アダルトチルドレンとは、で育ち、大人になっても生き辛さを抱えた人々のことを総称した言葉です。 アダルトチルドレンの始まりは、1969年マーガレット・コークが書いた「忘れられた子供達」で取り上げられ、その後1981年アメリカのケースワーカーでもあるクラウディア・ブラックが書いた「私は親のようにはならない」で広まりました。 クラウディア・ブラックは家庭の機能と嗜癖の研究を行っており、「嗜癖(特にアルコール依存)のある人間がいる家庭で育った子供は、大人になってから心的外傷が原因で特徴的な傾向が見られる」と語りました。 尚、嗜癖のある人間がいる家庭で育った子供の傾向としては、• 必要以上に従順である• 大きな声や音に敏感に反応する• 家庭と外で態度が大きく違う• 必要の無い嘘をよくつく• 過度に顔色を伺う• 相手の気持ちが分からない• 暴力的、または暴力に鈍感 等があり、そのような傾向を大人になっても改善されること無く、何かの問題起因になっている人を、Adult Children of Alocoholic(ACOA)と呼びました。 それ以前は、アルコール依存症者の子供に反社会的な行動が見られると言われていましたが、クラウディア・ブラックはその傾向は小数派だが目立ちやすいだけで、大半の子供はなんとか適応しようと生きていると話しています。 また、そのような子供が大人になったときに様々な精神的弊害が起こることがあり、そのケアは必要だとも言っています。 その後、アダルトチルドレンはアルコール依存症者がいる家庭だけでなく、機能不全家族全般で当てはまるACOD(Adult Children of Dysfunctional Family)と言われ、多くのケースが存在すると言われるようになりました。
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この記事の目次• 世代間連鎖とは 世代間連鎖(Intergenerational Transmission )は世代間伝達とも言われます。 最近では「貧困の世代間連鎖」「虐待の世代間連鎖」といった文脈の中で使われることも多い。 一般的には「虐待や貧困といった問題が世代を超えて伝わっていくこと」とされています。 深刻な問題が起きている場面で語られているため、ネガティブで取り除かないといけない対象として扱われていることが多い。 しかし一方で、世代間連鎖をネガティブなものと捉えすぎではないかと思います。 なぜなら、自身自身の生まれを否定することなるため、自己否定を強化することになりやすい。 また自分の子どもの対して 「ネガティブな影響を与えてしまうのではないか」 と過剰に不安になってしまうことがあるからです。 世代間連鎖は文字通り世代を超えて伝わっていくもの。 本来はポジティブ・ネガティブ、またどちらとも言えない様々な側面があるものです。 「アダルトチルドレンからの回復」の観点からすると、世代を超えて何が伝わってきたのか。 全体像を見た上で、ありがたく受取りたい部分、また改善したい部分はどこにあるのかを捉えた方が有効です。 世代を超えて伝わるもの 幅広く「世代間連鎖」を捉えた時、どんなものが世代を超えて伝わってきているでしょうか 1 命 もっとも大事なことは人類の歴史の中で世代を超え、脈々と命が伝わってきたということではないでしょうか。 少子化・人口減少の日本。 毎年数十万人の規模で人口が減る時代だからこそ、今後あらためて命が伝わることの意義がクローズアップされてくるでしょう。 一方で機能不全家族に育ったアダルトチルドレンは自己否定感が強く、中には「自分は生まれなければ良かった・・」と思う方も当然いるでしょう。 だからこそ 「祖父祖母・両親の世代などを通じて、自分に命を授けられて良かった」 と自然と思えるようになることは、負の世代間連鎖を止めた一つの指標になるのです。 2 基本的な生きる技術 生まれて間もない子供は一人では何もできません。 食事をすること、 お風呂に入ること、 歯を磨くこと、 トイレにいくこと など、 生きる上で最低限必要なことを親から教わります。 ごく当たり前にしていることでも、親から伝わったことを改めて認識するのも有効です。 3 知識・知恵 言葉、人付き合いの方法など様々なことを親から学びます。 両親が日本語を話す家庭であれば、子供は自然と日本語を習得していくでしょう。 もし両親がフランス語を話す家庭であれば、子どもは自然とフランス語を習得していくでしょう。 また人と会った時の挨拶も、どんな風に声をかけるのか。 お辞儀やハグなどどうすれば良いのか、属した文化などに合ったものを両親から学んでいきます。 他人や物事に向き合う知識や知恵は生まれたばかりの子供にはありません。 周りの大人、主に両親を通じて教わったり、親の背中を見てやり方を自然と身に着けてきたのです。 4 観念 親が直接子供に語り伝えることもあれば、明確に言葉にしなくとも親が持っている観念を 「世間や世の中はこんなものだ」 と自然と受け取ることが多い。 人格形成の時期である幼少期に身に付いた観念は、無意識の内にその方の世界観、人生観となっていることも多い。 (例) ポジティブに働きやすいもの 「人生には困難なこともあるが、なんとかなるものだ。 」 「お金は悪いものだ」 「努力は報われないものだ」など 5 体験(喜びや心地良さの体験、トラウマ体験など) 自分が親からされて嬉しかった体験や心地良かった体験を自分の子どもにも与えたくなる。 本人は覚えていなくても… 幼児期に抱きしめたり、抱っこしたりされ愛された経験を多く持っている人は、自分の子供を前にした時に自然と同じ行動がしやすい。 しかし幼児期に愛された原体験が少ない人は、自分の子供を目の前にした時にどうして良いか分からなくなることがあるのです。 そして逆のパターンとして、自分が傷ついたり、満たされなかった体験を持っている人。 こういった人は、同じようについ子供にしてしまうこともあります。 幼少期に虐待を経験した人が、自分の子どもをつい虐待してしまうケースは少なくありません。 6 土地などの各種資産など すごく現実的な面ですが… 人によっては親から土地・建物・株式などの各種資産や事業・職業を引き継ぐ人もいるでしょう。 有り難いものもあれば、ものによっては自分の人生が縛られているようでマイナスに感じるものもあるかもしれません。 もし既に引き継いだものがあれば、何を引き継いだのか改めて明確にしておくことも世代間連鎖を捉える上では有効です。 敢えて幅広く、世代間連鎖を見ることは恵みと課題の両方を見ることにつながり、負の連鎖を止めることをスムーズに進めやすくなります。 世代間連鎖のメカニズム 自分が親からされたことを、なぜ自分が親になった時に自身の子供にするのか。 このメカニズムについては色々な見方があります。 1 「自身の親の子育て方法」を我が子の育成のモデルとする 自分の子どもに対する接し方に考える時、一番に思いつくのは、親が自分にしてくれたやり方かもしれません。 子育て方法を学ぶもっとも身近なものは良くも悪くも自分の体験だからです。 これは現在の子育て世代よりも、両親、祖父・祖母の世代の方がその傾向がより強いかもしれません。 今は書籍やインターネットなどあらゆるところで子育て方法に関する情報が溢れています。 また子供虐待に関する認識が広がり、「子育てはこれで良いのだろうか?」と振り返るキッカケとなる情報も多い。 しかし以前はそういった情報が少なかったのです。 2 「愛着」の世代間連鎖 ここで言う「愛着」とは、心理学者のジョン・ボウルビィが提唱した愛着理論の中に登場する概念の一つです。 英語のattachment 愛着、愛情、傾倒などの意 を日本語に訳した言葉。 養育者(親)との間に築く特別な情緒的な結びつきのことを指しています。 乳幼児期の親との関係性が良好で肯定的であればあるほど、子供が自分自身に対する「肯定感」が高くなる。 そして他者や世の中に対する安心感や主体性も高くなります。 その結果的、子供が成人し子育てするようになった際。 良好で肯定的な態度を子どもに対しても取りやすくなるのです。 3 幼少期の体験に基づく無意識下の反復行動 虐待などネガティブな言動に対する「行動分析」の分野で使われる概念。 子どもに対して虐待的な言動を取りがちな親は、親自身が幼少期に虐待を経験しているケースが多い。 「子どもが泣く」などちょっとしたことをキッカケに、意図せずともつい虐待的な言動が出てしまうのです。 過去の体験が影響し、無意識の内に反射的・反応的に行動しているのではないかと考えられています。 世代間連鎖の影響 世代間連鎖の影響にはどのようなものがあるでしょうか。 敢えてポジティブなもの、ネガティブなものの両方を見てみましょう。 ポジティブなもの ・命がつながる、伝わる ・生きるために必要な基本的な技術が伝わる ・知恵や文化が伝承される ・過去の世代の教訓が世代を超えて伝わり活かされる ・喜びや豊かさの体験が次の世代にも伝わる など ネガティブなもの ・過去に縛られてしまい今を生きれない ・祖父、両親の存在に束縛されてしまい「自分自身」を生きれない ・過去の影響が起因となって、健康面・人間関係・金銭面などでトラブルを起こしてしまう ・つらさ、苦しさからなかなか抜けられない ・ネガティブな体験を次の世代に引き継いでしまう など 5. 望まない世代間連鎖を切るには では、望まない世代間連鎖を切るにはどうすれば良いのでしょうか。 その方の成育環境や現在の状況によりますが、ある程度共通するものとしては下記のようなステップがあります。 【1】自分自身に起きている望まない世代間連鎖や反応パターンに気付く 【2】自身の内面にある親に対する怒りや憎しみをOKとする。 (そして親にはぶつけない) 【3】親が幼少期どのようにして育ったのかをしっかり知る 【4】自身の内面にあるネガティブな体験、感情と向き合うことを決める。 【5】幼少期のトラウマ(傷づいた体験、満たされなかった想い)をケアする 6. まとめ 一般的にはネガティブなものとして語られることの多い「世代間連鎖」。 しかしポジティブな側面もしっかり見ることによって、実は自分が受けてきた恩恵に気付くこともあります。 これは自分自身を認め、肯定する力にもなり、幸福感が増すこともあるでしょう。 一方でネガティブな側面は、幼少期の体験がきつければきついほど、ご自身で扱うのは難しくなります。 またカウンセラーなどの専門家のサポートを得るのも良いでしょう。 世代間連鎖の負の影響を軽減することは、まさにアダルトチルドレンの生きづらさの解消につながるのです。
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【合わせて人気の記事】• 【トップページへ】• アダルト・チルドレンの概要 アダルトチルドレンとは、現在では 「子ども時代を機能不全家族の中で育ち、成長してもなお精神的影響を受けつづける人々」という定義が、広く受けいれられています。 しかしもともとは、「アルコール依存症(アルコホリック)の親のもとで育ち、成人した子ども(たち)」という意味で使われていました。 本コラムでは、前者について述べてまいります。 まず、 機能不全家族とは、「親としての十分な責任と機能が果たされていないために、子どもが子どもらしく生きることのできない、安心・安全感のない家族」のことを指します。 わかりやすいケースでは、アルコール依存症やギャンブル依存症の親によって、暴力や虐待が日常的にくり返されている家庭、といったものがあります。 一方、子どもの自主性を尊重しない、親の価値観で子どもを縛ったりする、一貫性のない接し方をする、などという、一見わかりにくいケースも存在します。 そして、 機能不全家族で育った子どもは、成人後も自己肯定感が持てず、生きづらさを抱えやすいという傾向が見られる、すなわち「アダルトチルドレン」となる傾向があるのです。 参考: 「あの日の君へ」(精神科医の斎藤裕氏によるウェブサイト) なお、アダルトチルドレンとは、医療的診断名、つまり「病気」ではありません。 二次的に精神疾患の症状が現れることはありますが、アダルトチルドレンという言葉自体は、「病気」でなく「概念」です。 「自分(・知人・ご家族)が病気かどうか」という視点ではなく、「アダルトチルドレンという概念を知ったことが、今後の生活にどのように影響するのか、何が変わるのか」ということに目を向けてゆきましょう。 アダルトチルドレンの「役割」・生きづらさ(特徴) では、アダルトチルドレンには、具体的にどのような生きづらさがあるのでしょうか。 ここからは、アダルトチルドレンの「役割」や、生きづらさ(特徴)について述べてまいります。 どの役割も、子ども時代を生きのびるために必要な戦略としての意味があります。 人は、大人になっても子ども時代の役割を引きずり、同じように行動することが多いと言われています そのため、子ども時代から家族の中で演じてきた役割を知ることは、今後の他人との関わり方を変えるための一助になります。 専門家によって名づけ方は異なりますが、ここでは、クラウディア・ブラック氏の掲げる名目に準拠します。 各役割と特徴を紹介しますので、あなた(や知人)に当てはまるかどうか、考えてみてください。 1:リスポンシブル・チャイルド(責任を負う子)• 小さなおとなとも称される• 家族の混乱状態に秩序をもたらすために、物事の管理に努めようとする• 優等生であることが多く、周囲から評価を得る 2:アジャスター(順応者)• ロスト・チャイルドとも称される• 気配を感じさせないことにより、家族の安定に貢献する• 周囲に感情を通さないバリアを張る 3:プラケイター(なだめ役)• 世話焼きとも称される• 他の家族の情緒的なニーズに応えてることで、安定を保つ• 人に優しく接することで、周囲からの好意や関心を得る 4:アクティング・アウト(問題児)• いけにえとも称される• 家族に代わって声をあげる役目を果たす• 悪い行いにより注目を得ることで、無関心を回避する 一つの役割だけではなく、いくつかを組み合わせて、その場その場で使い分ける人もいます。 重要なのは、過去に必要だったある役割を、大人になってからも続ける傾向があるという事実です。 感情(思考)・行動・対人の3つの観点別に紹介します。 自己防衛的である• 泣くこと、恐れ、怒り、罪悪感を回避する(感情の抑圧)• 慢性的な喪失感がある• 何事も完璧にやろうと努力する• なにかに依存する(アルコールやカフェイン、過食や拒食など)• 自分で決断することに恐れを感じ、引き延ばしをする• 適切な距離感を築くことが難しく、信頼関係が築けない• ありのままの自分を隠そうとする• 他人の世話やきに熱中しやすい(共依存に陥りやすい)• 他人との境界線を引くのが不得意 一部の例をあげましたが、アダルトチルドレンにはさまざまな特徴があり、そのすべてが当てはまることはないかもしれません。 ただし、「自分らしく生きられない」という葛藤は、共通しているでしょう。 回復へのアプローチ これまで、アダルトチルドレンの子ども時代から続く「役割」と生きづらさ(特徴)について紹介してきました。 大人になっても抱える生きづらさを和らげるためには、自己肯定感の低さと認知の歪みを少しずつ回復させることが肝要です。 アダルトチルドレンにおける回復とは、何を意味するのでしょうか? クラウディア・ブラック氏は、著書『子どもを生きればおとなになれる』の中で、「癒されるためには自分の喪失にきちんと目を向けることが必要」だと述べています。 同著書の中で傷を癒す、すなわち回復することについて語られた箇所を、一部抜粋します。 回復とは、今をどう生きるかに積極的に責任を持つこと。 回復とは、過去を越えて進むことができること。 回復とは、子ども時代について本当のことを話せるようになること。 回復とは、子ども時代に学べなかったスキル(生き方の技術・技能)を育てていくこと。 回復とは、一度の出来事でもゴールに到達することでもなく、日々続いていくプロセス。 回復とは、もはや恐れや自己否定感を土台にして生きないこと。 (以下略) つまりは、 自分が傷ついていたのだと自覚し、自分を受け入れることが回復のスタートといえます。 そこにゴールはなく、日々プロセスを踏んでいく中で、徐々に回復していくということでしょう。 参考書籍 もしもご自分、または近しい人が、アダルトチルドレンの概念によく当てはまると感じられた場合には、理解を深めるために、書籍を参考にされることをオススメします。 いくつか、ご紹介します。 『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』 アスク・ヒューマン・ケア研修相談センター• 『アダルト・チャイルドが人生を変えていく本』 アスク・ヒューマン・ケア研修相談センター• 不安を感じた場合には、精神科医やカウンセラーなどの専門家を頼ることを推奨します。 また、ゆっくり時間をかけて進めていくことが大切です。 まとめ〜ゆっくり、一歩ずつ、前に進んでいきましょう〜 ここまでの内容をまとめます。 アダルトチルドレンとは、「子ども時代を機能不全家族の中で育ち、成長してもなお精神的影響を受けつづける人々」を指します。 機能不全家族とは、親としての十分な責任と機能が果たされていないために、子どもが子どもらしく生きることのできない、安心・安全感のない家族のことを指します。 そのような家庭環境で育った子どもには、成人後も自己肯定感が持てず、生きづらさを抱えやすいという傾向が見られます。 アダルトチルドレンにはさまざまな特徴がありますが、共通しているのは、根底に生きづらさが存在することです。 子ども時代における自分の役割を把握することは、今後の対人関係を整えることに貢献します。 アダルトチルドレンが抱える生きづらさを解消させるためには、自己肯定感の低さと認知の歪みを少しずつ回復させていくことが必要です。 参考となる書籍などを読みながら、また精神科医やカウンセラーなどの専門家の力も借りながら、ゆっくり、一歩ずつ、前に進んでいきましょう。 二次的に精神疾患が現れた(現れている)ときも、迷わず専門家を頼りましょう。 あなたや、あなたの周りの人の「アダルトチルドレン」としての生きづらさが解消されるよう、心から祈っています。 さて、私たちキズキ共育塾には、一から勉強をやり直す社会人の方も大勢いらっしゃいます。 もしあなたが勉強のやり直しをしたいのであれば、きっとお力になれると思いますので、 (ご相談は無料です)。 【参考文献】• クラウディア・ブラック『子どもを生きれば大人になれる』、『私は親のようにならない』• イルセ・サン『心がつながるのが怖い 愛と自己防衛』.
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