双極性障害とADHDは40〜80%に併存することはよく知られていますし、またADHDは60〜75%程度でアスペルガー障害などの自閉症スペクトラム障害と併存することもよく知られた事実です。 双極性障害は内因性疾患であり、躁状態の程度により双極1型と2型に区別され、遺伝的な要素が見られます。 3親等以内に似たような気質や双極性障害の人がいますよね。 一方、ADHDや自閉症スペクトラム障害は生来性(生まれつき)ですが、衝動性の亢進や躁的防衛を呈する事があり、双極2型(まれに1型)と併存診断されることもあります。 しかし現在の診断基準(DSM-IV-TR)では「病前性格(気質)」は考慮せず、症状だけで判断するため、双極性障害と似た状態を呈するADHDや自閉症スペクトラム障害も、双極II型や気分循環症、あるいは軽微双極型などが双極スペクトラム障害と診断されていることがよくあるんですよ。 で書いたように、ADHDや広汎性発達障害が背景にある摂食障害は過食が主症状の非定型的な経過をとることが多いように、双極性障害とADHDは、似ていても病像が微妙に違ってきます。 こうやって見てみると、ADHDと双極性障害とは、 気分の波(周期やエピソード)の明瞭性躁状態の症状の内容で鑑別できそうですよね。 躁病エピソードにもADHDにも共通してみられる症状としては 易刺激性(イライラ感) 多弁 活力の増大 注意散漫 が挙げられています。 このような共通する症状によって、ADHDを双極性障害と診断する過剰診断のきらいはあるにしても、気分安定化薬が有効な点で治療的には似ており、診断が違っていたとしても治療薬に関しては大きな違いはないと言えますよね。 なかでも2〜3時間の睡眠でよく休めたと感じ、それでも疲れを感じないという「 睡眠欲求の減少」は、自覚的にも他覚的にも評価しやすい双極性障害の指標であり、社会リズム療法でコントロールしていく刺激を考える上で非常に重要になってきます。 三田こころの健康クリニックでは、双極性障害に対する「」を行いますので、治療戦略を考える上で、双極性障害とADHDの鑑別が必要になってくるのです。 (自閉症スペクトラム障害でも双極II型に似た状態を呈することもあります。 ) もともと。 双極性障害、とくに双極2型は、 同調性や他者配慮性がテーマになってきますよね。 ADHDでは似たような気質(循環気質)を呈することもありますが、自閉症スペクトラム障害は「同調性や他者配慮性」とは対極にあります。 同調性や他者配慮性は、他人の顔色をうかがう小心さ、過度の傷つきやすさ(状況反応性)、拒絶への弱さ(拒絶過敏性)があり、これらが、環境への不適応の要因になるともいえますが、同時に、その人なりの『強み』でもあることを見いだすことが、双極2型の精神療法のメインテーマであることは、内海健先生が『』に書いておられます。 他人への配慮や気遣いをしつつ、彼らが奮闘してきたこと、彼らによって支えられた人たちがいること、そして誰もそれを評価しておらず、にもかかわらず、患者に依存し、患者の気遣いを湯水のように消費してきたこと、そうしたことに共感が示されるべきである。 少なくとも、他者への尽力に役に立ったのであり、意味があったのだということを、治療者は繰り返し与えて返してしかるべきである。 双極2型では、罹病中に経験したことは、よきにつけ、あしきにつけ、その後にも刻印される。 実際、精神療法の効果は、回復後にも持続しているし、回復後も精神療法は有効である。 そういう感じなので、双極2型に関しては、がしっくり来ますよね。 ADHDの場合は、対人関係構築困難、衝動性が主症状になるため、精神療法よりも薬物療法によるコントロールが基本になります。 その中で対人スキルを構築していくためのアサーションなどの指導をすることはありますが、やはり、双極2型と異なり、ADHDや自閉症スペクトラム障害を背景に持つ双極性障害に対する対人関係-社会リズム療法の適応は、 思い込み・こだわり・回避性などの要素が強い場合は困難な場合が多いのが正直なところです。 印象としては、ADHDのある双極性障害に対しては、変化を起こしていく対人関係療法よりも、刺激を調節して生活リズムを安定させていく「社会リズム療法(SRT)」に重点を置くことによって、対処はある程度可能になりそうだと思えます。 しかし自分の身体的・精神的への気づきが十分ではないため、明暗刺激に同調する「体温 代謝 リズムの調節」を行う時間生物学的治療(クロノセラピー)のやり方よりも、のめり込みや過集中などの「社会的同調因子」に同調している「睡眠覚醒リズムの調節」が必要で、どちらかというと行動療法的なアプローチの方が向いていると思われますよね。
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アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)とは、自閉症の1つのタイプで、言語による会話能力があるものの、下記3つの障害(以降、3つ組の障害)を持っているとされています。 1.想像力、創造性 2.コミュニケーションをとること 3.他の人間との社会的関係、接点をもつこと ですが、アスペルガー症候群の定義は2つあるとされており、 ・イギリス中心としたヨーロッパで使用されているアスペルガー症候群の概念 ・DSM-IV、ICD-10など国際的な基準で提議されているアスペルガー症候群の概念 が存在します。 後者のICD-10やDSM-IVのアスペルガー症候群とは、 ・認知・言語発達の遅れがないこと ・コミュニケーションによる障害がないこと ・社会性の障害とこあわりがあること の上記3点で提議されており、イギリスを中心としたヨーロッパで使用される概念では、アスペルガー症候群も3つ組の障害であること、これを提議される為、コミュニケーション障害も併せ持ちます。 そのため、国際的な診断基準を適用する場合は、自閉症であり、アスペルガー症候群になることも少なくありません。 また、類似する意味の障害として、 ・高機能自閉症…知的な発達が正常の自閉症のこと 上記は、ほとんどアスペルガー症候群と同じものとみられることがあります。 しかし、臨床的には区別する必要はないと言われており、アスペルガー症候群も高機能自閉症も高機能広汎性発達障害に含まれるとされ広義の自閉症と同じ意味です。 自閉症とアスペルガー症候群は2つに分けるものではなく、強いて区別するといえば、アスペルがー症候群の子どもや大人は意見して障害があるようには見えません。 人前で独り言を言ったり、常同運動をしたりすることは殆どありません。 一見、自閉症に見えない自閉症と言えます。 教育や援助の方法として大切なことは3つ組の障害をもっているかどうかが重要で、アスペルガー症候群でも自閉症でも3つ組の障害があれば教育や援助の方法は共通しているのです。
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ADHD(注意欠如・多動性障害) ADHDとは「不注意・多動性・衝動性」による年齢や発達に不釣り合いの行動を起こし、学業や仕事に支障をきたしてしまう先天性の精神発達障害になります。 ADHDの症状や確認時期、治療法について確認しましょう。 ADHD(注意欠如・多動性障害)とは、 生まれつきによる先天性の脳機能障害で、年齢や発達に不釣り合いな行動をしてしまい、学業や仕事に支障をきたしてしまう精神発達障害になります。 「注意欠如・多動性障害」の事を略名で「ADHD」(エーディーエイチディー)と呼び、主な症状としては「不注意」(集中力がない)・「多動性」(落ち着きがない)・「衝動性」(何も考えずに行動する)が見受けられます。 ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状が6歳未満の時期から発症し、発症してから6ヶ月以上継続されている場合にADHD(注意欠如・多動性障害)であると診断されてましたが、現在では成人してからADHD(注意欠如・多動性障害)と診断される方も多くなっております。 生まれつきによる先天性の脳機能障害を持った幼児や小中学生に対する研究や治療が主流でしたが、現在は大人になってからADHD(注意欠如・多動性障害)と診断される事も多くなっており、非常に注目されている発達障害の一部になっております。 【乳児期】 発達能力が未熟の為、ADHDの診断は出来ない時期• 寝付きが悪い• 寝返りが多く落ち着きがない• 視線が合わず、抱っこを嫌がる 【幼児期】 ADHDの症状が現れる事が多い時期• 人を叩いたり乱暴する• 落ち着きがない• 我慢できず怒る事が多い• 物を壊したり乱暴する遊びを好む 【小学生】 最もADHDと診断される時期• 授業中にじっと座ってられず教室を歩き回る• 注意散漫になり興味の対象がコロコロ変わる• 忘れ物や物を無くすことが多い• 急に話しかけて人の邪魔をする• 人の話を聞いてない• 突発的な行動をとる• 自分の怒りの感情をコントロールできない• ダンスや工作が苦手 【中高生】 合併症状に注意が必要な時期• 親や教師に対する強い反抗• 友達付き合いが下手でトラブルが多い• ルールに従う事ができない• 勉強の意欲低下と学力低下• やる気がなく投げやりな態度をとる• 自分の世界に閉じこもる 【成人】• 計画を立てて仕事をこなす事が苦手• 細部の注意が及ばず小さなミスが多い• 約束を忘れたり遅刻が多い• 片付けが苦手• 一度に多くの指示や説明をされると混乱する• 長時間座っている事が苦手 ADHDの治療方法 ADHD(注意欠如・多動性障害)の治療方法は、現在の医学療法では完治する事は難しいとされております。 しかし ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状を緩和させる事は可能となっており、心理療法や薬物療法があります。 薬物療法は児童青年精神科医の管理下のみで行い、6歳未満への投与はしてはなりません。 尚、0歳から5歳までのADHD患者の場合は心理療法を実施し、6歳から17歳までのADHD患者の場合は薬物療法と心理療法の両方を実施するようになっております。 成人に関しては心理両方を患者が好まない限り、薬物療法が第一選択肢とされております。 心理療法は本人の特性に合った環境を整えることが重要視されております。 薬物療薬物療法を行う場合は専門医の指示の下で行い、用法・用量をきちんと理解し、自己判断による投与は行わないでください。 ADHDの治療薬 発達性障害のADHD(注意欠如・多動性障害)に効果的な治療薬は、ノルアドレナリントランスポーターだけにに作用し、そのほかの受容体には作用しない「選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」であるアトモキセチン塩酸塩製剤(商品名: ストラテラ)と神経細胞のドーパミントランスポーターに結合し、ドーパミンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害する作用のあるメチルフェニデート(商品名: コンサータ)の二種類があります。 ADHD治療薬の副作用は主に食欲不振と体重減少があります。 そのほか不眠症や頭痛、腹痛、動悸や頻脈など複数の副作用がある為、服用には注意して下さい。 薬物療法を行う場合は専門医の指示の下で行い、用法・用量をきちんと理解し、自己判断による投与は行わないでください。
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