メラノサイトと呼ばれる色素をつくる細胞またはほくろの細胞(母斑細胞)が悪性化し、悪性黒色腫になる一歩手前の状態が存在し、悪性黒色腫前駆症と呼ばれています。 この前駆症の状態ないしは早期の悪性黒色腫の状態で発見することが最も重要です。 皮膚は身体の表面にありますので、注意すれば自分もしくは家族により悪性黒色腫を早期に発見することが可能です。 しかしながら、早期の場合には、普通のほくろと悪性黒色腫を区別することは非常に難しいのが実情です。 そのため、少しでもおかしいと思われるほくろがあった場合は、自己判断せずに、まず皮膚科専門医を受診することが、早期発見、早期治療につながります。 悪性黒色腫の早期症状として、下記に示すABCDEの5つの特徴があるといわれています(表1)。 この5つのポイントを示す場合、悪性黒色腫の可能性が高くなります。 5.統計 悪性黒色腫の発生には、遺伝的背景と環境因子の双方が重要な役割を果たしています。 白色人種の発生率が有色人種よりも数倍高く、紫外線の強い地域に住む白色人種の発生率がさらに高いという報告もあり、紫外線が関係している可能性があります。 日本人では悪性黒色腫の大半が紫外線の影響を直接受けない部位(肢端部)に発生し、紫外線の関与は少ないと考えられます。 しかしながら、過度な日焼けは避けたほうが無難であると思われます。 また、サンスクリーン剤で紫外線を防御することで、紫外線を直接浴びる部位の悪性黒色腫の発生率が減少する傾向が報告されています。 白色人種では家族内で発生したり、数カ所の皮膚に多発する家系が報告されており、遺伝的に悪性黒色腫が発生しやすい家系があると考えられています。 一方、わが国では今のところそのような家系は明らかではありません。 わが国では、足底や爪部など普段慢性的に刺激を受けやすい部位、あるいは衣類などですれる部位や外傷を受けた部位などに発生が多くみられることより、外的刺激も危険因子の1つと考えられています。 ほくろと思われるしみに対して、自分で針を刺したり、焼いたりしてとろうとすることは決して行ってはいけません。 ほくろを刺激しないように心がけるべきです。 さらに、成人後出現したほくろが次第に大きくなったり、色が濃くなったりしてきた場合は、早めにお近くの皮膚科を受診しましょう。 7.「悪性黒色腫」参考文献 1) Tamaki T, et al. The burden of rare cancer in Japan: application of the RARECARE definition. Cancer Epidemiology. 2014;38 5 :490-495. 2) 日本皮膚悪性腫瘍学会編:皮膚悪性腫瘍取扱い規約 第2版(2010年8月);金原出版 3) 日本皮膚科学会.皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第2版.日本皮膚科学会雑誌.2015年;125(1):5-75 4) 日本皮膚悪性腫瘍学会編:科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第1版(2007年);金原出版 5) James D. Brierley, Mary K. Gospodarowicz, Christian Wittekind, editors. UICC: TNM Classification of Malignant Tumours, 8th Edn. West Sussex: Wiley-Blackwell; 2017. 143-144. 6) 日本皮膚悪性腫瘍学会.悪性黒色腫(メラノーマ)薬物療法の手引 version 1.Skin Cancer.2017年;32(1):1-5•
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2019年2月26日、抗悪性腫瘍薬 エンコラフェニブ(商品名 ビラフトビカプセル50mg)と ビニメチニブ( メクトビ錠15mg)が薬価収載と同時に発売された。 両薬剤は、1月8日に製造販売が承認されていた。 適応は「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」、用法用量は「両薬剤の併用で、エンコラフェニブを1日1回450mg、ビニメチニブを1回45mgで1日2回投与。 いずれも患者の状態により適宜減量」となっている。 悪性黒色腫は、皮膚の色素を産生する母斑細胞が悪性化した腫瘍であり、皮膚癌の中で最も悪性度が高いとされている。 臨床症状として、多彩で黒色調の色素斑や腫瘤が認められ、進行速度や症状によって大きく4つの病型(末端黒子型、結節型、表在拡大型、悪性黒子型)に分類される。 他の癌と同様に、早期発見、早期治療が最も重要である。 現在の治療法としては、摘出手術などの外科療法の他に、速中性子線や重粒子線を用いた放射線療法、温熱療法、免疫療法、化学療法などが試みられている。 日本では従来、進行性の悪性黒色腫に対する標準化学療法は、抗悪性腫瘍薬の単独療法のみであったが、近年、新しい作用機序を有する分子標的治療薬が臨床使用されるようになった。 分子標的治療薬には、抗PD-1抗体ニボルマブ()およびペムブロリズマブ()、抗CTLA-4抗体イピリムマブ()といったヒト型モノクローナル抗体や、BRAF阻害薬ベムラフェニブ()、ダブラフェニブ()などがある。 BRAF阻害薬ダブラフェニブは、マイトジェン活性化細胞外シグナル関連キナーゼ(MEK)である阻害薬トラメチニブ()と併用して使用する。 BRAFは、種々の癌細胞の分化・増殖において重要なシグナル伝達経路である、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路を構成するキナーゼ蛋白質の1つである。 これにより、MAPK経路下流の細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)およびMEKが活性化することで、細胞に異常増殖などを引き起こすと考えられている。 エンコラフェニブは3番目となるBRAF阻害薬であり、ビニメチニブは2番目となるMEK阻害薬である。 海外では、2019年1月現在、米国および欧州で承認されている。 国際共同第3相試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が88. 主なものは悪心(30. 薬剤投与中に副作用が発現した場合には、休薬、減量または中止する。 減量して投与する場合の詳細な用量調節基準については、添付文書を参照することが必要である。
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記事1では、や有棘細胞がんといった皮膚がんについて幅広くご紹介しました。 今回は、皮膚がんの中でも悪性度の高い()について詳しくご説明します。 引き続き、聖マリアンナ医科大学皮膚科准教授の門野岳史先生にお話をお聞きしました。 メラノーマとは 皮膚がんの中でも悪性度が高く、ほくろのような皮膚がんとも呼ばれる とは、ともいう非常に悪性な皮膚がんです。 皮膚細胞の中の基底層にある「色素細胞」ががん化したもので、黒みをおびた色素斑が出現することから、一般的には「のがん」「ほくろのような皮膚がん」などと理解されています。 表皮の断面図 メラノーマのできる場所 は顔よりも手足(手のひらと足の裏)に多く発生し、日本人の50%程度は手足に発生するタイプであると考えられています。 足の裏などに発生する皮膚がんは日光とは無関係にできるがんであり、日光に当たることで発生するがんとは分けて考える必要があります。 病変は横に這うように広がっている• 表在拡大型:胸・腹・背中など、体の中心部や手足の付け根に近い部位に発生しやすく、白色人種に多くみられる• 結節型:部位に関わらず発生し、結節のようながん細胞の塊が徐々に大きくなってくるタイプ。 結節のまわりには色素斑がみられず、4つの中でも圧倒的に予後が悪いと考えられている 臀部に発生したメラノーマ。 がん細胞が大きな塊となっている• 早期のメラノーマでは、ダーモスコープを通すと下記のように見えます。 手足には指紋があり、凹んでいる部分を皮溝、凸の部分を皮丘と呼びます。 メラノーマでは皮丘中心に色素斑がみられ、皮溝に沿った線ははっきりしません。 一方、良性のの場合は下図のように皮溝に沿った線がみられ、一部では格子状にみえ、くっきりとした線を形成します。 メラノーマとほくろを見分けるための方法は?「メラノーマのABCD(E)」について 前項で述べたダーモスコピー検査に加えて、を診断する際は色素斑が「メラノーマのABCD(E)」と呼ばれる特徴的な形状をしているかどうかが重要になります。 「メラノーマのABCD(E)」に該当すれば必ずメラノーマといえるのか? この診断基準はメラノーマと良性のを見分けるために重要な指標となりますが、診断はあくまでも総合的になされるので、たとえばこの分類の「A」に当てはまったからといってメラノーマと決まったわけではありません。 実際、大きさだけでいえば良性のほくろでも6mm以上に拡大する場合があります。 たとえば、上図の「ほくろ」は6mmを越えており、前述した診断基準の「A」に該当しますが、メラノーマではありません。 日常的にメラノーマの可能性を心配し過ぎる必要はありませんが、上記のような診断基準が定められており、これらに該当するほくろはメラノーマの特徴に類似しているということを覚えておくことは大切です。 少しでもご自分のほくろに違和感があると思った場合は、早い段階で病院を受診しましょう。 メラノーマの初期症状に「痛み」はある? 発症初期では痛みはほとんどありません。 逆にいえば、自覚できるような痛みが現れる場合はがんが非常に進行してしまったと考えられ、完治が困難になります。 メラノーマのに対する手術治療と術後の検査、再発予防策とは? 手術による腫瘍の摘出が第一です。 は一旦進行すると急速に転移してしまう特徴がありますが、早期発見・早期診断がされれば手術のみでの治療が可能であり、再発のリスクもほとんどありません。 がんが多少深く、厚みがある場合は、手術のほか、必要に応じてセンチネルリンパ節生検を行います。 術後は、基本的に5年間の経過観察が必要です(患者さんの状況に応じて期間は変動します)。 経過観察中の外来診療では局所診察やリンパ節の触診などを行い、転移の可能性がある等のケースではCT、PETなどの画像診断や超音波検査を行います。 また、がん再発予防の目的でインターフェロン療法を行うことがあります。 インターフェロンとは、ウイルスに感染した細胞が作り出すタンパク質の一種です。 このタンパク質にはがん細胞を攻撃して免疫の働きを高める役割があります。 インターフェロン療法では、このタンパク質を注射して補い、メラノーマの再発を予防します。 手術後にメラノーマが再発する可能性はどのくらい? の再発や転移のリスクは術後2年までが最も高いのですが、メラノーマは他のがんより遅い時期(術後5年~10年以上)に再発することもあります。 メラノーマが遅い時期に再発する理由は明らかではありませんが、免疫との関係も考えられています。 メラノーマには免疫チェックポイント阻害薬(詳細は後述します)が有効とされ、比較的免疫が働きやすいがんとされています。 人によっては自身の持つ免疫の力によって長期間がんを抑えこんでいたところが、何らかのきっかけでがんが免疫をすり抜けることによって急激に増悪し、がんが進行してしまう可能性が考えられています。 最近はこれまで一般的に使われてきたような抗がん剤治療は次第に用いられなくなり、より効果の高い免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療が行われるようになってきています。 メラノーマに有効とされる免疫チェックポイント阻害薬とは? まずは免疫とがんの関係についてご説明しましょう。 ヒトの体には免疫機能が備わっており、ウイルスや細菌などの体内に入ってきた外敵を攻撃して体を守っています。 また、免疫はがん細胞を排除しようとするメカニズムも持っているため、一般的には免疫が低下するとがんになりやすいといわれます。 たとえば加齢などによって徐々に免疫機能が落ちていくことで、がん細胞が監視の目をすり抜けられるようになり、その結果体ががん細胞に侵食されていき、発症に至るのではないかと考える方もいます。 最近では、がん細胞は人が自覚しないときから体内に発生していると考えられています。 たとえば1度がんを治療して、再発なく暮らしている患者さんに血液検査をしてみると、血液中からがん細胞が見つかることがあります。 このとき、免疫ががんの発症を防いでいることが考えられます。 免疫チェックポイント阻害薬には、PD-1やCTLA-4といった免疫抑制作用を持つ分子の働きをなくす作用があります。 免疫チェックポイント阻害薬はこれらの分子に働きかけ、がんに対する免疫を高めて、がん細胞の排除を促進します。 にはこの免疫チェックポイント阻害薬による治療効果が高いことが分かっています。 免疫機能が亢進しすぎてしまうと、間違って自分の身体を攻撃してしまうことがあります(このような状態が続く病気をといい、やが代表的な疾患になります)。 メラノーマに有効とされる分子標的薬とは? 免疫チェックポイント阻害薬の他、分子標的薬(低分子阻害剤)が用いられる場合もあります。 ではBRAFというがん細胞の増殖に関わるタンパク質に、BRAFV600Eなどの変異が高い頻度でみられます。 メラノーマに用いられる分子標的薬は、このBRAFV600Eというタンパク質を選択的に阻害し、がん細胞の増殖を抑える働きを持った新しいタイプの薬です。 メラノーマ治療に対する最新研究「TVEC」について TCはまだ臨床試験の段階ですが、免疫療法の一種として研究が進められています。 ウイルスを発展させた特殊な薬剤を腫瘍に投与することで腫瘍選択的に免疫が働くようになり、腫瘍細胞を破壊します。 TVECはにのみ選択的に働きかけるよう工夫されていますが、単独での使用ではまだ効果は十分ではありません。 しかし、免疫チェックポイント阻害薬など他の治療との組み合わせによって効果が高くなることが期待されています。 しかし、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬、さらにはこのTVECによる治療は非常に高価であり、コストの面での課題をどのように克服していくかが問題です。 しかし、転移してしまうと生存率は急激に低下します。 ひとつのリンパ節に転移している場合の生存率はおよそ半分、それ以上の場合はさらに低下してしまいます。 この場合、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬がうまく効いてくれることを期待するしかありません。 ですから、がん細胞が表面を這っていて転移していない段階でいかにがんを取ることができるかが重要になってきます。 は? 門野岳史先生からのアドバイス 現在あるほくろをむやみに弄ったり毛抜きで抜いたりするのは控えましょう。 余計な刺激を与えるとがん化のリスクが高まってしまいます。 中には、自分のが気になって仕方ないという方や、実際にほくろを除去している方もいらっしゃいます。 しかし、顔のほくろがに変化する可能性は低く、2~3mm程度の一般的にみられるほくろであるならばまず問題ありません。 勿論、絶対にがん化しないとは言い切れませんが、形や大きさが長年変わっていないようであれば心配し過ぎなくてもよいでしょう。 聖マリアンナ医科大学病院• 内科 アレルギー科 血液内科 リウマチ科 外科 精神科 神経内科 脳神経外科 呼吸器外科 消化器外科 腎臓内科 心臓血管外科 小児科 小児外科 整形外科 形成外科 皮膚科 泌尿器科 産婦人科 眼科 耳鼻咽喉科 放射線科 麻酔科 乳腺外科 呼吸器内科 循環器内科 消化器内科• 神奈川県川崎市宮前区菅生2丁目16-1• 小田急線「向ヶ丘遊園駅」 バスの利用も可能 小田急バス 聖マリアンナ医科大学行 終点下車、または、あざみ野駅行 聖マリアンナ医科大学下車、所要時間約20分 車12分 東急田園都市線「宮前平駅」 バスの利用も可能 市営バス 聖マリアンナ医科大学行 終点下車、所要時間約20分 車13分• 044-977-8111.
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