艦 これ ss 嫌い に ならない で。 #2 提督「艦娘をどう思ってるか?」

【艦これSS】提督「敵の襲撃ついでに俺が死んだことにする?」【長門】

艦 これ ss 嫌い に ならない で

 ̄  ̄. 排水量26,330トン、全長214. 6メートル、パワーは64,000馬力、最大速度は27. 5ノット。 好きなものは霧島博士とのティータイム、嫌いなものは台詞の途中で降りてくる緞帳、 好きでも嫌いでもないものは、特定の日付になると水を得た魚のように「今日は何の日?」と誰彼構わず 執拗に尋ねてくる駆逐艦に、若干食い気味に「子の日でしょ」と即答してやった時の表情の消えた素の顔だ。 鎮守府の闇に潜む悪の魔の手から艦娘たちを守れ。 57 ID:wTOg8HBv キィィィィン ??「……」ピクッ 【ハルナ10のひみつ・ハルナイヤー】 榛名は執務室から数km離れた戦艦寮の自室にいても、自分の名前を小声で呟く霧島博士の声を瞬時に察知することができるのだ。 タタタタタタ \バターン/「霧島!!」 霧島「うわ、早っ」 【ハルナ10のひみつ・ハルナダッシュ】 『鎮守府内廊下ヲ走ルベカラズ』の禁則を無視して霧島博士の元に駆け寄る榛名の瞬間最大速力は島風のそれをも上回るのだ。 榛名「どうしたのですか、霧島! ヒマなのですか! 榛名でいいならお相手しましょう!」 霧島「テンション高っ」 提督「榛名、君に頼みたい任務がある。 じつh」 榛名「そういえば、港のほうに新しいカフエテリヤが出来たそうです! 何でもケエキバイキングが有名なのだとか! 知っていますか霧島、ケエキバイキングではケエキを何個食べてもいいのだそうです! 榛名、ぜひ霧島と行きたいです!」 霧島「あー…… 私、そういうのあんまり……」 提督「任務終了後、ふたりには一日の臨時休暇と、特別賞与としてそのカフェのケーキバイキング招待券二枚を与えよう」 霧島「えっ」 榛名「さすがは提督! お心遣いありがとうございます! 何でもお言い付けください!」 提督「うむ! いいぞ……どちらかというと私は金榛派だったが、榛霧もまた違う趣きがあって実にいい! なあ、霧島!」 霧島「死ねばいいのに」 提督「えっ」 霧島「作戦はすでに立案済みです。 万事お任せを。 18 ID:wTOg8HBv 〜夜・工廠〜 妖精「コウタイノジカンダヨー」 妖精「キュウケイキュウケイー」 ??「…… よし、見張り番の妖精がいなくなったようね…… 今のうちに……」(ごそごそ) ??「ふふ、この緞帳の向こうにいるのが次に竣工予定の艦娘ね。 戦艦か空母として建造予定だったのでしょうけど、 これで貴女も駆逐艦として生まれ変わるのよ…… この秘密兵器KNB(駆逐艦になれビーム)によってね……」 カッ 満潮「!? なっ、探照灯……!?」 ??「そう、そういうことだったのね。 駆逐艦の……満潮、だったかしら?」 満潮「くっ、あんた…… 秘書艦の!」 霧島「警備態勢はあえていつものままにして、中でこっそり張っていたかいがあったわ。 榛名!」 榛名「はい!」(バサッ) 満潮「くっ、緞帳の中も……! 大型建造に偽のスケジュールを入れていたのね! そう、まんまと引っかかったってわけ……」 霧島「さあ、何故こんなことをしたのか聞かせてもらいましょう。 まずはその武器を床に置いて。 大人しくこっちに……」 榛名「!! 霧島、危ない!」 ビシュッ 霧島「!」 満潮「ちっ、外したか……近づかないで! 次は当てるわ!」 霧島「ば、バカな真似を……やめなさい!」 満潮「ふふふ……あんたたち戦艦に、とくに人気の金剛型になんて、私たち駆逐艦の気持ちがわかってたまるものですか! 二次改修が決まっている艦や、カップリング相手が決まっていたり提督に必要以上に媚びを売ってみせる艦以外、 生まれた瞬間からハズレ扱いされて解体か捨て艦に回され、やがて誰からも忘れ去られていく私たちのことなんて……」 榛名「霧島!」 満潮「あんたも動かないで! このKNBがもし艦娘に当たったら……どうなると思う?」 榛名「な、何ですって……(ピーン)はっ!」 【ハルナ10のひみつ・ハルナブレイン】 通常の戦艦の100倍の資源をもって建造された榛名のIQは実におおよそ110という高性能を誇るのだ。 06 ID:wTOg8HBv 霧島「満潮! 今ならまだ間に合うわ! 武器を捨てて大人しく投降しなさい! 私からも提督にとりなしてあげるから……」 榛名(そろりそろり) 満潮「!! そっち! 妙な真似を……」 榛名「ああ! う……美しすぎます、霧島!」(がしっ) 霧島「!?」 満潮「!?」 榛名「自らの身を挺してまで榛名をそのビームからかばおうだなんて! そんなことをしたら霧島が……霧島が駆逐艦に なってしまうのに、それを見過ごせというだなんて! 榛名にとってそれは残酷なる勇気……!」 霧島「ちょっと榛名! 貴女……」 榛名「大丈夫です! 榛名、霧島が駆逐艦になってもちゃんとお世話します! お食事もお風呂もおやすみも全部つきっきりで、 一生面倒を見てあげますから! くふwwwwww 霧島がwwwちっちゃい霧島がwwwwww 『榛名お姉さま』ってwwwwww 榛名のこと『榛名お姉さま』ってwwwwww」 【ハルナ10のひみつ・ハルナパームリターン】 榛名は時に自らの欲望のためなら、味方に対し手のひらを返すような非情な決断を選択するときもあるのだ。 65 ID:wTOg8HBv タタタタタタ \バターン/ 榛名「霧島!!」 霧島「……」(ふいっ) 榛名「き、霧島……まだ怒っているのですか? 榛名が悪かったです……榛名、十分に反省しました! そ、そうです、ケエキバイキング! 明日、お休みをとってふたりで例のケエキバイキングに行きましょう!」 霧島「何の話? 提督からもらった券ならお姉さまたちにあげてしまったけれど」 榛名「そ、そんな……! じゃあ、せめて補給を…… 榛名に補給をお願いします!」 【ハルナ10のひみつ・ハルナチャージ】 榛名は戦闘後、もしくは定期的に霧島博士から霧島分を補給しないとそのパワーを十二分に発揮できないのだ。 榛名「ほっぺになんて贅沢言いませんから! いつもどおりおでこで、いいえ、この際ぎゅってするだけでも我慢しますから!」 霧島「……」(ふいっ) 榛名「そんな……霧島ぁ……ううう……」 霧島(……それにしても、結局何だったのかしら…… 満潮はどこからあんな武器を? それに最期に叫んでいた あの言葉…… 『F. O』……いったい何のこと? ……この事件、まだ終わっていない気がする……) 〜鎮守府・某所〜 ??「どうやら満潮がやられたようだね」 ??「まったく情けないわ…… 駆逐艦とはいえ、仮にも姉さまの、そして御国の名を冠する私たちF. Oの 四天王という立場にありながら…… 金剛型なんて旧世代のロートル戦艦の策略に遅れをとるなんて」 ??「まあ仕方ないよ、彼女はボクたちの中でも一番の小物、元より大して期待はしていなかったさ」 ??「さてと、じゃ次は僕にやらせてよ。 とっておきのアイディアがあるんだ」 ??「へえ、それじゃまあ、ひとつお手並み拝見といこうかな。 04 ID:wTOg8HBv 超鋼戦艦榛名の活躍により、駆逐艦満潮の企みは崩れ去った。 しかし、闇の組織F. Oからの新たな刺客が続けて鎮守府に襲い掛かろうとしている。 榛名は再び鎮守府を守りきることが出来るのか。 霧島は二人分の指輪を手に入れ、自分と榛名をケッコンさせようと目論む提督の企みを阻止することが出来るのか。 矢矧は再び大和に会いまみえることが出来るのか。 赤城は昨日の夜中こっそり加賀のとっておきのプリンを食べてしまった件を彼女の厳しい追求から隠し通すことが出来るのか。 そして、F. Oの真の目的とは。 その首領、『姉さま』とは果たしていったい何者なのか。 戦え榛名、鎮守府に平和が訪れるその日まで! 〜そのころの姉さま〜 扶桑「伊勢や! 日向に! 負けたくないのおっ!」カチカチカチ ドーン \You lose/ 伊勢「うぇーいwwwwww」 日向「マジっすか扶桑さん、こんだけハンデあげたのに弱すぎでしょwww ゲーム向いてないんじゃないっすかwww」 伊勢「言うなって日向、せっかくおごってくれる気になってんだからwww じゃ明日のランチとディナー、ごちさーすwww」 日向「ごちさーすwwwwww」 扶桑「ううう……」 伊勢「つうかさ、ディナーにデザートもつけてほしくね?」 日向「うわ、伊勢ひどすぎだろwwwじゃ、ハンデさっきの三倍なwwwwww」 伊勢「マジかよwwwこれいくら扶桑さん相手でもキツいってwww どうします扶桑さんwwwwww」 日向「ま、ここまでハンデついたらさすがに勝てますよねーwww あー扶桑さんのいいとこ見てみたいなーwww」 扶桑「……ぐす……」 日向「wwwwww扶桑さんwwwwwめっちゃやる気wwwwww」 伊勢「うぇーいwwwwwwデザートもあざーすwwwwww」 日向「バカ、お前早すぎだろwwwwww」 扶桑「……うううううう…… ……空はあんなに青いのに……」 劇 終.

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提督「駆逐艦は可愛いなぁ・・・」 : 艦隊これくしょん SS

艦 これ ss 嫌い に ならない で

ここはとある鎮守府の執務室。 広大な海を流れる波の音と青々とした空を飛んでいく海鳥たちの鳴き声が、静かな朝の執務室のBGMとなって流れてくる。 ここの鎮守府の提督は朝から黙々と執務をこなしている。 部屋には他に誰もおらず、提督は一人自分の仕事である書類にペンを走らせる作業を行っていた。 そんな時、コンコンという控えめなノック音。 少し遅れて、執務室へと一人の艦娘が提督の元へとやってきた。 「おはようございます、提督。 今日もいい朝ですね」 青い制服と帽子に身を包み、黒のショートカットとモデル顔負けのスタイルを持つ女性。 高雄型重巡洋艦1番艦『高雄』はにっこり微笑みながら、提督へと朝のあいさつを交わしてきた。 「ああ、おはよう高雄。 君も朝からきれいだね」 高雄の挨拶に笑顔で返事を返す提督。 その言葉に、高雄は思わず顔を赤くしてしまう。 「も、もう提督ったら…! 私をおだてても何も出ませんよ……!」 「あはは、失礼した。 今日の秘書艦は君が務めると聞いていたからね、一足先に執務室で待っていたんだよ」 「そうだったんですか。 すみません、先に提督にお仕事をさせることになってしまって……」 申し訳なさを感じ、高雄は提督に深々と頭を下げる。 だが、提督は『気にしないでくれ』と言わんばかりに首を振ると、すでに書き上げた書類を手に彼女のもとにやってきた。 「それじゃ、俺の代わりにこの書類を大本営の方に送ってもらえないか? 他の仕事はもう済んであるし、あとはこれだけなんだが……」 提督の言葉に、高雄は笑顔で「はいっ、喜んで!」と書類を受け取り、執務室を後にする。 鼻歌交じりに廊下を歩いていく彼女を見届けた提督は、ゆっくりと椅子に座り深い溜息を吐くと、 「…ふう、やっと行ったか」 「全く… あんな化け物と二人きりになるなんて、気が気でないってんだよ」 さっきの笑顔から一変、忌々しげに顔を歪める提督は天井を見上げながら、一人悪態をついていた。 男は艦娘が嫌いだった。 ある日突如として海から現れた異形の怪物、深海棲艦。 通常兵器が効かない深海棲艦と唯一戦える存在、それが艦娘だった。 だが、艦娘も人と同じ姿形をしながら、その実態は人類とは全く違う人ならざる存在。 そんな艦娘を男は気味悪がり、なるべく関わらないようにしようとしていた。 しかし艦娘を統括している海軍が、彼女たちを指揮する提督が足りないとの事で、代理役として男に白羽の矢が立ってしまった。 男は軍に関しては何の知識もない一般人だったのに、祖父が軍人だったという理由で無理やりここへ連れてこられてしまい、それ以来新しい提督が見つかるまでの間だけここで働くよう命令されたのである。 当然男は怒り、抗議したが、軍はこれ以上刃向かうなら君の将来が大変なことになるよ、と遠回しな脅迫をして男をこの鎮守府へと置いていった。 男としては、初めは艦娘たちに関わらずに済むよう自ら嫌われ者になるように振る舞おうと考えたが、そのために下手なブラック鎮守府まがいの事をすれば嫌われるどころか彼女たちの怒りを買うことになりかねない。 そうなれば自分の身がどうなるか分からない。 その結果、男は遠回しに艦娘たちを避け続ける方法をとることにしたのである。 朝の食堂では横長のテーブルに艦娘たちが揃って朝食をとっていた。 大勢の艦娘たちの食事と会話で盛り上がっている食堂だったが、そこに提督の姿はなかった。 提督はいつも食事を自室か執務室で食べるようにしていた。 艦娘たちが大勢いる食堂で食事なんて、考えるだけで恐ろしいからだ。 しかし…… 「司令はん、今日もウチ等と一緒に食堂来てくれへんかったなー…」 「きっと私たちのために頑張って仕事してくれてるのよ。 司令、朝から執務に精を出してたって、秘書艦の高雄さんが言ってたわ」 「なるほど… さすがは司令ですね、不知火たちも見習って今度ねぎらいに行かなくては」 と、艦娘たちからは良い意味で誤解されていた。 朝食を終え、提督は執務室を出て一人外を散歩している。 執務はすでに終わらせたが、下手に執務室にいれば秘書艦や他の艦娘たちと一緒になってしまう恐れがある。 彼にとってもそれは避けたかったので、今は他の艦娘に出会わないよう人気のない場所を歩いていたのであった。 「あっ、おはようございます、しれぇ!」 しかし、そんな時にも艦娘とは出くわしてしまう。 提督が声のした方を振り向くと、そこにはボール片手にこちらに駆け寄ってくる雪風たちの姿があった。 ただでさえ艦娘が苦手だというのに、よりによって相手は話の通じない 駆逐艦 子供。 提督は顔をしかめたくなるのをこらえながら、雪風たちに笑顔を向けた。 「おう、おはよう雪風。 今日も元気がいいな」 「しれぇ、たまには食堂に来てください。 他の皆もしれぇが来てくれないって寂しがってました…」 「あ、ああ… すまない、行きたいのは山々なんだが書類作業以外でも提督としてやらねばならないことがあってな…」 「そうですか… それじゃ仕方ないですね」 雪風は肩を落としながらしょんぼりと落ち込む。 提督も申し訳ない気持ちがないと言えば嘘になるが、やはり人と同じ姿でも化け物は化け物。 提督はとても受け入れられなかった。 「ごめんな…」と言葉だけでも謝って、提督はその場を後にしようとしたが、雪風の隣にいた時津風が服の袖を引っ張って提督を引き止めた。 「そうだ。 しれぇ、時津風たちこれからキャッチボールするの。 せっかくだからしれぇも一緒にやろうよ」 「ちょっと、駄目よ時津風! 司令官は仕事を終えたばかりで疲れてるのよ」 「ええー、ちょっとくらいいいじゃん!? ねえしれぇいいでしょねえねえ?」 腕にしがみつきながら一緒に遊ぼうとせがむ時津風。 慌てて天津風が時津風にやめるよう窘めるが、提督は時津風にゆすられたまま笑顔で言った。 「構わないよ、天津風。 俺もちょうどデスクワークを終えたばかりで体を動かしたかったから」 その言葉に時津風だけでなく雪風もばんざいしながら喜び、天津風は戸惑いながらも二人に手を引かれていく提督の後を追っていった。 (受けるしかないだろ… こいつらも子供といえど艦娘、下手に断ればどうなるか分からないんだから…!!) そんな本音をひた隠しにしながら、提督は広場の方で雪風たちとのキャッチボールに付き合うのであった。 時刻はもうすぐ昼に差し掛かろうとする頃。 雪風たちと別れ、提督はまた一人あてもなく散歩する。 ただでさえ執務仕事で疲れていたのに、キャッチボールまでしたせいで余計に疲れがたまっている。 どこでもいいから一人静かに休めないか…? そう思いながら工廠の脇を通ろうとしたとき、 「あっ、提督!」 「…夕張か」 この艦隊の開発を担当している艦娘、夕張に呼び止められた。 本来は他の艦娘たちと同じように出撃している彼女だが、今は作業用ズボンに白のタンクトップというラフな格好になっていた。 先ほどまで開発を行っていたのか彼女の顔は油で汚れていたが、そんなことにかまわず夕張は提督に駆け寄り笑顔を見せる。 「この前は大量の資材の使用許可を出してくれてありがと。 おかげでいい装備がたくさんできたし、皆も提督にお礼が言いたいって言ってたわ」 「そうか… それはなによりだ」 喜々として話す夕張とは裏腹に、提督は引きつった笑みを浮かべていた。 実は夕張に大量の資材の使用許可を出したのは、資材を開発でどんどん溶かし艦隊を運用できなくして無能な提督だと艦娘たちに印象づける。 そして艦娘たちから嫌われ提督をクビになろうと思い許可したのだ。 だが夕張はそんな提督の計画を知らず、自分のためにここまでしてくれた提督に報いようといつも以上に頑張って開発をこなし、その結果強力な装備が大量にできたため、嫌われるどころかかえって艦娘たちからより好感を持たれてしまったのであった。 「もし提督も欲しいものがあれば私に言って。 ありがとうな」 (今は提督をクビになるきっかけがほしいんだよ…!!) そう叫びたい気持ちを抑えながら、提督は無難に夕張にお礼を言うとその場を立ち去ったのである。 午後の執務室。 そこでは昼食を終えた提督が一人執務にいそしんでいた。 秘書艦の高雄には資材備蓄の確認をしてほしいと適当な理由をつけ執務室から追い出していた。 もちろん艦娘と二人でいたくなかったというのが本当の理由だ。 「はあ… 一体いつまでこんなこと続ければいいんだ?」 誰にでもなくひとり不満を漏らす提督。 しばらくは執務作業で書類に記入する音だけが響いていたが、廊下から複数の足音が聞こえてきた。 その音に一瞬眉根をひそめたが、すぐに表情を変え執務を再開。 その直後扉が開き提督に声をかける者がいた。 「提督、第一艦隊が戻ったぞ。 中々に手ごわい相手だったが、どうにか勝つことができた」 第一艦隊旗艦を務める艦娘、長門を筆頭に大和や武蔵、大鳳たち第一艦隊所属の艦娘たちが次々に執務室に入ってくる。 皆、服はボロボロで体にはいたるところに生傷があったが、彼女たちは朗らかな笑顔を見せると提督に戦況報告を行った。 「……流石だな、長門。 レ級が出ると言われている海域なのに、全員無事に戻ってくるとは」 「なに、提督はいつも私たちを強敵が出るという海域に送り出してくれるから、その期待に応えたいだけさ」 自身を褒める提督の言葉に長門は胸を張り、大和も自分の胸に手を置きながら嬉しげに微笑んだ。 「それに、提督は私たち大和型も積極的に運用してくれますから、つい頑張ってしまうんです」 「他の鎮守府では、ここと違って資材が減るからと中々出撃させてもらえないからな。 そう思うと、ここへ来て本当に良かったと思うよ」 武蔵も素直に称賛の言葉を贈り、他の艦娘たちも口々に提督を褒めたたえていた。 そんな艦娘たちを見ながら… (クソッ、また戻ってきたのかよ…! 轟沈させるためにわざわざあんな過酷な海域に放り出したっていうのに、こいつら本当にしぶとい…!!) 本当は提督が長門や大和たちを出撃させるのは、強い敵がいる海域に放り込みうまく敵に沈めてもらい、艦娘を轟沈させてしまった責任をとるという形で提督をやめようという企みによるものからだった。 しかし、そんな彼の思惑とは裏腹に、長門たちは提督がこんな危険な海域に送り出すのは自分たちにそれだけ期待してるからなんだと勘違いし、その期待に応えるべくどんな強敵だろうと負けずに帰還してきたのだ。 「では提督、私たちは少し入渠してくるよ。 高速修復材を使うから、すぐに終わるさ」 「いや、今日はもう出撃の予定はないからゆっくり休むといい。 戦艦といえど、たまにはのんびりつかりたいだろ?」 「あ、ありがとうございます提督! それではお言葉に甘えて、失礼します」 そう言って、長門たちは執務室を後にしていった。 足音が遠ざかり、彼女たちがいなくなかったことを確認した提督は、 「…そうしたほうが、しばらくお前らの顔を見なくて済むんだよ!」 もうそこにはいない長門たちに悪態をつくのであった。 時刻は夜。 艦娘たちも皆寮へと戻り、提督は深い深い溜息を吐きながら今日も一日無事に過ごせたことにほっとしながら、机に突っ伏していた。 「くそ… こんなことがいつまで続くんだ? これじゃ、俺の身が持たないじゃないか…!」 彼がここへ来てからしばらく時間がたつが、大本営の方からは未だ連絡がなく、嫌がおうににも関わりたくない艦娘たちの相手をし、提督業をつづけなくてはならない始末。 正直、提督は極度のストレスで心身ともに限界に達していた。 提督は驚きつつも、受話器を取り電話に応じる。 「はいっ、提督ですが… ああ、大本営の方が何の用でしょうか?」 「……えっ、本当ですか!? 来週にはこちらに来ると…… はいっ、分かりました! お願いします」 提督は受話器を置くと、夜中にもかかわらずもろ手を挙げて大声で喜びだした。 「やったー! ようやく新しい提督がここへ来る。 ついにこんな場所とおさらば出来るんだ、ばんざーい!!」 大本営からかかってきた電話。 それはここへ新しく着任する提督が出たとのことで、彼にはその日をもって提督を解任するとの通達だった。 彼にとってはこれ以上ないほどの吉報に、まるで子供のようにはしゃぎまわる提督。 その声は夜の廊下にまでかすかに響いており、 「…青葉、聞いちゃいました………」 報告書を提出しに来た青葉の耳に届いていた。 その時の青葉は能面のような無表情に、黒くよどんだ眼をしたまま呆然としていた。 新しい提督がやってくるこの日、提督は笑顔で鎮守府の入り口に立っていた。 ようやく新しい提督が来て、自分が解放されるかと思うと今から心が躍る。 約束の時刻に差し掛かったころ、一台の車が提督の待っている鎮守府の入り口の前で止まり、中から海軍の大将が下りてきた。 「やあ、久しぶりだね。 突然とはいえ、君に提督を任せてしまって済まなかった」 「いえ、自分も微力ながら力になれたのなら嬉しいです」 相手は上官とはいえ、自分をこんな目に合わせた原因の一人。 正直文句の一つも言いたいのだが、今はその気持ちを抑え提督はさっそく大将へと本題を切り出した。 「あの… それで新しい提督はどちらに…?」 彼は周囲を見回すが、車から降りてきたのは大将一人だけ。 他にそれらしい人物の姿が見当たらない。 どういうことかと首をかしげていると、 「いや、君には本当に申し訳ないことをした。 まさか、君がここまで艦娘たちを大事に思っていたなんて…」 「…えっ?」 まるで意味が分からない、といった表情を浮かべる提督。 そんな提督を意に介さず、大将は話を続ける。 「実は君に新しい提督が来ると告げた次の日に、君の鎮守府の艦娘たちが私の元へ押しかけてきてね。 君が彼女たちのためにどれだけ尽くしている熱心に聞かされたんだ。 君は出撃や開発だけでなく、日ごろの業務まで負担をかけまいと頑張っていたそうじゃないか」 「えっ、いや!? それは…その…!?」 「それで、艦娘たちはこれからも君をここの提督にしてほしいと頼んできて、私もここまで艦娘を大事にする男を解任するのは心苦しくてね。 それで、今回の件については白紙にしようと思い、今日はそのことを直接話しに来たんだ」 「ま、待ってください! そんな突然言われても…!? それに、あれは艦娘が好きでやってたわけじゃ……!!」 「提督……」 提督が大将を引き止めようとしたとき、ふと自分を呼ぶ声が後ろから聞こえてくる。 振り返ると、そこにはこの鎮守府に所属する艦娘たちが自分を見つめていた。 「青葉さんから聞きましたよ。 なんでも、大本営の人が新しい提督をここヘ寄越すとか…」 「ひどい話ですよね。 提督が一生懸命榛名達を支えてくれているというのに、他の人が入ったら提督が出ていかなきゃいけませんもの。 だから、榛名たちが代わりに断っておきました」 「心配しないで。 それを見た提督は頭の中で何かがはじけ飛んだ。 「ふ…ざ…けるな……!!」 わなわなと拳を震わせ、艦娘たちを睨み付ける。 もう、我慢の限界だった… 「誰がそんな事をしろと言った!? ようやくここをやめられると思っていたのにお前らのせいで台無しになったじゃないか、どうしてくれるんだ!?」 「このさいはっきり言わせてもらうがな、俺はお前ら艦娘が大嫌いなんだよ!! お前らのような人の形をした化け物となんて一分一秒でもいたくない!! 俺は提督をやめたいんだ、分かったらもう俺に関わるな!!」 溜まりに溜まった本音をぶちまけた提督は、「ぜい… ぜい…」と息を切らせながら艦娘たちに目線を向ける。 言いたいことは言ってやった。 これで嫌われたのなら願ったりだ。 そう思いながら提督は急いで先ほど去っていった大将を追おうとする。 正直に訳を話してどうにか解任の件を取り付けてもらうためだ。 だが、提督の本音を聞いた艦娘たちは、 「…もう、提督は冗談がうまいですね」 「ほんとほんと。 あの提督さんがそんなこと言うわけないもんね」 怒るどころか、みんな一斉に彼の本音を冗談だろうと笑いながら否定してきた。 その異様な光景に、提督は怒りより若干の恐怖を感じていた。 「な、何言ってんだお前ら…!? 俺は本当にお前らが嫌い……」 「…提督、少し疲れているんですね。 早く戻って休みましょう、大事な提督の身に何かあったら、榛名は大丈夫じゃありません」 そう言って、艦娘たちは提督を連れ戻そうと取り囲んでくる。 提督は必死になって艦娘たちを振りほどこうと抵抗するが、艦娘たちの数が多すぎて抑え込まれてしまう。 「よ、よせ…! 来るな!」 艦娘たちに抵抗しようとしたとき、提督は艦娘たちの顔を見て気づいた。 皆の目が黒く染まり、正気ではなくなっていることに… そして気づいてしまった。 彼女たちが自分という存在に依存するあまり、正気を失ってしまったということに… 結局、抵抗もむなしく提督は取り抑えられ、艦娘たちの手によって再び鎮守府へと連れ戻されてしまったのである。 「ただいま司令官! さっき遠征から帰ってきたけど、ちゃんといい子にしてた?」 「………」 「提督、ここらで少し休憩にしましょうか。 私、お茶を入れてきます」 「………」 「提督、艦隊戻ったぞ。 今回も敵艦隊が手強かったが、こうして全員無事に帰投することができた。 これも提督がいてくれたからだな」 「………」 鎮守府の執務室。 そこでは一人の提督に親し気に話しかける艦娘たちの姿があった。 あれ以来、提督はこの鎮守府から出ることなく日々を過ごしていた。 初めは脱走を試みようとしたが、艦娘たちの厳重な監視からは逃れられず捕まり連れ戻されていた。 その後、提督には秘書艦という名の見張りがつき、常に複数の艦娘たちが彼の傍にいることで逃げられないようにしてしまった。 食事や執務中はもちろん、寝るときやトイレに行く時まで彼女たちが監視を緩めることはなかった。 ただでさえ嫌いな艦娘に厳重に監視され、提督は日を追うごとに心身共に摩耗し、今は廃人同然の状態になっている。 艦娘たちの言葉に何も答えず、提督は壊れた人形のように「…おれは……お前らが……嫌い……」と拒絶の言葉を繰り返していた。 だが、彼女たちはそれでも構わなかった。 大好きな提督が傍にいてくれればいい。 彼に依存しきってしまった艦娘たちにとっては、その事実が重要だった。 虚ろな目をしながら椅子に腰かける提督に、傍らにいた大和はそっと囁きかける。 「…提督、今は私たちのことが嫌いでも構いません」 「…でも、大丈夫。 時間はたっぷりあるんです」 「…私たちが貴方のことを好きになったように、いつか貴方も私たちのことを好きになるようにしてみせますからね」 「…だから、どうかこれからも私たちの傍にいてください。 提督……」 他の艦娘と同じ、黒く濁った瞳に最愛の人を映し出しながら、大和は提督の顔を覗き込むのであった。

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#艦隊これくしょん #内川コピペ 【艦これSS】霞会議、開催中!

艦 これ ss 嫌い に ならない で

どうも、こんちわ~ッス! 今回やっとこさ新しい話ができたんで投稿ッス。 最近はモチベーションが上がらないせいで筆が遅いうえ、巷で人気と言われてるけものフレンズを見ておもっくそハマったりと、あちこちに気を取られてしまってるッス… 最近はヤンこれ考えるのも難しいので、しばらく執筆は休もうかとも考えてるんスが、それでも今回考えた話を見てもらえればありがたい限りッス。 追記>4月03日付の[小説] 男子に人気ランキング 37 位に入りました! 毎度ながら、いつも自分の小説を見てくれてる方々の評価・ブクマ・コメント、本当に励みになってるッス! 次はいつ書けるか分からないッスが、また見てもらえると助かるッス。 ある朝の鎮守府。 執務室の椅子に腰掛ける男性、提督は誰もいない部屋で一人黙々と執務をこなしている。 ペンを走らせる音と外にいる艦娘たちの声だけしか聞こえてこない穏やかな空間に、突如別の物音が聞こえる。 それは、バタバタバタという音で、誰かがここに駆けつけてくる音だった。 そんな騒がしい音に目もくれず、提督が執務をこなしていると、突然バタンという音とともに扉が開き、中に数人の艦娘たちが押し掛けてきた。 「おはようございます、しれぇ! 今日も一日、よろしくお願いします!」 部屋中に響き渡る元気な声であいさつする艦娘、雪風。 そして雪風と一緒に来た天津風と時津風の三人に目を向けた提督は、穏やかな口調で挨拶をした。 「ああ、おはよう雪風。 天津風と時津風も一緒か、仲がいいな」 「うん。 本当は時津風と雪風の二人で行くつもりだったんだけどね、なんか天津風が二人だけじゃ心配だから一緒に行くってくっついてきたんだよ」 「そ、それはそうでしょ! さっきだって廊下を走った挙句、ノックもしないで扉を開けるんだから…!」 「確かにな… 雪風、元気なのはいいが、次からドアを開けるときはちゃんとノックをしてから入るんだぞ。 いいな?」 「はいっ! 了解です、しれぇ!」 雪風の元気な返事に提督が肩をすくめていると、隣にいた時津風がせがむように提督の袖をつかんできた。 「ねえ、しれぇ。 時津風たちね、これから朝の遠征に向かうから、またいつものあれをやってー」 「分かった分かった。 やってやるから、そんな裾を引っ張るなって…」 提督は時津風をなだめると、そっと彼女の頭に手を置き優しく撫でた。 時津風は気持ちよさそうに撫でられ、それに続いて雪風も自分も撫でてほしいと駆け寄り、天津風はもじもじしながら二人が撫でられるのを見ていたが、提督に呼ばれると嬉しそうに近づき、同じように撫でてもらったのであった。 じゃあしれぇ、時津風そろそろ行くね」 「ありがとうございました、しれぇ! 今日も一日頑張ります!」 「じゃあ、私たちこれで失礼するわ。 そして、三人がいなくなったのを確認した提督は、手を下ろすと小さくため息を吐き、 「そのまま戻ってくるな! クソッ…!」 顔をしかめながら、悪態をついた。 彼は望んで提督になったわけではなかった。 元々一般人だった彼は規律の厳しい軍隊などの仕事を嫌い、そういったものには極力かかわらないようにしようと考え、生活していた。 だが、ある日彼のいる職場に海軍が提督の適性があるものを探しにやってきた。 通常の提督なら艦隊を指揮する指揮能力が求められるが、艦娘たちの提督には指揮能力より妖精が見え、彼らと意思の疎通ができる者の方が重要とされていたからだ。 彼の職場の中で適性がある者を調べた結果、唯一彼だけが適性があることが判明し、そのまま海軍へと引き抜かれてしまったのであった。 そのうえ、彼は軍だけでなく艦娘も嫌っていた。 彼女たちは人の姿をしているが、その本質はあくまで人の形をした軍艦。 言わば人外の存在だった。 そんな艦娘たちは、彼にとって得体のしれない薄気味悪いものであり、できることなら関わりたくなどなかった。 だが、自分は今ここにいる。 偶然適性があることが分かってしまったせいで、こうしてなりたくもない軍人になり、関わりたくもない艦娘たちの提督にされてしまった。 彼からすれば、さっさと軍も提督もやめてここを去ってしまいたかったが、大本営曰く、適性があるものは数少なく希少だと言われている。 その適正者をそう簡単に手放すはずがなく、艦娘たちも提督である彼のことを慕っている。 どうも、皆は彼を無茶な作業をさせず、自分たちの分まで提督として作業を頑張ってくれている、良き上官だと思っているからだ。 もちろん、彼女たちのためとは微塵も思っていない。 彼が必死に仕事に励むのは、少しでも秘書艦である艦娘と一緒になるのを避けるためだった。 しかし、その行為が返って彼女たちの好感を上げてしまい、大本営にも仕事熱心な提督というイメージを植え付けてしまった。 このままじゃ、自分は死ぬまでここに縛り付けられてしまう。 提督が一人頭を抱えうなだれていると、扉をノックする音が聞こえ、彼は慌てて平静を装う。 少し遅れて扉が開き、秘書艦の高雄が部屋へ入ってきた。 「お疲れ様です、提督。 こちら、今回の出撃に関する報告書になります」 「ああ、ありがとうな高雄。 外見はモデル顔負けのグラマー美女である彼女も、彼にとっては化け物と変わらない存在。 提督からすれば、さっさと出て行ってほしかった。 そんな彼の本心を知ることなく、高雄は急にもじもじした様子で声を潜める。 「…ところで、提督はもうお決めになられたのですか?」 その質問に、提督は眉をひそめた。 何がについては聞かなかったが、その答えを言う必要はなかった。 もう知っているからだ。 「やっぱり、高雄も気になっているのか? 俺が誰をケッコンカッコカリの相手に選ぶのかが…」 「正直に言うと、少し………いいえ、すごく気になります! だって、提督は皆からとても慕われておりますから」 「そうかねぇ? 俺なんかとケッコンしたいなんていう物好きな奴は、まずいないと思うんだが?」 提督が肩をすくめ自嘲気味に言うが、高雄は声を荒げてそれを否定する。 「そんなことありません! 提督はとても素敵な方ですし、現に提督とのケッコンを望んでいる子は大勢いますよ! 私だって、提督に選んでいただけたらとても嬉しい………って、すす、すみません! つい、興奮して…!」 思わず本音を口走ってしまったのが恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしながらしどろもどろになる高雄。 そんな彼女に、提督もひきつった笑みで言葉を返す。 「そ、そうか… まあ、俺をそこまで慕ってくれているっていうのは素直にうれしいよ。 ありがとう、高雄」 「い、いえっ…! 提督からそう言っていただけた、その気持ちだけで十分です。 では、私はこれで失礼します」 両手を左右に振って、慌てた様子のまま高雄は部屋を出て行った。 ただ、さっきの提督の言葉がよほど嬉しかったのか、扉の向こうで彼女の鼻歌がかすかに聞こえていた。 だが、ご機嫌な彼女とは裏腹に、提督はますます頭を抱え込む事態となってしまった。 「くそ、冗談じゃないっ! このままじゃ、本当に俺はあんな化け物と一生を共にしなきゃいけなくなる。 それだけは真っ平ごめんなんだよ…!」 半ばパニック気味になりながら、提督は何か打開策はないかと必死に考える。 しかし、冷静さを失った頭ではいい案が思い浮かぶはずもない。 提督が頭をかきむしっていると、机に体がぶつかりその拍子に置いといた報告書を床にぶちまけてしまった。 それを見た提督は慌てて書類を拾い集めると、ふと一枚の書類に目が留まった。 それは、高雄が報告書と一緒に持ってきた任務書で、提督はその書類の内容を見た瞬間、 「これだっ!!」 と叫びながら、目を輝かせるのであった。 それから数日後。 鎮守府の会議室には主力艦隊の艦娘たちが集合していた。 なんでも、提督から新たな任務についての説明があるとのことで、ここに集められていた。 少し遅れて提督がやってくると、艦娘たちは皆足並みをそろえて提督に敬礼をする。 みんな集まっているのを確認すると、提督は彼女たちの方へ顔を向け、任務の説明を始めた。 「皆、今回集まってもらってもらい、礼を言う。 実は、今回行われる任務についてなんだが、少々面倒なことがあってな……」 「…と、言うと…どういうことですか?」 「実は、大規模な深海棲艦の軍勢がこの鎮守府近海に攻め入っているとの報告があり、その敵艦隊を迎撃するのが今回の任務なんだが…」 一旦言葉を区切ると、提督は話しづらそうに口を紡ぐ。 その姿を、艦娘たちはどこか心配そうに見つめていた。 「…正直に言うと、敵の規模を見る限り、向こうもかなりの数の鬼や姫級を投入しているらしく、さすがにお前たちにとってもこの任務をこなすのは厳しいんだ。 俺としても、今回の作戦は断りたいというのが本音だ」 窓に顔を向け、ぐっと唇をかみしめる提督に、皆も大丈夫かと声をかけようとする。 しかし、次の瞬間提督は彼女たちの方へ向き直った。 「だが、この作戦を成功させなければ、この鎮守府だけでない! 近海に暮らす人々にも危害が及ぶ…! 俺も、提督としてそれだけは見過ごせないんだ。 だから、皆… どうか、不利を承知の上で、この作戦を引き受けてもらいたいんだ。 頼む…!!」 深々と頭を下げ、提督は必死に艦娘たちに頼み込んだ。 そして、それを見た彼女たちは、皆声を揃えて言った。 「頭を上げてください提督! 私たちは、貴方のためならどんな敵とも戦って見せます!」 「元より、深海棲艦から人々を守るのが私たちの役目です。 この国のため、提督のためにも、この作戦は必ず成功させて見せます!!」 艦娘たちの決意を聞いた提督は、頭を下げたまま小声で「……ありがとう」とだけ言った。 下を向いた彼の表情は、ニヤリと笑うように口角が少しだけつり上がっていた。 作戦当日。 艤装を構え敵艦隊を待つ艦娘たちは険しい顔で水平線を見つめている。 その日の海は穏やかに凪いでおり、深海棲艦の大群が来なければこのままのんびり出かけに行きたくなるような状態だった。 だが、今回ばかりはそうはいかない。 報告が確かなら、もうすぐ連中はここへ現れるはず。 皆は構えを解くことなく、じっとこの場で待機していた。 そして、東の空から上った太陽が真上に差し掛かったころ、それは現れた。 「…っ! こちら、敵艦隊を補足! 情報通り、初めに戦艦棲姫を旗艦にした水上打撃部隊が進行しています」 艦載機を放ち偵察を行っていた赤城が、無線を介してほかの艦娘たちへ情報を伝達する。 噂にたがわぬ敵の数に圧倒されながらも、作戦通りまず空母が攻撃機を飛ばし、敵艦隊の数を減らしていく。 それに気づいた敵艦隊も攻撃を回避すべく散開し、戦闘は始まったのであった。 初めは敵を待ち構えていた艦娘たちが順当に敵の数を減らしていったが、向こうは数の暴力でそれを押し返していく。 敵の数を減らそうにも、こちらが攻撃をした瞬間を狙ったかのように相手も砲撃を仕掛け戦える艦娘たちの数を減らしていった。 おまけに後続に控えているのは姫級の強力な者たち。 空母棲姫の飛ばした艦載機が飛龍を中破させ、またしても一人攻め手を減らされてしまっていた。 「ま、まさかここまで敵の勢力が大きかったなんて…」 「…それでも、私たちは負けられない。 提督の為にも、ここは死守してみせるぞ!!」 武蔵の砲撃が空母棲姫を仕留め、どうにかこちらも持ちこたえようと体勢を立て直す。 だが、その瞬間が命取りだった。 「大変です! 敵艦隊がこちらの隙を付いて、防衛線を突破してしまいました!」 皆は驚き振り向くと、そこには艦娘たちを再配備しようとして手薄になった箇所を乗り込んでいく深海棲艦たちの姿。 この先にあるのは海辺の町々と提督がいるはずの鎮守府。 このままではまずいと皆は乗り込んできた深海棲艦たちの後を追うが、こちらが仕留めるより先に向こうは海辺へたどり着きそうになっていた。 「いけません…! このままでは連中が提督たちの元へたどり着いてしまう、早く何とかしないと…!!」 大鳳の言葉に、皆も焦りの色を隠せなくなっていた。 そんな時、突然無線から通信が入る。 聞くと、なんと通信の相手は提督からだった。 『皆、大丈夫か!? 先ほど、深海棲艦がこちらの防衛線を突破してきたと報告を受けたが…』 「すまない、提督…! 私たちが油断したせいで、敵がそちらへ向かって…」 『…心配するな。 俺もこうなる可能性は考えていたし、その時のための策もすでに実施済みだ。 とにかく、お前たちはその深海棲艦を追ってくれ』 その言葉に、報告を受けた艦娘たちは怪訝な表情を見せる。 提督の言う対策とは一体何なのか? ともかく深海棲艦を見失うわけにはいかないと追跡を続けるうちに、彼女たちは提督が何の策を講じていたのかを知った。 「……提督?」 彼女たちの視線の先。 深海棲艦の向かう先には小型のボートに乗った提督の姿があった。 提督は深海棲艦の姿を確認すると、まるで深海棲艦をおびき寄せるかのように堂々と姿をさらし、そのまま沖の方へとボートを走らせた。 「提督、何をしている!? そんなところにいては敵に狙われるぞ!!」 長門が叫んだ通り、深海棲艦は提督の姿をとらえると、そのまま提督の乗ったボートを追って攻撃を仕掛けた。 敵の砲弾をかいくぐる中で、提督は無線を手に取り皆へ呼びかける。 『…これで、いい。 言ったろ、今回はこちらが不利な戦い。 この程度の代償で勝利を収められるのなら、安いものだ』 『これが、俺の考えうるだけの策だ… 皆、後は頼んだぞ…!!』 無線越しに聞こえる艦娘たちの声を尻目に、提督は無線を置き舵を手に取る。 そして、深海棲艦が放った砲撃がボートにあたり、そのまま提督はボートの破片とともに海へ吹き飛ばされたのであった。 大本営が管理する軍病院。 その病院の一室では、体のいたるところに包帯を巻かれた提督の姿があった。 腕と足を固定され、提督は何も言わずに窓から外を眺めている。 そこへ、控えめなノックとともに海軍の将校が中へ入ってきた。 「今回は、君の機転で大勢の人々が助かった。 君の艦娘たちも奮戦してくれたおかげで、どうにか深海棲艦たちを迎撃することができた。 本当に、感謝しているよ」 将校はお礼の言葉とともに、深々と頭を下げる。 提督は、将校へ振り向くと穏やかな口調で言った。 「…自分は、ただ提督としての務めをこなしただけです。 それに本当に頑張っていたのは、俺じゃなく俺の部下たちです。 お礼なら、自分でなく彼女たちに言ってあげてください」 「ですが、この体で提督業を続けるのはさすがに無理そうです… もし自分のような男の頼みを聞いてもらえるのなら、どうか彼女たちの為に俺に代わる提督を着任させてください」 提督の言葉を聞いた将校は、「分かった…」と短い返事を返すと、改めて彼へ頭を下げ、病室を後にしていった。 提督一人になり、病室には再び静寂が訪れる。 だが、一人になったのを確認した提督は、 「…やった。 全ては、軍を抜け出すための作戦だった。 まずは、彼女たちにこなすのは難しいこの任務をあえて受けさせ、深海棲艦を攻め込ませる。 そして、敵がこちらに攻めこんだのを見計らい、自分が囮となることで敵の攻撃を受ける。 そうして負傷することで、これ以上提督をつづけられないという口実を作り、軍を退役する。 それが計画の全貌だった。 とはいえ、さすがにこのまま攻撃を受けてしまえば死んでしまうのは百も承知。 そこで、提督は妖精たちに頼んで、敵の攻撃を受けきれる特性のプロテクターを作ってもらっていた。 おかげで、しばらく安静が必要なものの、命に別状はない程度に負傷し、体が治れば晴れて自由の身になれる。 軍や艦娘たちからおさらばできることを思えば、これぐらいのケガも、安静にしなければならないことも安いものだ。 まず、ここを出たら何をしようか? 今まで軍に束縛されてた分、自分の自由な時間を過ごそう。 そんな先のことに心を躍らせながら、提督は布団の中で横になるのであった。 提督が目を覚ますと、辺りは暗く、時刻はすでに深夜になっていた。 どうやら、自分は気づかぬうちに眠っていたらしい。 どうして急に目を覚ましたかはわからないが、まあそんなことはどうでもいい。 このまま起きてても仕方ないし、また眠ろうとしていた時、提督はあることに気づいた。 「…えっ?」 見ると、ギプスに固定された自分の手を誰かがそっと握っている。 ゆっくりと首を向けると、そこには自分の顔を見ながら微笑む榛名の姿があった。 「あらっ? 提督、起きられたのですね」 「は…榛名……? お前、なぜここに…!?」 「もちろん、提督が心配だから来たのです。 ほら、他の皆さんもいますよ」 提督は驚き辺りを見回すと、そこには榛名の言う通りほかの艦娘たちも穏やかな顔つきで提督を見つめていた。 「提督… 貴方はその身を挺してまで人々のため、そして私たちのために頑張ってくれた。 だから、私たちは最後まで貴方の傍にいることにしたんだ」 「提督、これからは私たちが日替わりでお見舞いに参ります。 もし何かあれば、遠慮なくおっしゃってくださいね」 「は…はは…… そうか、それは…ありがたい、な…… じゃあ、俺がここを退院するまで、よろしく頼む」 ひきつった笑みを浮かべながら、どうにか提督は返事を返す。 まさかここまで艦娘たちに追われる羽目になるとは思ってなかったが、それも退院するまで。 提督は必死に自分にそう言い聞かせたが、艦娘たちはきょとんとした顔になり、同時に笑い出した。 「全く、何を言ってるんだ? 言ったろ、私たちは最後まであなたの傍にいるって」 「は……?」 「たとえ提督が軍を抜けたとしても、私たちはこれからも貴方のお世話に参ります。 ここまでしてくれた提督のためにも、これぐらいしなくては私たちの気が済みません」 「お、お前ら…? 一体、何を言ってるんだ…!?」 「あっ、もちろん私たちは軍で働いているから、お金のことでしたら心配いりませんよ。 提督はとっさに言葉でやめるよう叫ぼうとしたが、陸奥が提督の前に顔を出すと、人差し指を提督の口に当て黙らせた。 「提督… 貴方は最後まで私たちを見捨てないでくれた。 だから、私たちも最後まであなたの傍にいるわ。 貴方が何と言おうとも、ね……」 妖艶な微笑を浮かべながら、陸奥はそっと提督を諭す。 その静かな気迫に、提督は何も言えずに冷や汗を流した。 「だから、これからも私たちの傍にいてね。 お願いよ、提督……」 提督の姿が映りこむほど黒くよどんだ笑みで、陸奥はくすくすと笑う。 絶望の色を浮かべる提督を他所に、皆はこれからのことについて楽しく語り合うのであった。

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