一(やまぐち・しんいち)氏。 2010年慶應義塾大学経済学部卒、2015年同大学経済学研究科で博士号(経済学)を取得。 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター助教を経て、2016年より現職。 主な著作に『ネット炎上の研究』(共著、勁草書房)など。 確かに、最近では多くのテレビ番組でいち早く炎上問題を取り上げている印象があります。 具体的な炎上のメカニズムとは、どのようなものなのでしょうか。 山口:よくあるのが、まずツイッターで投稿された炎上の種を見つけた人が、それを否定的に拡散するケースです。 拡散されていくうちに、それに対する書き込みを10回も20回も繰り返す「ヘビーユーザー」が現れて、一気にその炎上が大きく見えてくる。 今度はそれをPV(ページビュー)数を稼ぐためにまとめる「まとめサイト」が出てきたり、ネットメディアが取り上げたりする。 まとめサイトが取り上げる段階で拡散の威力は相当に高くなるのですが、最後にとどめとしてマスメディアが報道します。 そうすると、ネットにそこまで精通していない人々や高齢者までがその事件や問題を知ることになるという流れです。 こうしたメカニズムにあわせて、炎上の件数自体も格段に増えていますね。 かつては年間数十件程度だったのが、現在は年間数百件、定義にもよりますが、1000件以上という統計もあります。 ネットの普及率が一定以上まで高まった上で、さらに2010年から2012年にかけて、スマートフォンやツイッターをはじめとするSNS(交流サイト)が急速に普及した。 ツイッターのようなオープンなSNSが登場したことで炎上が広がり、多くの人が知るメカニズムが出来上がってきたということだと思います。 ただ、裁判になっても市民が思うより遙かに罪は軽い。 ならば、私刑の方が市民にはスッキリ感があるので炎上するのだと私は考えていた。 前都知事問題は「違法では無い」を連呼したことが叩かれる根拠となったと考えているが、「違法でなくとも社会的にNG」という事案は多々ある。 「人を殺してはならない」旨の法律が存在しないことが典型例だ。 誤解が無いように言うと、「人を殺した者は罰する」旨の法律が存在するが、「殺してはならない」が明文化されていないという意味だ。 そういう法律が無いからと、殺人犯が「法は犯していない」と連呼しても誰も納得しないだろう。 私は好きでない単語だが、それをモラルとかマナーなどという単語で表現する人は多いとも思う。 好きで無い理由は、多用する人の誤用が気になるからだが。 今は、記者クラブに代表される政府・企業からの大本営発表やネット炎上がソースと思われる案件を、ニュース番組で多々見る。 ワイドショーは面白おかしくが目的なのでまだ納得するが、報道番組でも多用されているところが、マスメディア自体の能力低下の照査であり、かつ彼らも薄々は自覚しているところに本来の問題点があるのだとも思う。 あちこちにまとめサイトを立ち上げる、複数のアカウントを使いまわすなどをしても 一般参加者が興味を持たず素通りしてしまえば、一本木が燃えているようなもので 森に炎上する事はありません。 木が一本燃えてるだけの状態を炎上と呼ぶのなら、それは仕掛けも効くでしょうが 例として挙げれた物は、特定のサイトだけに留まらなかったものではないでしょうか? また炎上につきものの身元特定や住所特定、エンブレムパクリなどでいえば過去の 膨大な作品群パクリ元の特定などは、知恵の持ち寄りでないと、とうてい特定の 仕掛け人に手におえるとは考えらえません。 なお、どういった状態を炎上と呼ぶかは、明確に定義されたのを見た事がありません。 これに対する認識の差は明確にあると認めます。 イギリスにゆかりのある方が「誇りある大英帝国の姫の名を使うなんて言語道断」とお怒りになるならまだ分かる。 一体どんなモラルに抵触し、誰が不利益を被るのか?抗議の大意が全く理解出来ませんでした。 エンブレム問題なんかは(真異は未だ不明ですが)、仮に何かをパクり拝借したとすれば国の誇り・威信にも関わるから声を上げていい事案だったと思いますが… 確かにモラルハザード事案は一向に減る方向にないし、個人の意見・主張が届き易くなったのも良い事です。 しかし、正論と思える大勢について対象を叩き、中身を理解せぬまま正義を振りかざし颯爽とした気分になるバカも多いのも事実。 それとマスコミはネットの話題を報道する際には、きちんと自前の取材で検証してからにして欲しいですね。 確かにマスコミ自体の体力が低下しているのでしょうね。 あたかも「私達の取材ではないのですが、インターネット上では…」と万が一誤報であった場合のニュースソースに対する言い訳前提の報道としか見えません。 当然テレビ報道等がいわゆる炎上を拡大させる可能性があることを意識した上で… 炎上の輪に加わりたのではなく真実を客観的に伝えて欲しい、この一点だけを求めている人の方が圧倒的に多いと思います。 そういったニーズに対して既存のマスコミが今その存在価値・存在意義を問われている時期なのかも知れませんね。 コメント欄を見る限り誤解している人がかなりいそうです。 しかし、大量の書き込みは0. だから炎上は多くの人の賛同などとは無関係に起きます。 その事実を分っていないマスコミの人達が安易にテレビや新聞で炎上を取り上げて、火に油を注いでいるわけです。 これは正直驚きました。 しかし、よく読むと中間管理職のように書いています。 社会的地位があるという言い方もできますが、中間管理職といえば権限が限定的でストレスがかかる職といういう印象が強いです。 ようはネットでウップン晴らしをしている中間管理職が多いということでしょう。 書いた人の気持ちが傷つくということでしょうか。 それとも都知事のような重要ポストが職を追われるということでしょうか。 ターゲットによって理解の仕方が全然変わってくるように思います。 例えばメディアは話題性がありさえすれば、とりあげすぎたり、さらに大げさに報道するのは習性というか彼らの営利活動の延長線上の話だと思うのですが、それで被害が出るということであればまあ、それは理解できます。 でも、それがネット炎上の被害かといわれると違うような。 ネット炎上がきっかけでマスメディアの被害にあったということであって、直接的にはネット炎上の被害ではない。 マスメディアの被害は元々あちこちにあるもので、それはネット炎上の被害と一緒にするような話ではないように思います。 バカじゃないの。 有名人やライバルを陥れるために冤罪をかけて炎上させるヤツは十年も二十年も前からいます。 新しい価値観もなにもない。 「真実後の世界」と、言葉は新しく語られていますが、その現象事態はすごく古くからの歴史がある悪事。 ただ、情報化で手口があからさまになってきただけ。 南京大虐殺だって冤罪ですよ。 でっちあげの悪事について、加害者どもは反省が足りんとかいうわけですよ。 価値観の賛同者? とんでもない、ただのバカの群れ。 その価値観へ賛同する人が少なければ、そもそも炎上しません。 リアルタイムで異議申し立てへの賛同が反映されて拡散する事が悪い事なのでしょうか? 少なくとも、喜んで参加してるのか動員をかけられて嫌々参加してるのか分からない旧来型のデモ行進に較べれば、遥かに参加者の意思が反映されてるといえるでしょう。 確かに汚い言葉を使う人もありますが、鉦をならして町を練り歩く古臭いデモでも汚い言葉を発してる人っていますよね。 証拠がネット上に残るだけネット炎上の方が潔いとも言えます。
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日経ビジネス12月12日号の特集「」では、企業や個人に大きなダメージをもたらすインターネット発の「炎上」の威力とメカニズムを詳報した。 なぜ炎上は発生し、どのように対処するべきなのか。 炎上問題に関する著作がある国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一講師に聞いた。 今年も多くの炎上事案が発生しましたが、特に印象に残っているのはどのケースですか。 山口:ピーシーデポコーポレーションの契約に関するトラブルは大きな問題になりましたが、炎上の社会的影響を示したものだと言えます。 あとは(フリーアナウンサーの)長谷川豊さんの透析患者に対する発言。 あまり大きくはないですが、鹿児島県志布志市がふるさと納税のPRのために作った動画が、特産のうなぎを水着姿の少女に擬人化したことで、いわゆるポルノを連想させるということで炎上したケースもありました。 最近の傾向としては、炎上がわっとネット上で盛り上がっている状況を、マスメディアが積極的に報じるようになっているということですね。 ネット炎上というのはネット上での現象であるにも関わらず、人々の認知経路では最も多いのがテレビ番組という研究があります。 さらに炎上によって企業の株価が下がる原因やタイミングとして、マスメディアの報道があるという実証研究もある。 ネット上だけで騒いでいる段階からテレビや新聞が報じる段階になって、株価などに大きなインパクトを与えるようになっているということですね。 マスメディアが炎上に加担 企業だけでなく、例えば今年、青山学院大学の学生たちがスーパーマーケットでふざけている動画をネットに投稿して炎上するという事案がありました。 私の見ている範囲では、テレビも大きく取り上げることで、結果的に炎上の被害が拡大しました。 若者がふざけた写真や動画をネット上に投稿することがかつてより増えていることもあるかもしれませんが、それ以上に報道する人々や機関が増えた影響が大きいですね。 山口真一(やまぐち・しんいち)氏。 2010年慶應義塾大学経済学部卒、2015年同大学経済学研究科で博士号(経済学)を取得。 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター助教を経て、2016年より現職。 主な著作に『ネット炎上の研究』(共著、勁草書房)など。 確かに、最近では多くのテレビ番組でいち早く炎上問題を取り上げている印象があります。 具体的な炎上のメカニズムとは、どのようなものなのでしょうか。 山口:よくあるのが、まずツイッターで投稿された炎上の種を見つけた人が、それを否定的に拡散するケースです。 拡散されていくうちに、それに対する書き込みを10回も20回も繰り返す「ヘビーユーザー」が現れて、一気にその炎上が大きく見えてくる。 今度はそれをPV(ページビュー)数を稼ぐためにまとめる「まとめサイト」が出てきたり、ネットメディアが取り上げたりする。 まとめサイトが取り上げる段階で拡散の威力は相当に高くなるのですが、最後にとどめとしてマスメディアが報道します。 そうすると、ネットにそこまで精通していない人々や高齢者までがその事件や問題を知ることになるという流れです。 こうしたメカニズムにあわせて、炎上の件数自体も格段に増えていますね。 かつては年間数十件程度だったのが、現在は年間数百件、定義にもよりますが、1000件以上という統計もあります。 ネットの普及率が一定以上まで高まった上で、さらに2010年から2012年にかけて、スマートフォンやツイッターをはじめとするSNS(交流サイト)が急速に普及した。 ツイッターのようなオープンなSNSが登場したことで炎上が広がり、多くの人が知るメカニズムが出来上がってきたということだと思います。 ただ、裁判になっても市民が思うより遙かに罪は軽い。 ならば、私刑の方が市民にはスッキリ感があるので炎上するのだと私は考えていた。 前都知事問題は「違法では無い」を連呼したことが叩かれる根拠となったと考えているが、「違法でなくとも社会的にNG」という事案は多々ある。 「人を殺してはならない」旨の法律が存在しないことが典型例だ。 誤解が無いように言うと、「人を殺した者は罰する」旨の法律が存在するが、「殺してはならない」が明文化されていないという意味だ。 そういう法律が無いからと、殺人犯が「法は犯していない」と連呼しても誰も納得しないだろう。 私は好きでない単語だが、それをモラルとかマナーなどという単語で表現する人は多いとも思う。 好きで無い理由は、多用する人の誤用が気になるからだが。 今は、記者クラブに代表される政府・企業からの大本営発表やネット炎上がソースと思われる案件を、ニュース番組で多々見る。 ワイドショーは面白おかしくが目的なのでまだ納得するが、報道番組でも多用されているところが、マスメディア自体の能力低下の照査であり、かつ彼らも薄々は自覚しているところに本来の問題点があるのだとも思う。 あちこちにまとめサイトを立ち上げる、複数のアカウントを使いまわすなどをしても 一般参加者が興味を持たず素通りしてしまえば、一本木が燃えているようなもので 森に炎上する事はありません。 木が一本燃えてるだけの状態を炎上と呼ぶのなら、それは仕掛けも効くでしょうが 例として挙げれた物は、特定のサイトだけに留まらなかったものではないでしょうか? また炎上につきものの身元特定や住所特定、エンブレムパクリなどでいえば過去の 膨大な作品群パクリ元の特定などは、知恵の持ち寄りでないと、とうてい特定の 仕掛け人に手におえるとは考えらえません。 なお、どういった状態を炎上と呼ぶかは、明確に定義されたのを見た事がありません。 これに対する認識の差は明確にあると認めます。 イギリスにゆかりのある方が「誇りある大英帝国の姫の名を使うなんて言語道断」とお怒りになるならまだ分かる。 一体どんなモラルに抵触し、誰が不利益を被るのか?抗議の大意が全く理解出来ませんでした。 エンブレム問題なんかは(真異は未だ不明ですが)、仮に何かをパクり拝借したとすれば国の誇り・威信にも関わるから声を上げていい事案だったと思いますが… 確かにモラルハザード事案は一向に減る方向にないし、個人の意見・主張が届き易くなったのも良い事です。 しかし、正論と思える大勢について対象を叩き、中身を理解せぬまま正義を振りかざし颯爽とした気分になるバカも多いのも事実。 それとマスコミはネットの話題を報道する際には、きちんと自前の取材で検証してからにして欲しいですね。 確かにマスコミ自体の体力が低下しているのでしょうね。 あたかも「私達の取材ではないのですが、インターネット上では…」と万が一誤報であった場合のニュースソースに対する言い訳前提の報道としか見えません。 当然テレビ報道等がいわゆる炎上を拡大させる可能性があることを意識した上で… 炎上の輪に加わりたのではなく真実を客観的に伝えて欲しい、この一点だけを求めている人の方が圧倒的に多いと思います。 そういったニーズに対して既存のマスコミが今その存在価値・存在意義を問われている時期なのかも知れませんね。 コメント欄を見る限り誤解している人がかなりいそうです。 しかし、大量の書き込みは0. だから炎上は多くの人の賛同などとは無関係に起きます。 その事実を分っていないマスコミの人達が安易にテレビや新聞で炎上を取り上げて、火に油を注いでいるわけです。 これは正直驚きました。 しかし、よく読むと中間管理職のように書いています。 社会的地位があるという言い方もできますが、中間管理職といえば権限が限定的でストレスがかかる職といういう印象が強いです。 ようはネットでウップン晴らしをしている中間管理職が多いということでしょう。 書いた人の気持ちが傷つくということでしょうか。 それとも都知事のような重要ポストが職を追われるということでしょうか。 ターゲットによって理解の仕方が全然変わってくるように思います。 例えばメディアは話題性がありさえすれば、とりあげすぎたり、さらに大げさに報道するのは習性というか彼らの営利活動の延長線上の話だと思うのですが、それで被害が出るということであればまあ、それは理解できます。 でも、それがネット炎上の被害かといわれると違うような。 ネット炎上がきっかけでマスメディアの被害にあったということであって、直接的にはネット炎上の被害ではない。 マスメディアの被害は元々あちこちにあるもので、それはネット炎上の被害と一緒にするような話ではないように思います。 バカじゃないの。 有名人やライバルを陥れるために冤罪をかけて炎上させるヤツは十年も二十年も前からいます。 新しい価値観もなにもない。 「真実後の世界」と、言葉は新しく語られていますが、その現象事態はすごく古くからの歴史がある悪事。 ただ、情報化で手口があからさまになってきただけ。 南京大虐殺だって冤罪ですよ。 でっちあげの悪事について、加害者どもは反省が足りんとかいうわけですよ。 価値観の賛同者? とんでもない、ただのバカの群れ。 その価値観へ賛同する人が少なければ、そもそも炎上しません。 リアルタイムで異議申し立てへの賛同が反映されて拡散する事が悪い事なのでしょうか? 少なくとも、喜んで参加してるのか動員をかけられて嫌々参加してるのか分からない旧来型のデモ行進に較べれば、遥かに参加者の意思が反映されてるといえるでしょう。 確かに汚い言葉を使う人もありますが、鉦をならして町を練り歩く古臭いデモでも汚い言葉を発してる人っていますよね。 証拠がネット上に残るだけネット炎上の方が潔いとも言えます。
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の感染対策で、全国の自治体が「今は来ないで」と訴えている。 5月2日〜6日のゴールデンウイーク期間中などに、帰省や旅行で人の出入りが激しくなれば、感染が広がる恐れがあるからだ。 だが、ものは言いようだ。 「来たら後悔させてやる」と言わんばかりの発言をした知事には抗議が殺到した。 「会いたいからこそ、今は『会わない』ようにしませんか。 それが収束を早める」と訴えた県には、「素敵なメッセージが心に響いた」と賛意が寄せられた。 4月29日の東京駅。 しかし「今の言動が地域のイメージを左右し、後になって明暗が分かれるのではないか」と指摘する声もある。 庁には「2日間で50件程度の苦情」 「後悔」と口にしたのは、伊原木(いばらぎ)隆太・岡山県知事だ。 山形県が来県者の検温を始めたのに触発され、岡山県でも「県外からの帰省者や旅行客の流入抑止に向けた啓発活動」として実施しようと考えた。 高速道のパーキングエリアで4月29日、職員らが県外ナンバーの車に乗った人などの検温を行うと決めた。 その内容を発表した4月24日の記者会見で、「いかに歓迎していないか、警戒しているかっていうことを、主に他県の皆さんにお伝えできる人数」に対して検温し、「声を掛けられた人が、『マズイところに来てしまったな』と、後悔をしていただくようなことになればいいなと思っています」などと述べた。 これが報道されると、県庁には抗議の電話やメールが相次いだ。 「2日間で50件程度の苦情がありました。 妨害してやる、危害を加えるというような内容もありました」と公聴広報課の職員は話す。 「職員が疲弊してしまう」 結局、伊原木知事は検温を中止すると発表した。 そして、「皆さんがビックリするぐらいの言葉を使わなければ、県外で配信してもらえないという思いで、わざと使った面もある。 大変多くの方に不快な思いをさせてしまった」と釈明した。 「普段は強い言葉を使わない人です。 命に関わる話なので、あえてきつい言い方をしたのだと思います。 しかも、県外の人に対してだけでなく、岡山の人も県外に出て迷惑をかけてはいけないと注意を呼び掛けたのですが、記事では県外の部分だけが切り取られてしまいました」と公聴広報課の職員が知事の気持ちを代弁する。 ただし、伊原木知事は検温の撤回時、「高速道路会社には、県内の高速道路の効果的な場所でインターチェンジを閉じていただくようお願いする」と新たな他県民の流入抑止策をぶち上げた。 これがまた物議を醸すことになり、「土木部の担当課は今も電話が鳴りっぱなしです。 それはもう職員が疲弊してしまうほどです」と前出の職員がため息をつく。 西日本高速道路の中国支社は「もちろんどこも封鎖していません。 岡山県への物流を滞らせるわけにはいきませんから」と話す。 5月1日までの交通量は通常の7割ぐらいに減っているといい、「走行しているのはトラックなどの物流関係に絞られてきています」と語る。 流入抑制のターゲットになった観光地はどうか。 美観地区を抱える同県倉敷市の観光課は「県外からの観光客はほとんど来ていません。 施設はほぼ休みですし、開いてる店舗も数えるほど」と言う。 観光関係者の1人は「知事発言で今後の観光に影響が出るかもしれないと不安です」と眉を寄せる。 「コロナ禍が収まっても岡山には行きたくない」という声が出ているからだ。 「新型コロナウイルスの影響とダブルパンチにならないことを願うだけです」と言葉少なだった。 県外ナンバーへのあおり運転や投石が発生 県知事の発言は徳島でも話題を呼んだ。 徳島県内で4人目の感染者が確認されたことを公表した4月21日、飯泉(いいずみ)嘉門知事が「県内の各施設で県外ナンバー車の実態調査を行う」と明らかにした。 神奈川県から帰って来た人が感染するなどしていたのが理由だ。 この発表が引き金となって、県外ナンバーの車へのあおり運転、投石、傷つけ、暴言が発生した。 飯泉知事は「強いメッセージになり過ぎたかもしれない」と、他県ナンバーの車に嫌がらせをしないよう県民に呼び掛ける事態になった。 一方、「来ないで」というメッセージに多くの共感が集まった県がある。 帰省者は、戻るのを待ち望む人がいるから帰って来る。 そこで4月29日、県民向けに「会いたいからこそ、今は『会わない』ようにしよう。 それが収束への早道だ」と訴える全面広告を地元紙に掲載した。 地域ごとの方言で「帰省自粛」を呼びかけ 担当した広聴広報課の職員は「ウイルスの流行以前から、出身者に『ぜひ帰って来てください』と呼び掛けてきた県です。 『帰ってくるな』とだけは言いたくありませんでした。 そこで、方言を使ったら否定的なニュアンスが和らぐのではないかと考えました」と話す。 島根県は東部の出雲地域と、西部の石見(いわみ)地域に分けられ、それぞれ言葉が違う。 このため出雲地域用は「早く会いたいけん、今は帰らんでいいけんね。 」、石見地域用は「早く会いたいけぇ、今は帰らんでいいけぇね。 」と大書した。 さらに全県共通のメッセージとして「ここ島根で生まれたそのつながりは、距離に負けるほど弱くはないと思うのです。 近いうちに、いつも通り会える日が必ず来ます」と記した。 そして県の公式Facebookにも載せた。 大きな反響があった。 Facebookには「とても素敵なメッセージで心に響きました。 この新聞をきっかけに島根にいる親と会話したり、普段のGWでは電話をすることのない島根の祖母とも電話をし、改めて地元が好きになりました」とコメントした人もいた。 「いいね」は5月1日までに1200件を超えた。 「今だからこそ丁寧に発信しないといけない」 「現在、飛騨はお休み中です」。 岐阜県の國島芳明・高山市長、都竹(つづく)淳也・飛騨市長、成原茂・白川村長の3人は4月30日、こんなメッセージを共同で発表し、3人で語りかけるYouTube動画も流した。 動画では「観光地、お店、自然豊かな場所すらも、新型コロナウイルスから地域を守るために、ほぼお休みしております」「この新型コロナウイルスが収束した折には、地域を挙げて皆様を歓迎させていただきます。 そして、飛騨の魅力を存分に楽しんでいただけるよう、精一杯のおもてなしをさせていただきます。 それまで、今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします」などとリレーで述べ、最後に「大変辛く、また失礼なお願いかとは存じますが、ご理解ご協力をいただければ幸いです」と深々を頭を下げた。 これほど丁寧に「お断り」されたら、誰しも悪い気はしないだろう。 むしろ、支援したくなるかもしれない。 それにしても「お休み中」とは、しゃれた言い方だ。 高山市の清水雅博・秘書課長は「文案は3首長が集まって練り、『お休み中』は都竹飛騨市長が発案しました。 外出自粛が長引いて、社会の不安がどんどん大きくなっています。 他を排除するような風潮も広まっています。 こうした時の言葉は、発し方一つで敵対心を生みかねません。 今だからこそ丁寧に発信しないといけないというのが3人の考えでした。 飛騨は新幹線も通っていなければ、飛行場もない不便な所です。 にもかかわらず、遠方から多くの人が観光に来てくれます。 『お休み』という柔らかい言葉には、私達の感謝の気持ちが込められています」と解説する。 國島高山市長は、これとは別に独自のメッセージも出している。 ここでは医療資源が乏しく、感染者が出たら医療崩壊に直結しかねない地域事情を切々と訴えるなどした。 そして、子や孫を帰省させなかった市民に対しても「ふるさと高山を出て都会の大学に通う子どもたちが、不安の中、都会で一人耐え忍ぶ姿を想像する時、本当につらく悲しい気持ちとなります。 ふるさと飛騨高山は、高山で生まれ育った皆さんを誇りに思っていること、終息すれば、ふるさとはいつでも温かく迎え入れること、合わせてお伝えいただければ幸いです」と記した。 飛騨の人情深さが感じられる文面だ。 宮崎県日南市は特産品のマンゴーを活用 「帰省断念」への感謝の気持ちを特産品のお礼で示す自治体もある。 宮崎県日南市だ。 「行かない、来ない、呼ばない宣言」を4月21日に行った崎田恭平市長は、4月29日〜5月10日の間に帰省を断念し、航空機などをキャンセルした先着50人に、特産のマンゴー1キログラム分(時価4000〜5000円相当)をプレゼントすると発表した。 「景気悪化の影響などからマンゴーの売れ行きが落ちています。 そこでPRを含めて、帰れない分、故郷を味わってほしいと考えました」と担当職員は話す。 6市町村は太平洋に面していることからサーフィンに訪れる人が多い。 しかし、高齢化が進み、医療資源も乏しいため、感染が拡大すると致命的な影響を受ける。 そこで「苦渋の決断」で自治体所有の駐車場を閉鎖した経緯を説明した。 「新型コロナウイルス感染症の危機が去りました暁には、わたくしどもの地域をあげて、従来にも増す熱意で皆様をお迎えさせて頂くことをお約束いたします」として、その時には「お互いに大輪の笑顔で、再会を祝しあえるように」とメッセージに書き込んだ。 何を発信するか。 危機にこそ試されるのかもしれない。 その影響と結果は、収束後に明らかになるのだろう。 (葉上 太郎) 外部サイト.
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