宮本 から 君 へ ネタバレ。 宮本から君へ【映画】ネタバレとあらすじと感想、見た人の熱量がやばい。2019年9月27日追記!

『宮本から君へ』のネタバレなし感想!!とにかく熱い映画!!

宮本 から 君 へ ネタバレ

映画版だけじゃなく前日譚であるドラマ版に関してもネタバレしております。 イオンシネマ京都桂川で鑑賞。 結構混んでた。 この映画を観る前にドラマ版をAmazonプライム・ビデオで鑑賞した。 原作で言うと前半部をドラマ版でやってクライマックス周辺を映画でやっているのだと思う。 ドラマ版のざっくりした感想 ドラマ版前半は華村あすか演じる甲田美沙子との恋模様がメインで描かれる。 まあしかし、ここの華村あすかさんの可愛いさが凄まじくてそりゃあ好きになってしまう。 甲田さん自体はずるい所もあるキャラクターなのだけど、華村あすかさんがとっても透明感があるのでそこまで嫌な感じがしなくて、それ故に哀しい。 他、合間に入るエピソードも良くて宮本に想いを寄せる三浦透子演じる茂垣さんとのやりとりも切なくて大好き。 ここの宮本は、学生時代のキラキラした思い出を引きずり仕事にも身が入らず、そのくせ色んな事にこだわりまくって空回りしてるのだけど、今思い返すと本当に愛おしい。 甲田さんとの恋は彼女が前の男に復縁を申し込まれたせいで、宮本はあっさり捨てられてしまう。 振られて傷つきまくっているのに男としてこうするべきだ!と自ら自分の想いを押し殺して一人相撲してる感じが可笑しくも切ない。 結局未練タラタラで彼女の職場に営業で来たふりをして会いに行く所の池松壮亮の素晴らしい泣き顔に笑いながら泣いた。 彼女に最初に声をかけた「僕の名前は宮本浩です!!!」が繰り返される瞬間に胸が締め付けられる。 宮本にとって最初の大きな敗北シーン。 ドラマ版後半は松山ケンイチ演じる超仕事出来る先輩の神保さんとの仕事がんばるぜ!パート。 大きな契約をライバル会社の営業と取り合う話がメインになっていく。 とにかくこの新保さんが松山ケンイチ史上でもトップクラスの名キャラクターで本当に頼りがいがあってカッコイイ。 そして彼が仕事を辞めるので引継ぎを宮本が任されるのだけど観ながら誰もが「いや!宮本には無理じゃない!?」という気がしてきて、あげく観てるこちらの仕事の事とか思い出し嫌な気持ちになる事必至。 あと名キャラクターで言うと浅香航大演じるライバル会社の営業マン益戸。 初登場の時点で「こいつ、絶対悪い奴!」と一発で分かるキャラの立ち具合。 神保とバチバチやり合うシーンが最高で松山ケンイチと浅香航大の演技合戦がとても見応えがある。 ここでマルキタという宮本が働いている会社の面々との絆が深まっていく様子が本当に熱い。 宮本の熱に当てられ段々と周りの人間が協力していく様子が丁寧で、中盤で部長の攻撃から課長や新保が庇うシーンはめちゃくちゃ泣いた。 記号的な逆境展開を並べて糞つまらない熱血お仕事ドラマを量産しているTBSの日曜劇場とかは見習った方がいいと思う。 結局最後はライバル会社に仕事を取られてしまうのだけど、やることを全てやって全力で燃え尽きたのも分かるので爽やかにも感じる。 しかしまた負けられない勝負で敗北してしまう宮本。 ドラマのラストは再び甲田さんと再会し酒を飲んでるシーンでしんみり終わっていくのかと、思いきや甲田さんが再び男に捨てられたのが発覚し宮本にすり寄ってくる鬼展開。 ただでさえ仕事で精神状態ボロボロなのに彼女の為に「ふざけんな!くそったれ女!」と叫び嫌われ様とするシーンの胸が痛い事、結局彼女の方には思いは(たぶん)伝わらず「見損なった」と罵られ、泣きながら去っていく宮本の背中でドラマが終わっていく、、、ハード過ぎる、、、 映画版の感想 という感じでドラマ版を観てから映画版を観るのと、映画版だけを観るとでは、結構印象が違うと思う。 まあ見事にまとめているので映画だけでも素晴らしいのだけど、ドラマ版を観ていると、これまで彼がいかに敗北感を味わってサラリーマン生活を送ってきたのかが分かるので、冒頭から星野英利が優しくしてたり、松山ケンイチがアドバイスしてくれる所とかでチビチビ泣いてしまうし、第1話で「作り笑いも上手く出来ない、、、」と話していた時期を思い返すと、人前で心の底から笑顔になっている彼を観ているだけで感動しっぱなし。 あと恋愛に関しても前の男を忘れられないという理由でドラマ版では甲田さんに振られた訳だし、前の恋人に未練がある靖子に対してかける言葉が「今度は絶対離さない!」という意思が痛い程伝わってきて、前半でもうすでに顔がびちょびちょになる。 映画にしてもドラマにしてもこの作品の一番の魅力は主人公宮本のキャラクターなので長い時間一緒に付き合う方が絶対良いと思うし僕はやっぱりドラマ観てから映画に行くのをオススメしたい。 そして最後、これまで恋でも仕事でも絶対に負けられない勝負で負け続けてきた彼がついにささやかな勝利を掴む所では更に号泣してしまう。 靖子の言う通り喧嘩で勝つのも自己満足なのだけど、心象ナレーションで暗い事をぼやきながらずっと悩んでいた彼が声に出して「俺の人生はバラ色だから!」と自分を肯定するシーンで胸がいっぱいになる。 この映画のパート自体は結構重いエピソードの所だとは思うのだけど、時系列的に今回メインである喧嘩が終わったシーンから始まり、ヒロインである靖子と恋愛関係に発展した数か月前のエピソードが交互に入ってくる形にした事で、この後もこの二人の関係が続いていると分かるので、一本道で語るより映画全体が重々しい印象がしなくなってていい構成だと思った。 原作の新井英樹の漫画でよく見られる、とても緊迫してるのに傍から見るとなんか笑える場面の空気感もしっかり再現出来ていて良かった。 例えば靖子が強姦された後に宮本が彼女を抱きしめるシーン、役者二人の熱演もありあまりの熱さに圧倒されるし緊迫感もあるのだけど、宮本が勃起してるという情報が入ってそれも含め喧嘩がヒートアップしていく感じとかどういう気持ちになればいいんだ、、、となる凄い新井英樹漫画っぽい描写だなぁと思った。 吉田恵輔監督が「愛しのアイリーン」を実写化した時も結構重要な要素だったしここを見事に再現出来るかで、新井英樹漫画の良し悪しが決まる気がする。 要はユーモアもありつつも、馬鹿っぽく見せず、役者の演技の熱量も引き出せる腕のある監督じゃないと新井英樹漫画の実写化は務まらない。 それで言うと吉田監督も真利子監督も原作への愛も含め申し分ない人選だった。 特に真利子監督に関しては「ディストラクションベイビーズ」でもそうだったけど暴力の怖さや痛さの表現が抜群に上手いので、今回の真淵拓馬の暴力描写は本当に恐ろしい。 ラストの非常階段での喧嘩は思わず声出しちゃうくらいビックリ映像になっていた。 あと映像のルックがテレビドラマの映画版という感じじゃなくちゃんと映画になっているのも安心した。 ドラマ版では出来なかった濃密なラブシーンや暴力描写も手加減なく描かれていてちゃんと映画としての完成度を追いかけているのが伝わってくる。 キャスト陣の素晴らしさは言うまでもない。 当たり前に池松壮亮は最高。 原作の宮本をここまで違和感なく生身の人間として体現できているのはまず凄い。 だって電柱柱で逆立ち腕立て伏せしてても「宮本だしやるよね」と現実の事として普通に思えるもん(僕は思えた)。 池松壮亮が本気で前歯を抜いて撮影に挑もうとして、周りの人から止められるというエピソードがあったらしいけど、それも納得する位スクリーンから本人の気合がビシビシ伝わってきた。 スタローンをロッキーと同一視してしまうのと同じレベルで池松壮亮と宮本を重ねて見てしまう。 それくらい一体化していた。 間違いなく池松壮亮史上ベストアクトだと思う。 蒼井優もこの人しかいないレベルで靖子役を好演していた。 池松壮亮とのコンビは「斬」から引き続き相変わらず息ぴったりで、2人ともめちゃくちゃエキセントリックなキャラクターなのに、とても自然に幸せなカップルに見える。 それ故に降りかかる悲劇が悲しい。 そして最大の悪役を演じた真淵拓馬役の一ノ瀬ワタルも素晴らしくて、池松壮亮に全く引きを取らない嫌な貫禄を見せていた。 映画の為に30kg増量して「しんどかったけど、この映画の為に死んでも良いと思った」と笑顔で話すインタビュー映像がヤバい。 ドラマから引き続き宮本浩次の楽曲もピッタリハマってた。 ドラマ版の「easy go」は宮本の若さを象徴する様な曲だったけど、今回の「Do you remember?」は映画版で、やっと居場所を見つけた宮本の心情と重なるし、エンドロールの佐内正史の爽やか写真と合わさってじんわり沁みる。 という感じでドラマ版から好きになり過ぎて、1本の映画として最早判断しにくいのだけど、宮本というキャラクターの人生が一区切りした事に凄まじく感動したのでとても大好きな1本になった。 真利子監督、前作のディストラクション・ベイビーズも面白かったけど、今回は更にエネルギーに溢れた大傑作だと思う。 今後の活躍も楽しみ。 2019年10月26日 追記分 観てからしばらく経つのだけど、宮本の事が頭から離れなくて、仕事とかでしんどい事があった時に「宮本ならどうするかなぁ」とふと考えたりしてしまう。 それくらい観る前と観た後でとは世界の見方が変わってしまう程のパワーがある作品だと思う。 タイトルの通り「君へ」という部分こそが重要な意味がある映画だと今はひしひし感じてて、自分の感想を読み返しながら「こんなもんじゃ自分がこの作品を好きである証明になっていないのではないか?」とか考えてしまい、往生際悪く追記してしまった。 宮本が目の前の誰かの為や自分の為に放つ言葉が、スクリーンを越えてこちらに突き刺さる。 僕は精神的にちょうど少し弱ってた時期にこの作品を観てラストの「怖くねぇぞ、生きてるヤツはみんな強えんだ!」という宮本の言葉に後追いで凄く救われている。 映画内の文脈とかもはや関係なく、彼が発する強い言葉の数々を思い出す度「頑張らないとなぁ」と単純に励まされる。 本当に「君へ」という言葉の通りの力を持った大傑作だと思う。 あと今更原作を読んだのだけど、改めて映画版の切り取り方がとても見事な事に気づいた。 原作の映画パート部分は当然だけどドラマ版パートのエピソードからかなり地続き。 例えばドラマ最終回の土下座事件で険悪になった島貫部長との仲直りのきっかけとしてピエール瀧が演じてたマムシや佐藤二朗演じる大野が出てきたりするし、ドラマ版では苦しく終わったエピソードにもかなり救いがある。 あと原作は絵柄もそうだし、キャラクターの見た目もそうなのだけどギャグマンガ的なシーンが多め。 最後の琢磨との対決のエピソードの所も合間に入るキャラクターが宮本の想いとは関係なく軽いトーンで入ってきたりするのでそこまでキツ過ぎない。 ドラマや映画両方に入らないエピソードも沢山あるのだけど、群像劇的な要素をドラマや映画はあえて抜いている感じがした。 何をポイントに今回の実写版は製作されているかというとやはり池松壮亮演じる宮本の主観から見ている世界、という部分だと思う。 映画版は時間もタイトな事もあり、そこをさらに強調している。 宮本1人の人生によりフォーカスする事でタイトルの「宮本から」の部分の純度が増している。 当然だけど生身の人間が演じる事でより実在感が増すので同じ世界にいる人の話であるという意味合いも強いのだけど、あんまり上手くない役者が演じたら冷めるだけだしここのハードルを越えてるのが凄い。 池松壮亮の武器の自然な話し方の上手さとエキセントリックさが活かされ「今そこにいる宮本」像が見事に作り出されている。 だから何というか、より「俺もこいつと同じ位は無理でもしっかり頑張らないとな」という気持ちになる。 馬鹿みたいな言い方だけど「元気がもらえる映画」だ。

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『宮本から君へ』のネタバレなし感想!!とにかく熱い映画!!

宮本 から 君 へ ネタバレ

映画版だけじゃなく前日譚であるドラマ版に関してもネタバレしております。 イオンシネマ京都桂川で鑑賞。 結構混んでた。 この映画を観る前にドラマ版をAmazonプライム・ビデオで鑑賞した。 原作で言うと前半部をドラマ版でやってクライマックス周辺を映画でやっているのだと思う。 ドラマ版のざっくりした感想 ドラマ版前半は華村あすか演じる甲田美沙子との恋模様がメインで描かれる。 まあしかし、ここの華村あすかさんの可愛いさが凄まじくてそりゃあ好きになってしまう。 甲田さん自体はずるい所もあるキャラクターなのだけど、華村あすかさんがとっても透明感があるのでそこまで嫌な感じがしなくて、それ故に哀しい。 他、合間に入るエピソードも良くて宮本に想いを寄せる三浦透子演じる茂垣さんとのやりとりも切なくて大好き。 ここの宮本は、学生時代のキラキラした思い出を引きずり仕事にも身が入らず、そのくせ色んな事にこだわりまくって空回りしてるのだけど、今思い返すと本当に愛おしい。 甲田さんとの恋は彼女が前の男に復縁を申し込まれたせいで、宮本はあっさり捨てられてしまう。 振られて傷つきまくっているのに男としてこうするべきだ!と自ら自分の想いを押し殺して一人相撲してる感じが可笑しくも切ない。 結局未練タラタラで彼女の職場に営業で来たふりをして会いに行く所の池松壮亮の素晴らしい泣き顔に笑いながら泣いた。 彼女に最初に声をかけた「僕の名前は宮本浩です!!!」が繰り返される瞬間に胸が締め付けられる。 宮本にとって最初の大きな敗北シーン。 ドラマ版後半は松山ケンイチ演じる超仕事出来る先輩の神保さんとの仕事がんばるぜ!パート。 大きな契約をライバル会社の営業と取り合う話がメインになっていく。 とにかくこの新保さんが松山ケンイチ史上でもトップクラスの名キャラクターで本当に頼りがいがあってカッコイイ。 そして彼が仕事を辞めるので引継ぎを宮本が任されるのだけど観ながら誰もが「いや!宮本には無理じゃない!?」という気がしてきて、あげく観てるこちらの仕事の事とか思い出し嫌な気持ちになる事必至。 あと名キャラクターで言うと浅香航大演じるライバル会社の営業マン益戸。 初登場の時点で「こいつ、絶対悪い奴!」と一発で分かるキャラの立ち具合。 神保とバチバチやり合うシーンが最高で松山ケンイチと浅香航大の演技合戦がとても見応えがある。 ここでマルキタという宮本が働いている会社の面々との絆が深まっていく様子が本当に熱い。 宮本の熱に当てられ段々と周りの人間が協力していく様子が丁寧で、中盤で部長の攻撃から課長や新保が庇うシーンはめちゃくちゃ泣いた。 記号的な逆境展開を並べて糞つまらない熱血お仕事ドラマを量産しているTBSの日曜劇場とかは見習った方がいいと思う。 結局最後はライバル会社に仕事を取られてしまうのだけど、やることを全てやって全力で燃え尽きたのも分かるので爽やかにも感じる。 しかしまた負けられない勝負で敗北してしまう宮本。 ドラマのラストは再び甲田さんと再会し酒を飲んでるシーンでしんみり終わっていくのかと、思いきや甲田さんが再び男に捨てられたのが発覚し宮本にすり寄ってくる鬼展開。 ただでさえ仕事で精神状態ボロボロなのに彼女の為に「ふざけんな!くそったれ女!」と叫び嫌われ様とするシーンの胸が痛い事、結局彼女の方には思いは(たぶん)伝わらず「見損なった」と罵られ、泣きながら去っていく宮本の背中でドラマが終わっていく、、、ハード過ぎる、、、 映画版の感想 という感じでドラマ版を観てから映画版を観るのと、映画版だけを観るとでは、結構印象が違うと思う。 まあ見事にまとめているので映画だけでも素晴らしいのだけど、ドラマ版を観ていると、これまで彼がいかに敗北感を味わってサラリーマン生活を送ってきたのかが分かるので、冒頭から星野英利が優しくしてたり、松山ケンイチがアドバイスしてくれる所とかでチビチビ泣いてしまうし、第1話で「作り笑いも上手く出来ない、、、」と話していた時期を思い返すと、人前で心の底から笑顔になっている彼を観ているだけで感動しっぱなし。 あと恋愛に関しても前の男を忘れられないという理由でドラマ版では甲田さんに振られた訳だし、前の恋人に未練がある靖子に対してかける言葉が「今度は絶対離さない!」という意思が痛い程伝わってきて、前半でもうすでに顔がびちょびちょになる。 映画にしてもドラマにしてもこの作品の一番の魅力は主人公宮本のキャラクターなので長い時間一緒に付き合う方が絶対良いと思うし僕はやっぱりドラマ観てから映画に行くのをオススメしたい。 そして最後、これまで恋でも仕事でも絶対に負けられない勝負で負け続けてきた彼がついにささやかな勝利を掴む所では更に号泣してしまう。 靖子の言う通り喧嘩で勝つのも自己満足なのだけど、心象ナレーションで暗い事をぼやきながらずっと悩んでいた彼が声に出して「俺の人生はバラ色だから!」と自分を肯定するシーンで胸がいっぱいになる。 この映画のパート自体は結構重いエピソードの所だとは思うのだけど、時系列的に今回メインである喧嘩が終わったシーンから始まり、ヒロインである靖子と恋愛関係に発展した数か月前のエピソードが交互に入ってくる形にした事で、この後もこの二人の関係が続いていると分かるので、一本道で語るより映画全体が重々しい印象がしなくなってていい構成だと思った。 原作の新井英樹の漫画でよく見られる、とても緊迫してるのに傍から見るとなんか笑える場面の空気感もしっかり再現出来ていて良かった。 例えば靖子が強姦された後に宮本が彼女を抱きしめるシーン、役者二人の熱演もありあまりの熱さに圧倒されるし緊迫感もあるのだけど、宮本が勃起してるという情報が入ってそれも含め喧嘩がヒートアップしていく感じとかどういう気持ちになればいいんだ、、、となる凄い新井英樹漫画っぽい描写だなぁと思った。 吉田恵輔監督が「愛しのアイリーン」を実写化した時も結構重要な要素だったしここを見事に再現出来るかで、新井英樹漫画の良し悪しが決まる気がする。 要はユーモアもありつつも、馬鹿っぽく見せず、役者の演技の熱量も引き出せる腕のある監督じゃないと新井英樹漫画の実写化は務まらない。 それで言うと吉田監督も真利子監督も原作への愛も含め申し分ない人選だった。 特に真利子監督に関しては「ディストラクションベイビーズ」でもそうだったけど暴力の怖さや痛さの表現が抜群に上手いので、今回の真淵拓馬の暴力描写は本当に恐ろしい。 ラストの非常階段での喧嘩は思わず声出しちゃうくらいビックリ映像になっていた。 あと映像のルックがテレビドラマの映画版という感じじゃなくちゃんと映画になっているのも安心した。 ドラマ版では出来なかった濃密なラブシーンや暴力描写も手加減なく描かれていてちゃんと映画としての完成度を追いかけているのが伝わってくる。 キャスト陣の素晴らしさは言うまでもない。 当たり前に池松壮亮は最高。 原作の宮本をここまで違和感なく生身の人間として体現できているのはまず凄い。 だって電柱柱で逆立ち腕立て伏せしてても「宮本だしやるよね」と現実の事として普通に思えるもん(僕は思えた)。 池松壮亮が本気で前歯を抜いて撮影に挑もうとして、周りの人から止められるというエピソードがあったらしいけど、それも納得する位スクリーンから本人の気合がビシビシ伝わってきた。 スタローンをロッキーと同一視してしまうのと同じレベルで池松壮亮と宮本を重ねて見てしまう。 それくらい一体化していた。 間違いなく池松壮亮史上ベストアクトだと思う。 蒼井優もこの人しかいないレベルで靖子役を好演していた。 池松壮亮とのコンビは「斬」から引き続き相変わらず息ぴったりで、2人ともめちゃくちゃエキセントリックなキャラクターなのに、とても自然に幸せなカップルに見える。 それ故に降りかかる悲劇が悲しい。 そして最大の悪役を演じた真淵拓馬役の一ノ瀬ワタルも素晴らしくて、池松壮亮に全く引きを取らない嫌な貫禄を見せていた。 映画の為に30kg増量して「しんどかったけど、この映画の為に死んでも良いと思った」と笑顔で話すインタビュー映像がヤバい。 ドラマから引き続き宮本浩次の楽曲もピッタリハマってた。 ドラマ版の「easy go」は宮本の若さを象徴する様な曲だったけど、今回の「Do you remember?」は映画版で、やっと居場所を見つけた宮本の心情と重なるし、エンドロールの佐内正史の爽やか写真と合わさってじんわり沁みる。 という感じでドラマ版から好きになり過ぎて、1本の映画として最早判断しにくいのだけど、宮本というキャラクターの人生が一区切りした事に凄まじく感動したのでとても大好きな1本になった。 真利子監督、前作のディストラクション・ベイビーズも面白かったけど、今回は更にエネルギーに溢れた大傑作だと思う。 今後の活躍も楽しみ。 2019年10月26日 追記分 観てからしばらく経つのだけど、宮本の事が頭から離れなくて、仕事とかでしんどい事があった時に「宮本ならどうするかなぁ」とふと考えたりしてしまう。 それくらい観る前と観た後でとは世界の見方が変わってしまう程のパワーがある作品だと思う。 タイトルの通り「君へ」という部分こそが重要な意味がある映画だと今はひしひし感じてて、自分の感想を読み返しながら「こんなもんじゃ自分がこの作品を好きである証明になっていないのではないか?」とか考えてしまい、往生際悪く追記してしまった。 宮本が目の前の誰かの為や自分の為に放つ言葉が、スクリーンを越えてこちらに突き刺さる。 僕は精神的にちょうど少し弱ってた時期にこの作品を観てラストの「怖くねぇぞ、生きてるヤツはみんな強えんだ!」という宮本の言葉に後追いで凄く救われている。 映画内の文脈とかもはや関係なく、彼が発する強い言葉の数々を思い出す度「頑張らないとなぁ」と単純に励まされる。 本当に「君へ」という言葉の通りの力を持った大傑作だと思う。 あと今更原作を読んだのだけど、改めて映画版の切り取り方がとても見事な事に気づいた。 原作の映画パート部分は当然だけどドラマ版パートのエピソードからかなり地続き。 例えばドラマ最終回の土下座事件で険悪になった島貫部長との仲直りのきっかけとしてピエール瀧が演じてたマムシや佐藤二朗演じる大野が出てきたりするし、ドラマ版では苦しく終わったエピソードにもかなり救いがある。 あと原作は絵柄もそうだし、キャラクターの見た目もそうなのだけどギャグマンガ的なシーンが多め。 最後の琢磨との対決のエピソードの所も合間に入るキャラクターが宮本の想いとは関係なく軽いトーンで入ってきたりするのでそこまでキツ過ぎない。 ドラマや映画両方に入らないエピソードも沢山あるのだけど、群像劇的な要素をドラマや映画はあえて抜いている感じがした。 何をポイントに今回の実写版は製作されているかというとやはり池松壮亮演じる宮本の主観から見ている世界、という部分だと思う。 映画版は時間もタイトな事もあり、そこをさらに強調している。 宮本1人の人生によりフォーカスする事でタイトルの「宮本から」の部分の純度が増している。 当然だけど生身の人間が演じる事でより実在感が増すので同じ世界にいる人の話であるという意味合いも強いのだけど、あんまり上手くない役者が演じたら冷めるだけだしここのハードルを越えてるのが凄い。 池松壮亮の武器の自然な話し方の上手さとエキセントリックさが活かされ「今そこにいる宮本」像が見事に作り出されている。 だから何というか、より「俺もこいつと同じ位は無理でもしっかり頑張らないとな」という気持ちになる。 馬鹿みたいな言い方だけど「元気がもらえる映画」だ。

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★新作映画『宮本から君へ』ネタバレなしの感想。ぶっちぎりで2019年ベスト

宮本 から 君 へ ネタバレ

私は劇場で泣くことはめったにないのだが、せき止めていたものが宮本の熱量にぶっ壊された。 そのくらい衝撃的で、猛烈に熱い映画だった。 3年前の2016年は、とにかく邦画の勢いが凄い年だった。 大泉洋主演の『アイ・アム・ア・ヒーロー』やエヴァの庵野秀明監督による実写映画『シン・ゴジラ』、アニメを含めると『君の名は。 』『聲の形』『GANTZ:O』と、映画ファンにとっては御馳走のようなラインナップだ。 そんな傑作が蔓延るなかで強烈な印象を残したのが『』だ。 笑い、恐怖、悲哀、あらゆる感情を振り子のように揺さぶる内容で、観終わったあとは観客に深い影を落とす。 こんな映画を見たら一生忘れられるわけがない。 翌年は正直、洋画邦画含めてハズレ年といった感じで、映画そのものから距離を置いてしまった。 そして迎えた2019年はまさに邦画の当たり年だ。 特に9月10月はすごい。 『』『』と傑作が続いてからの『宮本から君へ』。 しばらくはこれを超える映画は出てこないだろう。 見ている時間はずっと幸せだった。 文具メーカー「マルキタ」で営業として働く宮本浩。 彼は笑顔が作れず、お世辞も言えない。 金もなければ仕事もできないが、人一倍正義感は強くて情熱だけは誰にも負けない不器用な男だ。 そんな宮本は会社の先輩・神保の仕事仲間である大人な女性・中野靖子と恋に落ちていた。 ある日、宮本は営業先の真淵部長と大野部長に気に入られて彼らのラグビーチームに入り、マネージャーとして参加する靖子も連れて彼らの飲み会に行く。 気合いを入れて日本酒の一升瓶を飲み干し、泥酔してしまった宮本を送るために真淵は息子の拓馬を呼びつける。 そこに現れたのはラグビーで鍛え抜かれた巨漢の怪物だった。 その後、2人に人生最大の試練が訪れ……。 正直、ドラマ版を観なくても問題ない。 ドラマ版に出てくるキャラクターがストーリーに大きく関わらないし、あくまで新キャラとのやり取りがメインとなっている。 とはいえ、宮本のキャラクターを知っておいた方がより楽しめるので、時間があればドラマ版から観るといい。 1話24分しかないので、すぐに全部見られるだろう。 簡単にドラマ版についてネタバレありでレビューをしたい。 宮本は稚拙で不器用で、でも熱さだけは誰にも負けない。 とくに彼が後半の仕事編で見せる執着心には心動かされた。 あなたはバカにされる宮本ほど熱くなったことはあるだろうか、情熱を持って何かを取り込んだことがあるだろうか。 結果的にドラマ版の宮本は何も手に入らない。 情熱だけで人生、何とかできるわけがない。 大人になってからは特にだ。 が、彼のほとばしるエネルギーに突き動かされ、最初は冷たい目で見ていたみんなが彼を手助けをするようになる。 人の感情を動かす人間は素晴らしい。 人を元気にさせる人間って素晴らしい。 物凄く価値があると思う。 最後、あの甲田美沙子とかいうクソ女を突き返すことで成長を見せてくれたのは良かった。 序盤は甲田美沙子に振り回されっぱなしだったが、後半の仕事編でのニチヨンとのコンペで自分に対して誠実に生きることの清々しさを学んだのだろう。 何の成果を得られずに終わるという不完全燃焼っぽい終わり方ではあるが、宮本は成果よりも大事な成長を得られたので、私は満足した。 ドラマの後半に出てくる中野靖子に扮した蒼井優もすごく良かった。 まるで『ペンギン・ハイウェイ』のお姉さんそのものだ。 ペンギン・ハイウェイは突如ペンギンが街に発生し、好奇心旺盛な少年がその謎を探り、お姉さんが彼の手助けをするといった内容。 少年をまるで聖母のような暖かいまなざしで支えるお姉さんのキャラクターが魅力的なアニメ映画で、声を蒼井優が担当している。 中野靖子を演じるのも彼女で、アホで無能で情熱しかない子供っぽい宮本を大人の目線で叱る。 暴力的なところはあるけれど、ペンギン・ハイウェイのお姉さんが帰ってきたような錯覚に陥って嬉しかった。 何より印象的だったのが松ケン扮する宮本の会社の先輩・神保だ。 ニヤケ顔で取引先のおっさんの母親の体まで心配する人情派。 そんな彼は「仕事に私情を持ち込みたくない」なんて冷徹なことを言いつつ、誰よりも真摯に仕事と向き合っている。 宮本はそんな彼が大好きで尊敬しているのだ。 松ケンのキャリア史上最高の演技の1つ。 あんな魅力的な彼を観たことがない。 ここからは映画について。 オープニングから混乱させられる。 ドラマ版の後半にちょろっと出てきた中野靖子と宮本の距離感がやけに近くて仲睦ましい。 どうやら二人は付き合っているようだ。 なぜか宮本の腕はギブスで巻かれてて、前歯もない。 観客の頭に?が満たされる。 宮本は靖子を連れて自分の実家に連れていき、両親の前で結婚を宣言する。 しかも彼女の腹の中には子供がいる。 結婚するのに靖子は宮本のことを「宮本」と名字で呼ぶのがなんかいい。 バカでガキな宮本に対して、精神的に成熟している靖子っぽさがあってしっくりくる。 しばらく見ていると場面が切り替わり、歯が生えている宮本が靖子の独り暮らしの家に招かれる。 靖子は宮本のことを「宮本くん」と呼ぶ。 どうやらまだ付き合いたてのよう。 本編は、こんな感じで過去と現在を交互に映す形で進んでいく。 二人がご飯を食べているところに元カレが乱入してきたりと、穏やかではない展開がありつつも、まあ平和だ。 その後も幸せそうな日常が淡々と描かれる中、突如として二人に悲劇が起きる。 思った以上にショッキングなため、内容は控えたい。 公式サイトのあらすじにも書かれていないので直接見て確かめてもらいたい。 なぜこのエピソードがドラマではなく映画で描かれたのかは納得である。 映画でなければ耐えられない内容だからだ。 果たして二人は、この強大な試練にどう立ち向かうのか。 ドラマ版にも言えることだが、映画版もとにかく魅力的なキャラクターであふれている。 特に敵役の男がたまらない。 宮本が参加することになったラグビーチームに所属している真淵部長の息子の拓馬だ。 体型が宮本の2~3倍くらいある巨漢男でまさに化け物。 見た目や喋り方から悪役然とした感じがたまらないし、何より良かったのが彼の内面が一切描かれないこと。 よって観客は彼に感情移入することなく、宮本と靖子をひたすら応援する形となる。 この映画は宮本がこの拓馬と戦うといった、私のようなアホでもわかる内容だ。 だが、相手は見るからに強い。 観客は「こんなやつにどうやって勝つんだ」と心配することになる。 さらにもうひとつのストーリーと平行しており、それが靖子との関係性だ。 彼女も事件の当事者であり、このことがきっかけで宮本と靖子の関係が壊れてしまう。 宮本と靖子は再び繋がることができるのか。 本作の見所といったら言うまでもない、宮本のバカさ加減だ。 肝心な時でも彼は言動は変わらないので、そういった時ほど彼の不器用さが浮き彫りとなって滑稽で笑える。 あまりに単細胞すぎてワンピースのルフィに見えてきたくらい。 クソ弱いルフィだ。 テーマは「親」だ。 繊細なテーマだが、ここは宮本。 力ずくのみでこのテーマを描いちゃうから面白い。 倫理とか常識とかそんなの関係ない。 すべてを情熱のみでぶっ壊す。 それが最高に気持ちいい。 プロポーズのシーンとか死ぬほど笑える。 劇場では後ろにいた女性客がゲラゲラ笑っていて、何だかいい雰囲気に包まれていた。 最後の戦いなんかもほんとブサイクすぎて笑える。 なんだよあれ、むちゃくちゃじゃねーか。 それなのにラストシーンはアホほど泣ける。 笑って泣けるってエンターテイメントからしたら、ただの最強じゃんかよ。 一個だけ不満があって、序盤で靖子の家に元カレ・裕二が乱入してくる際に、何やかんやあって飼っている金魚が水から飛び出てバタバタしているシーンがある。 ここは宮本と靖子には救って欲しかった。 彼らはそういった温かい人間性を持っているので。 序盤はずっとこのシーンが引っかかってしまった。 ただ、このシーンでさらっと放つ裕二のひと言が、彼の多面性を描いているので注目してもらいたい。 とはいえ、元気をもらえるいい映画だ。 余計なことをごちゃごちゃ考えて悩みがちな人は見るべき。 一発でもやもやした気持ちが晴れるだろう。 私の中のバイブルになってしまいそう。 意外と私が観た回は一人で来ている女性が何人もいたのが印象的。 連続ドラマの映画化だから、女性ファンも多いのだろう。 しかしこの内容が女性の支持を受けるっていうのも面白い話だ。 なぜなら間違いなく現実に宮本がいたとしたら女性受けしない。 どんな現実的な問題も、情熱のみで解決するのだから。 ある意味現実逃避である。 でもフィクションならではの、彼みたいにエネルギーを与えてくれる存在は厳しい現実に生きる我々には価値がある。 正直、同時期に上映しているジョーカーよりこっちのが世間の話題をかっさらってもらいたいもの。 歯抜けの仮面を付けた情熱人間が世間に蔓延したらやっかいだが。 でもジョーカーに比べると、この映画が我々に与えてくれる影響は健全だし、何より元気になる。 我々だって宮本のようになるべきときがある。 3年前のヒメアノ~ルの衝撃が凄くて、私はずっとこれに匹敵する映画を探していた。 ようやく見つかって嬉しい。 宮本越えを見せてくれる映画はまた3年くらい年を跨ぎそう。 長い旅になりそうだ、宮本。 発明好きのラクシュミは、妻ガヤトリが生理処理の際、汚れた布を使っていることを知る。 彼女の体を心配して薬局で生理用ナプキンを購入するも、高額だったため、彼女に返品するように言われる。 村の医師に相談し、「不衛生な布を使用するせいで不妊や死に至ることもある」と聞いたラクシュミは、彼女を守るため、ナプキンを自作するようになる。 しかしインドでは生理=ケガレといった認識があり、「これ以上自分の生理には関わらないでほしい」とガヤトリに警告される。 それでもラクシュミは開発を強行するのだが……。

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