何もないはずのテーブルに浮かぶ物体。 近づいてみてよく見ると、それは宙に浮かぶ立体映像。 指で触れると、ドアが開いたり、照明やテレビが動き出したり、魔法のような現象が起こる。 未来を感じさせる表現として、SF映画やアニメでよく登場するこのようなシーン。 きれいな空中映像を作るのに必要なのは、物体の姿を鏡映像として映し出す、鏡の性質。 像の場所もしくは像の前に鏡やスクリーンがあり、実際に浮かんでいるわけではありませんでした。 ここには一般的な鏡(平面鏡)で作られる「 虚像」と実際に光が集まってできる「 実像」の違いがあります。 「 平面鏡、つまり普通の鏡でみえる映像は「虚像」と呼ばれているものです。 これは、光が実際に像の場所に集まってできたものではなく、物体から発せられた光が反射して、単に鏡の奥にあるように見える状態です。 それに対して「実像」は、光が実際に集まっており、その場所にスクリーンを置くと映る像です。 凸レンズを使うことで実像を作る方法は昔からありましたが、虫眼鏡のように距離によって拡大縮小するため、凸レンズでは像に大きな歪みが生まれてしまいます。 これを可能にしたのが、 2面コーナーリフレクターアレイ(2枚の鏡が直角に組み合わさったものが多数並んでいるもの)という結像光学素子。 箱の中に物を置き、この上からパリティミラーをかぶせるシンプルな構造。 こちらにはデジタル時計が設置されている。 ナノ加工技術と数十万個の光学素子 開発において難しかったのは、膨大な数の2面コーナーリフレクターを、手鏡程度のスペースに埋め込む点だったと前川さん。 「解像度の高い像を作るには、光線の数を多くする必要があります。 手のひらほどのサイズ。 よくよく見ると、表面は少しだけザラッとしているのが確認できます。 これらは極小の2面コーナーリフレクターで、物体から発せられた光を一つひとつのミラーが反射。 数十万個の光線によって、解像度の高い空中映像を作り出しています。 このような実像による空中映像の開発によって「 空中にある映像に触れて操作する」ことが可能になったと前川さん。 空中映像を表示するのみならず、その映像を操作することができるプロダクトの開発にも成功しています。 指で触ると、浮かび上がった映像がクルクルと回転する。 「 専用のアプリを利用して、位置センサーで指の場所を検出すれば、空中映像を触って普通のタッチパネルの様に、さまざまな操作が行えます。 空中映像を使っているので、映像には触っているのですが、指には何も接触することがないというのが特徴です」。 現在、他の研究機関や企業と連携しながら、さらなる改良に取り組んでいると前川さん。 フローティングタッチディスプレイの他、パソコンやテレビ、照明など、さまざまなスイッチをすべて空中映像にしてしまう「Air switch エアスイッチ)」も開発。 まだまだ課題が残されているというものの、パリティミラーによる空中映像が私たちの家庭で当たり前に見られる日が、刻一刻と近づいています。 SFの世界が現実に!家庭・街・文化を変えるプロダクト すでに製品サンプルが完成しており、展示会や企業の研究用として製品化が進んでいるパリティミラー。 しかし、世の中に売り出すには、まだ「量産化」という課題が残されていると前川さん。 「 加工に求められる精度があまりにも高く、量産化に手間取っているのが現状です。 開発当初はひとつ作るのに数百万円という費用がかかってしまっていました。 今でもサンプルの販売価格は48,000円で、コンシューマー向けの製品としては高すぎる価格です。 生産効率をもっと上げて、量産化とコスト削減を進めている状態ですね」。 販売価格の目標は、1台5,000円。 空中映像の製品化に向けて、前川さんの研究・開発はまだまだ続きます。 また、今後はパリティミラーの大型化を進め、企業や施設で利用できるプロダクトにしていきたいとのこと。 「 デジタルサイネージ(あらゆる場所でディスプレイを使って情報を発信するシステム)であったり、テーマパークのアトラクションであったり、空中映像によって広告やエンターテイメントの表現を拡げることができると考えています。 生産の効率化・製品の量産化と同時に、パリティミラーの大型にも取り組み、家庭や街の至るところで使われるプロダクトにしていきたいと考えています」。 空中映像はAR(拡張現実)との親和性も高いはずと前川さん。 コンピューターで作った疑似世界に画像や動画に重ね、ディスプレイの中で楽しむARですが、空中映像で疑似世界を演出すれば、現実世界でより臨場感のあるARを楽しむことができるようになるとのこと。
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概要 [ ] マリモは球状の集合体を形成するが、球状体一つがマリモの一個体単位というわけではなく、この球状体を構成する細い繊維(糸状体と呼ぶ)がマリモの個体としての単位である。 多くの生息地では、マリモは糸状体の形態で暮らし、球状の集合体を作らない。 見た目は柔らかそうであるが実際には硬い藻であり、手で触れるとチクチクとした感触がある。 日本ではに(現)のがの尻駒別湾で発見し、その形から「マリモ(毬藻)」という和名をつけた。 なおがのからマリモを採取し学名をつけたのはである。 分布 [ ] 日本では、およびの東北地方から関西地方の湖沼に点在して分布し、日本国外では、北部、、等に分布する。 日本国内 [ ] 日本ではマリモの生育が確認されている湖沼は以下の通りである。 北海道:・内の中小湖沼(・・)・• 青森県:・・・・・• 秋田県:(にかほ市象潟)天然記念物に指定されている。 直径1m以上もある世界最大のマリモもある。 山梨県:・・・・(いずれも)• 滋賀県:• 富山県: このうちマリモが大きな球状の集合体を形成するのは阿寒湖と小川原湖だけである。 また、富山県で発見されたは、かつてはマリモと同一種とされ、誰かの放流説などが疑われていたが、分析の結果、違う種であることが確認された。 全国各地に散発的に分布している。 のマリモは最大30cm程度と大きくビロード状の球状形態や希少性からに国のに指定された。 近年各地で個体数が減少しており、種としてのでで掲載されている。 のマリモは直径30cm程度まで生長するが、の届かない中心部は糸状体が枯れて空洞になっているため、大きさを支えきれずに壊れてしまう。 だがその後は小さいマリモとなり、再び成長を続けていく。 は阿寒湖のマリモが天然記念物に指定された日であり、この日はマリモの日とされている。 日本国外 [ ] 日本国外では、のやのなどで球状の集合体が確認され、ヨーロッパ北部の諸国・ロシア・アメリカなど北半球に広く分布している種であることが近年分かってきた。 2011年12月、釧路市教育委員会マリモ研究室の研究によって、北半球のマリモの全てが日本の湖のマリモを起源とする可能性が高いことが判明した。 渡り鳥などが食べて、他の地域へと運んだ可能性が高いという。 阿寒湖はマリモが現存する国内の湖の中で形成時期が最も古いが、長い歴史の中で消滅した湖もあり、国内のどこの湖が起源かを特定するのは困難とのことである。 水質汚染などからに入り世界最大の生息地ミーヴァトン湖では球状マリモが壊滅的な被害を受け、2014年現在、世界で阿寒湖北側チュウルイ湾が唯一の球状マリモの群生地となっている。 生態 [ ] この節はなが全く示されていないか、不十分です。 して記事の信頼性向上にご協力ください。 ( 2020年2月) マリモは基本的にで生きるが、海水と淡水の混ざったでも生育が確認されている。 そのため、販売されているマリモを購入した場合、夏場の対策として冷蔵庫での保管が良いと考えられる。 マリモは一般的に水に浮かないものといわれているが、水に浮かんだ個体が阿寒湖で発見された(2005年)。 マリモはにより気泡(酸素)を発生するため、販売されるマリモでも光合成が活発なときにまれに浮くときがある。 水質の悪化に弱いことが生息数の減少を引き起こしているとされている。 特に系界面活性剤に弱い。 乾燥にも弱く強風や遊覧船の波浪により打ち上げられると容易に枯死する。 泥に埋もれたり、シオグサに覆われるなどして光合成が阻害されても枯死するが、波浪による回転によってそれらを表面から落としている。 この回転運動によって他のマリモの下に隠されたマリモが表に出ることがあり、これによって群生地全体の各個体が光合成を行えている。 阿寒湖のマリモは波浪により揺すられ球状になる。 30cmほどのサイズまで生長するとより波の影響を受けやすくなり、嵐などによる強風によって湖岸に打ち上げられる。 従来、打ち上げられることはマリモの生長にマイナスだと考えられていたが、打ち上げられたマリモはバラバラになり、その破片をもとにまた球状マリモへと生長することが分かった。 打ち上げられること自体はマリモにとって数を増やすために必要なことであった。 分類 [ ] 記載当初マリモ属 Aegagropilaに分類されたが、その後 Cladophoraに分類される。 1990年代以降、的なアプローチによりとは異なることが分かり、再びマリモ属に戻った。 チシママリモ、フトヒメマリモ、カラフトマリモ、トロマリモ、フジマリモ等の近縁種があるとされていたが、これも分子生物学的な手法を用い解析した結果、すべてマリモと同じ種であることが確認された。 近縁種に富山県で発見され、北海道から九州まで全国で確認されているタテヤママリモという種がいる。 販売 [ ] 観光地などで「養殖マリモ」の名で販売されているものは、地元漁協が内ので採取したマリモ糸状体を人工的に丸めただけのものであり、実際には「養殖」し増やしたものではない。 材料を採取しているシラルトロ湖ではこのマリモの販売のため、マリモが減少し、絶滅の危機に瀕している。 販売されているマリモは天然のマリモに比べて形が壊れやすいといわれている。 一方で、札幌で土産物産や養殖マリモの製造・販売を行っているマルシャンは、「マリモの枯渇を予測し、10数年に渡る研究の結果養殖に成功した」とし、この養殖されたマリモは商品化できるようになったと企業サイト内で述べている。 富士五湖周辺で「富士まりも」などの商品名で販売されている養殖マリモも、実際には上記のシラルトロ湖のマリモを丸めたものであり、富士五湖に生息する「フジマリモ」ではない。 「天然まりも」と称している商品は当然阿寒湖のマリモではなく、など海外から輸入されたものである。 保護上の位置づけ [ ]• 絶滅危惧IB類 EN ()• 金沢大学博士学位論文要旨 2002年9月 p. 235-239• - 日本経済新聞 記事:2012年1月7日 閲覧:2013年9月18日• - 毎日新聞 2012年1月9日• 低温科學. 生物篇 第17輯 1959年10月24日 0439-3546 AN00149635• 北海道大学低温科学研究所 低温科學. 生物篇 第22輯 1964年10月20日 AN00149635• 株式会社マルシャン 関連項目 [ ] ウィキメディア・コモンズには、 に関連するカテゴリがあります。 :一部区間の愛称が「まりも国道」• 外部リンク [ ]• 日本水産学会誌 Vol. 2(1933-1934) No. 5 P217-228• 陸水学雑誌 Vol. 4(1934-1935) No. 富士山研究第3巻(2009)13〜18頁• - 環境省生物多様性センター• - NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構、、「阿寒湖のマリモ」保護会による阿寒湖のマリモの公式ホームページ• - ホームページ• - マリモの生物学的特徴や保護について情報発信• - 北海道新聞•
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何もないはずのテーブルに浮かぶ物体。 近づいてみてよく見ると、それは宙に浮かぶ立体映像。 指で触れると、ドアが開いたり、照明やテレビが動き出したり、魔法のような現象が起こる。 未来を感じさせる表現として、SF映画やアニメでよく登場するこのようなシーン。 きれいな空中映像を作るのに必要なのは、物体の姿を鏡映像として映し出す、鏡の性質。 像の場所もしくは像の前に鏡やスクリーンがあり、実際に浮かんでいるわけではありませんでした。 ここには一般的な鏡(平面鏡)で作られる「 虚像」と実際に光が集まってできる「 実像」の違いがあります。 「 平面鏡、つまり普通の鏡でみえる映像は「虚像」と呼ばれているものです。 これは、光が実際に像の場所に集まってできたものではなく、物体から発せられた光が反射して、単に鏡の奥にあるように見える状態です。 それに対して「実像」は、光が実際に集まっており、その場所にスクリーンを置くと映る像です。 凸レンズを使うことで実像を作る方法は昔からありましたが、虫眼鏡のように距離によって拡大縮小するため、凸レンズでは像に大きな歪みが生まれてしまいます。 これを可能にしたのが、 2面コーナーリフレクターアレイ(2枚の鏡が直角に組み合わさったものが多数並んでいるもの)という結像光学素子。 箱の中に物を置き、この上からパリティミラーをかぶせるシンプルな構造。 こちらにはデジタル時計が設置されている。 ナノ加工技術と数十万個の光学素子 開発において難しかったのは、膨大な数の2面コーナーリフレクターを、手鏡程度のスペースに埋め込む点だったと前川さん。 「解像度の高い像を作るには、光線の数を多くする必要があります。 手のひらほどのサイズ。 よくよく見ると、表面は少しだけザラッとしているのが確認できます。 これらは極小の2面コーナーリフレクターで、物体から発せられた光を一つひとつのミラーが反射。 数十万個の光線によって、解像度の高い空中映像を作り出しています。 このような実像による空中映像の開発によって「 空中にある映像に触れて操作する」ことが可能になったと前川さん。 空中映像を表示するのみならず、その映像を操作することができるプロダクトの開発にも成功しています。 指で触ると、浮かび上がった映像がクルクルと回転する。 「 専用のアプリを利用して、位置センサーで指の場所を検出すれば、空中映像を触って普通のタッチパネルの様に、さまざまな操作が行えます。 空中映像を使っているので、映像には触っているのですが、指には何も接触することがないというのが特徴です」。 現在、他の研究機関や企業と連携しながら、さらなる改良に取り組んでいると前川さん。 フローティングタッチディスプレイの他、パソコンやテレビ、照明など、さまざまなスイッチをすべて空中映像にしてしまう「Air switch エアスイッチ)」も開発。 まだまだ課題が残されているというものの、パリティミラーによる空中映像が私たちの家庭で当たり前に見られる日が、刻一刻と近づいています。 SFの世界が現実に!家庭・街・文化を変えるプロダクト すでに製品サンプルが完成しており、展示会や企業の研究用として製品化が進んでいるパリティミラー。 しかし、世の中に売り出すには、まだ「量産化」という課題が残されていると前川さん。 「 加工に求められる精度があまりにも高く、量産化に手間取っているのが現状です。 開発当初はひとつ作るのに数百万円という費用がかかってしまっていました。 今でもサンプルの販売価格は48,000円で、コンシューマー向けの製品としては高すぎる価格です。 生産効率をもっと上げて、量産化とコスト削減を進めている状態ですね」。 販売価格の目標は、1台5,000円。 空中映像の製品化に向けて、前川さんの研究・開発はまだまだ続きます。 また、今後はパリティミラーの大型化を進め、企業や施設で利用できるプロダクトにしていきたいとのこと。 「 デジタルサイネージ(あらゆる場所でディスプレイを使って情報を発信するシステム)であったり、テーマパークのアトラクションであったり、空中映像によって広告やエンターテイメントの表現を拡げることができると考えています。 生産の効率化・製品の量産化と同時に、パリティミラーの大型にも取り組み、家庭や街の至るところで使われるプロダクトにしていきたいと考えています」。 空中映像はAR(拡張現実)との親和性も高いはずと前川さん。 コンピューターで作った疑似世界に画像や動画に重ね、ディスプレイの中で楽しむARですが、空中映像で疑似世界を演出すれば、現実世界でより臨場感のあるARを楽しむことができるようになるとのこと。
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