友達とも別れ、遊び相手がいなくなった彼は退屈な日々を過ごしていた。 ある日、両親には「近づくな」と言われていた家から少し離れたところにある農場にこっそりと行ってしまう。 彼はそこで縞模様のパジャマを着た少年シュムエルと出会った。 鈍器で頭をぶんなぐられたような衝撃に襲われた。 そのくらい想定外の結末だ。 劇場では、エンドロールが流れても席を立てない観客が多かったことが予想される。 本編はミステリー形式で展開される。 説明が極端に少なく、観客は映像から状況やキャラクターの心情を読み取っていくこととなる。 確かにこの映画、こういった演出の方が効果的だ。 何でもかんでも説明してしまうと内容は観客に伝わるが、物語が薄っぺらくなってしまう。 薄くしていい類のそれではない。 観客の想像力に委ね、考えさせることが大事である。 なぜメイドはやたらと床を拭いているのか。 煙突から出る黒い煙はなんなのか。 理解の積み重ねが少しずつ真実に近づいていく。 そして迎えるラスト。 もはや点数を付けるのも憚れる内容だ。 だが、冷静に考えたらこの結末以外あり得ない。 何も知らない子供だからこそ迎えるあの結末。 子供だからこそ、衝撃度が強くなる。 途中の母の精神の崩れっぷりは切なかった。 観客が感情移入できるか唯一のキャラクターであるし、この母のリアクションもクライマックスにおいて重要となってくる。 ブルーノ一家は序盤で田舎に移住するのだが、近くに学校もないような土地だ。 そのため姉とブルーノは家庭教師から学ぶこととなる。 授業では歴史を学ぶのだが、その過程でお姉ちゃんが異常なくらい、あるものに傾倒していく。 なぜお姉ちゃんは傾倒するのか。 彼女の年齢は小学校高学年くらいだが、大人の男性に恋するような精神年齢の高い女性だからだ。 自分で考え、行動する精神性を持っている。 傾倒するものが良い、悪いはこの際関係ない。 では主人公ブルーノはどうなのか? この対比が、ブルーノのキャラ性を際立たせる。 あなたはこの映画を観たことがあるだろうか。 この映画は結末が重要であるため、これ以上語ることは控えたい。 ちょっと語りすぎたくらいだ。 95分という短い時間で、きっちり焦点を絞って描いている。 優れたシナリオだ。 ムダが一切ない。 誰もが観るべき内容である。 余談だが、私はこの映画についてある重要なワードを隠している。 アマゾンのあらすじ欄にすら書かれているが、そこすらも隠した方が楽しめると思ったからである。 優しい男である。 もしあなたがこの映画についてまったく知識がないのなら、この記事以外の情報を仕入れない状態で観るといい。 パッケージの文字すらも目を通さないことをおすすめする。 本当に優しい男である。 経済的危機により、失業率15%、失業者1000万人を超える。 少年犯罪は増加し、不登校生徒は80万人。 校内暴力による教師の殉職者は1200人を突破。 自信をなくした大人たちは子どもを恐れ、ある法案を可決する。 新世紀教育改革法、通称「BR法」だ。 誰もが恐れる「死」を利用し、年に一度、ランダムに選ばれた中学3年生の1クラスを脱出不可能の島に強制送還し、最後の一人になるまで命の奪い合いをさせるというもの。 そして今回、城岩学園中学3年B組が選ばれることとなった。 個人的な話で恐縮だがこの作品、私にとって非常な重要な一作となっている。 私の両親はボキャブラリーに欠けており、面白い味がまるでない退屈な人間だった。 私が子どもの頃、彼らが与えてきた映画や本は実に普遍的なものばかりだ。 高校生となった私はある日、こんな新聞記事が取り上げられている朝のニュースを目撃する。 『中学生42人が孤島で命を奪い合う衝撃の小説が実写映画化』と。 この見出しがあまりに衝撃で、すぐにその日の学校帰りに原作小説買って読むことになる。 衝撃だった。 こんな面白く、刺激的な小説がこの世に存在したのかと。 それまで何が面白いんだが良くわからない有名な本ばかり与えられていたが、全く面白くなく、本嫌いとなってしまった。 そんな私が『バトル・ロワイアル』をきっかけに小説好きとなった。 それまで数十ページも読むことが苦痛だった小説だが、700ページほどもある大長編をたった4日で読み切ってしまったのだ。 もしあなたが小説が苦手なら、『』の原作小説をおすすめする。 読みやすく、内容も刺激的だ。 寝食を忘れて没頭するだろう。 映画もそうだ。 今までタイタニックやETなどしか観てこなかったが、こんなにバイオレンスな映画が作られることに驚いた。 しかも邦画がここまでやるのかと。 私にとってこの作品は初期衝動となった重要なものだ。 バトル・ロワイアルと出会わなかったら今ほど小説や映画に夢中になることはなかっただろう。 続編は信じられないほどのクソだが。 クエンティン・タランティーノを筆頭に多くのクリエイターに影響を与え、デスゲーム映画を乱立させるきっかけとなった映画でもある。
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ストーリー [ ] ブルーノは軍人である父親の仕事の都合でから遠く見知らぬ土地へ引っ越してきたが、遊び相手もおらず、退屈な日々を過ごしていた。 そんな状況に限界を感じ始めたブルーノだったが、家から少し離れた場所に農場のような施設を発見する。 大人の目を盗んでその施設へ行くと、そこには縞模様のパジャマを着た少年、シュムエルが地面に座っていた。 シュムエルはであり、によってを受けていた。 つまらない生活に退屈を感じていたブルーノと強制収容所で寂しい思いをしていたシュムエルに友情が芽生える。 しかしその施設へ行くことは大人達に禁じられており、シュムエルの存在は家族には秘密だった。 ある日、軍人の父親がユダヤ人に対して残虐な行為をしていることを見かねたブルーノの母が、父親を置いて子供達と一緒に別所へ移動することを決定する。 姉は母の案に概ね賛成だったものの、ブルーノはシュムエルのことが気にかかっていた。 ブルーノは引越しの当日、シュムエルの父を探す為、シュムエルのいる強制収容所にシュムエルと同じ縞模様のパジャマを着て紛れ込む。 そしてシュムエルとブルーノは誤って他のユダヤ人と共に「」に入ってしまう。 何も知らない家族はブルーノを懸命に探すのだった。 撮影は・で行われた。 キャスト [ ] 役名 俳優 日本語吹替 ブルーノ シュムール グレーテル 父(ラルフ) 母(エルサ) 祖父(マサイアス) 祖母(ナタリー) コトラー中尉 パヴェル リスト先生 マリア パーティの歌手• その他の声の吹き替え://////• 演出:中野洋志、翻訳:森沢麻里、録音・調整:武田将仁、録音制作:ACクリエイト、制作監修:山本千絵子、日本語版制作:DISNEY CHARACTER VOICES INTERNATIONAL, INC. パーティの歌手には劇中にセリフがなく、劇中歌「Smile When You Say Good Bye」を英語詞で歌っている。 日本語吹替を担当した内田はセリフの吹替ではなく、劇中歌を原音同様の英語詞のまま吹替えている。 スタッフ [ ]• 監督・脚本:• 撮影:• 音楽: エピソード [ ] 原作と映画はを背景に描いているが、内容はフィクションである。 フィクションではあるが映画版は細部が事実に基づいて正確に製作されており、例えば映画に登場するの制服は衣装担当が詳しく調査してデザインしたものである。 また本作では設定上、収容所所長の家族が、についての知識が少ない。 これについて他方から指摘があるが、これもまた事実に沿っており、実際にの所長であったの妻もユダヤ人虐殺の実態をまったく把握していなかった。 脚注 [ ].
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